【車検 期間】について知らないこと、実はけっこうありませんか?

車検には有効期間が定められています。満了する日を過ぎてしまったら、もうその車には乗ってはいけません。毎日使う人にとっては“車に乗れない”なんてとんでもないことですし、趣味の車でも乗りたいときに乗れないのは不便ですね。誰がどのような目的で、どのように使うかで有効期間の長さが変わります。新車で購入したときとそれ以降でも違いますよね。なんだか煩雑で実はよくわからない“車検の期間”についてまとめてみます。

そもそも“車検”ってなんでしょう?

みなさん、“車検”について考えたことはありますか? 実はよくわかってないけど受けないと乗れなくなっちゃうから受けているって言う人も多いのではないでしょうか。
せっかくですから、中身をしっかりと覗いてみましょう。実は車検に関する勘違いや誤解があるかもしれません。

法令にもとづき国が定めた制度

一般的には“車検”と呼ばれていますが、正しくは“自動車検査”です。これは、道路運行車両法という法律の中で、道路を走る車が適切な性能を満たしているかどうかを確認するための方法として定められています。

有効期間が終わっている車を公道で走らせると、“無車検車運行”になります。違反点数6点ですから即免許停止ですし、6ヶ月以下の懲役または30万以下の罰金という罰則もいただくことになってしまいますので注意しましょう。

自動車検査の種類

自動車検査にはたくさんの種類があります。

新規検査:新たに自動車を使用するときに受けなければいけない検査です。わかりやすいのは新車を購入した時ですね。まさに“新たに自動車を使用するとき”です。でも、中古車でも新規車検を受けることがあります。それは、“使用の中断”から復帰するときです。何かの理由で一定期間乗らないとわかっている場合はナンバープレートを返納できます。その間は自動車税や自動車重量税、自賠責保険などは必要ありません。乗らないとわかっていても車検を受ける人もいますが、返納すれば不要な出費を抑えることができます。この返納状態から復帰する(もう一度使用する)時には新規検査を受けます。

継続検査:自動車検査有効期間の満了後も引き続き使用する場合に受ける検査です。みなさんのイメージしている“車検”はこれですよね。有効期間が満了して使えなくなっては困りますから、検査を受けて有効期間を再設定します。生命保険や賃貸住宅の“契約更新”に似たイメージですね。

構造等変更検査:自動車の寸法や乗車定員の変更、用途や形状など変更など、形状や構造の変更が生じたときに受ける検査です。普通に車を使っている人には縁がない内容なのでピンとこないかもしれませんが、ワゴン車を介護用に改造する(車いすがそのまま乗れるようにするなど)場合はこの検査を受けます。

街頭検査:整備不良車や不正改造車等を排除するために路上で行われる検査です。

予備検査:おもに販売目的の車が対象の検査です。検査だけを行って登録はしない(ナンバープレートは発行しない)制度です。“検査は合格しているので、いつでも登録できます”という状態にできますので、遠方で購入した中古車を予備検査に合格した状態で受け取り、所轄の運輸支局で登録を行う(ナンバーを発行してもらう)ことができます。販売した側は遠方まで登録に出向く必要がありませんし、購入した側は都合に合わせて乗り出す日(有効期間の始まる日)を決めることができます。

臨時検査:事故や不具合が多発するなど、保安基準に適合していないと認められる場合に国土交通大臣の権限で受験を指示する検査です。わかりにくい表現ですね。例えば有効期間内に道路運行車両法に違反するような改造をしても次の継続検査までは発覚しません。街頭検査などで発見した違法車輌に対して強制的に検査を受けさせることが出来る制度です。臨時検査に合格しなければ運行できなくなります。

実はたくさんの種類がありましたね。でもみなさんに関係するのは、ほとんどの場合継続検査だけですよね。新規検査は新車にしろ中古車にしろ販売する側が行うのが一般的で、ユーザーが行うことはまずありません。
ただし細かいことを言えば、書類上は検査の申請を行っているのはあなた本人です。業者さんはあくまでも代行(委任されて行っている)にすぎませんから、書類の準備には気を付けて下さい。

車検はどこで受ける?

