ミッションオイルの交換時期。つい忘れてしまうミッションオイル交換。

オートマ車が増えている中、ミッションオイルの交換はなかなか意識することがありませんね。ガソリンスタンドも最近はセルフが多くなり、チェックしてくれるということも少なくなっています。自分自身で交換時期を理解しておかないと、車が動かなくなってしまうこともあるくらい重要なオイルです。そのミッションオイルについての役割と交換時期をご紹介します。

ミッションオイルの基本的な知識

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クルマのオイル交換で、みなさん意識しているのはエンジンオイルが多いと思います。エンジンオイルは1年に1回や5,000km、10,000kmに一度のペースで交換することが多いと思います。これだけ交換しておいたら問題ないだろうと思われている方も多いかと思いますが、実際クルマにはいろいろな箇所でオイル(フルード)が使われています。
これらのオイルは潤滑を目的としているため、劣化すると本来の潤滑性能が発揮されずに、最悪壊れることも考えられます。ミッションオイルもその一つになります。ミッションオイルと言っても、最近はほとんどがAT(オートマチック)車両が大半で、クルマにミッション(変速機)がついていることすらも感じないですよね。
そのため、ミッションオイル交換をすることを忘れてしまう方も多いのではないでしょうか。新車で購入して、ディーラーで定期点検や車検を受けていたら、定期的におすすめしてくれるので変えることになるかと思います。しかし、中古車を購入して点検は2年に1回の車検のみという場合。車検費用も最近は価格競争が激しいために、通常の点検プランにはミッションオイル交換は入っていないこともあります。
交換する時期を知っておくことで、車検のタイミングなどで交換できますよね。オイル交換しないがためにミッションが壊れて数十万の出費とならないよう、ミッションオイルについての交換時期や知識を身につけておきましょう。

ミッションオイルの役割

ミッションオイルの役割は潤滑です。ミッションの各ギアが変速時にスムーズにシフトチェンジできるようにオイルが潤滑してくれています。マニュアルミッションの場合、1速から5速。多い車で6速や7速あり、これにバックギアと全体のギア比をコントロールしているファイナルギアがあります。
これらのギアがシフトチェンジごとにミッション内部で切り替わるイメージです。
ギアは簡単に欠けてはいけないため、それなりの強度を持って作られています。この強度を持ったもの同士が常に噛み合って回ることでクルマは動いています。硬いギア同士がオイルなしに噛み合うと、高速で回転するクルマのギアはすぐに熱をもって焼き付いてしまいます。このようにならないために、ミッションオイルが潤滑しているのです。

ミッションオイルの弱点

オイルが劣化するのはどのような時なのか。オイルは熱や酸素にて劣化していきます。オイルの劣化とは、具体的には酸化することで、通常の粘度を保てなくなる状態です。ミッションオイルには粘度があり、その粘り気があることでミッションのギアとギアが噛み合った場合でもスムーズに動いてくれるのです。
粘度がなくなると、サラサラの状態になっていくため、全く潤滑の役割を果たさなくなります。このような酸化を促進するのが熱や酸素になります。そのため、クルマにそんなに乗っていないからオイル交換しなくてもいいという考えは間違っていることになります。オイルは常に酸素に触れている状態になります。乗らなくても劣化してしまうのです。
そして、オイルの天敵である「熱」。オイルは熱を加えると酸化が進みます。この熱にどれだけ耐えられるのかが、オイルの粘度によって変わってきます。粘度が高ければ一般的にはそれだけ熱にも強いことになります。
では、粘度の高いオイルを入れておけばOKと思うでしょうが、実はそうでもないのです。粘度が高いと今度は粘り気が強すぎて、ギアとギアがスムーズに変速してくれなくなります。適度な粘度のオイルを入れないと、ミッションを痛めてしまうことにもなってしまうのです。

