【ホンダ アクティ】農道のフェラーリと呼ばれるこの小さな働き者を徹底解剖!

地方の町での軽トラックの普及率は実に高いのです。その中でも、ホンダ・アクティは高い実用性を備えた人気車種です。今回はその実力を調べてみましょう。

アクティの歴史

アクティの前身

1963年、日本初のDOHCエンジン(2バルブ)を搭載しホンダ初の4輪自動車として「T360」は誕生しました。当初ホンダはS500などのスポーツカーの開発を進めていましたが、4輪車の需要は商用車の方が多いことや、オートバイの販売網しかないホンダ販売店で売れるクルマということで、軽トラックの「T360」の開発は進められました。
搭載されたDOHCエンジンはこの水冷直列4気筒で鋳鉄製のスリーブ以外はオールアルミニウム合金製で作られ、わずか360ccで30PS/8,500rpmと当時としては異例の高回転・高出力型の性能を誇りました。
その後、1967年N360用と同一の空冷2気筒SOHCエンジンを搭載したキャブオーバータイプの後継車「TN360」に道を譲り生産を終了しました。

初代アクティ

前身のT360の後、TN360とモデルチェンジしてきたホンダの軽トラックの後継として、1977年7月、TNアクティが発売されました。1975年9月1日の道路運送車両法施行規則改正により、エンジンは550ccのEH型エンジンが搭載されました。
当時、他のメーカーのモデルはキャビン下部にエンジンを設置、駆動はリアドライブというレイアウトが主流でしたが、唯一スバルだけはリアエンジン・リアドライブレイアウトを採用していました。そこでホンダはアクティに独自にミッドシップエンジン・リアドライブのレイアウトを採用しました。それは、前モデルのTN360が前輪駆動のN360からエンジン・ミッションを流用して後輪駆動化されたモデルであり、トランスアクスル構造であったため、アクティの全体的レイアウトもTN360を受け継いだものとなりました。

ちなみに、RRのスバル「サンバー」が”農道のポルシェ”と呼ばれるのに対し、MRのホンダ「アクティ」は”農道のフェラーリ”や”農道のNSX”と呼ばれることがあります。

1979年11月にはアクティバンを追加し、その後バンの乗用タイプ「ストリート」を追加しました。軽トラックでは初の5速マニュアルの設定も追加されました。1983年3月には4WDモデルを追加し、発売当初は世界でも珍しいミッドシップ4WDとして話題を呼びました。エンジンの搭載方式は2WD車とは異なり、縦置きになりました。その後、4WDにAT車が追加されたり、エアコンがオプション設定されたり、フロントディスクブレーキが標準装備されるなど、安全性・快適性が向上しました。

出典:http://www.honda.co.jp/pressroom/products/auto/tn/tn-acty_1977-07-20/

2代目アクティ

1988年5月フルモデルチェンジをしました。外観は丸目2灯のヘッドライトを持つ愛らしい顔のデザインとなりました。エンジンはそれまでのEH型から直列3気筒のE05A型エンジンになりました。このエンジンは現在の4代目アクティに搭載されているE07Z型の基礎となる信頼性の高いエンジンでした。4WDシステムはトランスファーを用いたパートタイム4WDから、構造が簡単なリアルタイム4WDとなりました。4WDを選択するユーザーの中には、農作業で使用する年配の方も多く、他のメーカーのパートタイム4WDの切り替え操作に戸惑いを感じていました。アクティの4WDシステムは特別な操作を必要とせず前後輪の回転差が発生するとトルクが自動的に前輪にも伝わる構造で、ユーザーは4WDであることすら忘れてしまいそうなシンプルな操作性で人気がありました。

1990年3月、軽規格の拡大に伴いマイナーチェンジが行われました。全長の延長(100mm)・排気量の拡大(660cc)が行われ、エンジン出力が38PSになりました。外観の変更もされ、愛らしい丸目2灯のヘッドライトからストリートと同様の異形に変更され、精悍な顔立ちとなりました。この頃から、軽トラックにもエアコンを装着するユーザーが増え始めました。クルマの耐久性も格段に高くなり、25年以上経ってる現在でも現役で働いている姿を目にします。

