【ポンティアック トランザム】世界の少年に夢を与えた「ナイトライダー」

「ポンティアック トランザム」は、今でも人気がある「ナイトライダー」「トランザム7000」で使用されました。当初からモータースポーツや映画やTVドラマでも活躍した「トランザム」のポテンシャルに迫ってみたいと思います。

トランザム

「ポンティアック トランザム(Trans Am )」は、ゼネラルモーターズ(GM)が生産した、「ポンティアック・ファイヤーバード」の最上級グレードモデルです。また「トランザム」は「シボレー カマロ」の上級グレード「Z28」に相当するパフォーマンス・グレードで、ハイパフォーマンスなパワーユニットとスポーティーなサスペンションシステムを装備しています。そして「シボレー コルベット」と同エンジン搭載グレードも設定されていましたが、スペック上はコルベットが上回るようデチューンされました。ボディデザインとしては、ベースグレードに比べエアロパーツ、エアスクープ等が追加されていて、年式によってはオプションで、火の鳥を模した巨大なボンネット用ステッカーも注文することができました。

略されている?

「ポンティアック トランザム」「トランザム」という表記や名称で呼ばれていますが、名前の由来は「SCCA(Sports Car Club of America)」による市販車ベースのレース、「トランス アメリカン セダン チャンピオンシップ(Trans-American Sedan Championship)」から取られている名称です。「トランザム」は、モデル名ではないため、本来は「ポンティアック・ファイヤーバード・トランザム」が正式名称なのです。また「ファイヤーバード トランザム」は「Fボディ」と呼ばれるGMのプラットフォームを使用しているため、「シボレー カマロ」とは、姉妹車になります。

1thモデル 1969年

1967年に「ポンティアック・ファイヤーバード」が生産され、「トランザム」の1thモデルは、1969年に「ファイヤーバード」の上級グレードとして登場しました。生産台数は、697台です。

ハイパフォーマンスなパワーユニット

搭載されるエンジンは、ビッグブロック(6L以上のエンジンの愛称)が搭載されました。「ラムエア エンジン」と呼ばれるもので6.6L(400cu in)V型8気筒 OHVのエンジンが搭載されました。ベースグレードは366PSから370PSでしたが、ディーラーオプションで500PSにチューニングされたエンジンを搭載することも可能となっていました。この1thモデルの「ラムエア エンジン」は1970年製「「ポンティアック・ファイヤーバード・トランザム」まで搭載されました。

2thモデル 1970年-1981年

2thモデルは、1970年に登場しました。初期型から後期型にかけてボディデザインが一変したモデルです。思いつくのは、ブラックカラー/ゴールドカラーにボンネットに「ゴールドイーグル」デカールのトランザムのスタイルです。映画「トランザム 7000」「トランザム7000 VS 激突パトカー軍団」「キャノンボール」などで使用されたこともあり、日本国内でもメジャーなモデルです。近年では、タレントの所ジョージさんが、長年愛車として可愛がっていた「AC427 コブラ」を手放して手を入れたモデルとしても有名です。

初期型エンジン

1970年の初期型には、6.6L(400cu in)ビッグブロックのラムエアエンジンを搭載しましたが、1971年から1976年までは7.5L(455cu in)エンジンを搭載しています。このビッグブロックエンジンは、「ポンティアック・GTO」「ポンティアック・ファイヤーバード」にも搭載される「H.O.455」エンジンで、最高出力は540PSとハイパフォーマンスなパワーユニットでした。また、1970年の初期生産モデルはキャブレターはホーリー製を装着しています。1974年には。「スーパーデューティー455」と呼ばれるハイパフォーマンスエンジンを搭載し、1973年、1974年は「SD-455(スーパーデューティー455)」エンジンを搭載しました。このエンジンは、カリフォルニアエミッションなどの排気ガス規制中、公式出力は300PS以下と記載されていましたが、簡単なチューニングで500PS以上のパワーを発揮できるように設計されていたため後に「名機」としてチューニングベースとして愛用されました。1977年には、「オールズモビル製 403cu in」「ポンティアック製 400cu in」を搭載し、最高出力が年々、下げられていきました。

後期型モデル

1975年モデルでリアウィンドウとリアピラーの形状が変更されました。また1977年に映画「トランザム 7000」で使用されたモデル、フロント部分を4灯式にモデファイした通称「イーグルマスク」が登場します。1979年には再度フロント周りが改良されました。搭載されるエンジンは最終的に「301cu in」「ターボチャージャー付き 301cu in」が設定されていました。「305cu in」の4速ギア(当時のアメリカでは3速オートマチックトランスミッションが主流だった)が設定されていました。

1979年型「トランザム(C-PF16A型)」主要諸元

エンジン:6,590cc 水冷V型8気筒 OHV
最高出力:185PS/3,600rpm
最大トルク:44,2kgm/2,000rpm
トランスミッション:4速MT
駆動方式:FR
ブレーキ:F ディスク R ドラム
全長:5,030mm 
全幅:1,865mm
全高:1,320mm
ホイールベース:2,745mm
車重:1,705kg
最高速:175km/h

トランザム7000

「トランザム7000」は、バート・レイノルズ主演のカー・アクションで、内容は、アトランタから28時間以内にテキサス州テクサカナまで行きビールを積んで帰ってくれば8万ドルの報酬を得るという挑戦を受け、パトカーに追跡されながら「トランザム」で爆走するというものです。作品では、1977年式ポンティアック・ファイヤーバード・トランザム「スペシャル・エディション」が4台が用意されました。この後、続編の「トランザム7000 VS 激突パトカー軍団」が製作されるほどの人気でした。

