【ダイハツ テリオスキッド】ダイハツが作った軽自動車のSUV

近年になって軽自動車市場には軽SUVが復活してきました。スズキからはハスラーが登場し、ダイハツからはキャスト アクティバが…。しかし、これらが登場する以前にも軽SUVはありました。ダイハツのテリオスキッドもそのひとつ。テリオスキッドとはどのようなクルマだったのでしょうか。

SUVってなんなの?

軽自動車に限らず増えてきている「SUV」というジャンルのクルマですが、そもそもSUVってどういうクルマなのでしょうか?

「スポーツ・ユーティリティ・ビークル」の略語である。

SUVと言うと「とりあえずこんな形のクルマで、こんなイメージ」ってなるのではないでしょうか?

四角い箱型のキャビンとボンネット。具体的に言えば、トヨタのランドクルーザーにFJクルーザー、三菱のパジェロ…。悪路を走るため最低地上高は高く、駆動方式は4WDである…。

…これじゃぁラリーカーですね。確かにパジェロはパリ・ダカールラリーでの実績はありますが…。

SUVとは「スポーツ・ユーティリティ・ビークル」の略語です。ここで言うスポーツはモータースポーツのことではありません。もちろんラリーカーでもありません。

スポーツ・ユーティリティ・ビークルの「スポーツ」とは、スポーツアクティビティー、つまり人間の娯楽的な活動(サーフィン、スキー、キャンプなど)を指す。
アメリカでの自動車のジャンルの呼び方のひとつとして、政府各省や保険会社でも使われる一般的な用語である。ミニバンやRV(アメリカでの本来の意味はキャンピングトレーラーやモーターホームを指す)などと同様、あくまでも用途上での分類であるため、必ずしも「四輪駆動」である必要はなく、駆動方式など、クルマの構成、構造による定義は難しい。

出典:ja.wikipedia.org

「人間の娯楽的な活動(サーフィン、スキー、キャンプなど)」「あくまでも用途上での分類である」「四輪駆動である必要は無い」

つまり見た目とかは一切関係ないということになります。
アウトドアなどに興じていなければ、ランドクルーザーはSUVではないのです。セダンで魚釣りに行ったら、そのセダンはSUV。軽トラにサーフボード積んでサーフィンをしたら、軽トラはSUVです。ラリーで道無き道を疾走してるパジェロはラリーカーです。

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FJクルーザーをSUVとして正しく使った例

河原にFJクルーザーで乗り付けて、バーベキューを楽しむ。実にSUVらしい! スネ夫くん(30歳)はFJクルーザーをSUVとして使っているようです。

このようにSUVの定義ってのは非常に曖昧なもの。
別にセダンをSUVにしてしまっても良いんですが…自動車メーカーがSUVと言うからには、そのクルマは「人間の娯楽的な活動(サーフィン、スキー、キャンプなど)」を行うのに適したクルマでなければなりません。

ダイハツが作った「軽自動車のSUV」 それがテリオスキッド

テリオスキッドの見た目

さて…今回紹介する「テリオスキッド」はと言うと…

「四角いキャビン!」「ボンネット!」「最低地上高は高め!」

SUVっぽい風貌です。見た目はSUVっぽい。あくまでも「ぽい」です。見た目だけではSUVって言えませんから。

テリオスキッドの作り

テリオスキッドの駆動方式はFRとフルタイム4WDの2種類。この4WDはセンターデフ付き。悪路での走破性を高めています。
エンジンはターボモデルもあります。
全体的に見れば小型車である「ダイハツ テリオス」をベースに、軽自動車の規格に適合するように小型化されたモデルになります。

見て分かるように、最低地上高が高くなっています。
近年の軽自動車だと乗り降りのし易さのために床面が低い傾向がありますが、テリオスキッドでは走破性を確保するためにこのような設計になっています。

SUVとしてはどうなのか?

結局のところ「テリオスキッドはSUVなのか?」と言われれば…SUVです!

