「マセラティ 3500GT」ブランド名を世に知らしめた名車

コードネームはティーポ101(Tipo101 )は、「マセラティ 3500GT」として世に送り出され、「マセラティ ブランド」してその名を広める名車となりました。そのポテンシャルに迫ってみたいと思います。

求められていた「GT」の存在

コードネーム「ティーポ101(Tipo101 )」と呼ばれたプロジェクトは、当時のトップ、オメル・オルシとチーフエンジニアのジュリオ・アルフィエーリが「速く、安心して乗れるGT(グランツーリスモ)ロードカー」を生産するというものでした。1950年代「マセラティ社」は「フェラーリ社」の最大のライバルとしてモータースポーツで活躍し「マセラティ・A6」などのロードカーも生産していたものの少量生産でした。「マセラティ社」にはスポーツカー性と居住性、信頼性を兼ね備えた「GT(グランツーリスモ)」求められていました。

コンセプト「Tipo 101」

プロジェクトコンセプトモデルの「ティーポ101」は開発段階で「可能な限り生産コストを押さえ、なおかつ高い品質と信頼性の確保」が求められていました。そのためレーシングカーの「ティーポ 350S」から直列6気筒エンジンを流用し、その他の主要構成パーツを各有名ブランドのパーツを採用することになりました。レース用エンジンは市販車用に設計変更され、キャブレターは「ウェーバー社製」、トランスミッションは「ZF社製」、クラッチアセンブリーは「ボルグ&ベック社製」、リアディファレンシャルは「Salisbury社製」、前後サスペンションは「Alford & Alder社製」がそれぞれ採用されました。

史上初の量産GT「マセラティ 3500GT」

1957年3月にジュネーヴ・モーターショーで「マセラティ 3500GT」は登場しました。名前の由来は「3500」はエンジンの排気量を意味し、「GT」はプロジェクトのコンセプト、グランツーリスモからとられた名称です。こうして「マセラティ社」史上初の量産型グランツーリスモである「マセラティ 3500GT」がデビューしました。

ボディデザイン

ボディシルエットはプロジェクトのコンセプトモデル「Tipo 101」そのままのスタイル「2+2クーペ」のボディを纏っていました。「マセラティ 3500GT」はコンセプトモデルの「Tipo101」プロトタイプからヘッドランプ、インパネ類、ダッシュボードの変更、フロントグリルのデザインなど、細部にデザインの手直しが加えられました。

パワーユニット

直列6気筒エンジンはDOHCヘッドの2バルブ、キャブレターは「ウェーバー社製」3基装着し、排気量3,485ccで圧縮比8.5:1とし、最高出力は220PS/5,500rpmを発生するパワーユニットがボンネットに収まっていました。1961年のMC後には「マセラティ 3500GTI」が登場し、ZF製5速MTを標準搭載し、「ウェーバー社製」キャブレターから「ルーカス社製」ダイレクトインジェクションに変更されました。この変更によってエンジンの最高出力は235PSまで向上しました。最高速度は230km/h以上を達成しています。

サスペンション

シャシーは高強度鋼管によるマルチチューブラーフレームが採用されています。軽量なアルミ製ボディと組み合わされて車両重量は、1,300kgの軽量な車重です。サスペンションは、フロントがダブルウィッシュボーン+トーションバー、リアはリーフスプリングにリジッドアクスルとした。ブレーキは油圧制御ドラムブレーキが採用されています。

MC後の「3500GT」

1961年にインジェクションに変更された「マセラティ 3500GTI」になりデザインが見直され、ボンネットとサイドのエアインテーク、フロントグリルにデザインの変更が見られます。エンジンの最高出力は235PSまで向上しました。1964年に生産終了しました。総生産台数1,983台(クーペモデルのみ)でマセラティ量産車の中でも群を抜いた生産台数を誇るモデルとなりコンセプト通りの「GT」となりました。

「マセラティ 3500GT」(1961年)主要諸元

エンジン:3485cc DOHC 直列6気筒 NAエンジン
最大出力:235PS/5,500rpm
トランスミッション:ZF製5速MT
駆動方式:FR
サスペンション:F ダブルウィッシュボーン R リーフスプリング
ブレーキ:F ディスクブレーキ R ドラムブレーキ
全長:4,450mm
全幅:1,635mm
全高:1,310mm
ホイールベース:2,500mm
車両重量:1,466kg

「マセラティ 3500スパイダー・ヴィニャーレ」

1959年ジョバンニ・ミケロッティのデザインでカロッツェリア・ヴィニャーレが制作したスパイダーモデルとして「マセラティ 3500スパイダー・ヴィニャーレ(3500 Spyder Vignale )」として発売されました。ホイールベースがクーペモデルより短く2,500mmで初期モデルからフロントにディスクブレーキが標準装備、リアはドラムブレーキ、トランスミッションは4MTでした。超軽量ボディのスパイダー・ヴィニャーレのボディやドアは強度を得るためスチール製ですがボンネットやトランクにはアルミが用いられています。1961年にMCし5MT、インジェクションへの変更によって最大出力は235PSに向上しています。1964年にクーペモデルとともに生産終了しました。総生産台数242台となっています。

まとめ

スポーツカーブランドの名門「マセラティ社」のブランド価値を高めたモデルが「マセラティ 3500GT」と言えるでしょう。高品質で美しいボディとスポーツ性に量産型という世界に「マセラティ」という名を広めた名車です。