自動車検査を受ける場所は、全国の運輸支局や自動車検査登録事務所構内の自動車検査法人の検査場です。継続検査は全国どこの検査場でも受けることができます。ただ、新規検査と構造等変更検査は使用の本拠の位置を管轄する検査場でなければ受けることができません。

軽自動車は場所が違う?

軽自動車の検査は、軽自動車検査協会というところで同様の検査が行われています。

あくまでも検査です!

メカニックだったころ、“車検を受けたからしばらく安心”とおっしゃるお客様がいらっしゃいました。実際のところ、そう思っている人が多いのではないかと思います。でも、車検はあくまでも“自動車検査”なんです。

検査場に車を持ち込んでブレーキの性能が基準値を満たしているか、スピードメーターの表示が実際の速度と大きくずれていないか、ヘッドライトの光が正しく設定されているか、排気ガスの濃度が基準値内かなどをテスターにかけて判断します。違法改造がされていないか、ヘッドライトやテールライト、ウィンカーなどの灯火類が正しく機能するかどうかを検査員が確認します。
決して分解して中を確認しているわけではありませんし、MRIのように透視して確認しているはずもありません。ですが、検査をパスできれば合格できるのです。有効期間は新たに設定されるのです。
例えば、ブレーキのディスクパッドが残り2mmくらいしかなくても、検査の時に性能が基準値をクリアしていれば検査はパスできます。でも、半年もしないうちにブレーキが効かなくなってしまうかもしれません。極端な言い方をすれば、明日壊れるかもしれない車でも、パスしてしまえば一定期間乗る権利を貰えるということです。

“車検に受かった”=“以降2年間安全に乗れる”ということではありません。検査に合格するための修理だけを行うことで車検代を安く抑える方法もありますが、安心して乗るためには分解・点検をともなう整備をするべきだと思います。
人の身体は“切開して中を覗いてみる”なんて簡単にできません。でも車の場合は、少なくとも命に直結するブレーキや足回りは、目視出来ない部分を分解・点検をすべきでしょう。それでも、全部を分解することはできませんから予期しないトラブルは起きてしまうのです。

車検の期間とは

車検の内容についてお話できましたので、次は本題の“期間”についてです。これも盛りだくさんの内容になりますので心して下さいね。できるだけわかりやすく書きますが、検査の種類と車の種類によって決まりごとが違いますので、それぞれ分類分けして書きますね。

車検の期間=“有効期間”

一般的に車検の期間と呼ばれているのは、自動車検査の有効期間のことです。みなさん、愛車の車検証をみたことがありますよね。これも正式には“自動車検査証”と呼びますが、この中に“有効期間の満了する日”という項目があります。
もしこの欄に過去の日付が書かれていたら、その車は乗ってはいけません。すぐに使用を止めて下さい。へお越しのみなさんは愛車をしっかりと維持していきたい方だと思いますので、きっと大丈夫だと思いますが“ついうっかり”がないとも限りません。一度愛車の検査証を確認してみて下さい。有効期間の満了する日が未来の日付であることを。

継続検査を受ける

さきほど検査の種類について一通り書きましたが、皆さんが重きを置いている“車検”とは“継続検査”であることはご理解頂けましたよね。この項では継続検査について、有効期間や注意事項などをお話しします。

自家用乗用車の場合

大多数の方がこの自家用乗用車に当てはまるはずです。自動車検査証の“用途”の欄が“乗用”であることと“自家用・事業用の別”の欄が“自家用”になっている場合です。
まず有効期間ですが、原則として2年間です。継続検査を受けた日から数えて2年目の日付が有効期間の満了日になります。例えば、2016年1月22日に継続検査に合格したら、2018年1月21日が有効期間の満了する日になります。

ここでお気づきのあなたはさすがです。満了する日の次の日に検査を受けないと、期間が短くなってしまうのではないか? ということですよね?

