【エンジン】4ストロークの仕組みが解ると車の性能が見えてくる

今回は図解だけでは分かりづらいエンジンの「仕組み」についてアニメーション(GIF)や動画を参考に、車やバイクの大部分で使われている4ストロークエンジンを中心にお話をさせていただきます。「仕組み」が分わかれば愛車への理解も深まるし、車選びをする際にもきっと役に立つと思いますよ。

あらためて「エンジン」ってなんだろう?

まずは語源から調べてみた

語源と用例

語源はラテン語のインゲニウム(ingenium)で、『生まれながらの才能』『賢さ』を意味した。1300年頃のフランスではenginと表記し『能力』や『賢さ』に加え、『戦争に使われる機械』の意味でも用いられた。その後、『仕掛け(trick) 』『器具(device)』『機械(machine:特に軍用のもの)』を指して用いられ、やがて18世紀には、『エネルギーを動力に変えるもの』という現代で用いられている意味をもつようになった。
この時代のエンジンの典型が『蒸気機関(steam engine)』であったことから単にengineといえばsteam engineを意味した。これと同様の省略法が現代でも用いられており、単にエンジンといった場合『自動車で使用されるエンジン』を指すことが多い。また、fire engineとはポンプを備えた消防車を表す。現代の自動車のエンジンは内燃機関である。

出典:ja.wikipedia.org

Wikiさんによると現代の自動車のエンジンは内燃機関であり、単にエンジンといった場合『自動車で使用されるエンジン』を指すことが多い。ということなので、まずは「内燃機関」について調べてみました。

内燃機関

内燃機関(ないねんきかん)とは、インターナル・コンバッション・エンジン(internal-combustion engine) の訳語であり、内部(インターナル)で燃料を燃焼(コンバッション)させて動力を取り出す機関(エンジン)である。燃料をシリンダー内で燃焼させ、燃焼ガスを直接作動流体として用いて、その熱エネルギーによって仕事をする原動機。これに対して、燃焼ガスと作動流体が異なる原動機を外燃機関という。「機関」も「エンジン」も、複雑な機構を持つ装置という意味を持つが、ここでは発動機という意味である。

出典:ja.wikipedia.org

Wikiさんの知恵はこんな時にホント頼りになりますよね。(感謝)ちなみに対義語みたいな「外燃機関」も気になるのでついでにいうと、蒸気機関・蒸気タービンの様に「作動流体」は蒸気で、燃焼するの燃料は石炭やガスといった熱機関のことです。ということは「水素ガスエンジン」ってもしかしたら「外燃機関」自動車ってこと!という様な想像を巡らせつつ、今回のテーマ「4ストロークエンジン」について仕組みから見ていきましょう。

自動車エンジンの横綱「4ストロークエンジン」

「4ストロークエンジン」ってどんな仕組み

この動画は海外で流されているNISSANのCM映像だと思うのですが、スロー再生したら自動車専門学校の教材で使えるんじゃないかと思うぐらい仕組みがわかる動画に仕上がっています。興味のある方にはオススメです。4ストロークエンジン(おまけにターボ付き)が内燃機関だという事、普段は何気なくキーを回してエンジン始動しているけど、エンジン内部ではこんな風にガソリンが燃えて車が動いていることがわかって感慨深いですよ。

[iframe width="560" height="315" src="https://www.youtube.com/embed/hNtsx78ZTBs" frameborder="0" allowfullscreen][/iframe]

エンジンはピストンの上下運動をクランクシャフトによって回転運動に変えています。吸入→圧縮→燃焼・膨張→排気の4つの行程に於けるピストンの上下運動から熱エネルギーを取り出すので「4ストロークエンジン」と呼ばれています。下のアニメーションで分かる様にピストンの上下運動の片道が1ストロークの合計4ストロークという事ですね。ここで考えるのは4ストロークの中で熱エネルギーで動いているのは1ストローク(燃焼・膨張)のときだけとういう事実です。あとの3ストロークはというとクランクシャフトの重り(カウンターウェイト)の遠心力と慣性で動いていることになります。例えば単気筒エンジンの燃焼・膨張はクランクシャフト2回転(720°)で1回とうい間隔なので、音楽でいう「4拍子」の1拍目だけ音がして後の3拍が余韻の状態です。これだと高出力・高回転は期待できませんし振動も大きくなります。そこで多気筒化が進められたということになります。

出典:http://makeagif.com/Qox9Cm?

