「ギャランGTO」名機を搭載したアグレッシブなモデル

「質実剛健」そんなイメージを払拭したのが「ヒップアップクーペ」のキャッチコピーで登場した「ギャランGTO」です。モータースポーツを意識したワイルドなデザインとハイスペックな動力性能を備えたモデルの「ギャラン GTO」に迫ってみたいと思います。

三菱の戦略

当時の三菱は「質実剛健」と言われるほど、クルマのデザインは無難なものだったため次々とデザインと優れた動力性能のスポーツカーを送り出していた国内メーカーに後れを取っていました。次世代モデルは、インパクトのあるデザインとハイスペックな動力性能を兼ね備え、モータースポーツでも活躍できるスポーツカーモデルが期待されていました。

コンセプトモデル「ギャラン クーペGTX-1」

1969年のモーターショーで三菱は、コンセプトモデルの「ギャラン クーペGTX-1」を発表します。当時としては珍しい「カーブドグラス」を採用し、スタイリングは翌年に登場する「ギャラン GTO」そのままのコンセプトモデルでした。

「ギャラン GTO」の登場

1970年10月に「コルトギャランGTO A53C型」としてデビューしました。A50型ギャランをベース車両としてウェッジシェイプ(ダイナウェッジシェイプ)でアグレッシブなボディデザインが採用され「ヒップアップクーペ」というキャッチコピーが用いられました。フロントノーズは逆スラントノーズで大型の2分割のメッキグリルを備えています。サイドにはラインステッカーが貼られてフロントノーズを長く見せスポーツカーを意識させています。またサイドウィンドーは、センターピラーを設けずフルオープン仕様になっています。リアにかけてボディラインを大胆に大きくしリアデザインは、ダックテール、バナナテール(フォードマスタングに似たテールライン、テールライト)が採用されてスタイリッシュなボディデザインとなっています。

後世に名機となるパワーユニット

ボンネットに収まっているパワーユニットは、4G60型(サターンエンジン)をチューンした4G32型 1.6L 直列4気筒 OHC エンジンを搭載しています。シングルキャブ仕様の「M I」では最大出力100PS、最大トルク14,0kgmを発生させ、ツインキャブ仕様の「M II」では最大出力110PS、最大トルク14,2kgmを発生させています。トランスミッションは4速MTが組み合わされています。4G60型系は後に「ギャラン VR4」「ランエボ シリーズ」で名機と呼ばれることになります。

信頼性のあるサスペンション

「ギャラン GTO」のサスペンションは、フロントにストラット/コイルが採用され、リアはリジット/リーフスプリングを採用しています。サスペンションは「M II」グレードではハードタイプに設定されています。ステアリング方式はボールナット式のハンドリングを採用し低速走行時では軽く、高速走行時にはシャープなハンドリングをもたらしていました。

硬派なインテリア

「ギャラン GTO」のインテリアは硬派なデザインでドライバーにクルマをコントロールする高揚感を与えてくれます。「フライング コックピット」と呼ばれるインパネは三菱が以前「航空機」を製造していたことを思い出させるデザインです。ドライバーに向かってインパネが取り付けられて木目のパネルに8連メーターが配置されています。右から水温、タコメーター、スピードメーター、電流、燃料、時計、油温、油圧のレイアウトで取り付けられています。シートはバケット風タイプが採用され、ステアリングは革巻き3本スポークが装着されています。

「ギャラン GTO」の動力性能

「ギャラン GTO」のハイスポーツグレードの「M II」は、パワーユニットがツインキャブで最大出力115PS、最大トルク14,0kgmで車両重量が930kgと軽量なため、最高速は185km/hに達しておりスポーツカーとしての十分な動力性能を発揮しました。

スペシャルカーのみに与えられた称号「MR」

1970年12月に三菱は、特別なスポーツモデルのみに与える称号「MR」(Mitsubishi Racingミツビシ レーシング)の意味を持つ「ギャラン GTO MR」を発表します。「M I」、「M II」と一線を画す、当時では重宝されていた「DOHC(ツインカム)」のエンジン、「ソレックスキャブレター(スポーツキャブレター)」、「5速MT」が搭載され、特別な称号を持った「MR」はエンジンヘッドカバーがゴールド結晶で塗られていました。最大出力125PS、最大トルク14,5kgmを発生していました。車両重量は、980kgに抑えられ最高速度は、200km/hに達していました。イメージカラーはインパクトを与える「オレンジ」にボディサイドにブラックラインが入ったカラーリングでした。ボンネットにダミーですが「エアダクト」を備え「ギャラン GTO MR」は、ハイスペックなスポーツカーとして三菱のイメージを一新ししたモデルとなりました。

「ギャラン GTO MR」主要諸元

エンジン:4G32型 1.6L 直列4気筒 OHC エンジン(サターンエンジン)
最大出力:125PS
最大トルク:14,5kgm
トランスミッション:5速MT
駆動方式:FR
サスペンション:F ストラット/コイル R:リジット/リーフスプリング
全長:4,125mm
全幅:1,580mm
全高:1,310mm
ホイールベース:2,420mm
車両重量:980kg
最高速度:200km/h

MC後の「ギャラン GTO」

1973年排気ガス規制により、国内のスポーツカーはパワーダウンを余儀なくされ、徐々に姿を消していきました。「ギャラン GTO」も影響を受け最上級モデル「MR」は姿を消してしまいます。この「MR」に変わって登場するのが「2000 GSR」です。ボディは標準で前後に「オーバーフェンダー」が装着されています。新開発の4G52型 2L OHC ツインキャブ エンジンとなり、エンジンの名称は「アストロン エンジン」と呼ばれるものが搭載されました。トルクフルなエンジン特性は、最大出力125PS、最大トルク17,5kgmを発生させ、5速MTで1,015kgのボディを190km/hの最高速度まで加速させる動力性能を発揮しました。その後、1975年のマイナーチェンジでエンジンは4G52型で排ガス規制に対応した「アストロン 80」エンジンとなり、1977年に生産終了を迎えました。

「ギャラン GTO 2000 GSR」主要諸元

エンジン:4G52型 2L OHC ツインキャブ エンジン
最大出力:125PS
最大トルク:17,5kgm
トランスミッション:5速MT
駆動方式:FR
サスペンション:F ストラット/コイル R リジットリーフ/リーフスプリング
全長:4,125mm
全幅:1,580mm
全高:1,310mm
ホイールベース:2,420mm
車両重量:1,050kg
最高速度:190km/h

モータースポーツ

「ギャラン GTO」は、モータースポーツでも活躍することを目指して開発されましたが、排気ガス規制もあり、1972年のサザンクロスラリーのみが公式なモータースポーツ参戦となりました。

まとめ

三菱「ギャラン GTO」は、アグレッシブなデザインとスポーツキャブレターとツインカムエンジンの組み合わせでハイパフォーマンスな動力性能を発揮したモデルでありながら排気ガス規制というスポーツカーに厳しい時代に影響を受けてしまったモデルです。しかし、そのデザインや動力性能は今でも十分魅力的なクルマといえます。