今、ディーゼルエンジン車から目が離せない!ガソリンエンジンとの違いとは?

ヨーロッパでは乗用車に於けるディーゼルエンジンの普及率が40%以上ですが、日本では0.1%程度しかありません。ちなみにハイブッドエンジンでも凡そ3%程度です。国内に於いてはガソリンエンジンが圧倒的なシェアを占めている状況です。しかし近年になって俄かにディーゼルエンジンが見直されて来ています。今回はその理由をちょっと見てみたいと思います。

ディーゼルエンジンとガソリンエンジンって何が違うの

ガソリンと軽油の違いってなんだろう

まず最初にガソリンと軽油の違いを簡単にご説明しておきます。ガソリンも軽油も元は同じ石油です。製法に関しても成分を分離させるため加熱・蒸留して作られます。二つの違いは蒸留時の採取温度にあって、ガソリンは石油を熱していった際30℃から230℃の間で発生する蒸気を採取して作られます。一方の軽油は140℃から380℃で発生する蒸気から採取されるものです。つまり、低い温度で蒸発するのがガソリンで、ゆえに常温常圧でも良く燃えます。対して軽油は高温高圧の場合に良く燃えるという特性をもっています

それでは「ガソリンエンジン」と「ディーゼルエンジン」にはどんな違いがあるのでしょうか? 呼び名の通りで最も大きな違いは燃料の違いになります。ガソリンと比較して軽油(ディーゼルエンジンの燃料)は安価でガソリンスタンドで一緒に販売しているので入手も難しくありません。また、燃費もガソリンエンジンと比べてディーゼルエンジンは燃料1L当りの燃費が20%以上も良いと言われています。ここまでだと燃料代も燃費もディーゼルエンジンの方がユーザーにとってメリットがありますね。「なるほど、だからヨーロッパではディーゼルエンジンの普及率が高いんだ。」「日本の自動車メーカーはハイブリッド技術が世界のトップクラスだからハイブリッド車を売りたいんだ。だからディーゼルエンジンを作らないのかな?」「日本は資源がないから燃料に出来るだけ頼らない燃費向上が必要なんだ。」等々、いろんな要因がありそうですが、その他に最も大きな要因が存在します。その要因を理解する為に、ディーゼルエンジンの機構とその過去についてお話を続けます。

燃やし方にも違いあり

まずは機構についてですが、ディーゼルエンジンとガゾリンエンジンの決定的な違いが燃料以外にもう一つあります。それは「点火」「発火」の違いになります。これだけだと何の事か意味不明なのでもう少し、詳しくご説明します。ガソリンエンジンは吸入された空気に霧吹きの様な部品(インジェクター)でガソリンを噴射して「混合ガス」をつくり、燃焼室に送った後で「点火プラグ」という部品で点火して燃焼をさせます。一方のディーゼルエンジンは燃焼室に吸入された空気(図左から1)を圧縮加熱(2)し、高温の空気中にインジェクターで軽油を噴射して燃料自体を発火させることによって燃焼をさせます(3)。そして、最後に両エンジンとも燃焼後のガスを排出します(4)。

乗用車エンジンとしての適性

常温常圧でよく燃えるガソリン。高温高圧でよく燃える軽油。二つの燃料が持つ特性がその燃焼方法の違いを生みました。それが二つのエンジンの普及率の差に最も大きな影響を与えました。ガソリンの特性を利用すると「常温で混合ガスが作れる」「低圧縮でもよく燃焼する」となります。これはエンジンサイズや部品強度などエンジン設計にあたって幅広い用途に対して柔軟に対応出来る要素です。一方の軽油の特性では「高温の空気がないと混合ガスが作れない」「高圧縮にしないと燃焼しない」となり高圧縮のためにエンジン強度が要求され各部品が重くなり重量や機械抵抗に対して不利になります。またシリンダー内での圧縮加熱によって燃焼に必要とされる高温の空気を燃焼室内で得るため、燃料を直噴にしなければなりません。しかし、高圧縮や高温は大きな熱エネルギーを発生するので、あまり高回転を必要としない場合はガソリンより有益なエンジンとなります。トラックなどの大きくて重量のある積載車等に幅広く使われる理由はこの「俊敏ではないけれど力もち」なところに依ります。

ディーゼルエンジン最大の問題点は

ここまでで乗用車に於いてはガソリンエンジンの方が普及率が高いのもある程度理解できますが、ヨーロッパと日本での普及率400倍のギャップについての説明にはなっていません。その原因は軽油と燃焼方法(高温高圧)がもたらす「エンジンの騒音」と「排気ガス中の有害物質」だと言われています。高圧高温は大きなエネルギーを発生するためピストンを力強く押します。そのためにガソリンエンジンより大きな音が発生します。それど同時に高温による弊害であるNOx(窒素酸化物)と直噴による弊害であるPM(粒子状物質=煤)のいずれかが反比例の関係ですが発生してしまいます。当然ですが環境や健康という人に直接悪影響を及ぼす問題に対しては世界的な規模で厳しい排出制限(ルール)が課せられいて、その基準をクリア出来なければ走ることも、販売することも出来ません。ヨーロッパの様に国境を跨いで長距離を移動する環境下では、トラック同様に乗用車に於いても燃費や燃料費について関心が高くディーゼルエンジンの需要が見込めるために、その有害な排気ガスに対して高価な後処理装置を設置して、性能向上をさせながら排出基準を乗り越えてきた歴史があります。しかし、日本の特に乗用車に於ける国内事情ではクリーンで燃費のよいガソリンエンジンの開発が先行していたので、長年に渡ってディーゼルエンジンのメリットよりデメリットが強調されてしまい、近年まで需要が喚起されることがありませんでした。

クリーンディーゼルの登場

コモンレールはディーゼルエンジンの救世主

1892年にドイツ人のルドルフ・ディーゼルによって発明されたディーゼルエンジンですが、当初より弊害について理解がなされていて、1910年にボッシュというドイツの自動車部品メーカーが解決策の一つとして軽油の直噴技術の基本原理を確立し、1960年にはスイス人のロベルト・フーバーという人物が現代に通じる技術の原型を開発しました。この様に長年に渡って世界で研究・開発が進めらるてきた1995年に日本の電装部品メーカー「デンソー」が世界初の商品化に成功しました。その技術が「コモンレール・インジェクション・システム」と呼ばれる燃料噴射システムです(写真はイメージです)。

日本でのディーゼルエンジンの復権

このコモンレール式直噴システムの商品化によって、画期的なディーゼルエンジンが開発されました。日本のMAZDAが2013年に発表した「スカイアクティブD」と呼ばれるディーゼルエンジンです。これまでヨーロッパを中心に発達してきた有害物質を含んだ排気ガスを排出後に処理をする方法から、コモンレール式直噴システムを使い高温下での燃焼方法を見直してNOxの発生を抑え、高圧だった圧縮比を下げることでPMを激減させることで、国際的は排出ガス基準を満たした後処理装置のないディーゼルエンジン開発に成功しました。このクリーンディーゼルの出現によって本来の良さが見直され、このMAZDAのディーゼルエンジンを搭載した車が日本はもとより海外でもヒット商品となっています。(写真はイメージです)

発明されてから100年以上の時間を経てディーゼルエンジンは復権を果たしました。ハイブリッド車、電気自動車、水素エンジン車、そしてガソリンエンジンもまだまだ進化しています。環境問題、エネルギー問題、健康問題など地球規模で影響を及ぼすほどになった自動車の歴史は、これからも多くの技術者や発明家の手によって進化を遂げながら続いて行くのでしょうね。