ブレーキオイル交換時期。知っておかないと怖いブレーキオイルの存在

ブレーキオイル(ブレーキフルード)は、その存在自体を知る方も少ないのではないかというくらいマイナーなオイル(フルード)になります。ブレーキというクルマにとってとても重要な部位の作動に関わるオイルになります。適切な交換時期を知って、交換のタイミングを意識しておくことで、トラブルに繋がることを回避できます。ブレーキオイルに関する知識とその交換時期などをご紹介します。

ブレーキオイル(ブレーキフルード)の役割

クルマを止めるために重要な部品であるブレーキ。車重が1.5t近くもある最近のクルマは、車重も重く高性能なエンジンを搭載しているためにスピードもでます。このようなクルマを瞬時にかつ、いつでも止めることができる状態になっていないと大事故が起こります。
そのために必要なのがブレーキオイルです。通常ブレーキフルードと呼ばれています。このブレーキオイルがないとクルマは全く止まることができないのです。ここでは、ブレーキの基本的な仕組みとブレーキオイルの役割についてご紹介します。

ブレーキの仕組みについて

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自動車は、ブレーキペダルを踏んだら止まるという簡単な仕組みになっており、運転している際は特にブレーキの仕組みや構造がどのようになっているかを意識することはないと思います。しかし、ブレーキはいくつかの部品を介して構成されており、それが全て正常に働くことで1.5tもあるクルマを止めることができているのです。
ここからは、自分が運転している状態だと思って読み進めていただければと思います。

①ブレーキペダルを踏む
まず、クルマを止めたい際はブレーキペダルを踏みます。ブレーキペダルを踏むとブレーキのマスターバッグと呼ばれる踏む力を増大する装置を介して、ブレーキマスターシリンダーに圧がかかります。ブレーキマスターシリンダーにはブレーキオイルを貯めているリザーバータンクが設置されており、踏む圧力に応じてブレーキオイルが4輪のブレーキキャリパーへ送られます。
ボンネットを開けて、運転席の近くを見るとブレーキオイルが入っているタンクが見えると思います。これがリザーバータンクとなり、その下に装着されているのがブレーキマスターシリンダーとなります。そのシリンダーの先にはブレーキマスターバックが装着され、その先にブレーキペダルという構造です。

②ブレーキオイルが各キャリパーへ
ブレーキペダルを踏んだ際にどのような構造になっているかご理解いただけたかと思います。続いて、ブレーキマスターシリンダーから各ブレーキキャリパーへブレーキオイルが送られる構造です。
各キャリパーには、専用の配管を通して各キャリパー付近までブレーキオイルが運ばれます。そして、その配管からブレーキキャリパーには、ブレーキホースを通して送られます。なぜ、配管がブレーキキャリパーに直接繋がれていないかと言うと、ブレーキキャリパーはタイヤと連動して動きます。フロントのキャリパーの場合は舵を切ったら同じく動き、リアの場合は段差などでの上下に動きます。この動きに合わせてブレーキホースも動く必要があり、硬い配管では折れてしまうからなのです。

③ブレーキオイルがブレーキキャリパーの中へ
ブレーキホースを通して送られてきたブレーキオイルは、キャリパーの中にあるピストンを押し出す仕組みになっています。ドラム式ブレーキの場合は、シリンダーを押します。ブレーキオイルによって押し出されピストンやシリンダーは、ブレーキパッドやブレーキシューを押し、ブレーキパッドがタイヤの回転と同じく回っているブレーキディスクやドラムに触れることで摩擦が起こり、タイヤが止まるという構造になっています。

