【ランチアイプシロン】は“さすが”と言いたくなる高級ピッコロなんです

ランチアイプシロンっていう車をご存知ですか。フィアットグループで高級車を受け持つランチアがつくる小さな車なのですが、実に良くできた車なんです。残念ながらフィアットとクライスラーとの関係で、日本にはクライスラー版が導入されていました。現行モデルは3代目になりますが、初代モデルからどれをとっても良く作り込まれた高級車です。日本のコンパクトカーにも大きな影響を与えた車だと言われているんです。

ランチア イプシロンという車

出典:http://www.autonoleggiomatta.it/en/cars/b-utilitaria-compact-5-porte/new-lancia-ypsilon-12/

これがランチアイプシロンです。いかがでしょう。見たことがありますか? デビューは2011年で、イプシロンとしては3代目になります。ボディタイプは先代の3ドアから5ドアに変更されましたが、リアのドアハンドルはドア枠に紛れるデザインになっていて3ドアに見えるデザインになっています。同じランチアブランドの“デルタ”を小型化したようなスタイリングですね。
ところがこのイプシロン、日本では別ブランドで販売されていました。ランチアとクライスラーの統合に伴いグリルを含めて顔周りがクライスラー風のデザインに改められているだけでなく、日本市場ではクライスラーのブランドで販売されていました。
プラットフォームはフィアット500をベースにホイールベースを延長しています。全幅は1,675mmで日本の5ナンバーサイズです。3代目イプシロンの製造は、フィアット500と同じポーランドのティヒ工場に移転され、先代までの製造拠点だったテルミニイメレーゼ工場は、2011年11月24日に閉鎖されています。
2011年9月に、イギリスとアイルランドで“クライスラーイプシロン”が発売開始されました。ランチアはイギリス市場から撤退していたため、日本と同様にクライスラーブランドで販売されています。ちなみにクライスラーの本国であるアメリカには導入されていません。
日本では、2012年12月15日にフィアットクライスラージャパンが“クライスラーイプシロン”を販売開始しています。もともと後部座席にはシートベルトとヘッドレストが左右2人分しか備わっていないため、日本の法規では4人乗りになってしまうので、日本仕様には後席中央のヘッドレストと3点式シートベルトを追加して法規上5人乗りになっています。
イプシロンはランチアブランドでこそイプシロンという拘りからかクライスラー版は人気が出ず、2014年に日本での販売を終了しました。

出典:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%83%81%E3%82%A2%E3%83%BB%E3%82%A4%E3%83%97%E3%82%B7%E3%83%AD%E3%83%B3

日本仕様のクライスラーイプシロン

エンジンは直列4気筒1.2L8vFIRE、1.2L8vバイフューエル(ガソリンとLPG)、直列2気筒0.9L8vツインエア、直列4気筒1.3L16vMultijetディーゼルの4種類がラインナップされていて、いずれもアイドリングストップシステムを標準装備しています。
日本仕様は2気筒0.9Lのツインエアエンジンのみで、“デュアルファンクション”と呼ばれるマニュアルトランスミッションをベースにしたセミオートマチックの組み合わせのみです。
グレードは“ゴールド”と“プラチナ”の2種で、ゴールドが235万円、プラチナが260万円です。プラチナにはバイキセノンヘッドランプや本皮革シート、16インチアルミホイールなどの豪華装備が備わります。

スペック
駆動方式:FF
全長:3,835mm
全幅:1,675mm
全高:1,520mm
ホイールベース:2,390mm
車両重量:1,090kg

個性的なデザインが人気の初代

出典:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%83%81%E3%82%A2%E3%83%BB%E3%82%A4%E3%83%97%E3%82%B7%E3%83%AD%E3%83%B3

