高速道路の料金所で見かける“ETC”って何だ??

おじさんたちは“ETC”って言われると「エトセトラ」なんだけどねぇ。なんて・・・失礼しました。もちろん、有料道路の通行料金をノンストップで徴収してくれるアレです。ずいぶん普及してきたと思うのですが、まだ踏み出せていない人やわからないまま使っている人に、わかりやすく解説してみます。

ETCってどんな意味?

ETCとは、Electronic Toll Collection System (エレクトロニック・トール・コレクション・システム)の頭文字を並べた省略語です。日本語にすると、“電子料金収受システム”となります。路側にある機器と車輌に搭載した車載器とが双方向通信して、利用料金を収受するシステムのことです。これにより、料金所ではチケットを受け取ることも、料金を支払うことも不要になるのです。車から降りずに買えるドライブスルーも便利ですが、ETCはノンストップ!なのです。

どんなシステム?

では、実際にはどのように動いているのでしょう。実際の走行シーンを想像しながら見てみましょう。

車輌情報の収集(一般車輌)

従来の通行料金の徴収方法を振り返ってみましょう。あなたは高速道路に乗って、東京から名古屋まで出かけます。東京料金所にさしかかりました。料金所の係員が半身を乗り出して貴方に注目していますね。彼は何をそんなに凝視しているのでしょうか。人相?乗車人数??答えはナンバープレートです。車のナンバープレートにはいくつか文字が書いてありますが、上段に地名が書いてありますよね。その横に2桁か3桁の数字が並んでいます。この数字で、その車の大きさや用途がわかるんです。“5ナンバー”とか“3ナンバー”とか言いますが、それこそこの数字のことです。5で始まる場合はいわゆる5ナンバー車輌ですし、3で始まれば3ナンバー車輌です。1ナンバーや4ナンバーは商用車です。合わせてプレートの色も大切です。皆さんの車は白色の板に緑色の文字が書いてあるはずです(軽自動車は黄色地に黒字)。バスやタクシーは反転しています。これは二種車輌で、人や物を運ぶことで運賃を徴収している車輌です。料金所の係員さんは、瞬時にそれを見分けて、対応するチケットを差し出します。

車輌情報の収集(ETC搭載車輌)

では、ETCを利用している場合はどうでしょう。車載器と呼ばれる機械を車に取り付けます。この車載器に、必要な車輌情報を記憶させておきます。この作業をセットアップと呼びます。車検証情報をもとに、“この車は、練馬305つ12-34です。自家用です。トヨタのプリウスです。牽引の機能はありません。バスではありません。わたしはハイブリッドエンジンを搭載した車です。持ち主はだれそれで、住所はどこそこです。連絡先(電話番号)はほにゃらら番です。”と、ここまで入力されます。車載器は、料金所にある機械とこれらの情報を交換しています。道路の管理者は、その車が“何時何分にどこから乗った”ことまで収集できます。

支払者情報の収集

出典:http://www.go-etc.jp/smp/card/c_etc.html

さぁ、名古屋に到着です。料金所にて。一般車両は手渡しで支払いますので、特に支払者の情報は収集しません。クレジットカードで支払う場合は、システム上、あなたの情報が伝わりますけど。ETC搭載車の場合、名古屋料金所でも設置された機械の下をくぐります。その際に、“どこそこのだれそれがトヨタのプリウスに乗って、何日の何時何分に東京で乗って何日の何時何分に名古屋で降りました”という情報が道路管理者に伝わる仕組みです。ETC搭載車の場合は、専用のカードを車載器に差し込んで使います。このカードに支払者情報が記録されています。個人の場合は、ほとんどがクレジットカード会社とタイアップカードになっていますので、クレジットカードの使用料金と同様に徴収される仕組みです。

どんなメリットがあるの?