多気筒化の目的

多気筒化は、4ストロークのクランクシャフト2回転(720°)に対して、搭載する車の目的に合わせてどれくらい間隔で燃焼・膨張の力が必要とされるかを検討し、それによって気筒数を決めて高回転化・高出力化が図られます。例えば4気筒なら720°/4=180°。クランクシャフトが720°回転する間に180°に1回の間隔で燃焼・膨張の力をクランシャフトに伝えています。6気筒なら120°に1回、8気筒なら90°に1回の間隔という具合です。そうなると720°の4ストロークで燃料を燃焼させる回数が増える訳ですから燃費は悪くなります。分かりやすく極端に表現するとタイヤ一回転に対してどれだけ燃焼・膨張をさせるかとも言えるからです。1回の燃焼・膨張でタイヤを一回転させるより、数回の燃焼・膨張でタイヤを一回転させる方がタイヤが早く力強く回ることはイメージできると思います。フェラーリの様なスポーツカーやマイバッハの様なショーファーカーが多気筒で大きな排気量のエンジンを積んでいるのは早く走るため、大きくて重たい車を動かすために、燃焼・膨張の力を多く使いたいからなのです。

多気筒化のもう一つの狙い

多気筒化のもう一つ狙いは単体部品の軽量化による高回転能力の向上です。排気量が同じなら多気筒化した方がピストンをはじめとする高速で稼働する部品を小型化することができます。部品点数が増えて機構的には複雑になりますが、部品の小型軽量化のメリットはエンジン性能に大きな影響をもたらします。この多気筒化と軽量化がエンジンの形状にも様々な選択肢を与えています。

エンジンの型式(形状)の違いって何

直列型

もっともオーソドックスな形状の直列型はシリンダーヘッドが一つで済むのでコンパクトで機構が他の形状と比較してシンプルです。しかし、どのピストンもクランクシャフトに対して、ほぼ垂直方向に力が働くので、クランクシャフトの回転方向に対する横方向の振動が発生しやすいのです。気筒数が増えればよりスムーズになって振動は抑えられてはきますが、エンジンが長くなってしますので6気筒あたりが自動車では限界の様ですね。船舶のエンジンでは10気筒以上の直列型エンジンも存在しています。

出典:http://auto.howstuffworks.com/engine2.htm

V型

V型は燃焼・膨張の力がクランクシャフトにかかる方向が左右に開いたシリンダーの角度で決まります。そしてクランクシャフトは一定方向に回転しているので、力の加わる場所が左側はクランクシャフトの描く円の上死点、右側は下死点からみたバンク角の位置で燃焼・膨張の力が加わります。そのために気筒数とバンク角のバランスが良ければ左右からの振動を互いに打ち消して振動が軽減されますが、その調和が取れないと上下左右の振動が逆に大きくなる可能性もあります。バンク角の理想は8気筒なら90°、10気筒なら72°、12気筒なら60°という様に720°を気筒数でわり算した角度だと言われています。またV型のメリットとして高回転・高出力が求められる車の場合にエンジンの省スペース化への貢献度が高いことがあげられます。

出典:http://auto.howstuffworks.com/engine2.htm

水平対向型

水平対向エンジン(通称:ボクサーエンジン)は左右対象の配置なので振動が相殺されます。水平対向エンジンの長所は低振動と低重心だとい言われています。またシリンダーブロックの配置が外気による冷却性に優れているので、空冷エンジンとして旧式のポルシェやビートルで採用されていました。また日本のスバルでは水冷ですが現在も水平対向エンジンを採用しています。直列型やV型に対して車に載せる際に平面スペースが必要とされるので車体への影響が大きいエンジンとも言える。

出典:http://auto.howstuffworks.com/engine2.htm

「シリンダーヘッド」の仕組みと役割

燃焼室はシリンダーヘッドにあった

4ストロークエンジンに「燃焼・膨張」とう行程がありますが、詳しく言うと「燃焼」とういう現象と「膨張」という現象が1ストロークの中で起こっていると言えます。その燃焼が起こる燃焼室が下の画像の円形の4つの部品(バルブ)がある凹み部分です。そして凹みの真ん中の穴に点火プラグが顔を出します。