デビュー当時は“Ypsilon”ではなく、単に“Y”と書かれているだけでした。ランチアでは伝統的にギリシャ文字を車名に使ってきていましたが、このイプシロンもまた伝統に則ったものと言えます。ランチアY10の後を引き継ぐスモールモデルとして、1994年にデビューしました。
このえもいわれぬ大胆なボディデザインを担当したのはピニンファリーナ出身のエンリコ・フミアです。フミアは当時、ランチアのチェントロスティーレ(デザインセンター)を率いていました。フィアット・プントのプラットフォームを短縮してつくられたボディは、アプリリアなど伝統的なランチアのエッセンスを巧みに生かしながら、極めて現代的で冒険的なスタイリングに仕上がっています。
フミアの手による初期のスケッチからほとんど変わらないデザインで量産化されたことが、初期設計のレベルの高さを表しています。インテリアデザインは、アメリカ出身のデザイナー、グレッグ・ブリューが手がけています。メーターやインジケーター類をダッシュボードのセンターに持ってくるいわゆるセンターメーターなど、奇抜に見える反面その恩恵で運転席まわりの物入れが増えるなど、アイデアとセンスに溢れるデザインに仕上がっています。
なんといっても最大のセールスポイントはそのスタイリングですが、12色の標準カラーに100色まで及ぶオプションカラーで構成される“カレイドス”と呼ばれるカラーバリエーションも賞賛されました。インテリアのアルカンターラ(人工スウェード)や本革のトリム/カラーと合わせて、膨大な選択肢から自分好みのイプシロンを作り上げることができます。さらにカレイドスから好みの色を選ぶと、注文から2週間以内に実車と同じ色に塗りあげたテッセラと呼ばれるレリーフがお客の手元に届き、選んだ色の具合をじっくり確認できるというユニークな販売方法が採用されました。
初代イプシロンはデビュー早々から大ヒットを収め、イタリアンデザインの健在振りを世界にアピールしたのです。ランチアがイプシロンで提案したコンパクトカーの新たな商品価値は、ヴィッツ、マーチなどに代表される日本のコンパクトカーにまで大きな影響を与えました。外装色のカラーバリエーションが多く用意されるようになったり、デザインコンシャスな嗜好を強く打ち出すなど、“コスパか楽しさか”の2軸で評価されることが宿命だったコンパクトカーに、新たな方向性を示したと言えるでしょう。
横置きで前輪を駆動するエンジンはフィアットお得意の直列4気筒ファイアユニットです。1.1L・SOHC、1.2L・SOHC、1.4L・SOHC(12バルブ)がラインナップされました。1.2L・SOHCでは、CVTや6速M/Tも選択できました。
後にスポーツグレード“エレファンティーノ・ロッソ”がラインナップに加わると、1996年には1.2L・DOHC16vが追加されています。それに伴いラグジュアリーグレードの“LX”も1.4L・DOHC16vに変更されています。

スペック
駆動方式:FF
全長:3,723mm
全幅:1,690mm
全高:1,435mm
ホイールベース:2,380mm

日本導入モデルのエンジン
1.2L・SOHC
形式:直列4気筒
総排気量:1,242cc
最大出力:60PS/5,500rpm
最大トルク:98Nm/3,000rpm

1.4L・SOHC
形式:直列4気筒
総排気量:1,370cc
最大出力:80PS/6,000rpm
最大トルク:112Nm/3,250rpm

トランスミッション:5MT/6MT/CVT

出典:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%83%81%E3%82%A2%E3%83%BB%E3%82%A4%E3%83%97%E3%82%B7%E3%83%AD%E3%83%B3

後ろ姿

エレファンティーノ・ロッソについて

出典:http://www.the-blueprints.com/cardata/show/18733/lancia_ypsilon_1_2_16v_elefantino_rosso_3-door,_hatchback/

エレファンティーノ・ロッソ

名前の通り、“赤色のゾウ”です。日本で百獣の王と言えばライオンが定番なのですが、欧州で強さの象徴と言えば圧倒的にゾウなんです。ゾウを紋章のモチーフにしてる会社がたくさんあります。ドイツのタイヤメーカー、メッツェラーもゾウがモチーフなんですが、“なんでも踏みつけながら進んでいく”というゾウが走る様と強いタイヤのイメージをラップさせたそうです。
ランチアもラリーで勝利をもぎとるために投入したハイスペックモデルには赤色のゾウ(しかも飛んでいます)のエンブレムが貼り付けられていました。もちろん、このイプシロン・エレファンティーノ・ロッソにも赤色のゾウがいますよ。Bピラーのところにしっかりと。

豪華装備の2代目

出典:http://www.conceptcarz.com/view/photo/105053,11132,0,0/photo.aspx

2002年にフルモデルチェンジを受け、車名も“Y”から“Ypsilon”となりました。プラットフォームは今回もフィアット・プント用をショートホイールベース化しています。ボディタイプは先代に引き続いて3ドアのみです。ベースになったプントと同様に、全幅は1.7mをわずかに超えて3ナンバーサイズになります。
トランスミッションは5速M/Tと2ペダルM/Tの“D.F.N.:Dolce Far Niente (ドルチェ・ファール・ニエンテ=何もしなくても良い甘美さ)”が用意されています。要はクラッチ操作とシフトチェンジを車がやってくれるマニュアルトランスミッションなのですが、この命名の仕方がしゃれてますよね。
Aピラー、屋根、Cピラー、ハッチゲートが構成する“上半分”と、それ以外のボンネット、サイドパネル、前後バンパーからなる“下半分”とを2トーンに塗り分けた“Bカラー”が選べます。当時の輸入車としては珍しく、EURO4対応のディーゼルターボエンジン“Multijet”を搭載したモデルも輸入されています。
2006年にはフェイスリフトが行われて、バンパーの形状や塗色、インテリアカラーなど内外装が一部変更されました。装備面では、運転席と助手席を独立して温度調整できるオートエアコンが標準装備となりました。

スペック
駆動方式:FF
全長:3,780mm
全幅:1,720mm
全高:1,530mm
ホイールベース:2,388mm

日本仕様のエンジンスペック
1.4L・DOHC16V
形式:直列4気筒
総排気量:1,368cc
最大出力:95PS/5,800rpm
最大トルク:128Nm/4,500rpm
パワーウエイトレシオ:12.00kg/PS

