【フェラーリ FF】フェラーリ初のハイパフォーマンス4WD

フェラーリ社の特許取得「4RMシステム」を搭載した、シューティングブレークでスーパースポーツのポテンシャルを持ったモデルです。次世代4WDモデルの指標となる「FF」の魅力に迫ってみたいと思います。

フェラーリ初の四輪駆動「FF」

2011年1月に「フェラーリ社」初の四輪駆動、しかもシューティングブレーク(ステーションワゴン)モデルとして発表されました。「FF」の名称は、「フェラーリ・フォー」で4輪駆動の「4」とドライバーとパッセンジャーを快適に包み込む室内空間を備えた4シーターの「4」を指しています。従来の「GTスポーツ・カー・コンセプト」を覆した4シーター・モデルです。

「シューティングブレーク」デザイン

デザインは「ピニンファリーナ社」が担当しました。「612スカリエッティ」とほぼ共通するボディサイズで「612スカリエッティ」に取って代わるモデルです。
シミュレーションと風洞実験によって車輌の外部、内部の空気の流れを最適化し、「FF」の動力・駆動系を可能な限り効率的に冷却しつつ、最先端の低抗力、高ダウンフォースの数値を実現しています。
空気抵抗値のCD値(0.329)とダウンフォース効率を示すCL値(0.200)の比率0.608というこのクラスの車輌では最高の数値データを記録しています。

リアテール横のエア・ベントはホイールアーチ周辺の風圧を低減し、ベースブリード効果によって乱流の発生を制御しています。
またバンパーの2つの空気排出口は車輌側面に沿った空気の流れを分割して乱流のサイズと減圧を最小限に抑える働きをしています。
リアディフューザーはアンダーボディを流れる空気の排出を最適化しますが、ここには3つの経路と2つの新機構が設けられています。ひとつはエアロフォイルと呼ばれるフィンで、センター・チャネルに設けた微細なカーブが車体後部からの空気の排出量を増大させ、ダウンフォース量を増加させています。

アルミ製シャシーフレーム

シャシーは基本的にはスペースフレーム構造で、素材はアルミニウムを採用しています。
異なる合金を適所に採用することでパーツのメリットを最大限に生かし、性能と重量の改善を図っています。ボディ・シャシーの剛性向上と軽量化のために中空キャストによる接合法も導入しています。
結果として「FF」のシャシーは、前フェラーリモデルのシャシーと比較して10%軽く、ねじり剛性は6%も向上しています。

開放的なインテリア

注目できる点としてトランク容量が、450Lの大容量です。しかもこれは通常の状態で、左右個別に折りたたむことが可能な2つのリア・シートを倒すと800Lまで拡大するという機能性を備えています。またフロント・シートは195cm以上の身長高い乗員にも対応し、リア・シートも身長185cmの方まで対応します。フロント・シートは電動式で、サイドおよび腰部のコントロールによってドライビング・ポジションをセットすることができ、このセッティングは記憶されます。また3段階の温度調整が可能なシート・ヒーターに加えてベンチレーションも備えています。

助手席もドライビングを確認できる

フロントの助手席には、オプション設定のエモーション・ディスプレイ・スクリーンが備わっています。インストゥルメントパネルのように、このスクリーンで表示される速度やエンジン回転数、使用中のギア、目的地までの時間や距離、平均スピード、それまでに記録した最高速度、選択中のマネッティーノ・セッティングなどの情報を知ることができます。

ドライビングに集中できるステアリング

ステアリング・ホイールには、シチュエーションに合わせて 5 つの走行モードを選択できるマネッティーノ、エンジンスタート・ボタン、インジケーター、2つのF1パドル(アップとダウン)、マネッティーノの設定に関係なく荒れた路面に合わせてダンパー設定を柔らかく調整するためのサスペンション・デカプリング・ボタン、ワイパー・コントロールが配置されています。