満了する日から数えて1ヶ月前から検査が受けられる

実は継続検査に限っては、満了する日の1ヶ月前から受けることが許されています。そりゃそうですよね。“満了する日”その日を過ぎたら乗れなくなってしまうし、余裕を見てそれよりも前に検査を受けたら残りの有効期間を放棄しなくてはいけないなんて、さすがに無理がありますよね。さすがにお役所も“万障繰り合わせてこの日に検査を受けなさい”とは言いません。
例えば、2016年1月22日に満期を迎える車であれば、2015年12月23日から検査を受けることができます。これは、検査に対する準備期間としての時間の猶予もそうなのですが、1回で検査に合格するとは限らないという内容も含まれています。
仮に満期を迎える日に検査を受けて合格しなかった場合はどうなるでしょう。翌日からは公道を走ってはいけなくなってしまいますから、検査場に行くことすら難しくなりますよね。ですから、再検査に向かうための猶予も残しておけるように、前倒しで検査を受けて良いことになっているのです。

1ヶ月以上前に受けると?

1ヶ月以上前に受けると、検査に合格した日から起算して2年目の日が期間の満了する日になります。ですから、上に書いたケースで2015年12月20日に検査を受けてしまった場合は、期間の満了する日は2017年12月19日になってしまいます。
実はこのケース、結構あるんです。私もメカニック時代にやらかしたことがあります。準備の良いお客様で、2ヶ月ほど前に車検のご予約をいただきました。私は良く確認もせず、いつものように点検の上整備をした方が良い箇所を提案して整備をしました。検査場に行って書類を提出したときのことです。検査場の職員から“短縮してしまいますがいいですか?”と聞かれました。お恥ずかしい話ですが、そう聞かれるまで気づいていなかったのです。もちろん完全に私のミスですが、これを機に“入庫の際は満期日の確認”を徹底したことは言うまでもありません。

期間が延長されることは?

上に書いた通り、短くなってしまうケースはありますが、有効期間が延長されることはありません。有効期間の満了する日を超えて運行しても良いとなる事はないのです。
言い方を変えれば、継続検査を受けることが有効期間の満了する日を延期する(期間を延長する)ことに等しいかもしれませんね。

軽自動車も同じ扱いです

軽自動車も“乗用車”でしたら同じ扱いです。有効期間は2年間ですし、1ヶ月前から検査を受けることができます。違うのは、上でも書きましたが検査場が違います。自動車検査登録事務所に軽自動車検査協会が併設されているところが多いのですが、一部そうでないところもありますので、自分で検査を受けに行く場合などは事前に確認してください。

バイクの場合は?

バイクの場合は、排気量によって変わります。排気量が250cc未満のバイクは、そもそも車検が必要有りません。自動車検査を受けなければいけないのは排気量が250ccを超えるバイクだけです。
乗用車と全く同じで、継続検査の有効期間は2年間ですし、1ヶ月前から継続検査を受けられます。そして1ヶ月以上前に受けてしまうと有効期間が短くなってしまうのも同じです。

自家用車ではない場合

では、自家用車ではない場合はどうでしょう。自家用車でない車とは?

タクシー

タクシーは自家用車ではないですよね。これは“事業用”と呼びます。人を乗せて運ぶことで賃金を得るために使われる車ですから事業用車です。不特定多数の人を乗せる車ですから、検査基準も厳しくなっています。短いサイクルで定期点検を行う必要があるという理由で有効期間は1年間です。

バス

これも同じく事業用です。もちろん、個人的にバスが好きで所有したいという場合は自家用扱いになりますが、当然のことながら他人を乗せることは許されません。
不特定多数の、しかも大勢の人を乗せる車ですから、重大な事故に繋がる可能性が高いと言えます。短いサイクルでしっかりと点検整備を促す理由から、有効期間は1年間です。

レンタカー

レンタカーも不特定多数の人が乗る事業用車ですね。こちらも管理責任は重く、有効期間は1年間です。

乗用車でない場合

次に、乗用車ではない場合はどうでしょう。乗用車でない車とは?

