【パワステオイル】交換の仕方を解説します

パワステの構造と機能を理解し、その作動をつかさどるパワステオイルについての必要性をご説明します。パワステオイルの適切な交換の時期や交換方法なども合わせてご紹介します。

パワステの役割

パワステ、パワーステアリングの略称になりますが、ほとんどのクルマには装着されている仕組みです。要は、ステアリングを回す際にアシストしてくれる機能で、パワステが装着されていない場合は、ハンドルを切るだけでもかなりの力が必要になります。
クルマは1.5t近くもあり、このクルマを曲げたり止めたり走らせたりするタイヤは、それなりのグリップがあります。そのため、パワステ無しでハンドル切ってタイヤを曲げようとしても、かなりの抵抗があるのです。
このように重いハンドルのままですと、長時間の運転は難しくなりますし、危険を回避しようとした際には重すぎてハンドルをすぐに切れないということもあります。そのため、最近のクルマには全てパワステが装着されています。
では、このパワステ、どのような構造で機能しているのかをご紹介します。

パワステの基本的な構造

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パワステの部品構成は、ステアリング(ハンドル)、ステアリングコラム、パワーステアリングポンプ、リザーバタンク、ステアリングギアボックス(ラック&ピニオン、バルブボディ、パワーシリンダ)、パワーステアリングフルードによって構成されています。
これらの部品によってクルマは曲がるようになっています。では、実際にクルマが曲がるまでにどのような構造になっているかをご説明します。

①ステアリング(ハンドル)を切る
ハンドルを切るとステアリングコラムを通し、ステアリングシャフトが回転します。このシャフトがステアリングギアボックスに繋がっており、左右の動きに変えてくれます。

②パワステポンプがパワステオイルを押し出す
ハンドルを切った際に、パワステがアシストしてくれるようになっています。このアシストする際に使われているのがパワステオイルになります。油圧によってアシストしており、一定の圧力が必要となります。
これがパワステフルードとも呼ばれている要因で、クルマではオイルは潤滑を目的としている場合に呼ばれ、フルードは圧力によって何かを作動させる際に使われる液体を呼びます。
さて、このパワステオイルですが、ステアリングを切ったら勝手に圧力がかかる訳ではありません。パワステオイルを押し出す、パワステポンプを介してオイルが押し出されています。

③パワステポンプはエンジンで駆動
パワステオイルを押し出す重要な部品であるパワステポンプ。この動力源はエンジンになります。エンジンの駆動をパワステベルトによってポンプへ力が加わり、パワステポンプを駆動しています。そのため、エンジンが停止した状態でハンドルを切ると、ポンプが作動していないためにハンドルは重いです。

④パワステオイルリザーバータンクからポンプを介してステアリングギアボックスへ
パワステオイルは、リザーバータンク内に適した量が入っており、ハンドルを切る際にパワステポンプによってオイルが押し出され、パワステホースを通って適正な圧力をステアリングギアボックスに加えてアシストしています。

このような一連のパワステオイルの流れによって、ハンドルを片手で軽々と切ることができているのです。クルマを運転する上ではとても重要かつ、一番と言ってもいいくらい役に立っているオイルかもしれませんね。このオイルがなかったらきっと多くの方はクルマを運転することを止めてしまうでしょう。

パワステオイル(フルード)の役割

出典:http://blogs.yahoo.co.jp/tomo_asahina/24542685.html

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ここまで紹介したように、パワステオイルの役割はステアリングギアボックスの作動をアシストすることです。ステアリングギアボックスとは、ハンドルを切った際に左右のタイヤを動かす部品と言ったら分かりやすいでしょう。
ステアリングギアボックス内にパワステポンプから送られてきたパワステオイルが圧力をかけることで、ハンドルを楽々と回せるようになっています。
また、パワステオイルはパワステポンプの潤滑及び冷却の役割も担っています。パワステポンプはエンジンによってベルトを介して駆動しており、エンジン回転数に応じてポンプが駆動しています。高速に回転すればそれだけパワステポンプにも負荷がかかり熱を持ちます。
この熱をパワステオイルが潤滑することで冷却しているのです。パワステオイルがなくなると、パワステポンプが焼き付いてしまいます。

