「オペル カデット」世界のAE86? 各国で愛されたドイツのSTDコンパクト

かつて世界各国のモータースポーツで活躍したドイツのスタンダードモデル「オペル カデット」の秘めていたポテンシャルに迫ってみたいと思います。

「オペル カデット」とは

「オペル カデット(Kadett )」はドイツの自動車メーカーの「オペル社」のコンパクトカーです。モデルチェンジを繰り返しながら1992年に「オペル アストラ」が登場するまで生産されました。また「カデット」とはドイツ語で「士官候補生」の意味があります。

世界各国で愛されたSTD

特に4thモデルはGM(ゼネラルモーターズ)の「グローバルカー(世界戦略車)構想」として開発され世界のSTDとなりました。4thモデルの「C型」を元にして日本では「いすゞ ジェミニ」、イギリスでは「ヴォクスホール・シェヴェット」、アメリカでは「シヴォレー・シェヴェット」などの兄弟車が各国で開発されました。

1thモデル 初代(1936年–1940年)

1930年代はフォルクスワーゲンが開発されており、アメリカのゼネラル・モーターズ傘下の外資企業となっていたオペルは対抗できるモデルとしてオペルの大衆車「P4」の設計を一新した後継車種として「オペル カデット」が開発されました。1936年に登場し、ヘッドライトを車体本体と一体化しサイドステップを廃したモノコックボディ、デュボネ式前輪独立サスペンションを持つボディにパワーユニットは、1,073cc 水冷直列4気筒 NAエンジンを搭載していました。最大出力は23PSで車両重量757kgの軽量ボディを最高速度は98km/hまで加速させる動力性能を誇っていました。1938年にマイナーチェンジしフロントグリルを垂直で横筋デザインに変更しました。1thモデルは1940年に生産を終了しています。

2thモデル カデットA(1962年-1965年)

2thモデルは、1962年に登場しました。ボディサイズは、全長3,920mm、全幅1,470mm、全高1,410mm、ホイールベース2,325mmのコンパクトカーのサイズです。駆動方式はFRで、サスペンションはフロントが横置きリーフスプリング支持のウィッシュボーン独立懸架を採用しリアに半楕円リーフリジッドが採用されています。ボディはフルモノコックボディを採用し車両重量は700kgと軽量です。フロントにパワーユニットは、993cc 水冷直列4気筒 OHV NAエンジンを搭載し最大出力40PS、最高速度120km/hの性能を発揮しました。イギリス「ヴォクスホール」は、カデットAとほぼ同じ設計のシャシーに独自のボディと1,056cc 45PSのエンジンを搭載した「ボクスホール・ヴィヴァ」を1963年に発売しています。

3thモデル カデットB(1965年-1973年)

3thモデルは、1965年に登場しました。ボディデザインは2thモデルを継承し、ホイールベースを95mm延長しトレッドも拡大し一回りサイズが大きくなりました。2ドアと4ドアのセダン、クーペ、キャラバンのボディタイプがありました。パワーユニットは、1,078ccに排気量アップし最大出力45PSバージョンと圧縮比を高めた55PSバージョンの「S」の2タイプ用意され、「S」タイプには前輪ディスクブレーキが標準装備されていました。1965年には60PSのクーペモデル・「ラリー・カデット」が追加され、艶消しブラックのボンネット、サイドストライプ、キャップレスホイールのスタイリングでした。1967年のマイナーチェンジでは後輪サスペンションがパナールロッド付きの4リンク・コイルに変更されました。1971年にはSTDモデルがエンジンが排気量アップの1,196cc、最大出力60PSに変更されました。

4thモデル カデットC(1973年-1979年)

4thモデルは、1973年に登場しました。エンジンは1,196cc OHV 52PSと「S」バージョンの60PS、993cc 48PSエンジンが搭載されていました。1975年には3ドアハッチバックの「シティ」、「マンタGT/E」と同じエンジン(1,897cc 105PS仕様のエンジン)を搭載した2ドアクーペ「GT/E」、1976年には2ドアカブリオレ「エアロ」、1977年にはハイパフォーマンスバージョンのエンジン(1,979cc 115PS)を搭載した「GT/E2」、装備を簡素化した「オペル・ラリー」などのタイプが追加されました。1977年にはフロントのウィンカーがヘッドライト両端に取り付けられたフロントマスクになっています。

5thモデル カデットD(1979年-1984年)

5thモデルは1979年9月に登場しています。駆動方式は、FFとなり2ボックスボディになりました。エンジンはOHV 1,196cc 53PS仕様、60PS仕様、SOHC 1,297cc 60PS仕様と75PSの4タイプが用意されました。トランスミッションは4速MT、サスペンションはフロントがストラット、リアはトレーリングアームとビームアクスルが採用されました。1981年にエンジンのパワーアップのため排気量を1,598ccに拡大し90PSとなりました。1983年には1,796cc 115PSのエンジンを搭載し、エアロパーツを装着した「GT/E」が追加されました。

6thモデル カデットE(1984年-1991年)

6thモデルは1984年に登場しました。空力の良いスタイルとなり空気抵抗係数(Cd値)は0.32と、当時の最先端の値となりました。エンジンは従来からの1,196cc・1,297cc・1,598ccのガソリンと1,598ccディーゼルがそのまま用いられています。1986年にはハイパフォーマンスの「GSi」が登場し、空気抵抗係数(Cd値)は0.30となり、エンジンの最大出力も115PSとなり最高速度は220km/hの性能を発揮しました。1988年にはエンジン排気量が1,400/1,800/2,000ccに拡大され、ハイグレードの「GSi」は2,000cc DOHC 16バルブエンジンを搭載し最大出力も156PSとなりました。

モータースポーツでの活躍

特に3thモデルは、1975年からWRCにサンレモ・ラリーにグループ4仕様として参戦しています。「カデットGT/E」で参戦しホモロゲーション・モデルとしては、GT/E2ベース150hpとするグループ1仕様、GT/EのエンジンをさらにDOHC8バルブ207PSのグループ2仕様、DOHC16バルブ240PSであるグループ4仕様が作られました。サンレモではミッション・トラブルによりリタイアに終わりましたが、1977年スウェディッシュ・ラリーでの2位を獲得し1978年まで参戦しました。 兄弟車の「シェヴェットHS」のラリー仕様は16バルブ DOHC エンジンで1976年11月にWRCのグループ4で参戦しています。デビューから1年でクラス優勝しています。1978年には「シェヴェットHSR」にアップデートしフォード・エスコートRSと1980年代まで数秒差単位のタイトル争いをしています。

まとめ

「オペル カデット」は50年もの歴史とともにグローバルカーとして世界各国で愛されモータースポーツでも活躍する世界のAE86的なコンパクトカーでした。ニーズに合わせてモデルチェンジを繰り返し多くのファンを引き付けてきたモデルといえます。