【トヨタターセル】ヴィッツへと続くスモールハッチの系譜

同世代の人でしたら、“タコカニ”と言えばわかってもらえると思います。海鮮の話じゃないですよ。なんのことかと言うと、かつてトヨタからターセル・コルサ・カローラIIという3姉妹車輌がリリースされていたんです。それぞれの頭の文字をとって、最後に“II”を“ニ”と読み替えて“タコカニ”です。そんな3姉妹のうちの1人、ターセルのことを思い出してみましょう。

ターセル誕生

出典:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%88%E3%83%A8%E3%82%BF%E3%83%BB%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%82%BB%E3%83%AB

ターセルは、1978年(昭和53年)にトヨタ初のFF車として誕生しました。姉妹車種としてコルサがあり、ターセルがカローラ店(カローラIIは2代目から登場)とディーゼル店、コルサがトヨペット店の扱いでした。日本国外にも“ターセル”の名称で輸出されていた実績があります。初代と2代目はFF車ではあるもののエンジンを縦置きに搭載するという欧州に見られる初期のFFと同様の方式をとっていました。エンジンの後方に置かれたトランスミッションからの駆動力は、トランスミッションハウジングに内蔵されたプロペラシャフトで車体前方へ反転して送られ、エンジンとトランスミッションの間、クラッチの下にあるデファレンシャルギアに伝えられて前輪を駆動します。
縦置きエンジンにした理由は、エンジンの整備性が向上すること、既存のオートマチックトランスミッション搭載に有利なこと、ドライブシャフトの長さが左右で違うことで生じるトルクステアの軽減などが挙げられます。FR車に慣れた従来からのトヨタ車の顧客に違和感を与えないようにする事も、このレイアウトを採った重要な理由の一つだと言われています。反面、エンジンとデフが上下に重なった“2階建て構造”になったしわ寄せが車体デザインにも影響して、ボンネット上面から側面のベルトラインが比較的高いプロポーションになってしまいました。室内では前席中央足元にトランスミッションが張り出しますが、前後方向の室内寸法を大きく取ることで競合する横置きエンジンのホンダ・シビックや日産・パルサーに対抗しています。さらにリアのホイールハウスをラゲッジへ追いやったため、4mを切る全長ながら2,500mmものホイールベースになりました。
海外では、安価な上にボディサイズのわりに広大な室内空間が評価されて人気がありましたが、日本国内での販売は今ひとつでした。

2代目は角張って

出典:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%88%E3%83%A8%E3%82%BF%E3%83%BB%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%82%BB%E3%83%AB

1982年5月、当時流行の角張ったデザインに生まれ変わりました。ボディタイプは4ドアセダンと3ドア/5ドアハッチバックです。エンジンは未だ縦置きを継承していました。ホイールベースは、取り回し・小回り特性を考慮して70mmも短くなっています。
カローラIIはこの2代目からラインナップに加わりました。カローラ店向けのカローラIIが追加されたことで、ターセルはビスタ店の専売となりました。沖縄県にはビスタ店がなかったので、トヨタオート沖縄(現ネッツトヨタ沖縄)が販売していました。
ターセル‣コルサ・カローラⅡ、それぞれ基本構造・仕様は全く同じです。但しこの2代目からは、それぞれのグレード呼称に明確な差別化ができました。ターセルは、VC/VL/VLキューティ/VS/VEの5グレードで、最上級グレードの“1500VE”にはデジタルメーターが採用されていました(タコメーターのみアナログ式)。

3代目は横置きFF

出典:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%88%E3%83%A8%E3%82%BF%E3%83%BB%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%82%BB%E3%83%AB

1986年5月大幅なモデルチェンジを受けます。ようやく横置きレイアウトのFFになりました。ボディタイプは3ドア/5ドアハッチバックですが、2代目の4ドアセダンがマイナーチェンジして継続販売されました。北米向けに限り2ドアクーペもありました。この2ドアクーペはのちにサイノス(現地名・パセオ)として継承されます。
2代目からのスポーツグレードは継承され、専用のリトラクタブルヘッドライト仕様のその名も“リトラVS-i”になりました。ホイールベースは、2代目と比較して更に50mmも短くなった事で小回りの特性が向上しています。

出典:http://www.goo-net.com/catalog/TOYOTA/TERCEL/1008207/index.html

ターセル・リトラVS-i

4代目はセダンが売りに

出典:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%88%E3%83%A8%E3%82%BF%E3%83%BB%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%82%BB%E3%83%AB

1990年9月にデビューした4代目です。発表時のキャッチコピーは、“ターセルゲームだ、オールマイティセダン”。ボディタイプは3ドアハッチバックと4ドアセダンで、4ドアセダンは2代目以来の刷新になりました。代わりに5ドアハッチバックがなくなりました。3ドアリトラ“1.5GPターボ”は廃止され、全グレードのエンジンがDOHC16バルブ(ハイメカツインカム)・EFI化されています。月光仮面のCMでした。

最終章 5代目

出典:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%88%E3%83%A8%E3%82%BF%E3%83%BB%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%82%BB%E3%83%AB

1994年9月にデビューした5代目です。キャッチコピーは"ちょうど小さい新ターセル"。ボディタイプは3ドアハッチバックと4ドアセダンです。コストダウンを目的に、基本コンポーネントは先代からのキャリーオーバーでした。先代より直線的でなおかつ合理的なスタイリングを採用しています。当初はフルラップ衝突対応の衝突安全ボディ"CIAS"が採用されていましたが、1996年の一部改良から最新基準となるオフセット衝突対応の衝突安全ボディ"GOA"を採用しました。
前期モデルのCMは吉川ひなのさん、後期は太田裕美さんでした。

最後にまとめ

1999年(平成11年)7月、ハッチバックはスターレットと統合されて後継車のヴィッツにバトンタッチ。セダンはプラッツの生産へと移行して、ターセルの幕を閉じたのでした。2代目に友人が乗っていましたので、書きながらあの頃を思い出してしまいました。販売チャネルがたくさんあり、バッジ違いの兄弟姉妹がたくさんあった時代ですね。