3thモデル 1982-1992年

3thモデルは、1982年に登場しました。TVドラマ「ナイトライダー」で使用されたことで人気となりました。ヨーロッパデザインの影響を受け、大人しいデザインとなりました。フェラーリ・308等のイタリアン・デザインの影響が強いボディスタイルは風洞実験によるもので、フロントガラスは62度と大きく寝かされ、リヤにはガラス製ハッチバックを備え、リトラクタブル・ヘッドライトが採用されています。ウィング型リヤスポイラーを装着し、凸面形状のホイールキャップ等、空力性能が図られ、Cd値は0.323でした。またフェンダーフレアやエア・エクストラクタは小型化し、ファイヤーバードのデカールも消滅しました。

「GTA」

1987年には、「ファイヤーバード トランザム」のハイエンドグレードとして「トランザム GTA」が登場しています。GTAは純正でTバールーフを設定されていませんでした。1989年には、トランザム20周年を記念して「ターボ・トランザム」が登場しました。「3.8L V型6気筒 ターボ付 ビュイック・エンジン」を搭載し、白外装とタン内装のみで、インディアナポリス500のペースカーにも選ばれました。1991年からはコンセプトカーであるポンティアック・バンシーをモチーフとした、ヘッドライト前のスリットを廃止した「フロントエンド」が装着されています。

MC毎にパワーアップ

初期搭載型のV型8気筒エンジンは、4バレルのキャブレターを装備して145PS、「クロスファイヤ・インジェクション」搭載型でも165PSと、かなり控えめなパワースペックでした。そして「トランザム GTA」が登場して「C4 コルベット」の「5.7リットル TPI V型8気筒エンジン(ただしシリンダーヘッドはコルベットがアルミニウム製であるのに対し鋳鉄製)」が選択可能となりました。このパワーユニットは二重層触媒と組み合わされることにより最終的には、235PSまで最高出力を向上させています。

1990年型「トランザムGTA」主要諸元

エンジン:5,727cc 水冷V型8気筒 OHV
最高出力:240PS/4,400rpm
最大トルク:47,0kgm/2,800rpm
トランスミッション:4AT
駆動方式:FR
サスペンション:F ストラット R トルクアーム
ブレーキ:F ベンチレーテッドディスク R ディスク
全長:4,970mm 
全幅:1,880mm
全高:1,300mm
ホイールベース:2,565mm
車重:1,580kg

ナイトライダー

基本的なボディは、「ポンティアック ファイヤーバード トランザム」ですが、主にフロントバンパー部が大幅にカスタム(純正バンパーにアクリル板を入れている)されていて、ナイトフラッシャー(スキャナーのセンサー部分)が埋め込まれていました。またボンネット、ホイール、リアスポイラー等は純正のオリジナルパーツを使用しています。受けているナンバーはカリフォルニア州のもので「KNIGHT」になっていました。インテリアは、純正PMDシートが使用され、ダッシュボード、アームレストスイッチパネル、オーバーヘットコンソールスイッチパネルは大幅にカスタムされています。また性能として、加速性能パワーブースター搭載で、完全に静止した状態から0.2秒で時速100km/hに達するセッティングになっていました。ゼロヨン加速は時速480km/hで4.286秒をはっきしていました。時速110km/hからの制動距離は4.2mでした。まさに「ドリームカー」です。この「ナイト 2000」仕様のカスタムも大変流行しました。また販売店にナイトライダー仕様の「トランザム」を購入しに来る客が出てきたため、ポンティアックが番組内でナイト2000を「トランザム」と呼ぶのを止めるよう要請したというエピソードさえあります。

4thモデル 1993-2002年

1993年に登場した4thモデルは、ホイールベースのほぼ中央にドライビングシートが設けられワイド&ローに構えたスタイルに先代モデル同様にリトラクタブルヘッドライトを採用しフロントマスクをシャープに仕上げてたデザインです。エンジンは「V型8気筒 OHV MPI搭載(350・LT1)型」で、最高出力は275PSで、トランザムに搭載されたエンジンすべてがこのLT1に統一されました。1994年には、「トランザム25周年アニバーサリー」モデルが発表されています。ホワイトカラーにブルーのストライプが特徴のカラーリングです。1996年のMCでは、「WS6 ラムエア・パワー」と呼ばれる、5.7L V型8気筒 OHVエンジンがラインナップされました。最高出力は305PSでした。ラムエアシステムはハンドリングパッケージと一体化され、ハードサスペンション、P275/40ZR17のタイヤが組み合わされており、標準トランスミッションは6速MTでした。またラムエアを搭載することにより、外装は大きく変化し、ボンネットに大きなバジルとそこに開くツインポートスクープが装備されました。

LAST「トランザム」

1998年にMCが施され、後期型になりました。リトラクタブルヘッドライト、ツインポートスクープ、フロントエンドなどの大きな変更が行われました。特にラムエアパッケージは、フロント周りの形状は迫力満点となっています。エンジンは、「シボレー コルベット」に搭載されている「5.7L V型8気筒 OHV(LS1)」型を搭載し、オールアルミ製エンジンブロックを採用し、軽量かつ高剛性で最高出力は、305PSを発生していました。1999年は「トランザム30周年アニバーサリー」モデルが発表されています。2000年には、エンジンの最高出力が325PSに向上しました。2002年限定モデル「コレクターズエディションパッケージ」が発表されましたが、黄色のボディーでボンネット上のラムエアフードに小さな火の鳥が左右に位置取りし、鮮麗さをアピールされたモデルでした。そして、「ポンティアック ファイヤーバード トランザム」は、2002年をもって生産終了しました。

まとめ

「ポンティアック トランザム」は、アメリカンマッスルカーとしてハイパワーエンジンを搭載し、モータースポーツだけでなく映画やドラマでも大活躍した人気モデルです。