3代目アクティ

1999年5月フルモデルチェンジをしました。1996年9月30日の道路運送車両法施行規則改正によりサイズが新規格となったことでエクステリアは大きく変わりました。先代同様のミッドシップリアエンジンのレイアウトのまま、セミキャブオーバータイプのボディースタイルとなりました。それによりホイールベースの拡大され、直進安定性が高くなりましたが、旋回半径も大きくなり狭い山道での切り返しなどで不便を感じるという声もきかれました。また足元にタイヤハウスがあることにより乗り降りし難いことや、旋回時の運転手にかかる横Gが強いなどの不評もありました。
エンジンはすべてPGM-FI化され、38PSから46PSに向上しました。2001年2月には先代より廃止になっていた4WDモデルのAT車が復活(バンのみ)しました。その後バンにエアコンが全グレードに標準装備されたり、運転席・助手席SRSエアバッグを全グレードに標準装備されたり、安全・快適装備が充実しました。エンジン・ボディーともに耐久性が向上し現役で活躍している車両には20万キロオーバーのものも多く見られます。4WDシステムは先代譲りのシンプルなリアルタイム4WDで人気でした。パワステが標準化されたことで、回転半径は大きくなったものの切り返しのハンドル操作は楽になりました。

4代目アクティ

2009年12月、バンはそのままトラックのみフルモデルチェンジしました。3代目のセミキャブオーバータイプから2代目のようなフルキャブオーバータイプにデザインは変更されました。ホイールベースは先代に比べ520mm短縮され、最小回転半径は3.6mに縮小し、小回り性が向上しました。キャビンスペースもフロントピラーを前方へ大きく移動することで拡大されました。フルキャブオーバータイプになったことにより、ホイールハウスもシート下に移動し、足元の空間が拡大され乗り降りもスムーズになりました。エンジンは3代目のものをベースに、各部の改良と車体の軽量化により燃費が向上しました。駆動系は先代と同じ仕様です。
デザインが2代目のフルキャブオーバーに変更されたのが大きな特徴の4代目ですが、ユーザーのニーズはこちらのタイプの方がよかったのでしょうね。他のメーカーも現行車はフルキャブオーバータイプのみになりました。スバルが自社開発のサンバートラックを生産終了したことによりリアにエンジンを積む軽トラックはアクティのみになりました。乗用車に比べ使用年数の長い軽トラックでは、現行車よりも3代目アクティを見かけることのほうが、現在ではまだ多いように思えます。

出典:http://www.honda.co.jp/usersvoice/acty-truck/2010/011/

アクティの故障

ここでは、まだ修理しながら乗っておられるユーザーのために2代目・3代目を中心に故障事例を紹介します。参考にしてください。

【2代目】
・エンジンが突然止まり再始動不能になるが、しばらくすると何事もなかったように始動する:始動不能時にプラグから火花が飛んでいなければ、イグナイターの可能性が高いです。多くの車両で見受けられました。修理には交換が必要です。
・暖機後、再始動が困難になる:いろいろと原因はありますが、エアクリーナーの汚れにより吸入空気不足による原因のものも多かったです。エアクリーナーを外してかかりが良ければ新品に交換して下さい。
・始動困難になる:キャブタイプのエンジンですのでキャブのオーバーホールも必要な場合もあります。キャブ内のエアーベントバルブの線が断線してうまく作動しない場合も多くありました。修理にはバルブの交換が必要です。
・雨天時や加速時に息継ぎする:デストリビューターキャップのひび割れが考えられます。デストリビューターキャップは消耗品と考え定期的な交換をお勧めします。
・暖機後、エンジン不調になる:意外に多い故障のひとつで、イグニッションキースイッチの故障もあります。確認方法として不調時にヒーターファンスイッチを入れてみて、ファンが回らないようであればイグニッションキースイッチを交換してみましょう。
・オーバーヒートする:リアエンジンのこのタイプはラジエーターとエンジンまでの距離があるため、クーラントの交換を知識のない人が行うと、パイプ内のエアーが抜けずに冷却水が循環できずにオーバーヒートすることがあります。知識や経験があるプロにエアー抜きを手順に従って行ってもらいましょう。

