絶滅危惧種に認定したい!スマートが生み出した特徴的「ロードスター」

読者の皆さん「スマート」と言うメーカーをご存知でしょうか? 最近のCMですと「相葉雅紀」さんが担当されていますね! 小型車を中心とラインナップであり現在はCM効果もあって「フォーツー」「フォーフォー」が人気を博しています。そんなスマートも昔は今では考えられない特徴的な車「スマートロードスター」を販売していました。そこで今回は、スマートロードスターについて解説していきます。

そもそもスマートってどんな会社?

(1)スマートの誕生!設立者は車メーカーではない?

スマートは1994年に誕生した車メーカーです。通常、車メーカーの創設者と言えば「車に明るい方」「車の技術者」「車業界に関して知識を持った方」がされるところですが、なんと創設者はスイスの時計会社「スウォッチ」です! 「スウォッチ? 聞いたことがない時計会社だな…」と多くの方が感じると思います。スウォッチはスイスでも大手であり、有名な取り扱いブランドを挙げますと「オメガ」「ロンジン」「ラドー」「ハミルトン」を扱っています。そのスウォッチが「メルセデス・ベンツ(当時はダイムラー・ベンツ)」と共同で「スマート」と言う会社を設立したのです。

スマートとしては「2人乗りを中心に小型車を作りたい!」と考え、メルセデス・ベンツは「今のラインナップに小型車がない(と言うよりも小型車自体がない…)」と言う思惑が一致し手を組んだものと思われます。もちろん、当時からメルセデス・ベンツの資本は潤沢でしたのでそれを見通してスウォッチ側が決定したのだと感じます。

(2)スウォッチはなぜ「メルセデス・ベンツ」と手を組んだの?

スウォッチからすれば1990年代、他にも手を組む会社はあったと感じますがなぜメルセデス・ベンツと手を組んだのでしょうか? 理由として2015年に「ディーゼル排出ガス不正問題」を起こし、一躍有名になった会社に断られたからです。その会社は「フォルクスワーゲン」です。当時から小型車を中心に製造していたのでスウォッチからすれば「小型車を中心に作っているから信頼できそうだ!」と創設者でなく私達でも安心感が分かります。しかしフォルクスワーゲンの答えは「NO」でした。

フォルクスワーゲンから断られたスマートは、結局メルセデス・ベンツと手を組み「メルセデスが51%」「スウォッチが49%」の出資比率でスタートしました。両者共に合意の上でスタートした「スマート」華々しいスタートで飾るところですが、設立から数年経つと言うのに多くの問題を発生させました。ではどのような問題が発生したか下記に紹介していきます。

設立から数年スマートを悩ませた問題

設立から数年間、スマートを悩ませた問題が「横転事故」です。写真を見ていただければ分かるように、スマートの車は非常に特徴的な形状をしています。写真のスマートは現在のタイプですので、横転事故が起きないよう再設計され安全基準をクリアしています。

とは言え当時は1990年代。日本国内でも今では考えられない「マツダ AZ-1(横転あり・エンジン音がやかましい等。でも欠点が良いと言うユーザーが多い)」「MR2(225~245馬力と言うとんでもないエンジンにも関わらず発売当初の足回りが軟弱・ブレーキも軟弱等々…欠点が目立つ。しかしカスタムする楽しみがあり、カスタム次第でとんでもないスーパーカーに仕上がる)」等々ある意味変態な車のオンパレードでした。

スウォッチ関係者も合意はしたものの内心「小型車を作ったことのないメルセデス・ベンツで大丈夫かな…?」と思っていたことでしょう。1998年に初めて「シティクーペ」が発売されましたが、正に不安が的中し各所で横転事故が多発しました。これは部品の交換云々の話では済まされずなんと一から設計をやり直す羽目になりました。