ブレーキオイル(ブレーキフルード)の役割

一連のブレーキ構造について理解していただけたかと思います。このブレーキの仕組みの中で、ブレーキオイルがとても重要な役割を担っていることがわかるかと思います。ブレーキオイルがないと、ブレーキペダルを踏んだところで全くクルマは止まりません。
ブレーキオイルはブレーキ構造上、圧力を発生させてブレーキキャリパーのピストンを作動させるという役割を担っています。このように何かの部品を作動させるための役割を持つ液体のことを、クルマではフルードと呼ばれています。潤滑が目的の液体の場合はオイルと呼ばれているのです。
では、このブレーキオイルはなぜ「水」ではダメなのでしょうか。圧力を発生させるのであれば水でも十分に押し出す力は働きます。これに専用の液体が使われている理由は、「熱」に対する適応のためです。
「水」の場合は沸点が100℃になります。100℃を超えると水は蒸発してしまいなくなってしまいます。ブレーキは高速で回転するディスクを止めるため、300℃から800℃くらいまで熱を持ちます。このような環境の中で「水」をブレーキオイルとして使うと、すぐに蒸発してしまい圧力がかからなくなってしまいます。
このようなことがないように、ブレーキオイルには専用の規格が設けられており、それぞれに沸点が設定され、用途に応じて使い分けるようになっています。それでも、ブレーキを酷使すると「ペーパーロック」と呼ばれる、ブレーキオイルが沸点を超えてしまう現象が発生します。ブレーキオイル内に気泡ができ、それが圧を逃がしてしまうために正確な圧力を生まなくなってしまい、ブレーキペダルを踏んでもフカフカな状態になってしまうことがあります。
こうなるとブレーキが効き辛くなったり、最悪全く効かなくなってしまいます。
下り坂でエンジンブレーキを使いましょうというのはこのようなことからなのです。

ブレーキオイル(ブレーキフルード)が劣化すると

出典:http://www.carlifesupport.net/brake%20kiso_brakefluid.html

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ブレーキオイルですが、熱に強いと言っても劣化します。ブレーキオイルの成分の中に、湿気を吸いやすい「グリコール・エーテル」というのものが主要成分として使われています。この成分は使用していると徐々に水を吸い込んでいきます。
水分を多く含んだブレーキオイルは、前項でもご紹介したように熱によって沸騰するため気泡ができやすくなります。劣化したブレーキオイルを使用し続けていると、通常使いでは問題なくても、坂道や高速道路などでの急ブレーキ時にペーパーロックを起こす可能性が高くなります。
また、ペーパーロックまで起こさなくても、一定の圧力がかからない状態になるため、ブレーキの利きが落ちてくるということも考えられます。
元は透明な薄黄色のブレーキオイルですが劣化してくると、濁っている、黒ずんでいる状態になってきます。ボンネットを開けてブレーキのリザーバータンク内のブレーキオイルを目視し、濁っているようであれば劣化していると言えます。

ブレーキオイル(ブレーキフルードの交換時期)

ブレーキオイルの適切な交換時期ですが、理想は1年に1度の交換が推奨とされています。ただ、1年に1度ブレーキオイルを交換される方はとても珍しいかと思います。車検ごとの2年に1回の交換がおすすめです。どんなに伸びても、走行距離が40,000kmくらい走ったら交換した方が良いです。あとは、日常の定期チェックでボンネットを開けて目視でチェックしてみて、濁っている、黒ずんでいると判断できたら交換しましょう。
ブレーキはとても重要な要素です。ブレーキオイルの状態は定期的に確認しておくことをおすすめします。また、ブレーキホースの劣化やブレーキキャリパーかしめ部からのオイル漏れも起こります。リザーバータンクのオイルが減っている場合は危険信号です。通常は循環しているため減る物ではありません。ある一定量減ると、サイドブレーキランプが点灯して警告してくれます。この状態までなった場合はすぐに最寄りの整備工場で診てもらいましょう。

ブレーキオイル(ブレーキフルード)の種類

出典:http://www.geocities.jp/cbx125cp/asi/f-brake03.html

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DOT規格

ブレーキオイルには、世界的ンDOT規格が適用されています。DOTとは、アメリカの交通省(Department of Transportation)の略です。このDOTで設定されているFMVSS基準 (Federal Motor Vehicle Safety Standard 米国自動車安全基準)において様々な項目からブレーキフルードを規格分類しています。

基 準 主成分 ドライ沸点 ウェット沸点
DOT 3 グリコール 205℃以上 140℃以上
DOT 4 グリコール 230℃以上 155℃以上
DOT 5.1 グリコール 260℃以上 180℃以上
DOT 5 シリコン 260℃以上 180℃以上
上記以外にも粘度やph値などが設定されています。

<各用語について>
●ドライ沸点...吸湿率 0%時の沸点です。新品時の沸点です。
● ウェット沸点...吸湿率 3.7%時の沸点です。1~2年間使用後の沸点です。
● 粘度...ブレーキフルードの流動性を示す数値です。数値が大きいと固くなり流動性が悪くなります。低温時でこの数値が高いとABSの作動性に悪影響を及ぼします。
● ph値...酸性/アルカリ性を表す数値です。 7.0以下ですと酸性度が強くなり、周辺部品の腐食を促進します。

