「BMW 507」E・プレスリーを虜にした幻のBMW最高傑作

スペシャリティスポーツの「BMW 507」は、BMW社の最高傑作とまで評されるモデルで世界的ビッグスターのエルビス・プレスリーをも虜にしたクルマです。その魅力に迫ってみたいと思います。

コンセプト 

1950年代メルセデス社の傑作メルセデス ベンツ 300SLという現代でも代表的な名車がありましたが、当時BMW社には、存在していませんでした。それで「打倒 メルセデス ベンツ 300SL」をコンセプトに1955年にプロジェクトがスタートし開発されたのが「BMW 507」です。スペシャリティカーとしてのデザインクオリティとスポーツ性が求められていました。当時のBMW史のスポーツモデル「BMW 328」の動力性能を遥かに上回るスポーツモデルとして開発が進められたモデルです。1956年から1969年まででわずか252台しか生産されていない超レアな車でもあります。

ボディデザイン

ボディデザインは、アルブレヒト・フォン・ゲルツ氏が担当しました。美しい曲線美を描いたオープンボディはロングノーズショートデッキのスタイルでフロントフェンダーには冷却用のエアアウトレットが上品に設けられ、丸日を帯びたフェンダーアーチに曲線美を強調するラインが各フェンダーに入っています。フロントマスクは丸目2灯にBMW伝統の「2分割グリル」が印象的なデザインです。フロントからリアにかけてタイヤの収まるフェンダーが膨らみリアまで柔らかいラインが描かれています。「BMW 507」のエレガントなデザインは、当時世界中で高い評価を受けるだけでなく現代においても美しいクルマとしてボディデザインが評価されています。

インテリア

シンプルでありながらエレガントなデザインとなっています。2シーターオープンボディですが、専用のハードトップも用意されており、クーペスタイルにすることもできました。

パワーユニット

 ボンネットに収まっているパワーユニットは、クーペボディの「BMW 502」に搭載されたアルミブロックの排気量3,168cc 90度V型8気筒 OHV NAエンジンをベースにチューニングされ、圧縮比が上げられたものが搭載されています。また2基の「ゼニス社製」のキャブレターが装着されています。最高出力は、150PS/5,000rpmで最大トルクは、24,0kg/4,000rpmを発揮しています。このパワーユニットにトランスミッションは4速MTが組み合わされています。最高速度は時速200キロと発表されました。

サスペンションシステム

スポーツカーとしての動力性能とスペシャリティカーとしての優雅さを両立するためサスペンションは、 フロントがダブルウィッシュボーン/トーションバーを採用しリアにリジッド/トーションバーが採用されています。確実なストッピングパワーを得るためブレーキは、フロントとリアともにディスクブレーキが採用されています。

「BMW 507」主要諸元

エンジン:3,168cc アルミ製エンジンブロック 90度V型8気筒 OHV NAエンジン
最高出力:150PS/5,000rpm
最大トルク:24,0kg/4,000rpm
トランスミッション:4MT
駆動方式:FR
サスペンション:F ダブルウィッシュボーン/トーションバー R リジッド/トーションバー
ブレーキ:F/R ディスクブレーキ
全長:4,380mm
全幅:1,680mm
全高:1,275mm
ホイールベース:2,480mm
車両重量:1,240kg
最高速度:200km/h以上

エルヴィスが虜になった「507」

美しいスタイリングと優れた動力性能の「BMW 507」は、世界的なビッグスターのエルビス・プレスリーをも虜にする魅力を備えていました。エルビスはどのように「BMW 507」に魅了されたのでしょうか。

エルビスの「507」は特別

1959年にドイツでの兵役を終えたエルヴィスは、ドイツのBMW社の「BMW 507」を知り、そく購入を決意したようです。実際に購入した「BMW 507」は1960年にアメリカまで運ばれてきました。購入したのは、1957年モデルです。当時の購入価格は3,750ドルでした。当時のアメリカのディーラーで販売されていた価格は、10,000ドルでした。現在の貨幣価値換算で約820万円ほどのプライスでした。購入した「BMW 507」は、エルヴィスの手に渡る前はBMWのプロモーションイベントやレース活動で使われていた個体で一般のオーナーの手に渡るのはエルヴィスが初めてのクルマでした。シャシーナンバーは70079です。そして世界の大スタープレスリーの「BMW 507」は、スイッチ等がすべて象牙でできたスペシャルモデルだったようです。

エルビスの手元から離れた「507」

その後エルヴィスの「BMW 507」は、1962年にアラバマのディスクジョッキーであるトミー・チャールズの手に渡って、ボディは元々ホワイトだったものをポルシェのレッドに再ペイントされています。さらにパワーユニットも変更されています。エンジンは「シボレー社」のV8エンジンに換装してあり、トランスミッションも変更され大幅なチューニングが行われています。そして1968年にオーナーが変わりアメリカのエンジニアのジャック・キャスター氏の手にわたりました。生産台数252台と希少であり、エルヴィスが所有していたクルマという付加価値も加わり、50年の時を経てBMW社でオリジナルに戻されフルレストアされるプロジェクトが計画されているようです。

まとめ

「BMW 507」は、スペシャリティカー、スポーツカーとしての魅力を備え、当時としては市販車で200km/h動力性能を持ち、デザインとしても高い評価を受けたBMWの最高傑作と言われるモデルです。その希少性とエルビス・プレスリーが愛したクルマとして記憶に残る「名車」です。