とりあえず、概要というか使い方はご理解いただけましたね。では、実際に使うとどんなメリットがあるのでしょうか。道路管理者・利用者双方の視点から考えてみましょう。

道路管理者のメリット

まずは道路管理者のメリットを考えてみましょう。なによりも、料金所で発生する渋滞の緩和ではないでしょうか。方や通行料金の授受が行われている時間は停車しています。方や低速とは言えノンストップで通過するわけですから、比較のしようがありません。と言うよりも、もはや土俵が違う話です。それから、領収間違いが無いということでしょうか。職員の方々のがんばりには頭が下がりますが、発券時の区分間違いはゼロではありません。私も経験がありますが、自動発券機でも特殊なサイズの車には対応できず、間違った区分のチケットが出てきたことがあります。事前に車輌情報を登録してありますので、そのような間違いが起きません。現金授受時代とETC時代の間にハイウェイカードの時代がありました。停車時間が格段に短く、料金所の渋滞緩和に一役買っていましたが、偽装カードが横行するようになったため、廃止されてしまいました。ETC時代の登場は、道路管理者にとっては夢のシステムだったことでしょう。

わたしたち利用者のメリットは?

では、私たち利用者にとってはどんなメリットがあるのでしょう。確かにノンストップはありがたいですよね。でも、車載器だってただじゃないし、取り付け費用やカードをつくる手間も。おっしゃる通りです。きっと踏み切れていないみなさんは、そのあたりがネックになっているのでしょうね。例えば高速自動車道を管轄しているNEXCO3社(西・東・中日本)では、“深夜割引”や“休日割引”を実施しています。決められた時間帯に利用した場合は最大30%の割引を受けられます。3割ですって。例えば先ほどの東京~名古屋を休日に利用した場合、そのままだと7,110円かかりますが、ETC搭載車でしたら5,250円なんです。まったくと言って良いほど高速道路を利用しない方には無理強いすることはできませんが、半年に一度でもそこそこの遠出をされる方でしたら、年間通して考えれば車載器+取り付け(セットアップ込)くらいの費用は捻出できそうですよ。クレジットカードを1枚でもお持ちでしたら、ETCカードが発行できるか確認してみてください。さらに、マイレージサービスもあります。利用した金額に応じてポイントが付与され、還元額(無料通行分)と交換できる制度です。

良いことばかり?

ETCはメリットばかりの夢のシステムなのでしょうか。すべてが正常に機能していれば、そう言って良いと思います。ですが、残念ながらシステムの不具合によるもの、利用者の過ちによるもの、どちらも少なからずトラブルが起きています。その内容もしっかりと把握して、同じトラブルを招かないように備えたいですね。

ゲートが開かないケースその1 走行ルート

http://www.jaf.or.jp/

これは必ず起こるわけではないようですが、可能性があることとして認識してください。出発して高速道路に乗ったものの、大切なものをわすれてしまいました。幸い予定の時間までには余裕があるし、ぐるりと環状になったルートなので一回りして戻ろう。いかがでしょう。希なパターンですが、ゼロではないと思います。はじめに入ったインターチェンジと同じインターチェンジで降りようとすると、ゲートが開かない事があるそうです。また、進行方向が限定されている(料金所で合流しない)インターチェンジで、走行ルートとの整合がとれない場合も開かないことがあるそうです。

ゲートが開かないケースその2 通信トラブル

http://www.jaf.or.jp/

一部の車両では、フロントガラスなどで電波を乱反射させてしまい、“マルチパス”と呼ばれる現象が起きることがあります。一度に複数の、しかも同一の信号を受け取ることで混乱をおこし、異常と判断されてしまうそうです。また、ETCで利用している電波の周波数が、他の機器(ISM機器・アマチュア無線など)と共用されているため、混信が起きることもあるそうです。以上のことから、さまざまな理由によって常に確実な通信ができることは保証されていません。

ゲートが開かないケースその3 機器トラブル

http://www.jaf.or.jp/

意外に多いのが、ETCカードの期限切れによるトラブルです。クレジットカード会社が発行するETCカードには有効期限のあるものが多く、期限が切れているカードではETCは作動しません。車載器にカードを挿入しっぱなしにしている方は特に注意が必要です。比較的新しい車載器には、有効期限を読み上げる機能や期限切れを知らせてくれる機能が付いていることが多いのですが、初期のものには付いていないので、必ず確認してから運行するようにしましょう。車載器自体の取り付け不良によるトラブルも少なくないようです。音声やシグナルなど、正しく作動していることを確認してから利用しましょう。