まず車名です。テリオスというのは、古代ギリシャ語で「願いを叶える」と言う意味です。SUVとしてはピッタリな名前ではないでしょうか。「バーベキューがしたい」「魚釣りがしたい」「キャンプがしたい」「サーフィンがしたい」…そんなユーザーの要望に答えるクルマというわけです。

バックドアはヒンジドアになっています。この構造はムーヴと同じ。スペアタイヤをドアに装着しているということもあり、通常の上開きドアだとタイヤの重さで下がってきてしまうという構造的な意味合いもあるでしょう。

荷物の収納能力は軽自動車なので、容量としては低めですが…

このようにシートアレンジにおいて後部座席を倒す事で、その容量を増やす事ができます。軽自動車の限られたスペースを有効活用する手段として、現在の軽自動車でもシートアレンジは重要。
テリオスキッドはSUVという性質もあり、そのシートにも少し手が加えてあります。

シートの撥水加工。この機能もSUVなら必要になってきます。
SUVが活躍する場面といえば、「スキー」「魚釣り」「サーフィン」と水に濡れる事が当たり前。その水に濡れた道具等を積み込んだときに、この撥水加工がユーザーにとっては一つの安心材料。クルマの中を水で濡らして平気なんて人はいないかと思います。撥水加工があればふき取ってしまえばいいだけ。

ユーザーは遊びの後は水に濡れている事を気にすることなく積み込み、帰路に付く事ができます

テリオスキッドに乗って「できること」

スキー・スノーボード

SUVとしての活躍が一番期待される場面…それは悪路での走破性ではないでしょうか? 走破性が高い事はSUVの必要条件ではないかもしれません。ですが、悪路に弱いSUVってのも…。

スキーやスノーボードを楽しみたいというのに…

そこに行くまでの雪道で躓いていたらお話にならないわけです。
そもそもスキー・スノーボードは雪があって成立するスポーツ。むしろ雪がある場所を求めて行くわけです。雪道走れないSUVでは、SUVとして成立していません。室内スキー場? 狭山スキー場とかスノーヴァが近くにある方はそれでいいんでしょうが…。

その点、テリオスキッドの走破性の高い作りというのは、雪道でも威力を発揮してくれます。軽自動車の車両重量なら雪に沈みにくいですし、雪で道幅が狭くても大丈夫です。

テリオスキッドではボード類が積めないんじゃないか?

そんなときはルーフキャリアを用いた収納用品を使います。ルーフボックスでもいいですし、各種ボード専用のタイプもあります。それらを用いてクルマの屋根の上を収納として活用します。テリオスキッドは軽自動車なので、比較的 車高が低くて積み込みしやすいです。

クロスカントリー(クロカン)

「悪路に強い」のであれば「悪路を走る」ということを楽しんでしまいましょう。

「悪路を走る」からと言って、ラリーカーとして走るわけではありません。むしろ猛スピードで走り抜けられる悪路なんてのはまだまだ序の口と言えます。

通常であれば走るのをためらうであろう急勾配や穴だらけの未舗装路を走るクロスカントリー 通称「クロカン」です。どんな場所を走るかと言うと…

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穴…というより穴の中を走っています。
こんな場所をねじ伏せるかのようにして走っていくのがクロカンです。ここでも軽自動車の小さなボディが有利。テリオスキッドやジムニーのような軽SUVというのはクロカンをやるのに適していると言えます。

ただし、クロカンを通常の足回りでやるのは無茶があります。リフトアップなどが必須と言えるでしょう。クロカンに特化したクルマとなるため、乗り心地などは犠牲になってしまいます。
逆にそのクロカンに特化した独特な見た目が好まれ、一種のカスタムカーとしての要素もあります。テリオスキッドをより個性的に仕上げることができます。

ボート・カヤック

「五月雨を 集めて早し 最上川」という松尾芭蕉の俳句があるように、日本の河川には山から海までの距離が短いため急流になっているところがあります。もちろんゆっくりとした流れの河川もありまし、湖や海も全国各地に。ボートやカヤックの上から魚釣りをするというのも良いでしょう。

ボートやカヤックをクルマで運ぶ場合はカートップという形で積み込みます。

このようにルーフボックスと同様に、ルーフキャリアに固定します。

テリオスキッドに限らず、大抵のクルマであればルーフキャリアは使えますし、同じように荷物を積む事ができます。では、なぜテリオスキッドなのか?

