【エンジンオイルのグレードって?】車とバイクのオイルの違いやSLやSNとは?

バイクと自動車用エンジンオイルはなにが違うの? グレードってなに? 高い方が良いの? バイクに自動車用のオイル使ったらだめなの? 自動車用エンジンオイルは安いんだけど…?

バイクに車のオイルを使っても大丈夫なの?

バイクのオイル高過ぎ!

車のエンジンオイルはリッター500円とかで売ってるのにバイクのエンジンオイルはリッター1,000円以上するんだけど⁉ なにが違うの? 車のエンジンオイル使っちゃうぞ!

ネットで検索したら車のオイルをバイクにも使ってる人がいるみたいなんだけど⁉

気になって検索したら結構いるようですが、なにがいけないのでしょうか? 掲示板によっては車のエンジンオイル使った方が良いなんて書いてるし、別の掲示板では使っちゃいけないって書いてるし! 真実はどれなの⁉

と、バイクに乗る人なら誰もが疑問に思うことでしょう。今回はそんな謎をテーマに話を進めて行きます。

グレードを理解しておきましょう。

まずは自動車のエンジンオイルのグレードから

自動車用エンジンオイルには必ず「API規格」と言うグレードが缶やボトルに表記されていることにお気付きでしょうか? そのAPI規格のあとに「SL」や「SM」と言ったSから始まるアルファベットが二文字表記されていると思いますが、これがグレードとなりそれぞれに意味があります。Sのあとに続く文字はAからアルファベット順にグレードが高いとされているのですが、最近ではL~Nの3グレードオイルがメインで販売され使用されているのでそこにスポットを当ててご紹介しましょう。

API規格の意味

SL…エンジンメーカー推薦下で運転される2001年以降のガソリン車に適用するオイル。
SM…SL規格よりも省燃費性能の向上、有害な排気ガスの低減、エンジンオイルの耐久性を向上させた環境対応オイル。またこれまで試験の無かった劣化油の低温粘度を計る試験が追加され、低温流動性、酸化劣化に優れたオイル。
SN…これまで一番厳しい規格であったSM規格よりも、省燃費性能、オイル耐久性、触媒システム保護性能の改善が求められるオイル。

と、このようにグレードが高いと環境基準が厳しくなっていることがおわかりいただけるかと思います。良くある勘違いですが、グレードが高いとエンジンの保護性能が高いと思ってしまいますが、それとは関係していないことがわかりました。

バイクのエンジンオイルのグレード

自動車のグレードの規格は「API規格」となっていました。これはアメリカの協会が定めた規格ですが、バイクのグレードは「JASO規格」と言って、日本の協会が定めた規格となっています。基準自体が違うのでAPI規格と比べることはできません。

JASO規格の意味

JASO規格には二種類あります。順に説明しますが、専門的で難しい話になっても理解できないと意味がないのでとっても簡単な表現方法でご説明しましょう。

MA…ある程度滑るオイル。
MB…とっても滑るオイル。

と、このようになっています。なぜか、と言うお話はのちほどすることにして、自動車とバイクのエンジンオイルに対する概念の違いから規格や作りが違うようです。それが理解出来ればバイクに車のオイルを使っても良いのかどうかが紐解けると思います。

自動車用エンジンオイルとバイク用エンジンオイルの違い

なぜ規格が違うのか? それはエンジンオイルに求められる用途が違うから。

自動車用オイルはとにかくツルツル滑ってくれれば良い!

自動車用エンジンオイルはピストンの上下運動やクランクの回転運動の妨げにならなければ良い訳です。滑りが悪いと馬力の低下や燃費の悪化に繋がります。なぜかと言うと、ピストン運動を例に挙げて考えましょう。注射器を想像してください。注射を打つ時にスムーズにピストンが動いたら力も必要ありませんが、ピストンが重く動きが悪いと力も必要で時間も掛かります。これはオイルがエンジンに与える影響と考えましょう。
ですから自動車のエンジンオイルはピストンをスムーズに動かして上げると、パワーも出て燃費も良くなります。ではバイクではどうでしょうか? 同じようにエンジンを積んだ乗り物ですがなにが違うのか説明します。

バイク用オイルはツルツルすりゃ良いってもんじゃないんだ!