(1)吸気(ピストンが下がる)…二つの吸気バルブ(外形の大きい方)が開いて混合気をシリンダー内に導入します。
(2)圧縮(ピストンが上がる)…吸気バルブが閉じた密室空間で燃焼室内に混合気が圧縮されます。
(3-a)燃焼…点火プラグによって混合気が着火されて燃焼します。
(3-b)膨張(ピストンが下がる)…燃焼と同時に圧縮された空気が一気に膨張します。
(4)排気(ピストンが上がる)…二つの排気バルブ(外形の小さい方)が開いて燃焼後のガスをシリンダー外に押し出します。

出典:http://www.hayabusazone.com/cylinderheads.html

このようにシリンダーブロックに組み込まれたピストン・コンロッド・クランクシャフトが「圧縮」と「膨張」の役割を担い、シリンダーヘッドに組み込まれた「吸気バルブ」「点火プラグ」「排気バルブ」という部品が「吸気」「燃焼」「排気」の役割を担っています。この吸排気のバルブを動かしているのが「カムシャフト」という部品です。この「カムシャフト」という部品の配置や数が高回転化・高出力化又は省燃費化に対して重要な役割を果たしているので、現在も研究や改良が進められています。シリンダーヘッドはエンジン性能を決める頭脳的役割なんですね。そのシリンダーヘッドに装着されている「カムシャフト」について代表的な3つの配置スタイルを次にご紹介します。

DOHC(ダブル・オーバー・ヘッド・カムシャフト)

一般車への普及年代:1980年代〜
吸気バルブと排気バルブをそれぞれのカムシャフトで動かす機構。下のアニメーションと画像で確認頂けると思いますが、吸気バルブに対して1本、排気バルブに対して1本、それぞれに専用カムシャフトを設けてバルブを開閉させています。「シリンダーヘッドの上にカムシャフトが2本あります。」ということをDOHC(ディー・オー・エイチ・シー)と呼んでいます。

出典:http://www.samarins.com/glossary/dohc.html

出典:http://www.performance-car-guide.co.uk/car-tuning/engine-tuning.html

SOHC(シングル・オーバー・ヘッド・カムシャフト)

一般車への普及年代:1970年代
吸気バルブと排気バルブを一本のカムシャフトで動かす機構。DOHCの写真と比較してもらうとわかるとおりシンプルな機構です。部品点数も少なく軽量・コンパクトで経済性に優れています。

出典:http://www.samarins.com/glossary/dohc.html

出典:http://www.picautos.com/9197-ford-expedition-54.html

出典:http://www.mgexp.com/phorum/read.php?1,2468543

OHV(オーバー・ヘッド・バルブ)

一般車への普及年代:1960年代
吸気バルブと排気バルブをカムシャフトとロッカーアームとプッシュロッドで動かす機構。画像の逆への字型の部品がロッカーアーム、それを支えている棒がプッシュロッドです。カムシャフトはアニメーションの様に下端から棒を押し上げてロッカーアームを介して吸排気バルブの開閉をします。

出典:http://www.samarins.com/glossary/dohc.html

出典:http://www.turbopacs.com/dragon-motorbikes/motorbike-tuning/

出典:http://www.bikebandit.com/blog/post/guide-to-types-of-motorcycle-engines

画像のV型OHVエンジンはあの「ハーレーダビッドソン」のエンジンです。ハーレーダビッドソンの様な伝統的なスタイルを維持することがブランド価値につながるバイクでは現在でもOHVが採用されていますが特殊な事例ではあります。でもあの「音」と「振動」は魅力ありますよね。さすがに自動車ではOHVは他の2つのタイプと比較して部品点数や高回転化に向かない機構など、現代においてはディメリットが多いのでごく一部の車種以外に新たに採用されることは無くなっています。

ちょっと寄り道「2ストローク」も見てみよう

OHVの話で「ハーレーダビッドソン」を登場させたので、バイクに多く使われている2ストロークエンジンについてもちょっとだけ触れておきましょう。
1ストローク(ヒストンが上がる)圧縮→1ストローク(ピストンが下がる)吸気・燃焼・膨張・排気の行程をクランクシャフト1回転、ピストンが上下1往復(2ストローク)で行う機構です。

出典:http://imgur.com/gallery/eatFH

上のアニメーションを見ていただく通り、バルブもカムシャフトもなく非常にシンプルな機構です。このシンプルな構造がラジコン、芝刈り機、発電機、バイク、船舶用エンジンなど用途を問わず幅広く使われている大きな理由です。

