【シフトワーク】ウルトラスムーズなギヤチェンジで、同乗者を魅惑しよう!

「シフトワーク」なんていうとちょっと気取っていますが、要はギヤチェンジです。MT車の難関と言われる部分ですが、慣れれば非常に楽しいですし、運転が上手と思われるには一番重要な部分です。その辺のコツなどをちょっと解説してみます。

クルマのシフトワークとは?

漫然とギヤチェンジするのではなく、積極的に適切なギヤを選ぶのがシフトワーク。

MT車を運転するときには自分でギヤチェンジすることが必要ですが、その操作をシフトワークといいます。ところでどうしてギヤチェンジが必要なのでしょうか? これはMTでもATでも同じですが、自動車のエンジンというのは、効率の良い回転域というのが決まっています。たとえ200馬力のエンジンだとしても、どこでも200馬力を発生しているわけではありません。高速道路を100km/hで巡航しているときは、ほんの数馬力しか発生していません。

アイドリングのような低回転ではパワーが小さいですし、逆に高回転過ぎてもパワーが落ちたり、回しすぎればエンジンが壊れます。ちょうどいい回転数を維持しながらスピードを出すには適切なギヤチョイスが必要になるということです。またスタート時のロー(1速)は低回転でもエンストしないで発進できるように大きなトルクが出るギヤが使われています。これもシフトチェンジが必要な理由です。ただし、それではレッドゾーン直前までエンジンを回しても60km/hくらいしかでません。

自転車を漕ぐとき、自分がエンジンだと思えば、適切なギヤが分かる。

これは自転車のギヤを坂道を登るために下げることと同じです。その状態で平地を走ると、ペダルが軽くはなりますが、スピードは出なくなります。そこでもう少しトルクは小さくなりますがスピードの出る2速へ、続いて3速へとシフトアップしていくわけです。車種によって違いますが、4速か5速になるとになるとエンジンの回転とトランスミッションからの出力の回転が1:1となります。タイヤに行くには、デフの外側につけられたギヤで減速されるので、そこにあるギヤをファイナルギヤといい、減速される率を最終減速比と言います。この辺は話がそれますので別の機会に説明したいと思います。

シフトチェンジする際に気をつけること

急激なエンジン回転の変化をおこさず、スムーズにクラッチをつなげる。

シフトワークで気をつけることといえば、まずはスムーズに丁寧に行うということになると思います。それはクラッチ、アクセルとの連携にもかかっています。当然シフトチェンジの際はクラッチペダルを踏むわけですが、確実にアクセルをオフにして、クラッチを底まで踏み込みます。実は、クラッチ自体は半クラッチの位置さえ過ぎれば切れてしまうのですが、コンマの差を争うモータースポーツの場合は別ですが、しっかりフロアまで踏み込んだ方がいいでしょう。決して慌てて操作することはありません。

特に現代のクルマならばシンクロメッシュが機能していますから、ゆっくり操作しても、しっかりとスリーブの回転とギヤが同期してスムースに入ると思います。強いて言えば、シフトレバーによって動かされるスリーブがシンクロをギヤに押し付けるのをイメージしてシフトレバーを入れるというような感じでしょうか? ガツンと入れるのではなくて「ギュー、スポッ」という感じです。その後クラッチをつなぐわけですが、クラッチはなるべく速やかにつなぐようにしたいです。これはシフトアップでクラッチを切っているということは、クルマが駆動されていないということだからです。クラッチ操作については、こちらも参考にしてください。

シフトアップ時に気をつけなければいけないのは、シフトチェンジしている間は加速していないということです。クラッチを切っている間というのは、クルマに駆動力がかかっていませんから、スピードはどんどん落ちてきますし、アイドリング状態でガソリンが出ていますから、燃費的にもよくありません。

シフトワークのコツ

シフトアップのときはクラッチを切ったときの加速Gの抜けを感じさせないようにする。

シフトアップのコツはかっこ良く言うと加速Gをなるべく途切れさせないようにスムーズにつなぐということでしょう。特に1速から2速などにシフトアップするときはギクシャクとして、助手席に乗っている人に不快な思いをさせがちです。通常走行では、1速でスタートしたら、5メートルくらい(あくまでも感覚です)走った時点で2速に入れて、もういちど2速でスタートする感じでクラッチをつなぐイメージで走るといいのではないかと思います。ちょっと下り坂なら2速発進でも十分なくらいです。