貨物自動車

主に荷物を運ぶためにつくられた車を指します。形状は問いません。バン、トラック、キャブオーバーなどがあります。
自家用、事業用の違いはなく、継続検査の有効期間は1年間です。貨物車は積載時には車両重量が重くなり、横転して荷物を散乱してしまうなど重大事故に繋がる可能性が高いのでこのような扱いになっています。

ただし、軽自動車の貨物自動車は2年間です。たくさんの荷物を載せられないこと、積載重量が少なく制限されていることが理由です。

大型特殊自動車(建設機械など)

クレーン車に代表される大型の建設機械として使われる車です。これらは車としての性能は特殊ではないので、継続検査の有効期間は2年間です。その代わり取り扱いが難しいので、運転車に技能が求められます。運転するには大型特殊免許が必要ですし、クレーン操作も専用の資格が必要です。

特殊用途自動車(8ナンバー車輌など)

小型車・普通車をベースにした特殊車両を指します。ナンバープレートの分類番号が“8”になるために“8ナンバー車”と呼ばれています。
身近なところでは消防車や救急車、パトカー、自動車学校の教習車、などがあります。継続検査の有効期間は、乗用車がベースの車輌は2年間ですが、貨物車がベースの場合は1年間です。

新規検査について

これまでは、今乗っている車を乗り続けるための継続検査についてお話ししました。では、新規検査の有効期間はどうなっているのでしょう。

新車の場合

あなたが新車を購入した場合、その車は新規検査を受けて合格したからこそ登録(ナンバープレートの発行)されて運行できる状態になっています。
そして、新規車検の有効期間は、車種によって変わります。みなさんにとって一番身近なのは自家用乗用自動車ですよね。それ以外の車種についても見てみましょう。

有効期間が3年間のもの:自家用乗用自動車、軽乗用自動車、小型自動二輪車(250cc以上のバイク)です。

有効期間が2年間のもの:大型特殊自動車、特殊用途自動車、軽貨物自動車、レンタカー、積載量が8トン未満の貨物自動車

有効期間が1年間にもの:バス、タクシー、積載量が8トン以上の貨物自動車

となっています。

一覧にしてみました

photo by hertylion

たくさん書きましたが、車種や用途によって様々ですので、煩雑でわかりにくいですね。一覧表にしてみましたのでご覧下さい。
“初めからそうしろよ”と言う声が聞こえてきそうですが、そこはご愛敬ということで勘弁して下さい。

有効期間が短縮されるケースはある

検査の種類の中で出てきた“構造等変更検査”は、検査を受けた日から2年間(継続検査の有効期間が1年間の車輌については1年間)です。継続検査の扱いにはなりませんので、1ヶ月前以内に受けても短縮されます。もったいないと思われたら、有効期間の満了する日になるべく近い日に受けましょう。

車齢が10年を超えても同じ?

もう20年になりますね。それ以前は、車齢が10年を超える車は、継続検査の有効期間が1年だったのですが、1995年に法律が改正されて、車齢が10年を超えても継続検査に有効期間は2年になりました。

現在、車検制度の抜本的見直しが政府与党内で議論されています。その内容としては新車4年、継続車検3年を目処に議論が進んでいますので、ユーザーにとっては経費の削減が期待されています。

そもそも現行の車検制度は20年以上も前の制度をそのまま使っているのが現状です。
世界を代表する自動車産業大国である日本。そんな国の車検制度が20年以上もほとんど変わらずに使われているというのはちょっとおかしな話です。平均使用年数、平均車齢ともにこの20年で劇的に上昇している(自動車検査登録協力会の調査)ことからも、現行の車検制度は現状にはおよそ見合っていない内容と言えます。
平均使用年数や平均車齢というのは自動車の耐久性、安全性を証明する一つの要素にすぎません。でもこの20年での日本の自動車業界の躍進ぶりを考慮すれば、 新車4年、継続車検3年はすぐにでも導入されてしかるべきと言いたいですね。

一方では、ユーザー車検を行う人が増えていて、車検そのものに対する“コスト意識”が相当高まっていると言えます。そのような観点からも、現行の車検制度の改善は期待されていると言えるでしょう。