マニュアル車のミッションオイル交換時期

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最近はマニュアル車両も少ないので、マニュアル車に乗っているオーナーはクルマへの愛着があるため、ミッションオイル交換は意識して行っているかと思います。マニュアル車のミッションオイル交換は、よく言われるのがエンジンオイル交換2回したら1回ミッションオイルを交換するのが良いと言われています。
整備書などではクルマによっても異なりますが、2年20000kmと記載されていることが多いです。一つの目安としては、このタイミングでの交換が良いでしょう。
ただし、前項で紹介したようにオイルは酸素や熱に弱いです。普通に乗っている分には上記の交換時期でも問題ないですが、例えばシフトチェンジを頻繁に行うような走行をしている場合、ミッション内部の油温も上昇します。このような走りを多くしている場合は劣化が早いため、交換サイクルも通常よりか短くなります。

オートマチック車両のミッションオイル

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オートマチック車両の場合、厳密にはミッションオイルとは呼びません。ATF(オートマチックトランスミッションフルード)と呼びます。オイルとフルードの違いは、どちらも油(オイル)ということには変わりありませんが、それぞれの目的がことなります。
ミッションオイルの役割はご紹介したように「潤滑」です。その一方でフルードと呼ばれるものの役割は、圧力をかけて「作動」させることを主な目的としています。オイルが潤滑油と呼ばれるのに対して、フルードは作動油などとも呼ばれます。

オートマチックの構造とATFの役割

ATFの役割は、大きく分けて3つあります。

1. 動力伝達
マニュアル車はクラッチというエンジンの動力をミッションへ伝える部品があります。クラッチペダルを離す事でエンジンの力をミッションに伝えます。しかし、オートマ車にはクラッチペダルがありません。アクセルペダルとブレーキペダルの2つのみです。ではどのようにエンジンの動力をミッションへ伝えているかと言うと、トルクコンバータと呼ばれる部品を使っています。
このトルクコンバーターがフルードを媒体として、エンジンの力をミッション側へ伝えています。つまり、マニュアル車のクラッチの代わりをATFが担っているのです。

2. 油圧作動油
オートマ車は、ギアの切り替えを全て自動で行ってくれますが、どのギアを選択したら良いかはコントロールバルブと呼ばれる複雑な回路が使われています。そして、この回路を切り替える為にATFの圧力を利用しているのです。ATFの圧力を利用してコントロールバルブの回路が切り替わり、走行状況に見合ったギヤに自動で変わって走っているのです。

3. 潤滑・冷却作用
AT内部には様々なギヤやクラッチ、ベアリングが使用されています。これらの潤滑や冷却も大切な役割になります。この役割はオイルと同じになります。

ATFの交換を怠るとどのような症状が発生するのか

ATFもミッションオイル同様に熱に弱いです。ATFには様々な添加剤が入っています。上記のようにATFに求められる役割は多い為、それぞれの役割をどのような環境でも果たせるように作られています。そのため、添加剤を利用して様々な環境に対応できるように作られています。
しかし、この添加剤が熱に弱いのです。当然ながら走行すれば圧力として使われるATFなので、油圧が上がり且つかき混ぜられたりします。高速走行や坂道などで負担がかかったりするとATFの温度が100℃くらいまで上昇します。
このような状況が繰り返されることでATFは劣化し、酸化していきます。適切な交換のタイミングで交換をしないと、エンジン動力の伝達という重要な役割が果たせなくなります。症状としては、アクセルを踏んでいるのに加速がいつもよりか鈍いなどです。これによって燃費も悪くなります。
また、劣化することで油圧作用が悪くなり変速時のショックが起きたりもします。これは明らかに症状として分かります。
そして、一番最悪のパターンがこれです。摩耗粉がフィルターでは除去しきれなくなるほどATF内に多くたまり、コントロールバルブの回路切り替えの邪魔をしてしまうパターンです。これが発生すると変速しなくなったり、エンジンが止まったりすることもあります。