これ以上我慢はできない!スウォッチがスマートから撤退

簡単な部品を一から再設計するならまだコストも幾分収まります。しかし車全体を再設計するには私達では考えられないほどのコストが発生するのです。メルセデス・ベンツは「小型車がグループ内に無いから…なんとかしなければ!」と俄然やる気ではありましたが、面白くないのは共同出資者の「スウォッチ」です。設立してから利益を上げるどころか「赤字!」「赤字!」の連続で、なんと設立してから12年間赤字続きだったのです。

スウォッチは徐々に出資比率を下げていき2000年には「もう我慢できない!」と感じたのか、スウォッチがスマートから完全に撤退しました。そうして現在のスマートは「メルセデス・ベンツ」の完全子会社として経営を行っているのです。

スマートの特徴的技術がふんだんに盛り込まれた「ロードスター」完成!

これまでスマートとは何か? を長々と紹介してきました。12年間も赤字続きながら「スマートの小型ロードスターを作ろう!」と言う発案の元製造されたのが「スマートロードスター」です。2002年に華橋しくデビューし、日本では2003年9月24日から販売を開始しました。下記に車の情報を掲載します。

全長:3,430mm
全幅:1,615mm
全高:1,205mm
ホイールベース:2,360mm
車両重量:830kg

エンジン:直列3気筒インタークーラー付きターボエンジン 698cc
最高出力:82ps(60kW)/5250rpm
最大トルク:11.2kgm (110Nm)/2250-4500rpm

続いては、購入したユーザーを虜にしたスマートロードスターの魅力を紹介していきます。

スマートロードスターは魅力的!ユーザーを虜にした理由とは?

(1)ロードスター・ロードスタークーペから選べる

スマートロードスター1つ目の魅力は「ロードスター」「ロードスタークーペ」2種類から選択できるところです。ロードスターの場合、電動で開閉する幌がありますので好きな時にオープン走行を楽しむことができます。しかし「いたずら」「幌の劣化」等により幌が傷んでしまうと交換する必要が出てきます。

一方、ロードスタークーペの場合、樹脂製のハードトップが採用されています。幌の時のようにいたずらによる被害は防げますし、幌の劣化にも過敏になることも無いでしょう。「でもオープン走行できないのでは?」と感じる方もいると思いますが、そのようなこともございません。実は脱着式のハードトップのため、オープン走行で走りたい場合は樹脂製のハードトップを外して走行すれば良いのです。

このようにスマートロードスターは、自分の用途・好みによって車種を選択できるのです。

(2)理想的なボディとエンジン配置

続いて紹介する魅力は「理想的なボディ」そして「理想的なエンジン配置」にあります。それでは下記にボディ・エンジンに関して紹介していきます。

・ロングノーズ(2,360mm)のため直進安定性に長けており高速道路や直進が多い道路での安定性が高い
・ホイールベースの短い車よりも段差で受ける衝撃を緩和する
・「地面にお尻がついてしまうのでは?」と感じるスポーティーな全高の低さ
・「RR(後ろにエンジンが乗っています)」のため車重バランスが良い
・小型車ながらタイヤが「185/55R15」のためカーブでの安定性も高い
・峠道の下りは腕さえあれば他の車を寄せ付けない力を持っている
・小回りが効くのもGOODです!

以上となります。日本車ではなかなか見られない「RR」に長いホイールベース。そして車重の軽さやタイヤサイズも相まって、なかなかスポーティーな車に仕上がっています。そのため出力は確かに低いものの、スマートロードスターの特性を活かした運転をすれば爽快な走りを楽しむことができるのです。

(3)小型のボディながら意外と荷物を載せられる

スマートロードスターは小型のボディながら、意外と荷物を載せることができます。載せられるポイントは「ボンネット」「リアの荷室」です。ボンネットは後ろにエンジンが積んであるため、若干ですがスペースが確保されています。とは言え、ホンダのS660のように「タルガトップをしまったら何も収納できない」と言ったことはありませんので安心してください。

次にリアの荷室です。
ここはオープン走行でなければ、幌が入るスペースを有効活用できます(ロードスタークーペの場合はそのまま活用できます)しかし、幌が入りますとスペースが殆ど無く上着を入れるだけでしょう。ちなみにリアの荷室は運転席や助手席に繋がっているため、オープン時でなければ有効活用することができるでしょう。