車検よもやま話

ちょっと脱線してしまいますが、車検にまつわるもろもろのお話を紹介します。

8ナンバー登録

さきほど特車用途自動車の名前が出てきましたので、書き足しておきます。
特殊用途自動車、いわゆる“8ナンバー車”は、名前の通り特殊な用途の車です。上にも書きましたが、消防車、救急車、パトカーに教習車、移動販売車、検診車に献血車、放送宣伝車などです。
これらの車には面白い共通点があるんです。それは、車全体の数に占める個体数が極端に少ないということ。パトカーがみなさんの自家用車と同じくらい走っていたらどうでしょう? ずいぶんと嫌な気分になりそうです。救急車も消防車もそうですよね。車全体の数に比べたらとても少数です。
そして、走行距離が少ないということも共通しています。パトカーにはしっかりパトロールしてもらいたいですが、救急車や消防車がのべつまくなし走り回っている社会はイヤですし、普段はほとんど本部の車庫に入っています。
個体数が少なく走行距離も極端に少ないという理由から、任意保険の保険料がとても安いのです。ソニー損保じゃないですけど、走る距離、走る機会が少なければそれだけ事故の確率も減ります。ましてや消防車や救急車が事故を起こす可能性はとても低いですからね。
事故率が低い=保険料が安いというわけです。
ですから、8ナンバーの車に乗れば維持費を抑えることができます。そうは言っても普段から救急車に乗るわけにもいきませんよね。移動販売車や放送宣伝車なら...無くはないかも。
一番ポピュラーなのは“キャンピングカー”です。
ベッドや調理器具、シャワーなどの装備によって“特殊用途”として認めてもらい、8ナンバー登録にすれば維持費が抑えられます。
デメリットは新車時でも有効期間が2年になってしまうことと、ふだん使わない装備を乗せて日常に使うのはかえって不経済なことかもしれませんね。
年齢が若いために任意保険の等級が進んでいないとか、事故で保険を使ったために等級が下がっている場合は、保険料が大きく変わりますので検討の余地はあると思います。
ただし、登録の時だけ特殊用途にしておいて普段は元に戻して乗ることは、法令違反ですので絶対にやっちゃダメです。

車齢13年問題

さきほど車齢が10年超えても継続検査の有効期間は2年のままになったという話をしましたよね。この法改正がなされる前、いろいろな議論がなされたんです。
例えば、まだ3年しかたっていないけど整備不良の車と、10年以上経過していてもしっかりメンテナンスしてある車、街中を走ったらどちらが危険か?考えさせられますよね。なにが言いたいのかと言えば、乗り方は人それぞれですから、車の年齢で線を引くのは意味がないのでではないかという議論です。
当時は私も23年目の車に乗っていましたから、そんな議論を戦わせる1人でしたし、法改正に喜んだ1人でもあります。

そして現代でも同じような議論が繰り広げられているんです。“車齢13年問題”をご存じですか?
これは、エコカーの販売促進法案とも呼ぶべきでしょうか。平成28年4月1日以降は、エコカーかそうでないか。そうでない車は車齢が13年以上か、もしくは18年以上か。というくくりで自動車重量税が変わります。
1例を挙げると、車両重量が1トン以上1.5トン未満の車の場合、それがエコカー(電気自動車、燃料電池自動車、天然ガス自動車、メタノール自動車、ガソリンハイブリッド自動車、被けん引車)であれば15,000円です。エコカーの場合は車齢は関係ありません。では非エコカーの場合、車齢が13年未満であれば24,600円です。すでにエコカーと大きな差がありますね。非エコカーで車齢13年以上だと34,200円です。エコカーの倍以上ですね。さらに車齢が18年を超えると、37,800円になるんです。

自動車重量税だけではありません。自動車税も同様です。
車齢が13年を超えていれば概ね15%の重課です。軽自動車では概ね29%の重課となっています。

車齢で線を引ける問題ではないのでは?