バイクも同じようにエンジンで動いています。しかしバイクは構造上滑り過ぎては都合の悪い乗り物です。それはなぜかと言うと、ミッションタイプのバイクのエンジンオイルはエンジンの潤滑とミッションの潤滑も兼ねていて、ミッションにはクラッチを使用しています。
このクラッチはマニュアル免許をお持ちの人ならおわかりいただけると思いますが、プレートが擦り合うことによってエンジンのパワーを伝達しているのです。クラッチを手に例えましょう。一人が崖の上、もう一人は崖から落ちそうになっていて、手を握り繋がっているとします。このとき「ファイトー、イッパーツ!」と叫びながら引きずり上げるときに手が滑っては下の人が落ちてしまいますよね? クラッチはこのときの手に例えることができます。クラッチが滑る=バイクが走らないという状況になるので滑るオイルは使用できません。

とは言えエンジンとしては滑ってもらわないと困る

クラッチは滑りたくない、エンジンやミッションは滑りたいとなかなか難しい位置にいるバイクのエンジンオイルです。まるで上層部と部下に板挟みになっている中間管理職のよう、上からは数字で物を言われ部下には現場の事情を言われ、全く大変です。
滑りたいエンジンやミッション、滑りたくないクラッチの絶妙なバランスを保てるのがバイク用オイルとされています。そのオイルの中でもクラッチ寄りなMA、エンジン、ミッション寄りなMBと言うことです。スクータータイプなどはクラッチを使用していないのでMBを指定オイルとしている車種が多い傾向にあります。ミッションバイクだからと言って必ずしもMAを使わなければいけいことはなく、指定オイルがどっちなのかを知っておく必要があるので注意しましょう。

バイク用エンジンオイルをさらに追い詰める事情が

特にミッションタイプのエンジンオイルは厳しい条件であることがわかりました。しかしさらに過酷な条件があります。それは「常用回転数の高さ」です。一般的な自動車の常用回転数は3~4千回転で、どう回しても9千回転あたりが限界となっています。しかしバイクではどうでしょうか。スクータータイプでは7千回転付近、ミッションタイプでは1万回転が常用回転数の車種もあり、最高では2万回転まで回ってしまいます。
オイルとしてはクラッチを滑らせたくない事情を抱えていますが、エンジンは高回転まで回りたいので滑りたくて仕方ありません。とても矛盾している状態です。
これがバイクのエンジンオイルに求められる性能なので、ただ滑っていれば良いだけの自動車用エンジンオイルとは訳が違います。ですので自動車用エンジンオイルにバイクのエンジンを任せられるません。そもそも自動車用エンジンオイルにはそう言った状況は想定されていないので、カバーする能力が与えられていないことになります。

結論

バイクに自動車用オイルを使用できるのか、の結論としては「使用できない」となりました。

バイクに自動車用オイルを使ってみた

とは言え車もバイクも大好きな著者は実際に何度も、何種類ものオイルを試しております。

もしも試すときは自己責任で!

結論は使用できないとなりましたが、インターネット上には実際に使用した方のたくさんの報告例があります。例えば「〇〇というバイクに自動車用エンジンオイルの〇〇を使用しました。結果普通に走りました。」のような報告では少し、というか報告にしては情報が不足しています。エンジン物においてエンジンが故障すると乗り換えになってしまいますし、どこで故障するかにもよるので百聞は一見にしかず、実際にやってみましたが、結果はさまざまです。
プロのような構造などを理解している人ではないと少し厳しい一面がある実験であることを前提にしないとエンジンにダメージを与えていても気が付かないのがオチだと思います。全く相性の悪いオイルだとギアチェンジができなかったりクラッチが滑ったりしますが、それほどハッキリだめだとわかる症状なら良いのですが、中にはオイル交換時に初めて気が付くようなオイルもありました。
それは廃油と一緒に出てくる「鉄粉」です。通常では考えられないような鉄粉の量が出てきたことがあります。スクーターに試したので異常があっても気が付かないわけです。やはり常用回転数の違いや使用オイル量の違いなどがあったのだと思います。詳しくどこにどのような影響があったかまでは調べていませんが、自動車用エンジンオイルを使用したときは鉄粉の量の確認もしておきましょう。
非常に重要なことなので覚えておいてくださいね!

