知っておきたい!エンジンオーバーホールについて

車好きな方ならエンジンオーバーホールとういう言葉は一度でも耳にしたことがあると思います。しかしその内容についてしっかり把握されている方は少ないと思います。今回はそんなエンジンオーバーホールについてわかりやすさを重視して掘り下げていきますのでどうぞ最後までお付き合いください。

オーバーホールについてどこまでご存知ですか?

オーバーホールは略して『OH』や『O/H』と書くことがあります。全て同じ表現です。

エンジンオーバーホールという言葉はどこでお聞きしましたか? 車好きな方ならチューニングショップで提案されたり、長い間お使いの車をリフレッシュするためにディーラーさんに提案されたりとさまざまだと思います。中には器用な方ならご自身でやってしまおうと計画を立てている方もいらっしゃると思います。
しかしどこからどこまでがオーバーホールなのか、オーバーホールで得られる効果は何なのかとご存知ない方も多いと思います。今回は細かい難しい話は抜きにして、かんたんにご説明します。さらに門外不出の裏話もこっそり交えてご紹介します!

オーバーホールとは何か?

どのように説明されましたか?

みなさん何となーくはご存知だと思います。エンジンをバラバラにして部品を取り換えるということ。エンジンが壊れたときやヘタりが目立ったエンジンの車をお乗りの時にショップやディーラーさんからなぜオーバーホールが必要か、説明を受けたと思います。その時の作業内容はどのような内容でしたか?

エンジンオーバーホールに定義はない!

実は、エンジンオーバーホールには定義がありません。それを良く知っている方は、少しエンジンを綺麗にして、一度バラした風にしてネットオークションなどに『エンジンオーバーホール済み!』として出品しているのも事実です。
なぜならエンジンをバラしてみないとわからないからです。その弱みに付け込んだがゆえの詐欺まがい行為です。これは悪い例ですが、エンジンオーバーホールには定義がないのであなたのお任せするショップやディーラーがどこまでしてくれるのかをしっかり話し合いましょう! そのときは多少の知識が必要なのですが、今回そのちょっとした知識をつけていただきます。特に大切なことを掻い摘んでご説明差し上げます。

オーバーホールの内容

基本的にオーバーホールは一度エンジンをバラバラにして使えるパーツは使用し、使えないパーツは新調します。しかしこれといったオーバーホールの定義はないのでご注意ください。

汚れを洗浄

バラバラにして汚れを除去する方法です。これも定義があいまいで、全てをバラバラにして洗浄するのか、ある程度までバラして洗浄するのか...。実際のところ、エンジンは汚れるものですし、通常走行している車での汚れであれば放っておいても大丈夫です。
問題は、異常な汚れです。これはエンジンオイル交換のペースが追い付いておらず、異常な汚れが付いて、それが原因でエンジン内部に傷が付くといったことが懸念されます。もし異常な汚れであれば、洗浄してもすでにエンジン内部に傷が入っている可能性があるので、洗浄だけをしても傷は回復することはありません。場合によっては、部品の向きをバラす前と違う向きで組むことによって余計に傷を広げる場合がありますのでエンジンオーバーホールは組手の整備士さんの腕にかかっています。
正直洗浄はオススメしません。デメリットの方が大きすぎます。コストも大変掛かってくるはずなので...。

中古部品、新品部品の組み換え

古い車にお乗りの方で、エンジンのパワー不足が気になってエンジンオーバーホールをされる方も多いはずです。このとき新品部品がなく、程度の良さそうな部品をそのまま組むことがあると思います。特に可動部の話になりますが、これは止めておいた方が良いでしょう。例えばピストンを他の中古部品から持ってきた物をそのまま使うケースです。
ピストンのような可動部分は必ずシリンダーとの間にそのシリンダー特有の使用許容範囲の傷が入っているのですが、それを別のエンジンに組み替えることや、シリンダーの場所を移動させたりすると、どんどん傷を深くしていくだけなので、逆にパワー不足になったり、エンジンオイルが減ったり、更にはエンジンの寿命を著しく短くしてしまうので、オススメしません。もちろん新品部品を組む『だけ』も同じです。
ではどうすれば良いのか? それはピストンで説明しますと、4気筒のエンジンの場合、1気筒目(1番)2気筒目(2番)3気筒目(3番)4気筒目(4番)とあります。これのピストンをシリンダーをしかるべき数値まで研磨し加工します。加工時はバラバラですから、1番のシリンダーには1番のピストンを、2番のシリンダーには2番のピストンをと言う風に元あった場所に元の向きで組み込んでいきます。
これはエンジンの基本です。もちろんピストンリングやそのた諸々の細かい部品も場所と向きを揃えます。
よく趣味で素人の方がそれを無視してエンジンを組み上げておりますが、それが原因でいまいち効果が得られていないのを目の当たりにします。