危険を回避するために

出典:http://www.c-nexco.co.jp/safety/justincase/etc/

上述したようにトラブルの可能性はゼロにはなりません。常に確実な通信ができることも保証されていません。利用規程には、“開かない場合に衝突しないように通行する”ことが求められていますので、開閉バーが開かずに衝突などの事故が発生した場合は、原因が運転者にない場合でも事故の責任は運転者が負うことになります。また、安全速度の20km/hを越えた速度で通過しようとしてバーの開きが間に合わず、急ブレーキをした場合は違反行為となります。万一後続車が追突した場合は、交通事故原因をつくったとして刑事、民事、及び行政責任を問われることになります。もちろん、追突した側も責任を問われることになります。いつでも止まれる速度で通過するようにしましょう。

ETCの未来

正しく利用すればとても便利で有効なETC。未来はどんな姿になっているのでしょうか。

今はその可能性のほんの一部

出典:https://www.go-etc.jp/etc2/etc2/service.html

もともとETCは、料金徴収の目的だけに考えられたわけではありません。Intelligent Transport Systems=ITS、高度道路交通システムの一部として考えられたのです。高度道路交通システムとは、走行中の車輌情報を集約し、効率よく円滑に交通網が利用できるようにすることです。難しく聞こえますが、平たく言えばお互いの情報を有効活用することです。たとえば、同じ場所に複数の車輌がとどまっていれば、そこには渋滞が発生しているということです。この情報を、その後にその場所を通過する予定の人に知らせるとか、さらには迂回路の情報を与えるなど、活用できますよね。ワイパーの作動状況を把握して、局所的な雨を近くに人に知らせることもできます。乗り合いバスの位置情報をバス停の表示板やスマートフォンに表示できれば便利ですよね。一部の車種では始まっていますが、衝突センサーやエアバッグの作動情報によって事故現場を把握したり、ドライバーの異変を感知してレスキューを呼んだりと、その可能性は無限大と言って良いでしょう。

<日本における9つの開発分野>
1.ナビゲーションシステムの高度化
     VICS
2.自動料金収受システム
     ETC
3.安全運転の支援
     AHS(高速道路を中心とした安全運転の支援システム)
     DSSS(一般道路を中心とした安全運転の支援システム)
     先進安全自動車(ASV、車両を中心とした安全運転の支援システム)
4.交通管理の最適化
     UTMS(交通信号機を核とする警察版のITS)
     駐車場案内システム
5.道路管理の効率化
6.公共交通の支援
     PTPS(公共車両優先システム)
     TDM(交通需要マネジメント)
     IMTS (磁気誘導式鉄道とも呼ぶ。法的には鉄道扱い)
     デマンドバス
     パークアンドライド
7.商用車の効率化
     共同配送
     ロケーション管理システム
8.歩行者等の支援
9.緊急車両の運行支援

出典:ja.wikipedia.org

すでに動き出している未来

出典:https://www.go-etc.jp/etc2/etc2/service.html

最近、にわかに聞こえてくる“ETC2.0”という言葉をご存知ですか。ETCの第二世代と言っても良いでしょう。新しいETC2.0システムでは、道路側のアンテナであるITSスポットとの高速・大容量、双方向通信により、世界初の路車協調システムによる運転支援サービスを受けることができるようになります。また、特定の時間や場所に車輌が集中するのを減らしたり、事故を未然に防いだり、道路の劣化を緩和することも可能になります。その結果、限られた道路ネットワークでも、より効率的に長期的に使える「賢い使い方」ができるようになるのです。たとえば、今走っている道路の合流地点情報や出口情報など、タイムリーに知ることができたら便利ですよね。落下物や合流注意地点、先の見えない急カーブなどを事前に図形と音声で注意喚起できればドライブ中のヒヤリをなくすことが可能です。災害発生と同時に、災害発生状況と併せて支援情報も提供できるようになります。予測のつかない災害時も、落ち着いた行動がとれますね。現在のETCレーンにはゲートバーが設置されていますし、時速20km以下という制限もかかっている状況です。シームレスな料金体系の導入時期に合わせ 新設計料金所の設置も計画されています。一定速度で通過できる新設計料金所を設置する計画です。ETCの活用シーンは、高速道路から街中へと広がります。 有料道路の料金支払いだけではなく、街中での駐車場料金支払いや車両の入庫の管理など、ETCの多目的利用が推進されています。さらに安全で便利な車社会が到来します。