オートマ車のミッションオイル交換時期

出典:http://www.tokyo-subaru.co.jp/web/service_onepoint/service1001.html

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オートマ車を運転しているとATF交換に意識がいかないものです。適切な交換時期を理解して交換することをおすすめします。
では、ATFの適切な交換時期をご紹介します。一般的には40,000~50,000kmと言われています。もちろん使用状況によっても変わって来るため、早めに交換しておくのがおすすめではあります。
そして、ATF交換の一番重要なポイントは、ある時期を過ぎて交換していないと、交換が出来なくなってしまうということです。これはどういう事かと言いますと、過走行車はオートマチックトランスミッション内部に摩耗粉が多くあり、新品のオイルに交換することでこれらが巻き上げられて目詰まりを起こす危険性があるのです。
また、新しいATFにはミッション内部を洗浄する作用もあります。これによってミッション内に蓄積していた金属磨耗粒子を活性化し再循環させてしまうことがあります。
これらの摩耗粒子によって変速ができなくなることが発生するため、一定の交換時期を逃すと交換を断られるケースが出てきてしまうのです。

ミッションオイルの種類

出典:http://evo.mkjp.net/2008/01/post_162.html

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SAE規格

これまでにオイルの粘度という表現を多く使ってきましたが、粘度とはオイルの粘っこさの度合いを表す尺度になります。粘度はオイルの性状の中で最も大切なもので、クルマに合ったミッションオイルを選ぶには、適切な粘度を考えて選ばないといけません。
その際、オイルを選ぶ基準として世界的に普及しているのがSAE粘度番号と呼ばれる粘度分類です。例えばギアオイルで粘度表記が75W-90と記載されているようなものです。これは低温粘度から高温粘度の対応範囲を示しています。表記中の「W」はWinterの意味です。
オイルには単一粘度番号のシングルグレードと二つ以上のSAE粘度番号を兼ね備えたマルチグレードがあります。マルチグレードは季節によって使い分ける必要がないのでオールシーズンタイプオイルとも呼ばれています。

■シングルグレード
使用できる温度の範囲が限られており、気温に応じて使い分けが必要となるため、季節ごとに交換が必要なオイルとなります。SAE20、SAE30、SAE40などと表示されます。

■マルチグレードオイル
使用できる温度の範囲が広く、SAE75W-90、SAE80W-120、SAE80W-140のように表示され、シングルグレードに比べ幅広い気温に対応できるため、オールシーズン使うことができます。

GL規格

GL規格とは、米国石油協会によって定められたギアオイルの極圧性基準です。極圧性とは、摩擦面の接触圧力が高く,油膜の破断が起こりやすい潤滑状態を表します。高い力が掛かるギアとギアがかみ合うときに、極端に言うとそこにオイルが存在しないことがあります。
この為にギアオイルには対極圧性を高く求められ、それに対応する基準としてGL規格があります。GLの数値が高いほど、極圧に対する性能が上がります。GL規格は6等級に区分され、数字が増えるほど添加剤の割合が多く、極圧性が増しています。
普通乗用車では、GL4もしくは5の規格となります。

まとめ

ミッションオイル、ATFの役割とその交換時期についてご理解いただけましたでしょうか。ミッションオイルもATFも、クルマを走らせるために潤滑したり作動させたりと、とても重要な役割を担っていることがわかったかと思います。
普段なかなか意識することのないオイルにはなりますが、交換を怠ると最悪の場合はミッションが壊れてクルマが動かなかくなってしまいます。そのようなことにならないよう、車検ごとにオイルの状態をチェックしたり、前回交換した時期を確認してみるなど、交換のタイミングを意識してみてください。
どのオイルを選んだらいいかわからなくなることも多いかと思いますが、基本的にはメーカーが指定している純正オイルやフルードを入れておきましょう。最近のトランスミッションはとても精密に組まれており、オイルやミッションも指定のものでないとうまく作動しないということもあります。
最寄りのディーラーに行けば純正指定のオイルがわかります。量販店や整備工場でも情報を持っていることかと思いますので、自分で判断せずに確認してから交換するようにしましょう。