バルブ摺合せ(すりあわせ)

『エンジンはヘッドが命!』というのがレーシングメカニックの合言葉です。エンジンヘッド中でもバルブという部品はとても重要な部品で、この部品がエンジンとの間に隙間ができてしまうと明らかなパワーダウンを痛感すると思います。
エンジンをバラすとみなさんやりたがる作業で、カンタンなボール盤にキノコのような形のバルブを装着して紙やすりで磨いてピカピカにする方が多く見受けられます。このバルブという部品はエンジンヘッドの弁のような部品で、エンジンヘッドとバルブの形が合わないと隙間ができてそこから圧縮が抜けてしまいパワーが下がるというのがオチです。
よく、エンジンの圧縮比を上げた、と耳にすると思うのですがバルブに隙間があるとその圧縮比が下がってしまいます。
ではどうすればいいのか? それは、精密に数値を測ることのできる計器があり、その数値まで研磨できる研磨機が必要になります。なのでボール盤で紙やすり方式ではその精密な値や形状を求められないので、少し詳しい方ならそういったショップには依頼しないのが現実です。
しかしこのやり方は見た目にピカピカになり作業風景は良いデモンストレーションのようになります。それもお手軽にできるのでショップからすれば良いお金になるのでそういったお店は怪しいので注意しましょう!

エンジンヘッド面研

もしオーバーホールするエンジンがそこそこの走行距離があるなら、これはぜひやっておきたい項目です。エンジンを一度分解し、組みなおしたときにエンジンは走行中の熱によって変形しています。それが原因で、組みなおすと、エンジンの接合部分に隙間ができてトラブルの原因になってしまいます。なので一度バラした場合、接合部分を同じ形に整えるのがこのヘッド面研の狙いです。
これは手で削ったりしても精度が出ないので専用の研磨機と精密測定器が必要です。普通の車屋さんには置いていないような工業用機器なので外注になると思います。

エンジンオーバーホールで知っておきたいコツ

ではどうすればいいのか?

前述では数値が~、精度が~とやけにでてきました。もうお気付きかと思いますが、エンジンをオーバーする上で、大切なことは『元より良くする』ことが目的です。新車時には高いクオリティーでエンジンは組み上げられています。その部品の精度や、大きさ、ボルトの締め具合など、全て理由があり裏付けがあるわけです。それをむやみやたらにオーバーホールの作業員の『多分そんな気がする』レベルで組み換えられてしまうと寿命が縮んだりパワーが下がる=燃費の悪化に繋がります。中には知識がないお客さんと知って、いい加減な作業をしたり、エンジンは組み上げてしまえば中身はわからないのでやっていない作業の部品代や工賃を請求する悪徳ショップも実際に多いです。これは有名ショップでも見受けられます。
ではどうすれば良いのでしょうか?その方法をご紹介します。

ショップのブログを見てみよう!

まずメーカーディーラーさんではブログをやっていることはあまりないのですが、古い車のリフレッシュや趣味性の高い車にお乗りの方なら専門ショップに依頼することになると思います。そんなとき、過去の作業をブログで紹介していると思います。その中で精度が求められる作業を手作業でやっているところは注意した方が良いでしょう。もちろん依頼主がある程度の知識を持ったうえであえてそれを依頼しているなら別ですが...。
ちなみにエンジンではどれくらいの精度が求められるかというと、0.1ミリ単位や0.01ミリ単位です。これをフリーハンドで求めるのはいかに無謀なことかおわかりかと思います。あと形もその単位で形成しなければいけないので性能向上を目的で、特殊なキノコ型のバルブを手作業で紙やすりを使い形成するのは至難のワザですよね...。

内燃機屋さんはご存知ですか?

