「アストンマーティン ヴィラージュ」コーナーを極めた高級4シーターマシン

加速性能、最高速で群を抜いたハイパワーマシンが多いですが、「アストンマーティン ヴィラージュ」はトータルバランスに優れ、コーナリングを極めた高級4シーターのスポーツカーです。「アストンマーティン ヴィラージュ」の上質な走りを可能にした機能美に迫ります。

妥協しない作り

映画「007」のボンドカーとして世界的な知名度とル・マン時間耐久レースの優勝経歴からスポーツカーとして地位を確立した「アストンマーティン社」は、高級スポーツカーメーカーのイメージが強くあります。実際アストンマーティン社の車への拘りは妥協がありません。クルマ一台を組み立てるのに約200時間をかけており、ポルシェ911が一台組み立てられる約40時間の5倍の時間を要しています。これは、アストンマーティン社がクルマの「デザイン」「性能」「質感」への向上心の表れなのです。

「ヴィラージュ」とは

「ヴィラージュ」という名称の意味合いは、「コーナー」「曲がり」「シフト」などの意味を持っています。「アストンマーティン ヴィラージュ」は、アストンマーティン社が1970年代に経営破たんし経営者が転々とする激動の時代に登場したクルマです。1988年のイギリス国際モーターショーで1967年以来生産されていたV8シリーズの後継としてデビューし、1989年より生産化しました。しかし2000年まで生産が続くものの1993年に登場するハイパフォーマンスバージョンは、「アストンマーティン ヴァンテージ」、1996年以降には、ノーマルバージョンの名称も「アストンマーティンV8」と呼ばれるようになり「アストンマーティン ヴィラージュ」という名称は、短期間で終了しています。

1thモデル 1989年-2000年

1thモデルのボディデザインは、フロンマスクは「アストンマーティン」らしいスタイルがあるものの全体的には、「安定感」「優雅さ」を求めたデザインといえるかも知れません。経営不振によるコスト削減が響き他社からの流用パーツも多く使用されています。ヘッドライトは「アウディ」、テールライトは「フォルクスワーゲン」など、内装もフォードからの流用パーツが多用されています。パワートレインもエンジン、サスペンション、シャシーなど、先代モデルを追従した形になっています。

1th 「アストンマーティン ヴィラージュ」 主要諸元

エンジン:5.3L V8 OHC エンジン
最大出力:330PS/6,000rpm
最大トルク:48,4kgm/3,700rpm 
トランスミッション:5MT/4AT
駆動方式:FR
全長:4,737mm
全幅:1,854mm
全高:1,321mm
サスペンション:F ダブルウィッシュボーン、R トレーリングアーム/ワッツリンク
ブレーキ:F ベンチレーテッドディスク、R ディスク
車両重量:1,790kg
最高速度:254km/h

2thモデル 2011年-2013年

11年ぶりに2011年3月のジュネーブショーで2代目「アストンマーティン ヴィラージュ」が登場することになります。2003年に登場した「DB9」を熟成させたアップデートバージョンといえるモデルです。ボディは、軽量アルミスペースフレームの「VHアーキテクチャ」を採用しています。フロントマスクは、メッシュグリル付きバンパーが採用されています。また「スワン・ウイング・ドア」という12度斜め上方に開くドアが採用されています。洗練されたアストンマーティンらしい「流麗さ」「美しさ」「優雅さ」を備えたボディデザインです。4シーターのスポーツカーとして1,785kgの車両重量に抑えられ、全体のボディサイズは、全長4,703mm、全幅1,904mm、全幅1,282mmとなっています。

サラブレッドといえるパワートレイン

2代目「アストンマーティン ヴィラージュ」の磨きのかかったパワートレインも注目できます。「DB9」のアップデートバージョンゆえに熟成された6L V12型 DOHC 48バルブ オールアルミエンジンがボンネットに収まっています。最大出力は497PS/6,500rpm、最大トルク58,1kgm/5,750rpmを発生させます。1,500rpmで最大トルクの85パーセントを発生させるセッティングがなされておりフラットなトルク特性をもったエンジンが搭載されているのです。プロペラシャフトは、カーボンファイバーを用い、トランスミッションは、ZF製の6速AT「タッチトロニック2」が組み合わされていますが、トランスアクスルレイアウト(フロントエンジン、リアトランスミッション)が採用されて前後重量配分は50:50のベストなレイアウトとなっています。

「ヴィラージュ」たる由縁のサスペンションとブレーキシステム

「アストンマーティン ヴィラージュ」のサスペンションとブレーキシステムは「ヴィラージュ」という名称の「曲がり」「コーナー」「シフト」の意味に相応しいものとなっています。サスペンションは、「ADS(アダプティブ・ダンピング・システム)が採用され、走行性能を高めロードホールディング性、乗り心地を制御する減衰力可変アクティブサスペンションとなっています。ブレーキシステムは、鋳鉄製ディスクブレーキよりも12.5kgも軽量な「CCM(カーボン・セラミック・マトリックス)ディスクブレーキが装備されています。

上質なインテリア

インテリアは、手縫いのピンストライプがモダンに彩るレザーが贅沢に使用された上質なものとなっています。センターコンソールは、アルミニウムのシックな材質にガラス製のスイッチ類がオシャレに配置されたラグジュアリーな雰囲気となっています。メーターパネルは、シンプルではあるものの上質なデザインで高級感があります。ステアリングには、パドルシフトが付いており、ダウンシフト時の自動ブリッピング機能を備えたマニュアルモード「Sport」、電子制御スタビリティコントロール(DSC)が「ヴィラージュ」専用の装備となっています。

2th 「ヴィラージュ」(2011年-2013年)主要諸元

エンジン:6L V12型 DOHC 48バルブ オールアルミエンジン
最大出力:497PS/6,500rpm
最大トルク:58,1kgm/5,750rpm
トランスミッション:6AT
駆動方式:FR
全長:4,703mm
全幅:1,904mm
全幅:1,282mm
サスペンション:ADS(アダプティブ・ダンピング・システム)
ブレーキ:CCM(カーボン・セラミック・マトリックス)ディスクブレーキ
車両重量:1,785kg

動力性能は、スーパーカーと同等

最大出力497PS/6,500rpm、最大トルク58,1kgm/5,750rpmを発生するエンジン特性と軽量アルミスペースフレーム「VHアーキテクチャ」による1,785kgのボディを最高速度299km/hまで加速させ 0-100km/hまでの加速性能は4.6秒とスーパーカーと同等のスペックを誇る動力性能です。それに加えて、「50:50」の前後重量配分、「ADS」「CCM」「DSC」というスポーツカーとしての装備と設計がなされており「曲がり」を極めたクルマなのです。

まとめ

「アストンマーティン ヴィラージュ」は、1th、2thともに名称として短命に終わりましたが、そのデザイン性、動力性能はスーパーカーと同等のものです。とくにセカンドモデルは、「美しさ」と「速さ」を兼ね備えたモデルとして「ヴィラージュ」という名称に相応しい「曲がりを極めた」スペックをもったクルマといえるでしょう。