(4)昔ながらのターボラグを感じることができる

現在発売されている「ターボチャージャー」搭載車は非常に良くできています。中には「ターボラグ」をそこまで感じない車もあるほどです。とは言え、やはりターボチャージャーを搭載した車に乗っているのであればターボラグを感じる走りを楽しんでいただきたいものです。スマートロードスターは、まだまだターボラグが楽しめた時代の車ですので、思う存分楽しむことができます。もし皆さんの中で「今のターボ車は面白みに欠ける」と感じましたら一度、スマートロードスターに乗ってみることをおすすめします。

さてさて、ここまでスマートロードスターの魅力を紹介していきました。確かに見た目の魅力や走行性能は良かったものの…スマートロードスターはそこまで販売実績を伸ばすことができなかったのです。続いての項目ではスマートロードスターの問題点をいくつか紹介します。

魅力的!だが…なぜ売れない?そこに抱える問題点とは?

「車にお金の話はご法度だ!」「好きな車ならお金を惜しまない!」と感じる方もいると思いますが、スマートロードスターは値段が高額でした。ちなみに値段は当時の価格でロードスターが「255万円」ロードスタークーペが「278万円」です(あくまでもベース車両となります。グレードや記念車等は価格が変わる場合がございます)諸経費やオプション等を付けると余裕で300万円を超えます。

販売されていた時期ですと、日本車であれば「シビックタイプR」「インテグラタイプR」「RX-8」等々、選択肢の幅も広くもう少し頑張れば「ランサーエボリューション」「インプレッサWRX」と言ったモンスターマシンも購入できるのです。こうなるとスポーツカーを求める方々は、よっぽど「スマートのロードスターが欲しい!」「それだけにしか目が行かない!」と感じない限りはスマートロードスターを購入しないと感じます。

確かに優れたマシンではありますが、どうしても日本国内だけではなく世界でも認められない車になっていきました。そうなるとスマートロードスターも全く売れず悲しい結末を迎えることになるのです。

売れない車はカット!スマートロードスター 販売不振のため製造終了

先ほども紹介したように、スマートは設立から12年間も赤字続きでした。マツダのロードスターのように「長年愛されている車」であれば続いていたことでしょう。しかし残念ながら、スマートロードスターは2007年3月をもって販売を終了したのです。もちろん日本のメルセデス・ベンツやスマート取扱店に行っても購入することはできません。

確かにスマートロードスターは優れた車でした。小型の排気量ながら理想的なボディとエンジン配置、そしてオープンカーなのに収納スペースもあります。そして峠道のようなコースでは車体を活かした走りで存分に楽しむこともできます。しかし、販売不振・スマートの業績も関係してしまい早々に消えてしまいました。現在のスマートにはスマートロードスターのような車は取り扱っておりません。できるのであればもう一度、スマートロードスターを復活させていただきたいものです。

絶滅危惧種?中古車市場でなかなか見られないスマートロードスター

現在、スマートロードスターを購入するなら中古車しかありません。しかし、日本でそこまで売れた車ではありませんので中古車市場に出回っている数が非常に少ないのです。市場に10種類も出ていれば多いと感じます。正に「絶滅危惧種」と言っても過言では無いでしょう。もしスマートロードスターを購入したいなら、無くなる前に早めに購入することをおすすめします。

最後に

最後になりますがスマートは現在、冒頭でもお話ししたように「相葉雅紀」さんのCMの「フォーツ」「フォーフォー」が主力となっています。つまりスポーツタイプの車には力をそこまで注がなくなったのです。「スポーツカーが売れない」と言う時代の流れですので仕方のないことですが、できるのであればもう1度、スマートロードスターが復活すればと思います。

価格も抑えて販売すれば、日本市場のS660・コペンと言ったオープンカーと対等に渡り合えると感じます。スマートロードスターの復活がいつになるかは分かりませんが、是非とも復活していただきたいものです!