「アウディ 80」世界トップブランドへの確立に貢献した立役者

「アウディ 80」の歴史は長く、中でも「クワトロ」の登場によってモータースポーツでの活躍、悪天候での走破性に信頼が増し、「アウディ社」を世界のトップブランドに押し上げたモデルです。そのヒストリーと性能に迫ってみたいと思います。

「アウディ」シリーズ

「アウディ」シリーズは、当初は「フォルクスワーゲン パサート」と兄弟車の関係にありました。2th-4thモデルの上級グレードは「アウディ 90」という名称で販売されました。また、「アウディ 80」は、北米やオーストラリアでは、1973年から1979年まで「フォックス(Fox )」という名称で、1980年から1987年までは「A4000」の名称で販売されていました。

アウディ80

アウディ80(Audi 80 )は、1972年から1996年まで生産されたコンパクトカーです。1965年から生産されていた「アウディF103」系の後継モデルです。フロントにエンジンを縦に搭載し、駆動方式はFFの前輪駆動です。ボディは4ドアセダン、2ドアセダン、5ドアステーションワゴン、クーペ、カブリオレなどのモデルもありました。

1thモデル(1972-1978)

1thモデルは1972年8月に登場しました。 エンジンは水冷直列4気筒SOHCエンジンを縦置きに搭載し、前輪駆動のFFでした。シンプルなメカニズムにジョルジェット・ジウジアーロによる美しいスタイリングのボディが組み合わされたデザインで1973年のヨーロッパ・カー・オブ・ザ・イヤーに選ばれています。高性能なモデルで1.6Lエンジンを搭載した100PSモデルの「アウディ 80GT」もありました。

主要諸元

エンジン:1,588cc 水冷直列4気筒 SOHC NAエンジン
最高出力:82PS/5,500rpm
最高トルク:12,2kgm/3,200rpm
駆動方式:FF
全長:4,240mm
全幅:1,605mm
全高:1,360mm
ホイールベース:2,470mm
車両重量:925kg

2thモデル

フルモデルチェンジして2thモデルは1978年に登場しました。ボディデザインは2ドアと4ドアの2タイプでインテリアは、「サテライトスイッチ」を採用しメーター周辺にスイッチを集中させています。ベーシックグレードの「CL」と、メッキトリムやパワーウィンドウなど内外装の装備を充実させた「GLE」が用意され、エンジンは1.6L 4気筒エンジンが搭載されていました。1981年に4気筒は1.8Lに換装され「GLE」グレードにはヘッドライトウォッシャーや間欠ワイパー、フロントフォグランプなどが標準装備となりました。1985年にMCしボディを「フラッシュサーフェース化」し空気抵抗係数(Cd値)の軽減に成功し空力性能が向上しています。5気筒モデルは「アウディ・90」と改称され、「クワトロ」も「90クワトロ」に格上げされ、4気筒エンジンを搭載した「80クワトロ」は台数限定で生産されました。

エンジン:1,588cc 水冷直列4気筒 SOHC NAエンジン
最高出力:82PS/5,500rpm
最高トルク:12,2kgm/3,200rpm
駆動方式:FF
全長:4,390mm
全幅:1,680mm
全高:1,355mm
ホイールベース:2,540mm
車両重量:985kg

アウディ クワトロ(quattro)

1984年に4気筒モデルに直列5気筒の4WDバージョン「クワトロ(quattro)」が追加されました。クーペとシャーシーモノコックを共有する高性能モデルで「フルタイム4WDシステム」と、5気筒エンジンには、ターボとインタークーラーを装備しています。またロナール製のアルミホイールが装着され、フロントにはチンスポイラー化されたデザインとなりスポーティなスタイルになっています。

3thモデル

3thモデルは1986年に登場しました。ボディスタイリングは、細部までの「フラッシュ・サーフェス化」と「4.5度強く傾斜したウインドスクリーン」により、「アウディ 100」を超えるCd値0.29の空力性能を誇っています。ボディ鋼板には、100%亜鉛メッキ仕上げとなっています。メカニズムは2thモデルを継承しています。また「サテライトスイッチ」がなくなり、ATにはスタッガードゲートが採用され、シフトレバーとブレーキペダルを連動させた安全機構が加わえられています。アウディ独自の乗員保護機構、「プロコン-テンシステム」が採用されています。4WDシステムは、状況に応じて前後のトルク配分を変化させるトルクセンシング能力をもつトルセンデフが採用されています。日本においては日本国内販売10万台を記念して、特別仕様の「80ジーガー」(Sieger「勝者」の意味)が500台限定で販売されました。

エンジン:1,984cc 水冷直列4気筒 SOHC NAエンジン
最高出力:110PS/5,300rpm
最高トルク:17,3kgm/3,250rpm
全長:4,395mm
全幅:1,695mm
全高:1,385mm
ホイールベース:2,535mm
車両重量:1,230mm

4thモデル

4thモデルは1992年に登場しました。シャシーに改良が加えられホイールベースが延長され、居住空間が拡大されています。エンジンは直列4気筒、直列5気筒、V型6気筒エンジンを搭載しています。V6搭載車は専用のフロントマスクとなっています。また電子制御の4速ATへと変更され、ロックアップ機構も加わえられています。

エンジン:1,984cc 水冷直列4気筒 SOHC NAエンジン
最高出力:115PS/5,400rpm
最高トルク:16,6kgm/3,200rpm
全長:4,485mm
全幅:1,695mm
全高:1,400mm
ホイールベース:2,610mm
車両重量:1,280kg

モータースポーツ

「アウディ 80」の4Drもプライベートでチューンしパワーは200PSそこそこだったそうですが、400PSのワークス・クワトロと互角に闘えるほど、ベース車慮はポテンシャルが高かったようです。1983年の2,144cc 5気筒ターボ、最高出力340PSの「クワトロ」ラリーカーは、アルゼンチン、1000湖、RACで勝利しシーズン3勝してドライバーズタイトルを獲得しました。その後の活躍からも4WD車として好成績を収めた初のラリー車して存在を残しました。

まとめ

「アウディ 80」は、当初からデザイン性の良さに加え、居住空間などドライビング性能を考慮したモデルです。なおかつ「クワトロ」という4WDシステムを世界に認知させ普及させた「名車」といえるでしょう。