マシンの状態をモニターで確認

インパネには、高解像度の5インチ・ディスプレイが2つセットされています。また中央にはギア・インジケーターと合わせて伝統的なレブ・カウンターが配されています。
左のディスプレイには主要な車輌状況を示すデータが、マネッティーノのセッティングによる制御の様子を示すVDA(ビークルダイナミック・アシスタンス)のアウトプットとともに表示されます。あわせてトリップ・コンピュータとパーキング・センサー情報もここに表示されます。
右のディスプレイはタキ・メーター(アナログとデジタルを選択可)、メインのインフォテインメント・データ、そしてフロントとリアのパーキング・モニターが表示されます。
ステアリング・ホイール左にはインストゥルメントパネルを操作するためのポッドがあります。
センター・コンソールにはF1パネルとダイナミック・コントロールがあり、どのような状況でもホイール・スピンすることなく最大限のトルクを送ってスタートを実現するためのローンチ・コントロール・ボタンや、リバース・ギア、それにミッションをオートマチックで制御するオート・スイッチがあります。

「GTマネッティーノ」

「FF」の走行は、F1からフィードバックしたステアリング・ホイール・マウントの進化版GTマネッティーノによって制御されています。
5段階のセッティングが可能で「ESC OFF」モードは、すべての「トラクション/スタビリティー・コントロール」をカットします。「ハイ・グリップ路面」でのスポーツドライビングは「SPORT」モード、スタビリティと快適なハンドリングを重視する場合は「COMFORT」、「WET」と「ICE–SNOW」モードは、路面グリップが低いコンディションで安定性能とハンドリング性能が得られるセッティングになっています。

特許取得「4RM」システム

「4RM」は、車輌が発生するトルクを4つのタイヤに伝達する「フェラーリ社」の新特許システムです。縦置きエンジン前方にセットされたパワートランスファーユニットからドライブシャフトを介して、後輪のトランスミッションと「E-Diff」を組み合わせたトランスアクスルユニットに繋げたシステムです。
パワートランスファーユニットは、ミッションが1-4速に入っているとき軸トルクの最大20%を前輪に伝達する仕組みになっています。

基本FRの4WDシステム

「4RM」は、ドライブ・シャフトを介してリアのトランスアクスルを駆動するという伝統的なフロント・ミッドシップ・エンジン車輌のレイアウトです。
またフロントアクスル上に配置された「PTU パワートランスファー・ユニット(動力伝達装置)」が、常に最適なエンジン・パワーをフロントアクスルに伝達するようになっています。
FR駆動のような形でトルク配分する4WDシステムといえます。

パフォーマンスの向上

基本的にフロントへのトルク配分を制御、必要に応じて左右への分配も制御する「4RM」は「PTU」へはギアボックス・レシオのシステムを介して、直接クランクシャフトから出力とトルクが送られています。
「PTU」のメリットは、軽量、コンパクトで全長170mmです。
「4RM」 システムの重量は、従来の4輪駆動システムと比較して50%の軽量化が図られており、パワーウェイトレシオに大きく貢献しています。
また低重心で「フェラーリ社」の特徴でもある重量配分(フロント・エンジン車輌であるにも関わらず 50%以上をリアアクスルに配分)を実現し、前後47:53の重量比となっています。

シフトチェンジの短縮化

ギアとクラッチ制御システムは、「F1デュアルクラッチ・ギアボックス」と共に「PTU」に統合することで、ギア・シフト・タイム短縮とシステムの応答速度の改善を図っています。
「F1デュアルクラッチ・ギアボックス」は、シーケンシャル・ギアボックスとオートマチックの快適さを合わせ持っています。ギア・シフトに要するタイムロスはゼロとなり、マニュアル・ギアボックスや電子制御式ギアボックスなどで発生する加速時のギャップは完全に排除されています。
また「E-Diff」は、ギアボックスケーシング内に装備され、車輌の重量低減に寄与しています。