私も含めて、この車齢13年もしくは車齢18年問題に憂う人が私のまわりにはたくさんいるのです。確かに、個体で判断すれば古い車ほど排気ガスが多いです。でもそれは、排気量によっても異なりますし、乗り方にも左右されますよね。あくまでも同条件で比べた話です。でも、車の乗り方は人それぞれでしす、使い方だってまちまちじゃないですか。
例えば、車齢3年のエコカー減税対象車で、燃料消費は20km/L。かたや車齢15年で、燃料消費は8km/Lとしましょう。前者は毎日通勤に使っていて、会社までの往復距離はちょうど20kmだとすると、一日に1Lのガソリンを使いますよね。
対して後者は月に2回くらいの日帰りドライブにしか使わず、1回あたりの距離は80kmだとしたら、1回のドライブで10Lのガソリンを使います。
前者の出勤は月に22日だとしたらひと月に22Lのガソリンを消費します。でも、後者は月に20L のガソリンを消費するだけです。
もちろん、CO2排出量だとかNOxの排出量だとか色々と比較対象はありますが、少なくともガソリンの消費量だけで考えればさほど差がないのです。
にも関わらず重量税は倍以上、自動車税も15%アップなどという仕打ちを受けなくてはならないのです。これって不公平だと思いませんか? 法の下の平等が守られていないのではないかと。

私たちは、税金を余分に払うことがイヤだと言っているのではありません。どう考えても公平でないと言いたいのです。そもそもこの問題を“自動車の年齢”というひとつのくくりで分けようとすることが問題を生んでいるのです。
上述したとおり、乗り方や使い方で燃料消費量、排出ガス量は大きく変わってしまいます。本来であれば、その車の稼働率(年間の走行距離など)を加味するべきではないでしょうか。さらに言えば、メンテナンスの状況や改造の度合い(排出ガス濃度の測定をすれば把握できます)なども大きく左右する要因になりますよね。このような議論をなさずに、安易に車齢という要素だけで線を引いてしまった政府のやり方に腹を立てているのです。

さらに言えば、ひとつのものを大切に使うことよりも新しいものに買い換えることの方が良いことのような風潮になってしまうことも危惧しています。
本来エコという観点で言えば、使えるものを大切にし、むやみに買い換えてゴミを増やさず無駄につくりすぎないことのほうが大切なのではないでしょうか。

世界を見渡すと

例えばドイツでは、“Hナンバー”というものが存在します。Hとはすなわち“Historisch(ヒストリック)”のHです。
少なくとも30年以上前に生産されたクルマであること、現状走行可能で車検を通過すること、無改造のオリジナルでかつ文化的価値のあるもの。
という条件を満たしたクルマには末尾に“H”が付与されたナンバープレートが交付されるのです。それだけではなく、優遇税制まで適用するというものです。
30年以上経っていなければならないなどのハードルは多いのですが、でもその心意気が素敵じゃありませんか。モノを大切にする、ひとつのものを長く使うこともエコであるという考え方は、自動車文化の歴史が長いドイツならではの、自動車に対するひとつの解釈なのでしょう。

自動車との付き合い方が日本とは全く違いますし、旧車というものを根っから肯定し、敬うというのはずっと成熟したものの考え方だと思います。もちろんその裏側には、旧車に負けない魅力を新車が持っていて、そういう商品を生み出し続けられるという自負が必要で、ドイツ国民にはしっかりと根付いているからだと言えるでしょう。

日本にはその心意気も自負もないのでしょう。
少子高齢化や人口減少は、そのまま税収減に直結します。ですから政府はとにかく財源を確保しようとします。ですが今は子供を作らないし、結婚もしない、そういう価値観がひとつの潮流になっています。それ故に“税金を払う年齢層”がどんどん減る一方なわけですよね。
でもこれは誰かを責めるられる問題ではありません。

でも、自動車を趣味として楽しめるような世の中がつくれたら、そのために政府が手を貸してくれたら、車を取り巻く環境や文化が豊かに育つのではないかと思っているのです。

最後にまとめ

私たちが間違ってはいけないことは、車検の有効期間がどんなに延長されたとしても、点検・メンテナンスは必要に応じてしっかりと行わなければいけないということです。特に車齢が10年を超えた自動車は特に入念な点検・メンテナンスが必要です。

コストを抑えることに目先を奪われてしまい十分な点検整備を行わず、結果的に大きな故障を招いてしまったり、それが原因で交通事故になってしまっては本末転倒というものです。
“検査の有効期間内だから大丈夫”とか、“壊れてから考えれば良い”ということではなく、最悪の場合は大勢の他人を巻き込んでしまう事態になるかもしれない乗り物であることをしっかりと意識して、点検・整備をおこたることのないようにしたいですね。