パワステオイル(フルード)が劣化すると

出典:http://alhero.sblo.jp/article/35870606.html

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パワステオイルが劣化すると、上記の画像のように黒ずんできます。新品のパワステオイルは透明感があるので、濁って来るとすぐにわかります。このような状態になっても実はパワステの作動にはさほど影響はでてきません。いつも通りに軽々とハンドルを切ることができるでしょう。
しかし、ハンドルを軽々と切れるからといってこのままの状態で放置すると、いずれパワステポンプが壊れる原因となります。「パワステオイルの役割」の項目でもご説明しましたが、パワステオイルにはパワステポンプの潤滑と冷却という役割があります。
濁ったパワステオイルは、本来の粘度や効能を保っていません。その結果、高速で回転するパワステポンプの潤滑をスムーズに行えなくなり、パワステポンプが熱を多く持つようになります。そうなると、徐々にパワステポンプがダメージを受けて、うなり音を上げるようになります。
ハンドルを左右に切った際に「ウィーン」という機械音がでるようになります。このような音がしだしたらもうパワステオイルを交換しても手遅れで、パワステポンプの交換が必要となってしまいます。
このようにならないためにも、パワステオイルが劣化したらすぐに交換するようにしましょう。

パワステオイル(フルード)の交換時期

パワステオイルは、ほとんどのメーカーで交換推奨時期は明記されていません。基本的には10万kmくらいまで交換しなくても良いオイルとなります。このようなことのため、多くの方はパワステオイルの存在も知らないのだと思います。
ただ、そうは言ってもパワステポンプが焼き付いてしまうのは避けたいですよね。そのようにならないためにも、下記の時期やタイミングを目安にすると良いです。

<新車で購入した場合>
新車で購入した場合は、5万kmを超えたくらいから汚れをチェックしておくのが良いでしょう。新車で購入している場合は、ディーラーにて定期点検や車検整備を受けていることが多いため、ディーラーメカニックが点検してくれて、交換が必要な時は教えてくれます。
※最近のクルマはほとんど電動パワーステアリングとなり、パワステオイルを使っていません。

<中古で購入した場合>
購入するクルマの年式や走行距離によっても変わりますが、新車登録から5年以上経過し、走行距離も5万km以上のクルマを購入する際は、購入時に一度パワステオイルを交換しておくと良いかもしれません。
もちろん、汚れも確認出来ずに綺麗な状態でしたら交換の必要はありませんが、中古車の場合は定期的な点検を新車よりもしない傾向にあります。購入したら次の点検は車検の時というのはよくあることです。
ボンネットを開けて定期的にチェックする方も少ないので、購入時に交換しておくことをおすすめします。

パワステオイル(フルード)の種類

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パワステオイルは、通常ATF(オートマチックトランスミッションフルード)を使います。特に種類はなく、どの種類のものをいれたらいいかで迷うことはありません。ただし、サーキット走行をされる方は少し注意が必要です。
これまでにご説明している通り、パワステはエンジンの駆動をパワステベルトを使ってポンプを回し、これによってパワステオイルが押し出されています。サーキット走行などではエンジンは高回転を多様されるため、パワステポンプにも多くの負担がかかります。
これによって、パワステポンプは熱を持ち、その熱によってパワステオイルが加熱されて気泡ができます。この気泡が多く発生するとパワステオイルがタンクから噴出すなどの症状がでます。
これらに対応するために、サーキット走行用に耐久性の高いパワステオイルというものが販売されています。オメガやレッドラインなど、主要なオイルメーカーから販売されています。

パワステオイル(フルード)をDIYで交換してみる

出典:http://irodoriworld.com/archives/5036

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パワステオイルの交換手順

■用意するもの
パワステオイルをDIYで交換する際は、下記のものを事前に用意してください。

・パワステオイル1L~2L
・空のペットボトル500ml×4
・オイル差し又はスポイト(灯油用など100均で売っているものでOK)