試してみてわかったバイク用オイルの有能ぶり

ミッションバイクやスクーターに自動車用エンジンオイルを試して失敗も経験しました。走行距離や走行環境も色々試し、交換時に指で触って感触を確かめたり臭いや変色具合など、趣味の範囲ですが研究してみましたが、結論としてはバイクにはバイク用オイルがコストパフォーマンスが良いと言えます。
バイク用エンジンオイルであればメーカー指定の物で十分です。リッター3,000円前後のレース用オイルも良いかもしれませんが、メーカー品が意外と高品質であるようなことがわかりました。異論もあると思いますが、気になる人は自己責任でお試しください。
オイル交換時の劣化具合が非常に重要なポイントとなりますよ! しっかり観察してみてください。

実は自動車とバイク、兼用できるオイルがある!

DIY派は必見です!

高級オイルは兼用可能

いつもDIYで自動車とバイクのオイル交換をされている人は、オイルが二種類になって面倒だと感じていませんか? 全合成油であれば兼用可能なオイルも多いです。その代わり高価なオイルが前提となりますが…。

ワコーズ TR-50 トリプルアール 15W50 レーシングスペックエンジンオイル E290 1L E290 [HTRC3]

¥2,350

ワコーズ(WAKO'S)トリプルアール 15W-50 1リットル TR-50 E290は、新世代ベースオイル技術である3Dテクノロジーにより開発された4サイクルエンジンオイルです。
[容量] 1リットル
[SAE 粘度グレード] 15W-50
[JASOグレード]MA
[適応] 高性能2輪車や4輪ターボ車を含め、すべてのガソリンエンジン車 ※2サイクルエンジンには、使用できません。
■元来、レスポンス性能と耐熱ダレ性能は相反する性能とされてきましたが、3Dテクノロジーにより、すぐれたレスポンス性能を維持しながら、極めて高い耐熱ダレ性能を達成することが出来ました。
1. 3Dテクノロジーにより、低速から高速まで優れたレスポンスと安定した走行性能を実現します。
2. 空冷エンジンから最新の水冷エンジンまで幅広い車種に対応します。
3. 熱負荷の高い環境下でも熱ダレを防止し、安定した油圧を維持します。

販売サイトへ

NUTEC(ニューテック) エンジンオイル ESTER RACING NC-50 10w50

¥2,573

NC41(10W50)をベースに、ベースオイルのフォーミュレーションを工夫しNC41の性能を維持しながら、よりご使用いただき易い価格を実現させたエンジンオイルです。エステル成分や、潤滑性、耐熱性、高温安定性等を確保する為の高機能素材はNC-41と同等の配合率です。ターボ車両、大排気量車、4スト大排気量モーターサイクル等の サーキット走行やハイスピード走行に最適のオイルです。

使用上の注意
※使用方法、適合等は必ずメーカーHPにて確認ください。http://nutec.jp/

販売サイトへ

上記の二種類のオイルは併用できる高性能エンジンオイルです。ワコーズトリプルアールはJASO規格でのグレード表記がされています。実際に多くのバイクや車に使用されているコストパフォーマンスに優れた信頼のあるオイルです。

まとめ

いかがでしたか? 自動車用エンジンオイルとバイク用エンジンオイルの違いはご理解いただけましたか? 一つだけ言える確かなことは、安い自動車用エンジンオイルはバイクに使ってはいけないことです。叙用回転数の差と、高回転に対応していないことからエンジンへのダメージが大きい傾向にあります。例え原付スクーターであってもよほどゆっくり走らない限りは向いていないことが分かったので使用は控えましょう。
ただこれから車やバイクの勉強をしたい人には良い材料だと思います。オイルによる違いをバイクではシビアに体感することができるので、失敗をしても良いぐらいの気持ちがあるなら試してみてください。何事も経験あるのみです!
最後までご覧いただきましてありがとうございました!