実は日本には内燃機屋さんというエンジン加工専門の業者さんが存在します。エンジンをオーバーホールするにあたりキーポイントとなる業者さんです。
基本的には車屋さんがエンジンオーバーホールの依頼を受け、エンジンを降ろしバラバラにします。そして研磨や修正をその内燃機屋さんに送り、精密な研磨と精密な測定をしてもらいます。もちろん内燃機屋さんによっては車ごと引き受けてもらえる会社もあるのですが、工賃が高くなる傾向にありますので基本的には車屋さんが窓口になっています。
内燃機屋さんによっては研磨機の精度がイマイチのところや作業員の方の腕がイマイチだったりするので、どこの内燃機屋さんで加工するかも重要になりますが、ショップさんと良く話し合って決めるのも良いと思います。
工賃はだいたいどこでも同じくらいなので、仕上がりが良い所が安心ですね!

エンジンオーバーホールで得られる効果!

ではエンジンオーバーホールで得られる効果はいったいどのようなことがあるのでしょうか? 一つ一つ見ていきましょう。あくまでも知識のある職人が高精度で仕上げた場合の成功例です。制作者の知識や技術で左右します。

寿命が延びる!

エンジンオーバーホールをするうえで大前提なのが寿命です。長く乗りたいけどいつ壊れるか心配だなぁとお思いの方はエンジンオーバーホールをオススメします。

新車の頃のようなフィーリング!

エンジンパワーの低下が気になってエンジンオーバーホールを考えられる方も多いと思います。なぜパワーがダウンするかと言うと、エンジンパーツの消耗により隙間ができたり、傷が深くなり可動部分に抵抗ができていたりすることが考えられます。オーバーホールをすることにより、そういった隙間は正常になり、新車時と同じ条件になるはずです。エンジンのアンチエイジングです。

エンジン音が静かになる!

やはり使い古したエンジンは、隙間や各部の摩耗が懸念されます。エンジンオーバーホールによりこれも正常値になるのでエンジンの音はおのずと静かになります。

燃費が良くなる!

パワーダウン時に比べ、パワーが上がるので、いつものように満足のいく速度まで加速させるとき、いつもよりアクセルを踏まなくなると思います。なので燃費は元通りです!

エンジンをカスタムできる!

どうせバラバラにするのですから、更なるパワーアップパーツを組み込みたいのが車好きの性といったところでしょうか。カムシャフトを高出力傾向なものに変えたり、ピストンを大きなものに変えたり、クランクシャフトをロングストロークに変えたり。さらには圧縮比率も高い物にし、点火タイミングも変えて...。どんどん夢は膨らみます。オリジナルの一台に仕上げるいいチャンスではありますが、お金と相談です。

エンジンオーバーホールはオススメか?

オーバーホールは大変お金が掛かる作業です。安くてもウン十万円単位です。内容によっては中古車が買えてしまうお値段です。さてその車は本当にオーバーホールが必要でしょうか? 特に不具合がないのであればオーバーホールの必要性はありません。車を趣味として楽しんでいる方はもちろんオーバーホールも楽しめますが。
もし経済的にお車を維持したいのであればその必要はないと思います。特に汚れを指摘された場合でもそのままオーバーホールなしで乗り続けても大丈夫だと思います。例えばタクシーであれば50万キロ走ったなんて言うことは当たり前にあります。エンジンはそれだけ頑丈です。数十年同じ車に乗り続け50万キロ走っている一般の方もいらっしゃいます。
エンジンオイルが減る、ラジエター液がエンジン内に混入するといった方にはオススメです。

まとめ

いかがでしたか? エンジンの話は少し複雑で専門用語が出てきましたが、今回ご紹介したのは初歩の初歩です。これだけ知っていれば損はないであろう事柄をまとめてみました。
エンジンは奥が深いのですが、基本的な構造は数十年前から現在まで全く変わっていません。各メーカー同じような造りなので基本だけ押さえていれば車がもっと楽しくなりますよ!