【3代目】
・エンジンが息継ぎする:イグニッションコイルの可能性が高いです。プラグを外しダイレクトイグニッションコイルに外したプラグをつけ火花点検をします。火花が出ていなければコイルの交換をしましょう。火花は出ていても大気状態と圧縮状態ではちがうので交換が必要な場合もあります。同時にプラグの交換もお勧めします。
・エンジンの始動性が悪い:カム角センサーの不良が考えられます。整備書で単体点検をし悪ければ交換して下さい。
・エアコンをつけると音がする:ヒーターファンモーターの故障も多く見受けられます。ファンモーターの交換が必要です。
・アイドリングが不安定:アイドリングをコントロールしているISCVの可能性が高いと思われます。
・オーバーヒート:3代目も同様にクーラント交換時のエアー抜きは注意して行いましょう。しかも、このモデルから水温計が廃止されていますので、水温の上がり方が目で見れませんので整備書の作業手順に忠実に行いましょう。バンや2WDのバモスでは使用の過程においてオーバーヒートするものもありました。ヘッドガスケットが抜けてしまいオーバーヒートするのです。原因はいろいろ考えられますが、基本設計で冷却効果不足ではないかとも考えられます。高負荷を長時間かけるような使われ方をする車両に何台か見受けられました。ヘッドガスケットの交換が必要となります。

以上、個人的な見解と体験による事例です。参考にしてみて下さい。

中古のアクティ

ここでは、中古のアクティについてレポートします。
中古車市場で多く売買されているアクティは、主にH5年の2代目からH27年式の新古車まであります。
H6年からH8年くらいの2代目アクティで、車両価格は約10万円から20万円くらいです。20年近く経っても値下がりしません。この時代のアクティはマフラーが錆びてすぐに交換が必要になるもののもあり、安く購入してもその後費用がかかる場合があるので注意しましょう。ドアを開けたところのステップの錆もチェックしましょう。エアコン付きであっても故障しているものも多くあります。コンプレッサーやエバポレータの交換が必要な修理の場合10万円近くかかるかもしれません。パワステもこの時代のアクティにはないので注意しましょう。

H13年くらいの3代目アクティは車両価格20万円から40万円くらいのものが多いようです。これくらいの年式になるとエアコン付きに人気が集中してるようです。さすがに年式からしても多走行の車両が多くなりますが耐久性は高く20万キロくらいまでなら、定期交換部品さえ整備していれば安心して使うこともできます。軽トラックを道具として使いたい方には、価格も安くお勧めかもしれません。
H16年くらいの3代目アクティーは車両価格40万円から60万円くらいです。もの自体はH13年のものと変わりありませんが走行距離は10万キロを切ったものが多くなります。車検を何度か受けて長く使いたい方にはよいと思います。

現行の4代目のアクティはさすがに価格も高めです。H25年あたりで70万円前後、H27年なら100万円くらいです。新車価格とあまり変わらない価格で取り引きされているようです。
全体的に軽トラックの中古車の人気は高く、価格も値下がりなかなかしないようです。人気は、エアコン・パワステ付きの4WDのマニュアル車です。今や軽トラックもエアコンなしでは売れないみたいです。

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まとめ

都会では、軽トラックは宅配業者か土建業で使われている姿しか目にしないかもしれませんが、地方に行けば軽トラックは生活の大切な道具としてあちこちで多く普及しております。そのなかでもアクティの人気は高くたくさんの車両が走っています。ミッドシップリアにエンジンをレイアウトする独特のスタイルで、軽トラックにありがちなフロントヘビーの重量バランスにならずに積み荷なしの状態でもスリップしにくく走行安定性が高いことも人気の秘密です。しかし、新車価格は、他のメーカーよりは少し高い設定であったため、販売ディーラーは新古車を多くつくり、値引きして価格を合わせ苦労しながら販売していたことを思い出します。
価格が高い分、他のメーカーの軽トラックとは、耐久性、信頼性、走行性能、すべてにおいてアクティは1枚上を行っていたと思います。現行の4代目アクティーも、2代目・3代目のように10年後・20年後に、地方の野山や町中で元気に活躍していることだと思います。たまには、うちのアクティもワックスでもかけてみようかな!