1.3Lディーゼルターボ "Multijet"
形式:直列4気筒
総排気量:1,248cc
最大出力:90PS/4,000rpm
最大トルク:200Nm/1,750rpm
パワーウエイトレシオ:13.11kg/PS

トランスミッション:5速セミA/T(D.F.N) / 6M/T(1.4 16V) / 5M/T(1.3 Multijet)

グレード構成
ガソリンエンジン
Ypsilon 1.4 16V(240.0万円)
Ypsilon 1.4 16V D.F.N(250.0万円)
Ypsilon 1.4 16V B-Colore(250.0万円)
Ypsilon 1.4 16V B-Colore D.F.N(260.0万円)

ディーゼルエンジン
Ypsilon 1.3 Multijet(255.0万円)
Ypsilon 1.3 Multijet D.F.N(265.0万円)
Ypsilon 1.3 Multijet B-Colore(265.0万円)
Ypsilon 1.3 Multijet B-Colore D.F.N(275.0万円)

走りもなかなか

上述したとおりフィアットプントがベースですから、乗り味にもどことなくプントの香りがしないこともないのですが、ホイールベースが短くなっていたりサスペンションセッティングが変更されていたりで、言われなければわからないレベルです。しかもこのルックスと豪華な内装からはフィアットの香りはいっさいありません。見事なまでにランチアブランドを再現しています。

初代モデル

出典:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%83%81%E3%82%A2%E3%83%BB%E3%82%A4%E3%83%97%E3%82%B7%E3%83%AD%E3%83%B3

いざ走り出すと、小さな排気量ながらも軽量なボディを元気に引っ張ってくれるのでとても楽しく走れます。あ、すみません。初代モデルはマニュアルトランスミッションしか乗ったことがありません。“良く回る”というエンジンではありませんが、トルクがしっかりあってグングン引っ張ってくれます。とても楽しい車です。

2代目モデル

出典:http://www.autoevolution.com/cars/lancia-ypsilon-2003.html#

2代目モデルは内外装ともに質感が上がっている印象です。もちろんベースになっているプントのレベルが上がっているのも確かですが、それ以上にランチアの仕事の良さがわかります。いざ走り出しても造りの良さはかわりません。イタリアの小さな車にありがちな“カタカタ”、“ビリビリ”がまったくありませんし、足回りのセッティングもしっとりしていて高級車の雰囲気です。ホイールベースが短いせいでピッチングはありますが、それも優しく吸収してくれている感じです。

3代目モデル

出典:http://quintamarcha.com/index.php/lancia-ypsilon-0-9-twinair-platinum-coqueteria-italiana-2

現行となる3代目モデルは、ランチア版に乗ったことがありません。クライスラー版は乗ったことがありますが、あまり長井時間お借りできなかったので街中だけの試乗でした。フィアット500がベースになったおかげか内部の広さは2代目以上です。しかも5ドアになりましたので乗降性も抜群です。あまり後部座席に人を乗せる車ではありませんが、ちょっとした手荷物を載せるにしてもリアドアがある方が便利ですよね。
走りに関しては文句なしです。0.9Lと頼りない数字の排気量ですが、ダウンサイジング&ツインエアの可変バルブタイミング機構は抜群のトルク感を発揮します。引っ張り気味にして走るととても元気なエンジンです。

手に入れたくなったら?

現行モデルはまだ生産されているものの正規輸入はされていませんので、イプシロンを新車で手に入れるのはなかなか至難の業ですよね。ということで中古車市場を覗いてみましょう。そうは言ってもたくさん売れたわけではありませんから、中古車の球数はそんなに多くはないと思います。

とにかく某有名中古車サイトを覗いてみましょう。

イプシロン(ランチア)の中古車に関する情報が満載。イプシロンの中古車検索や中古車販売などの中古車情報なら「カーセンサーnet」!リクルートが運営する中古車情報のサイトです。イプシロンの中古車が様々な条件で検索可能。あなたの車選びをサポートします。

全部で24台ありました。現行モデルでもお値段は手頃ですね。おっと、クライスラー版が無いと思ったら、カテゴリーが違うんですね。

イプシロン(クライスラー)の中古車に関する情報が満載。イプシロンの中古車検索や中古車販売などの中古車情報なら「カーセンサーnet」!リクルートが運営する中古車情報のサイトです。イプシロンの中古車が様々な条件で検索可能。あなたの車選びをサポートします。

ありました。でも17台しかありませんね。正規輸入扱いのクライスラー版か、精通したプロショップとはいえ並行輸入扱いのランチア版か、悩ましいところです。

最後にまとめ

いかがでしたか。ランチアイプシロンは、実によくできた高級イタリアンピッコロです。乗って良し、眺めて良し、の車です。個人的には2代目モデルのスカイドーム(ツインガラスルーフ)がオススメです。できれば本革のツートンカラーの内装が素敵ですね。
お好みのモデルが見つかったら、是非乗ってみてください。虜になってしまわないようにご注意を。