【BUBUクラシックSSK】ルパン三世最初の愛車はモンスターマシンだった?

“光岡自動車”をご存じでしょうか。国の認可を得ている、立派な自動車メーカーです。中古車自動車販売で創業し、車好きが高じて“ミニカー”の製作を始めます。その後アメリカで見つけた1台のレプリカカーが光岡自動車の未来を大きく変えたのでした。その車こそが今回ご紹介する“BUBUクラシックSSK”の原型なのです。発売からすでに28年が経過していますが、わずか200台の限定だったために今もなお大人気の車です。

BUBUクラシックSSKという車

出典:http://avto-nomer.ru/ru/foto1905861

1987年に発表されたBUBUクラシックSSKです。200台の限定販売で、約2年かけてデリバリーされました。まだ光岡自動車が、自動車メーカーとして認められる以前のことですから、アメリカで生産して日本へ輸入するという工程がとられました。
フォルクスワーゲン・タイプ1(通称ビートル)をベースにつくられています。エンジンもそのままタイプ1の1,600cc空冷水平対向エンジンが流用されていて、この見た目ながら実はRRレイアウトなのです。

生い立ち

この写真はメルセデスベンツSSKという車です。1928年に発表された車で、総排気量7,000ccの6気筒エンジンは、スーパーチャージャーを備えて200psオーバーだったと言いますから、とんでもないモンスターマシンですね。当時、グランプリレースで敵無しだったベンツの技術が集約された、最強のロードゴーイングカーでした。名前からも想像が付く通り、BUBUクラシックSSKは、このメルセデスベンツSSKのレプリカ・カーです。

運命の出会い

光岡自動車の創業者光岡進氏は、1968年に日野自動車を退社したのち中古車販売業として創業しました。“BUBU”という店舗名で全国展開しています。1979年には、進氏の車好きが高じて自動車開発を始めます。現代では“ミニカー”と呼ばれる50ccの4輪自動車(当時は“ゼロハンカー”と呼びました)を生産するようになりました。今と違って、自動二輪免許や原付免許で運転できたゼロハンカーは評判となり、シリーズ展開するまでに成長しましたが、1985年の道路交通法改正にともない二輪免許では運転できなくなったため工場を閉鎖してしまいました。
その後アメリカ車の輸入販売を始めた進氏は、視察の目的でロサンゼルスを訪れた際に1台のレプリカ・カーを見つけて日本へ持ち帰りました。ですが車検制度の厳しい日本では、公道を走ることが許されませんでした。

パイクカーの開発

持ち帰った車を日本で走らせたい。そんな想いにかられた進氏は、パイクカーの開発を始めました。“パイクカー”とは、レトロ調のものや先鋭的なデザインなどスタイリングが特徴的な自動車のことで、デザインが評価された過去の車を彷彿とさせるスタイリングの車も含まれます。日本では日産自動車の“PAO”や“Be-1”、“FIGARO”、トヨタ自動車の“オリジン”などがメジャーですね。忠実に再現する“レプリカ”は、生産コストがかさむうえに商標権の問題などがありますが、自社開発のパイクカーなら事業として成立させやすいのです。この分野では光岡自動車の右にでるメーカーはないでしょう。
ただ、日本では自動車メーカーとしての認可がなければ、ナンバーを付けて公道を走る車を作ることが許されません。そこで、アメリカで生産したものを輸入するという手法で自社開発車輌を日本の公道で走らせるという夢を実現しました。その第1弾が“BUBUクラシックSSK”なのです。

ルパン三世の愛車

出典:http://www.ntv.co.jp/kinro/lineup/20090619/

日本テレビH.P.より

これは、ルパン三世のアニメ映画第1弾“ルパン三世・ルパンVS複製人間”をテレビで放送する際につくられたページです。今でこそルパンは青緑色のジャケットを羽織りフィアット500に乗っていますが、テレビシリーズスタート時は赤色ジャケットを羽織って黄色のオープンカーを駆っていました。この車こそがメルセデスベンツSSKとされています。
ルパン三世の製作スタッフの中には車好きが多く、中でも作画監督の大塚康生氏は無類の運用車輌マニアとして有名です。おかげでルパン三世シリーズは乗り物や持ち物に拘った異色のアニメと言えます。舞台が日本の時には銭形警部が乗るパトカーは日産ブルーバードですし、イタリアではアルファロメオ・ジュリアスーパー、フランスではシトロエン・DSのパトカーが登場します。航空機や戦車に至るまで、その拘りはアニメの域を超えていました。
メルセデスベンツSSKはただでさえ群を抜いた性能の持ち主ですが、ルパンの愛車はさらに格別のチューニングが施されています。テレビシリーズ第1話“ルパンは燃えているか?”に登場するフェラーリのF1マシン312Bの搭載されていたV12・500psエンジンに載せ替えてるのです!
このあと第7話“狼は狼を呼ぶ”で、石川五右衛門に真っ二つに切られてしまうのですが・・・

出典:http://blogs.yahoo.co.jp/aolabel110/7388896.html

今もなお人気の車

わずか200台しか生産されなかったことに加えて、“ルパンの愛車”という思いも寄らない付加価値が上乗せされて、今でもBUBUクラシックSSKは高い人気を誇っています。中古車市場にはあまり出てきませんし、見つけても“価格応談”の文字が並んでいます。

最後にまとめ

ボディを黄色に、フェンダーを黒にペイントしたら、ルパンの愛車のできあがりですね。
1994年に自動車メーカーとして認可を受けてからも精力的にパイクカーの開発を続ける光岡自動車が、今後どんな展開を見せてくれるのかが楽しみです。