【スズキ キャラ】マツダAZ-1譲りの名車はスズキにあり!キャラが持つ魅力&愛すべき欠点紹介

「華のABCトリオ」として1990年代を沸かした中の1つマツダ「AZ-1」現在でも愛好者がいるこちらの名車、実は他にもOEMを行い販売していたメーカーがあったのです。それが「スズキ」であり、販売してた時の車名は「キャラ」になります。ではキャラがどのような車だったのか? 本日いくつかの項目に分けて紹介していきます。

マツダ「AZ-1」とそっくり!スズキのキャラはどんな車?

1992年、マツダでは今でも語り継がれる名車「AZ-1」が華々しくデビューしました。写真を見ても分かるように特徴的な「ガルウィング」いかにも「スポーツカーです!」と感じさせるデザイン性。この特徴的なデザインは今のマツダでは到底行わないでしょう(と言うよりも、当時のマツダの開発・設計部門がある意味情熱的だったため一般では考えられない方向に考え生み出したのかもしれません)当時はマツダ「AZ-1」ホンダ「ビート」スズキ「カプチーノ」と言うように「華のABCトリオ」と呼ばれる有名だったんですよ!

そんな中、1993年にスズキからAZ-1のOEMを受けてある車が登場しました。それが今回紹介する「キャラ」です。マツダより1年遅れて登場したキャラの車情報は下記のようになります。

・全長:3,295mm
・全幅:1,395mm
・全高:1,150mm
・ホイールベース:2,235mm
・車両重量:720kg

・エンジン:F6A型 657cc 直3 DOHCターボ
・最高出力:64PS/6,500rpm
・最大トルク:8.7kgf·m/4,000rpm
・変速機:5速MT
・駆動方式:MR

以上のようにマツダAZ-1のOEMですので、特に変わり映えするところはありません。しかし、スズキは1991年に「カプチーノ」を販売しています。特に販売する理由は無かったように感じますが、なぜ販売に踏み切ったのでしょうか?

スズキはなぜAZ-1のOEM車「キャラ」を販売したの?

先ほども申し上げたように、スズキは既に名車と言われる軽FRスポーツカー「カプチーノ」を販売していました。ではなぜ「キャラ」まで販売していたのでしょうか? 「これだ!」と言う理由が見当たりませんので、ここからはあくまでも私の考えを書いていきます。

まずAZ-1自体がスズキのパーツを大量に扱っていたことです。
AZ-1全てをマツダが一から製造した訳ではありません。と言うのも当時のマツダにはスポーツカーを製造するノウハウはありましたが「軽スポーツ」を製造する技術が欠けていました。とは言え、一から研究・開発をするのも時間とお金がかかりますので「それだったら軽スポーツの強いスズキから提供してもらえばいいか!」と考えたかは定かではありませんが、スズキから多くのパーツを供給されることになりました。エンジンはカプチーノと同様の「直3 DOHCターボ F6A型エンジン」パワートレーンはアルトワークスと共用になります。となると、大事な部分は殆どスズキで生産しているようなものですので自社で簡単に製造ができるわけです。「それだったらOEM受けて販売するか!」と思うのも分かります。

次に当時の時代背景があると思います。
1990年代初頭はバブル崩壊前(バブル崩壊の年代には諸説あります)であり、多くの企業は「いけいけ!」と言うような状況でした。その状況が良く分かるのが「マツダ」と「ホンダ」です。マツダは「トヨタに負けるな!」と言って何を考えたのか販売チャンネルをトヨタに迫る「5チャンネル」にしたのです。結果はご存知の通り「縮小」「一部店舗への吸収」「他社の乗っ取り」等で現在では3チャンネルに縮小しました。

ホンダでは伝説の軽自動車「トゥディ」伝説のホンダスポーツカー「CR-X」等のように、現在のホンダの「大衆向け」とは全く異なる「自分達が好きな車をどんどん製造しよう!」と言うある意味情熱的な開発・設計部門の方々で埋め尽くされ名車や迷車が多数誕生した時期でもあります。

かく言うスズキも同様に、他のメーカーに負けないほど販売促進を狙っており「カプチーノはFR、キャラはMRだから差別化も図れているし売れるだろう」と考えたのでしょう。そのように考えた結果、カプチーノ・キャラの軽スポーツ2枚看板になったかと思います。

マツダAZ-1・スズキキャラはどこが違うの?

