【シリンダーブロック】が語るエンジン性能

自動車やオートバイのカタログを見ると必ず「主要諸元表」という文字を目にされると思います。この表にはその車の特徴が色々と記載されています。いわゆる車の履歴書の様なものですが、その項目中にあるエンジンの欄をみると「◯型◯気筒 総排気量◯◯◯◯cc」という様なことが記されていると思います。これがカタログをご覧なる方へシリンダーブッロックからの自己紹介です。

エンジンのボディー「シリンダーブロック」

小学生の頃に理科の実験で使った記憶があるメス・シリンダー(measuring cylinder)、要するに「円筒形の計量器」のことなんですが、要するにシリンダーブロックって「円筒形の塊」のことなんです。この円筒状の穴が空いた金属の塊が自動車やバイクに利用されるエンジン(内燃機)のボディーにあたる部品の呼び名なんです。

円筒の塊

総排気量が大きくて気筒数が多ければ、当然シリンダーブロックは大きくなっていきます。一般的にはそれと比例してエンジンが生み出す力も大きくなるので、高級車(重たくて大きい)やスポーツカー(スピードが速い)などエンジンの力が多く必要とされる車には、大排気量で多気筒のシリンダーブロックが採用される確率が高いとう事になります。近年では環境問題や技術革新によって小さい排気量でも大きな力が出せたり、電気の力を併用して燃費を改善したりといった具合に、エンジンに求められる目的でシリンダーブロックの仕様も様々です。しかし、構造的にみればシリンダーブロックは円筒状の塊に変わりはありません。

シリンダーブロックの特徴 part1

自動車やバイクでエンジンについて語る時に「総排気量◯◯cc」で「◯気筒」という言い方をします。この二つの要素はシリンダーブロックの仕様を指しています。総排気量についてもう少し詳しくお話をすると、シリンダーブロックは単に円筒状に穴が空いているだけの金属の塊なので底がありません。それにピストンという部品が加わり底の役割をした状態での円筒の容積の総量を指します(一つの円筒の容積×円筒の数(気筒数)=総排気量)。写真のシリンダーブロックを「総排気量2,000ccで4気筒」と仮に設定すれば一つのシリンダー(円筒)は約500ccの容量があるという事になります。日本の自動車税はこの排気量を基準に課税されていて総排気量2,000ccと言われていても課税基準では「1.5超〜2.0リッター以下」と定められているので2,000ccではなく最大でも約1,999ccとして課税額の低い排気量内で各メーカーがエンジンを作るのが一般的です。

シリンダーブロックの特徴 part2

今度はシリンダーブロックの「ブロック」で決まるエンジンの特徴についてのお話しです。これもよく耳にしますが「直列◯気筒」「水平対向◯気筒」「V型◯気筒」という表現でエンジンの特徴を言い表します。これはブロックに円筒の穴を空ける向きの事を指しています。「直列」であれば地面に対して垂直に穴が空いている状態。「水平対向」であれば地面に対して穴が水平に開いている状態。「V型」であれば地面に対して角度のついた穴が空いている状態です。そもそもエンジンは自動車やバイクにおいて一番ザイズが大きい部品であるとともに、無ければならない最重要部品でもあります。最初にお話しをしましたが、シリンダーブロックはエンジンのボディーなので、その大きさや形状が搭載する自動車やバイクのデザインに大きな影響を及ぼします。また、その穴の向きと気筒数の関係がエンジンの出力性能や振動性能にも大きく影響を及ぼしています。

シリンダーブロックの特徴 part3

この様にシリンダーブロックは自動車やバイクの性能やデザインを決定付ける大きな存在なのです。しかしこれだけではありません。今度は「水冷」「空冷」というエンジンの冷却方法ですが、これもシリンダーブロックがもつ特徴になります。

これはバイクのV型エンジンの画像です。このエンジンのシリンダーブロックが縞模様に見える襞状の部分です。この襞はエンジンを冷やす為に空気に触れる表面積を増やす目的で設けられています。この様に主にバイクはエンジンが外気に当たった状態で走るので、その空気によってエンジンを冷やす「空冷」が主流です。一方で自動車はエンジンが車体の中に隠れていて走行中の風が直接当たることはありません。尚且つ大きな車体を動かす為に排気量も大きく熱も多く発生します。その為に沸点の高い液体をシリンダーブロックの中を通して冷却をしています。故に自動車のシリンダーブロックにはバイクの様な襞が設けられていないのです。自動車についているラジエータとは、このシリンダーブロックを通って熱せられた液体を冷やす為にあります。

シリンダーブロックの存在

ここまでシリンダーブロックが持つ特徴をご紹介して、エンジンという部品の集合体の中でどんな存在であるかお話しをさせて頂きました。シリンダーブロック単体をで見ると円筒状の穴が空いた金属の塊でしかありません。しかし「総排気量」「気筒数」「型式」「冷却方式」といったエンジン性能を決定付ける要素を持っている事がお分かり頂けたと思います。メルセデス・ベンツやフェラーリから原付バイクまで、その目的に合わせたサイズや性能を宿した数多くのシリンダーブロックが存在しています。