これらを準備したら、ボンネットを開けて交換作業に入ります。

■パワステオイルの交換
①エンジンをかけた状態でボンネットを開け、パワステフルードのリザーバタンクの蓋を開けます。エンジンをかけておくことで、パワステオイルが循環します。出来る限りホースの中やステアリングギアボックス、パワステポンプの中にあるオイルも抜きたいので、エンジンをかけた状態で作業します。

②スポイトを使い古いフルードを抜きます。この際に全てのオイルを抜かないように注意してください。パワステオイルを循環させた状態にしているので、全て抜くもしくはLOWを下回ることのないようにしてください。パワステポンプが焼きつく可能性があります。

③スポイトで抜いたオイルを用意しているペットボトルに移していきます。500mlのペットボトルを4本を用意しておき、抜いたオイルを入れていきます。

④新しいフルードを抜いた量を目安にスポイトで吸い取りリザーバタンクに注入。抜いた量に合わせて入れることで、入れすぎることもなくなります。

⑤ハンドルを左右に3往復くらい据えきります。こうすることで、パワステポンプに入っている古いオイルと新しいオイルを混ぜます。

上記作業を何度か繰り返えすと、ペットボトルに入れたの廃油の色が徐々にキレイになってきます。だいたい1Lくらい抜いて入れると、新しいオイルが循環します。

パワステオイルのエア抜き

パワステオイルを全抜きしたり、ホースなども同時に交換した場合はエアー抜きが必要です。パワステホース内などにエアーが入っていると、適正な圧力が発生しなくなり異音が発生したりします。
エアーが入るような作業をした後はきっちりとエア抜きをしましょう。
それでは、パワステオイルのエアー抜き手順をご紹介します。

①前輪の両輪をジャッキアップする。
※危険ですので車載ジャッキはNGです。馬をかけるなどして安全に作業してください。

②リザーバタンクの蓋を開ける。エア抜きをするとフルードが少し減るので、少なくなっているようでしたらこの時点で足してください。

③エンジンをかけずにハンドルを左右に4~5回ロックするまで切る。

④リザーバータンクのフルードの量と状態を確認。③の作業で多少フルードが循環するので、フルードの量が減っていル場合は規定量まで追加してください。

⑤エンジンをかけて左右に数回切る。この際の注意点は、ロックまで切らずに手前まで止めることです。

⑥再度リザーバータンクのフルードの量と状態を確認。エアーが出てきて泡立っている場合があります。

⑦リザーバタンクの蓋を閉める。 上記の作業でエアーは抜けます。交換後は安全なところでテスト走行をしてください。パワステポンプからの異音や操作に違和感を感じた場合は、再度エア抜き作業を繰り返してください。
エアーが混入していないのに異音などが出る場合はパワステポンプのオーバーホールが必要となります。
※全抜きしない場合はこのエアー抜き作業は必要ありません。

まとめ

パワステオイルの交換。その必要性はそこまで高くないですが、汚れた際や濁った際には交換が必要なことをご理解いただけましたでしょうか。オイルを使っている以上は劣化します。劣化したままの状態では正常に動作しないこともあるため、定期的にパワステリザーバータンクをチェックしましょう。
尚、最近は電動パワステが主流になりつつあります。完全に電動の場合はオイルも使いませんが、電動油圧式のパワステの場合、オイルは必要となります。単純にパワステベルトを介さずにモーターで駆動して、オイルで圧力をかけているのです。
このように、電動でもオイルが必要となりますので、ご自身のクルマがどのようなパワステを装着しているのかチェックしておくといいですね。
クルマの定期的なメンテナンスは、突然のトラブル防止にもなりますし、不要な出費をおさえてもくれます。クルマを買ったら少しはこのようなメンテナンスにも気を使ってみてはいかがでしょうか。