<各基準の用途>
DOT3:一般車輌用(小中排気量、軽量車)
DOT4:一般車輌用(大排気量、重量車)、スポーツ走行用
DOT5.1:一般車輌寒冷地用(大排気量、重量車)、スポーツ走行用
DOT5:主成分シリコン 特殊車輌用

サーキット走行や峠道を頻繁に走行する方には

出典:http://www.get-v.com/news/1356274022/

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サーキット走行、それもレースを前提にブレーキフルードを選ぶとすると、実はDOT規格には適合しないものとなります。レース用の場合、沸点ではDOT5.1を上回ります。その一方で低温粘度特性やpH値の面でDOT規格に適合しないのです。
用途がレースのため、絶対的な沸点を求めることがまずは重要であり、そこを求めると、低温粘度特性やpH値の数値は低くなります。このようなブレーキオイルを選択する場合は、レースが終わったら交換が必要となります。
続いて、街乗りもしてサーキット走行もするような場合です。このような場合は、DOT規格をクリアしているレース用ブレーキフルードを選択しましょう。DOT規格に適合していないブレーキフルードを長期間使用し続けると、ブレーキの周辺部品の腐食に繋がるなどリスクが高くなります。
また、真冬時のブレーキ操作において(特に朝一番のブレーキングで)ABSの作動性が悪くなったりもします。
一般道、サーキットとステージが変わっても交換せずに同じフルードを使用したい人は、DOT5.1やスーパーDOT4などが好ましいです。

ブレーキオイル(ブレーキフルード)の交換方法

出典:http://www4.plala.or.jp/shiden-kai/ltl/mnt/brk_fd_c.htm

4.plala.or.jp

ブレーキオイルをDIYで交換する場合の方法をお伝えします。

①ブレーキリザーバータンクからオイルを抜く
ボンネットを開けて、ブレーキリザーバータンクからオイルを抜いてください。エアコンプレッサーがある場合は、専用の機械を使って抜きます。ない場合は、シュポシュポと頑張って抜きます。

②リザーバータンクに新しいオイルを注入
古いブレーキオイルが抜けたら、新しいブレーキオイルを注入します。

③クルマをリフトアップして、タイヤを外す
各ブレーキキャリパーへ新しいオイルを循環させるのと同時に、エアを抜く作業をします。
そのためにタイヤを外すのでクルマをリフトアップします。ジャッキで行う場合は、リザーバータンクから遠いタイヤから順番に行うので、その順番でジャッキアップしましょう。

④ブレーキキャリパーのブリーダーキャップにホースをつなぐ
ブレーキキャリパーに装着されている、エア抜き用のブリーダーキャップにホースをつなぎます。ホースの先にはペットボトルなどオイルを受け止められるようなものを置いておきましょう。

⑤運転席でブレーキ踏む人。ブリーダーキャップを緩める人。
運転席にいる人がまずブレーキを踏みます。踏んだらキャリパー側の人に合図を送り、ブリーダーキャップを半回転くらい緩めます。そうすると、ブレーキオイルがブリーダーキャップから出てきます。ブレーキを踏んでいる人はブレーキペダルが奥の方までいきます。
ブレーキオイルが出なくなったら、ブリーダーを締めて、運転席の人に合図を送り、ブレーキを離します。そして、ブレーキを踏む人は、ブレーキペダルを何度か踏み込みます。これによって、ブレーキオイルがキャリパーまで再度送られてきます。
この作業を3回~4回ほど繰り返すことで、ブレーキホース内やキャリパー内にある古いオイルが抜けて、エアも抜けます。これをリザーバータンクから離れているタイヤから順番に行っていきます。

※交換時の注意点
これらの作業をしているとブレーキオイルは減っていきます。リザーバータンクに入っているブレーキオイルの量を気にしながらエア抜き作業を行ってください。もし、リザーバータンクにブレーキオイルが無くなった状態で続けると、更にエアが入るだけになり最初から全輪やり直しになります。

ブレーキオイルは、クルマのボディに付着すると塗料を溶かします。ボディに付着した場合はすぐに大量の水で流すようにしてください。

まとめ

ブレーキの構造からブレーキオイルの役割についてご説明し、その必要性と適切な交換時期に交換する重要性をご理解いただけたのではないでしょうか。
クルマを止めるためのブレーキ。とても重要な箇所となりますので、ブレーキオイルという液体があることを知り、適切な交換時期にきっちりと交換してみましょう。
DIYのやり方もご紹介しましたが、ブレーキはとても重要な部品となるため、自信のない方は必ず認証工場を取得している整備工場にて作業を行ってもらってください。