1速と2速というのは通常ギヤ比が大きく離れていますから、それだけ変速ショックも大きくなる傾向となります。2速から3速、3速から4速となると、ギヤ比が比較的近いので、そんなに神経質になる必要はないと思います。ちなみに、1速、2速間はギヤ比が離れているということで、どうしても擦り合わされるシンクロメッシュの摩耗が激しくなりがちです。古いクルマで2速にシフトアップしたときにギヤ鳴りがするというのは、そのためということも多いでしょう。

また、加速Gを途切れさせないように走るには、実はアクセル全開で一瞬のオフとクラッチ切りから、素早くシフトアップし、クラッチを素早くつなぐ方が良くなります。特にスポーティなクルマなどは加速性能を重視していると思いますが、そのときエンジンの許容回転数ギリギリまで回して、素早くシフトアップすると、次のギヤのトルクバンドでつながり、一番効率良く加速していくからです。そのときにゆっくりシフトアップしていくと、せっかくエンジン回転がイイトコロでつながるのに、エンジン回転が下がってしまうので、スピードに対して低いエンジン回転でつながり、変速ショックや減速などという事態になります。もちろん、一般的な走行ではなかなか体験できませんが、サーキットなどに行った時はこうした走り方も必要になります。

シフトダウンでは、エンジン回転が上がりすぎないように注意する。

同じギヤで一定の速度で走っている場合、前が詰まったなどで減速したいがブレーキを踏むほどではないというときがあると思います。アクセルオフだけでは減速が足りないときに一つ下のギヤに入れると思います。これは同じエンジン回転ならば、下のギヤの方がスピードが出ないことを利用するわけです。このときにクラッチを切って下のギヤに入れるわけですが、クルマの慣性が働いていますからスピードは一気に落ちません。さしあたり、それまでよりもエンジン回転が高くなってそこから減速しはじめます。そういう意味では、前車にとの間に十分な車間距離があるときに利用するテクニックともいえるでしょう。これを積極的に使えばアクセルオフが長くなった分燃費的には有利ですし、ブレーキパッドの負担も減りますから財布にやさしいドライビングということになります。

ただし、極端な場合ですが、シフトダウンでオーバーレブということもあるので、注意が必要です。5速80キロで走っいたのをいきなり2速に落とす……などというと、スピードは急には落ちず、タイヤ側からエンジンが強制的に回転させられてオーバーレブすることがあります。そこまで極端でなくても、いきなりクラッチをつなぐと、けっこうなショックが駆動系に入ることがありますし、危険でもありますから、基本的には1段ずつギヤをシフトダウンし、タイヤの回転とエンジンの回転差をクラッチで吸収する感じでゆっくりとクラッチをつないだ方がいいと思います。

加速にそなえてのシフトダウンは「中吹かし」を入れる。

同じシフトダウンでも、加速に備えて加速力のある下のギヤに入れたいときがあると思います。この時には減速したくありません。そこでアクセルの「中吹かし」を入れる手段があります。具体的には4速で走っていて3速にシフトダウンをして加速する場合にはアクセルを抜いてクラッチを切り、下のギヤでその時のスピードで走れる回転数に合わせた上でクラッチをつなげばいいわけです。

そこでアクセルを踏み込めば、期待した加速力を得られます。こうやって走ることにより、ヒールアンドトゥをしたときにどのくらいかかとでアクセルを踏み込めばいいのかというのもわかりますから、ヒールアンドトゥの練習の前段階としてはいいでしょう。コーナリングの手間で、減速をしてコーナーを抜けてから強い加速をしたいという場合にはこれにブレーキング操作を付け加えてヒールアンドトゥになるわけです。

ステアリング・ペダル操作との連携

クラッチを切った時にフラフラしないようにステアリングを保持する。

MT車をドライブするときに気をつけたいステアリングワークは、まずステアリングをまっすぐに保ったままにするということです。なんでそんな当たり前のことを? と思いますか。実はアクセルオフをしてクラッチを切ったときというのは、駆動力が切れている状態です。このときクルマは非常に不安定になっています。駆動力がかかっているときには前に進もうという力が働いていますから、多少ハンドルから手を離したとしても、クルマは直進安定性を保っています。