河川にしても海にしても、ボートやカヤックを乗る場所は河原や砂浜。足場が悪いところが多いです。通常のクルマでそこまで入り込むのはツライ…そうなると、途中でクルマを停車して、ボートやカヤックを自力で担いで徒歩で向かう事になります。
更には河川の場合は上流へと向かうわけですから、走る場所は狭い山道。大きなクルマで行くのも難しい。

テリオスキッドならそんな悪条件をクリアできます。
走破性の高さを生かして、ギリギリのところまでボートやカヌーを運ぶ事ができます。狭い山道も小回りの効く軽自動車であればすり抜けられます。

軽SUVの衰退期

消えていく軽SUV

SUVは人気のあるジャンル。しかし、軽自動車におけるSUVは市場から次々と姿を消していきます。

三菱のパジェロミニ 2012年6月に生産終了。

スズキのクロスオーバーSUVスタイルのKeiも2009年9月に生産終了しています。

2000年代に入ってから次々と軽SUVは市場から姿を消していきました。

テリオスキッドも…

そして、テリオスキッドも2012年5月に生産終了となりました。1998年から14年ほどで姿を消した事になります。

なぜ軽SUVは消えていったのか

収納能力が低いからではないか?

SUVというのは「人間の娯楽的な活動(サーフィン、スキー、キャンプなど)」での使用を考慮したクルマであるわけです。使用用途による分類なので、別になんでもSUVって言えるわけです。セダンでも軽トラでも…そのクルマをSUVと呼ぶには、「人間の娯楽的な活動」を行えることが前提になっているわけです。行えればSUVです。

ですが、これらの「人間の娯楽的な活動」を行うのであれば必要とされるものがあります。つまりSUVとしても必要であるもの…

それが収納容積であり収納能力。
トヨタのCM内でスネ夫くん(30歳)がバーベキューをする河原にFJクルーザーで乗り付けています。CM内では電車で移動していた二人も道具などを持ち込んでるようですが、仮に3人全員でFJクルーザーに乗って河原でバーベキューを楽しむとなったら?

・バーベキューコンロ
・木炭
・トングなどの調理道具
・食材 およびそれを保冷可能なボックス
・河原で使うための折り畳みのイス
・河原に敷いて使うレジャーシート

が必要。更にFJクルーザーには

・上記の物を積み込んでも大丈夫な収納容積
・上記の物を積み込んでも3人分の座席が確保されている

という条件がつきます。FJクルーザーなら余裕でこの条件をクリアできる…わけですが、軽SUVにこれらを求めるとどうなるか…ルーフボックスなどを用いれば収納能力を拡張できるのですが、ルーフボックスを設置する手間があり、さらに使うのにも手間。

また、テリオスキッドに関しては…

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テリオスキッドの車内・シートアレンジ

シートアレンジをするにもヘッドレストを取り外したりと手間がかかります。

また現在のシートアレンジは助手席にまで及びます。この画像はワゴンRのものですが、助手席も格納する事でサーフボードのような長い物でも収納が可能。
このシートアレンジは車中泊でも有利。サーフボードが積み込めるぐらいですから、大人1人が横になるスペースを確保するのに都合が良いのです。

このように軽自動車ではシートアレンジが重要となります。このシートアレンジによって、荷物をどう積み込むかが決まります。

このことはテリオスキッドを販売しているダイハツ自身がタントの紹介の中でも触れています。タントのシートアレンジを用いればレジャーにも活用できると言う例です。

テリオスキッドは軽自動車であるため、収納能力が低く、その収納能力を補うシートアレンジも洗練された物ではない。この事がマイナス要因であったと言えます。

それを示すかのように、テリオスキッドと同じく生産終了となった小型車のテリオスですが、テリオスキッドよりも車体は大きく、収納容積も確保されています。
こちらには「ビーゴ」という後継車があり、トヨタでは「ラッシュ」としてOEM供給され、海外では引き続きテリオスとして販売もされています。

販売時期が遅すぎた?