マツダAZ-1のOEM車としてやってきた「キャラ」ではこの2台、どこが違うのでしょうか? 違うポイントとして3つほどあります。

1つ目がロゴです。これは当たり前のことですが、AZ-1の車体をそのまま販売すると「スズキがマツダのAZ-1を販売している」と思われます。そのため「マツダ」のロゴを「スズキ」に入れ替えて販売を行ったのです。2つ目は寒冷地向けの車両が無いことです。マツダのAZ-1は寒冷地のために「寒冷地用」に改良したAZ-1を販売していました。しかしスズキのキャラは寒冷地向けは販売されず、寒冷地でスムーズに走行できるキャラはなかったのです。

そして3つ目がフォグランプにあります。スズキのキャラはオプションでなくてもフォグランプをフロントバンパーに組み込まれています。そして車内にはフォグランプのスイッチも標準装備なのです。そのためAZ-1よりも若干価格が高くなったと言うのが残念です。

スズキのキャラは魅力がいっぱい!代表的な魅力紹介

特徴的なガルウィング

マツダAZ-1同様、スズキのキャラも「ガルウィング」が特徴的な車です。2本のエアダンパーに支えられたドアが横ではなく上に開きます。映画のバックトゥザフューチャーで使用された「デロリアン」のようなドアに、当時の車好きは心を昂らせたと思います。開放的なドアから出れば、一般車両とは違った雰囲気に一種の優越感を感じることでしょう。とは言え、マツダ・スズキ共にAZ-1を以降はガルウィングの車を販売することはありませんでした。残念ながら今ではなかなか見られないガルウィング。もし見かけたら貴方はラッキーですよ!

軽量ボディと鋭いハンドル性能

スズキのキャラは当時「華のABCトリオ」の中でも軽いボディを持っていました。ちなみに下記がABCトリオの車重になります。

●ビート 車両重量:760kg
●カプチーノ 車両重量:700kg
●AZ-1(キャラ) 車両重量:720kg

上記を見ますと、同社で販売されているカプチーノよりも重さはあるものの現在の軽自動車と比較すれば約100kg程軽い車体の持ち主です! 車は軽ければ軽いほど「加速性能」「コーナーへの侵入」「燃費」と言った部分で優位に立つことができます。「SUPER GT」「F1」と言ったレースでも「軽く!」「軽く!」と言ったようにレーサーの体重まで気になるほど車重が敵になるのです。

その上、キャラのロックトゥロックは「2.2回転」に設定されているため機敏なハンドリングを楽しむことができるのです。スズキの「直3 DOHCターボ F6A型エンジン」に軽量ボディ。そして鋭いハンドリングでコーナーの多い道や峠道では他のマシンを食ってしまうほどのパフォーマンスを発揮してくれるでしょう!

マツダ・スズキ共に始めての「MR」

一般的な「FF」「FR」は写真のようにエンジンが車の「前」に置かれています。しかしスズキのキャラは、エンジンを車の後方に置いた「MR」になっています。このMRのメリットは、車の中でも重量のあるエンジンを後方に置くことにより車体前後のバランスが保たれるのです。つまり車にとって車重バランスを整える時、一番理想的な位置なのです。そのため車重バランスの悪さで車本来の動きが無くなることもなく、車が持つ本当のパフォーマンスで運転できるのです。

しかしガルウィング同様、マツダ・スズキ共にMRの生産を終了しています。現在も販売はされていませんのでマツダ・スズキ両方共、こちらが最後のMR車になったのです。

これぞスポーツカー!と思えるほど低い車高

スポーツカーと言えば素晴らしいデザインに走る楽しさ等ありますが「車高の低さ」もスポーツカーならではです。もしコンパクトカーやSUV等に慣れている方がスポーツカーに乗りますと「前が見えない!」「車高が低すぎて怖い…」と感じるでしょう。ですがキャラは現在のスポーツカーよりも低い車高の持ち主です。まるで地面に腰を据えて運転しているかのように低い車高であり、それを物語るように座ったまま地面を触れるほどです。

そしてより車高が低く感じる装備が「バケットシート」です。標準装備のバケットシートは運転手をより安全に、快適に運転させるために体がすっぽりと入ります。そうすると余計に運転をしている際の車高が低くなると言うわけです。とは言え、この車高の低さはスポーツカーならではです。もし現在の人が乗られると「えっ?」と感じるほどの車高の低さに驚きを隠せないでしょう。

AZ-1に引けを取りません!スズキのキャラに発生する多大な欠点とは?