しかし、クラッチを切るとシフトアップの際にふらつくという人もいます。ここはMT車の運転で上手い下手が出るところですから、クラッチを切った時にしっかりと(力を入れるという意味ではなく)ステアリング直進を維持することが大事だす。シフトアップのときにいちいちフラフラしているとカッコ悪いだけでなく、危険でもあります。サーキット走行などでは緩いコーナーの場合、コーナリング中にシフトアップということもありますから、そのときはさらに注意が必要です。横Gがかかった状態でのシフトアップは慣れれば無意識にできるようになりますが、はじめは難しいかもしれません。

冒頭にクラッチを完全に切ってからシフトアップをすると書きましたが、タイムアップを狙うとそうも言っていられないこともあります。その時は、クラッチを完全に切るのではなく半クラッチ以上(クラッチが切れるぎりぎり)を切ってシフトアップするという手段もあります。クラッチの遊びの分はいらないわけですから、その分を踏み込まないでタイムを削るということです。これはどこで切れたかがわかっていないと、ギヤチェンジできなかったり、トランスミッションに負担をかけることになりますから、十分な注意が必要です。

また、せっかくクラッチを底まで踏み込まないでチェンジしたのに、いつまでもクラッチを戻さないと意味のないことになってしまいますから、その注意は必要でしょう。タイムを追求するならば、シフトレバーを動かす時間とクラッチを切る時間をできるだけ削り取ることが必要になります。

シフトダウンは状況でクラッチ、アクセルの連携が変わる。

シフトダウンのときに気をつけるのは、減速するためのシフトダウンなのか、加速するためのシフトダウンなのかを明確にしてから操作に入るということです。減速のためならば、特にヒールアンドトゥを使わない場合、スピードとエンジン回転に合わせてクラッチを操作することが大事です。回転差が大きいほどクラッチをゆっくりとつなぐ必要があるでしょう。さらにコーナリング中のシフトダウンということもありえます。例えば、だんだんときつくなっているコーナーの場合、ブレーキを踏むほどではないけれど、立ち上がりに備えてシフトダウンしたいという場合が出てきます。

そのときもまずコーナリングラインにのせていられるように、しっかりステアリングを保持することが大事です。そしてクラッチを切ってアクセルのなか吹かしを入れてクラッチをつなぐという操作になります。もっとも、リヤ駆動車の場合だったら、中吹かしを入れずにシフトダウンをしてクラッチをつなぐと回転差があるせいで、リヤタイヤが一瞬ロックすることを利用するシフトロックを利用して姿勢変化をさせることが可能になってきます。これは舗装でかなり高いスピードが必要なりますが、ダート路やスノー路では比較的低スピードでできるために、クルマのコントロールを覚えるためにはいいかもしれません。もちろん、ヒールアンドトゥはシフトワークと切っても切れないテクニックですから、こちらも参考にしてください。

シフトワークの練習方法

通常走行でシフトダウンを積極的に使うことからはじめよう。

シフトワークというと、一般的にはほとんどシフトアップしかしないのではないかと思います。ですから普段の走行でできるシフトワークの練習というと、まずはシフトダウンを積極的に使ったドライビングをこころがけることでしょう。そしてスムーズに走るということを心がければ、自然とクラッチワークにも気持ちが行くようになります。回転差があればゆっくりクラッチをつなぐ、加速に備えてアクセルの中吹かしを入れスパっとつなぐなどは一般走行で十分練習可能だと思いますし、アクセルの吹かし具合もフィーリングでわかるようになれば、スムーズな運転につながると思います。

ドライビングの練習でひとついえることはどれもこれも一度にやるというのはなかなか難しいので、いつも何か1つテーマを持って走るといいのではないかと思います。もちろん安全運転ということは常に心がけていなければいけませんが、その他に一つということです。例えば今日はクラッチがぎりぎり切れるところまでペダル踏み込んでシフトアップしてみよう、だとか同乗者がいるのならば、その人の首がシフトショックによって前後しないように運転しようとか、無茶な運転をするのでなければ、なんでもいいと思います。フル加速でのシフトアップや強い減速Gを出すヒールアンドトゥを使ってのシフトダウンなどは、やはりジムカーナコースやサーキットにいかなければ練習はできませんので、まずはそういう機会を作ることが大事になると思います。

まとめ

MT車は難しいだとか、免許証を持っていてもAT限定だとかいう話はよく聞きます。ただし、ちょっと前まではMT車でしか免許証は取れませんでした。その気にさえなれば、割りと簡単にMT車は乗れるようになると思います。そして、適切なギヤを積極的にチョイスして走ると、ただの移動手段ではない楽しい乗り物としてのクルマが見えてくるのではないでしょうか?