テリオス以前に軽SUVというのは存在していました

パジェロミニは1994年から販売されています。

スズキにはそれ以前から販売しているジムニーがあります。なんと1970年販売開始。既に40年以上の歴史があります。
クロスオーバーSUVタイプであったKeiでも1998年販売です。

テリオスキッドの販売開始は1998年。既にジムニーやパジェロミニが販売された後です。しかもジムニーには40年以上の実績がある…。

このジムニーという存在がテリオスキッドには大きかったのではないでしょうか。テリオスキッドと同じく姿を消していくパジェロミニやKeiですが、ジムニーは今でも健在。ジムニーからシェアを奪わない限り大きな販売台数が見込めないとなれば、その生産を見直す動きがあっても仕方が無いわけです。

その後の軽SUV市場の動き

見直されるクロスオーバーSUV

ジムニーという大きな存在ゆえに、軽SUV市場はジムニーの独占状態。しかし、本格的なSUVであったテリオスキッド・パジェロミニとは違い、クロスオーバーSUVであったKeiは少し事情が違いました。

本格的なSUVの軽自動車と言うのであればジムニーという選択肢がまだ残っています。しかし、街乗りでの使い易さなども兼ね備えたクロスオーバーSUVとなるとKeiだけ。それ以前なら三菱のeKアクティブもありましたが、こちらはKeiよりも先に2006年に生産終了。

クロスオーバーSUVの軽自動車であったKeiが消えてしまった事に、Keiのユーザーからはその生産終了を惜しむ声が出てきます。

その惜しむ声をスズキ自動車の鈴木修会長が会食の席で耳にします。そこから一定の需要が見込めると判断・開発が進み、「ハスラー」として2014年に販売されることになります。

クロスオーバーということで、ハスラーでは街乗りでの使い易さも重視。プラットフォームをワゴンRと共通化し、シートアレンジもワゴンRと同様のものに。ワゴンRという軽自動車でもトップクラスの販売台数を誇る人気車種をベースとした「ワゴンRオフロード」とも言えるハスラーは、かつてのKeiユーザー以外からの支持を獲得。発売初年で10万台を超える販売台数を記録するほどでした。

ダイハツからも「軽SUV復活」の流れ

日本でなら、日本の軽自動車でレジャーを楽しむことができる。車中泊ブームなどもあり、ダイハツでもレジャーでの使用を想定した「軽SUV」が復活しました。

まず最初に登場したのが「ウェイク」です。タントよりも大型化されたボディによって、軽自動車とは思えない収納容積を確保。この収納能力の高さでレジャーでの使用を想定しています。

とはいえ、これは「使用用途」で見た上でSUVと言うお話。もっと見た目や走破性を追及したモデルなら…

この「キャスト アクティバ」です。キャストシリーズの一つで、クロスオーバーSUVとして仕上がっています。最低地上高はハスラーと同じになっており、ハスラーを強く意識したモデルとなります。

しかし、室内には撥水シートなどの記述が無い? アクセサリーによって補う事は可能ですが…。キャストはシリーズ物で、他に「スポーツ」「スタイル」があり、それらと部品共有している関係でしょうか。

SUVとして「走り」に注力されてはいますが、「収納」には少々物足りなさがあります。ダイハツとしては「走り=キャスト アクティバ」「収納=ウェイク」で分けていく戦略で行くのでしょうか。

テリオスキッドの中古車情報

今回ご紹介したテリオスキッドの中古車は多く流通していますので色々な条件の車両から選ぶことができます。そんな中古車情報のリンクを貼っておきますので是非チェックしてみてください。

中古車をお探しの方はこちら

まとめ

いかがでしたか?

テリオスキッドは軽SUV衰退期の流れで姿を消してしまいました。登場時期はライバルよりも遅れ、今ある車中泊・レジャー人気よりは早すぎる。そんな中で登場してしまったのが不運と言えます。

では、テリオスキッドは間違いなのか? それは違います。
確かに「ハスラー」や「キャスト アクティバ」のようなクロスオーバーSUVは復活しました。街乗りで使うにもクロスオーバーのほうが良いでしょう。しかし、クロカンのような遊びをやろうと思うと、クロスオーバーでは限界点が低い。ハスラーはまだクロカンでも見ますが、キャスト アクティバは…。
やはりジムニーやテリオスキッドのような、無骨で本格的なスタイルでなければクロカンはできません。クロカンだってレジャーです。クロカンのユーザーからすれば、テリオスキッドはSUVであっても、キャスト アクティバはSUVではないのです。

テリオスキッドが今なおクロカンで使われているクルマである。この事実ががテリオスキッドの作りが間違っていない事の証明。「今の時代にそぐわない」という人もいるかもしれませんが、物事全てを「今の時代」に合わせていてはレジャー・遊びというのは廃れていくのではないでしょうか。
テリオスキッドは多用途なSUVとしては生き残れませんでしたが、クロカンでは今でもその存在感を示し続けています。