スズキのキャラにはAZ-1とほぼ同じ車ですので、AZ-1同様の多大な欠点が襲いました。当初は「こんな欠陥車に乗れるか!」と感じている方もいますが、次第にその欠点に愛着が湧き始め「キャラだから仕方ない」「AZ-1に乗っているんだからこれを愛せないと乗れない!」と言った愛好者が続々と増えていったのです。では愛好者を続々と増やしていった多大な欠点とは何か? 1つ1つ紹介していきます。

車内空間に難がある車

通常、車を運転していますと家族であれば写真のように皆笑顔になります。そして2人乗りであってもそれは変わらないでしょう。しかしスズキのキャラは写真のように笑顔で乗る車ではありません。

まず車高が問題になります。
キャラは「全高:1,150mm」と言う今では考えられないほど低い車高の持ち主です。160cm~170cmあたりの身長であればまだ快適、または少し窮屈ぐらいですみます。問題は175cm以上の方です。まるで箱に閉じ込められているかのような窮屈さを感じますので笑顔で乗車できるわけがありません。その上、なぜか運転席よりも助手席の方が狭い(これはエンジン配置の関係上、助手席が狭くなっています)構造になっています。結果、身長が高い方にとって見ればまるで拷問のように感じる車内なのです。

次に現在のような便利機能が車内に全く付いていないことです。
カーナビ・CDプレーヤー・電動ロックと言った便利機能は全く無く、その上「ABS」や「エアバック」もありません。もちろんガルウィングのため窓なんて開くわけがありません。また現在の車のように車内空間各所に収納スペースがありますがそんなものもありません。唯一エアコンは付いているものの、車体を見れば一目瞭然。角ばっている・全面フルガラス(夏場は強い太陽光で地獄になります)ですので車内でのエアコンはそこまで利きが良くありません。

このように車内空間に難があるため、乗り手を選んでしまうのです。

車重バランス・軽規格の問題

スズキのキャラは特徴的な見た目であっても、しっかりと当時の「軽自動車規格」に則り製造された車です。「それなら安心だ!」と思いがちですが、その考えは少し待った方が良いでしょう。と言うのも軽規格に則ったために「車高は低いが重心が高い」と言う異質な車が完成したのです。法定速度であれば問題なく運転でき、70km/hまでは問題ないでしょう。問題はそれ以上の速度です。重心が高く設定されているため徐々に設置面が無くなっていき、100km/hを超える頃には「浮いてる?」と感じる程です。その際に急なハンドリングを行えば簡単に転倒します。

「でも車重バランスが良いから簡単に横転しないのでは?」と思いがちですが、実はそうでもないのです。と言うのもAZ-1のスペアタイヤがフロントに積まれているのですが、衝突するとステアリングを押し出される危険性が発見されました。そのため急遽運転席後ろのラゲッジスペースに搭載しましたが、これによって「前44」「後56」と言う残念な車重配分になったのです。

これはスズキのキャラでも同様ですので、キャラを所有するなら安全運転を心がけましょうね!

会話も難しいほどのエンジン音が車内に響き渡る

普通車やエコカーを運転されている方でしたら、車内へ入り込むエンジン音に「うるさいな…」と感じることは少ないでしょう。ですがそんな一般常識が通じないのがAZ-1・キャラなのです。実はエンジン配置の問題で先ほど解説したように車内空間の後方に組み込まれているのです。そのためけたたましいエンジン音が車内に入り込み、法定速度程度であればまだ大丈夫ですが60km/hを超えた辺りからラジオの音や車内の会話が聞こえなくなるのです。

最後に

最後になりますが、スズキから販売されていたキャラは特に大きなマイナーチェンジを行うことなく、AZ-1よりも1年早い1994年に生産を終了し1995年に販売を終了しました。やはりスズキには「カプチーノ」の印象が強かったこともあってか販売台数も1,000台に届きませんでした。とは言え、スズキ初のMRであり特徴的な外観は捨てがたいものです。できるのであれば、ガルウィングはできなくても「MR」の車をもう一度製造して欲しいものです!