カムシャフトとバルブ

下の画像の様に丸い棒に「おにぎり」が串刺しになった様な部品が「カムシャフト」です。この「おにぎり」の山が吸排気のバルブを開閉させています。

出典:http://vengeanceracing.net/2014-c7-corvette/cylinder-heads-valvetrain/camshafts.html

カムシャフト配置の潮流

普及年代が新しいタイプから代表的な3タイプをご紹介しましたが、機構として実用化されたのはどのタイプも1940〜1950年代で大きな差はありません。機構が複雑でコストもかかるのでDOHCはレーシングエンジンやハイスペックの高級車の様な高回転・高出力が要求される車種に限られ採用されていました。その後、徐々に普及して現在では軽自動車にも採用されています。さすがにOHVは他の2つのタイプと比較して部品点数や高回転化に向かない機構など、現代においてはディメリットが多いのでごく一部の車種以外に新たに採用されることは無くなっています。

出典:http://www.superstreetonline.com/how-to/engine/modp-1008-cylinder-head-porting/

カムシャフトの配置にこだわる理由

エンジンが高回転化されるほど吸排気バルブの開閉時間は短くなります。しかし、開閉時間に関係なく燃焼に必要な混合気を取り入れたり、排気に必要な開口面積を確保する必要があります。そこで燃焼室内(凹み部分)で出来るだけ大きい吸排気面積を得るためにバルブ数を増すの方法が採られています。カムシャフトは吸排気バルブを動かすためにあります。そのバルブ数を増やすためにカムシャフトの配置や機構が適しているDOHCが現在は主流となっています。

ここで簡単な計算で多気筒化とDOHCがどうして高回転・高出力なのか説明します。
エンジン最高回転数が7,200rpmとします。4ストロークはクランクシャフト2回転で1サイクルなので1分間に3,600回行なわれていることになります。その1/4が1ストロークの回数なので1分に900回行なわれていることになります。このエンジンが4気筒の場合だと吸気行程におけるバルブの開閉時間は約0.27秒となります。
(吸気は1分間で900回÷4気筒=225回/気筒、60秒÷225回/気筒=0.27秒の吸気で可能な開閉時間)

このエンジンが8気筒の場合は倍の約0.54秒になります。
(吸気は1分間で900回÷8気筒=112.5回/気筒、60秒÷112.5回/気筒=0.54秒の吸気で可能な開閉時間)

4気筒の吸気バルブが0.27秒の開閉時間で取り入れられる混合気でちゃんと「燃焼・膨張」行程が行えるなら、V8エンジンでは同じ条件になるまでの倍の回転数14,400rpmまで上げられることになります。また、この時の吸気バルブ開閉時間内に必要な混合気が4バルブで確保された面積によるものだった場合、SOHC2バルブでは混合気が不足してしまい追随出来なくなってしまいます。現実にはこの計算の様に単純ではありませんが理屈として多気筒化・DOHCが高回転・高出力に向いてるということがご理解いただけたと思います。

4ストロークエンジンの進化

現在は高回転化・高出力化以外に省燃費化、高効率化など目的の幅も広がり技術も日進月歩しています。SOHCで4バルブ化されたエンジンであったり、燃費向上のために低回転で2バルブ、高回転で4バルブになる機構を得るためのDOHCエンジンであったり、シリンダーヘッド周りでの研究・開発は進められています。更に部品の軽量化、燃料噴射技術、吸気過給システム、ディーゼルなど4ストロークエンジンは新たな仕組みで時代の要求に合わせて進化していくのでしょう。

エンジンの仕組みをもっと詳しく知りたい人へ

簡単に4ストロークエンジンについてお話をさせていただきましたが、もっと最新のエンジン事情について知りたい方はこちらの本がおすすめです。

ワールド・エンジンデータブック2015-2016 (モーターファン別冊)

¥2,160

販売サイトへ

エンジンの基本的な仕組みについて理解を深めたい方にはこちらの模型がおすすめです。スケルトン模型なので完成したらライティングをしてインテリアの一つとしてもオシャレで素敵かもしれないですね。

エンジン模型 スケルトンエンジンプラモデル Smithonian スミソニアン

¥7,340

販売サイトへ