サスペンションシステム

「フェラーリ社」の「磁性流体サスペンション・システム(SCM3)」は、ダンパー内で電子的に発生させた磁気の変化によってダンパーの粘度をコントロールするシステムです。
制御のためのソフトウェアが「1,000分の1秒」単位で磁場の強さを調整します。
また「SCM3」は、従来のショックアブソーバーと比べて5倍の速さでダンパーが機能します。
また新設計されたサスペンション・システムは、フロントに伝統的なダブルウィッシュボーン(ロワはL アーム)、リアにはマルチリンク・システムを採用しています。
横方向および縦方向の剛性を20%向上させ、反応速度を20%高めています。
上下方向の柔軟性は3倍に高められ、バンプでの優れた減衰と突き上げの低減を実現しました。

ブレーキシステム

「FF」の「ABS/EBD(アンチロック・ブレーキ システム)」は、 4輪それぞれを個別に制御します。
「ESC(電子式スタビリティー・コントロール)」もブレーキング中には4輪を個別に制御します。
「Pre-Fill ロジック」は、ドライバーがアクセルペダルから足を離すと同時にキャリパー内のピストンを作動させ、ブレーキの応答性能を高め、停止距離を短縮すると同時にタッチ・フィールも向上させています。これによってブレーキの引きずりを低減させ燃費も向上しています。
また「ブレンボ製」カーボン・セラミック素材(CCM)搭載していますが、新素材をパッドに採用することにより、ブレーキディスクを10%小径化することができました。
ブレーキ・パッドは従来型と比較して8倍長持ちします。

燃費の向上


「ストップ & ゴー・システム」は、短時間の停止でもエンジンを切り、230ミリ秒で始動します。
「HELE」(ハイ・エモーション/ロー・エミッション)、「インテリジェント・エンジン・ファン・コントロール」、「コンスタント燃料ポンプ容量コントロール」、「電子式エア・コンディショニング・コンプレッサー容量制御」などによって、燃費は100kmあたり15.4リッター、 CO2排出量は360g/kmとなり、従来のV型12気筒を搭載するフェラーリと比べて25%も向上しています。

660PSのパワーユニット

「フェラーリ FF」のフロントボンネットに搭載されるパワーユニットは、排気量 6,262cc V型12気筒 DOHC 48バルブ 直噴エンジンです。
市販モデルで最大排気量、最大出力を発生しています。
最大出力660PS/8,000 rpm、最大トルク69.6kgm/6,000rpmを発生します。
1リッターあたり105PSを発揮し、パワーウェイトレシオは、2.7kg/PSです。
また1,000rpmから8,000rpmの幅広い回転域で51.0kgmを発揮し、ほとんど全回転域で十分なトルクを発生しています。

ポテンシャル

「FF」は非常に高い性能を発揮します。
最高速度は、335km/hに達し、加速性能は、0-100km/h加速が3.7秒、0-200km/h加速は11秒です。
制動性能は、100-0km/h:35mです。
パワーウェイトレシオは、2,7kg/PSのポテンシャルを発生しています。

「フェラーリ FF」主要諸元

エンジン:6,262cc V型12気筒 DOHC 48バルブ 直噴
圧縮比:12.3:1
最高出力:660PS/8,000 rpm
最高トルク:69.6kgm/6,000rpm
1Lあたりのパワー:105PS/1L
最高回転数:8,000rpm
トランスミッション:7AT(F1デュアルクラッチ)
駆動方式:4WD(4RM)
サスペンション:F ダブルウィッシュボーン R マルチリンク
ブレーキ:F/R カーボンセラミックディスク(CCM)
全長:4,907mm
全幅:1,953mm
全高:1,379mm
ホイールベース:2,990mm
トレッド:F 1,676mm R 1,660mm
車輌重量配分:F/R 47:53
パワーウェイトレシオ:2,7kg/PS
最高速度:335km/h
0-100km/h加速:3.7秒
0-200km/h加速:11秒
100-0km/h:35m

まとめ

「フェラーリ FF」は、フェラーリ社の初の4WDで特許取得「4RMシステム」を搭載した、ステーションワゴン(シューティングブレーク)です。その性能は、ワゴンでありながらスーパースポーツのポテンシャルを持ったモデルです。次世代4WDモデルの指標となるモデルです。