F1 2016 新車発表&テスト間近!「今年はどうなるマクラーレン・ホンダ」

2015年にパワーユニットメーカー(PU)としてF1に復帰したホンダ。伝説のドライバーアイルトン・セナと共に黄金時代を築いたマクラーレン・ホンダの復活に開幕前から世界中のファンから注目と期待が寄せられていました。しかしその結果は期待とは裏腹にレース完走すらままならない失意の内にシーズンを終えました。そんなマクラーレン・ホンダの巻き返しを期待する2016年シーズンに向けて注目ポイントをチェック!

2014年からF1はエンジンからパワーユニットへ

F1と電気エネルギー

2015年復活のマクラーレン・ホンダが苦戦した一番の理由は何と言ってもホンダ製パワーユニット(以下PU:ピーユー)でしょう。このPUを簡単に説明すると、エンジンと電気の力を合わせて車を走らせるための複合パーツということになります。こう言うと例えばトヨタ・プリウスの様に市販乗用車のハイブリッド(HV)車と同じく燃費向上の為に電気とエンジンの力を走行シーンに合わせて別々に使い分けているという誤解が生じるかもしれませんが、スピードを競うF1ではちょっと違った使い方をしています。簡単に説明すると、まずレース中に使えるガソリンの量がルールによって決められています。尚且つレース中の給油も禁止されているので、エンジン単体の性能では完走のが難しいので燃費を考えてエコドライブ(ドライバーがアクセルを遠慮がちに踏んで燃料消費量を抑える)をしています。しかし、それでラップタイムが遅くなってしまうと史上最速の自動車レースを謳うF1の価値を損ねてしまいます。そこで直線やコーナーの出口など推進力が必要な時に電池に貯めた電気の力を後輪タイヤに上乗せして速く走れる様に利用しています。2015年のホンダPUはこの電気エネルギーを発電・貯蔵・放出するメカニズムや利用シーンでの制御を最終戦まで上手くコントロールする事が出来ずにシーズンを終える結果になりました。

出典:http://www.honda.co.jp/F1/spcontents2014/powerunit/04/

F1ちょっとすごいかも!

これまでもF1では「自動車技術の未来への実験場」として、地球規模での環境保護を考慮しガソリン量の制限により高出力エンジンでの燃費向上に取り組んでは来ました。そして2014年から未来の車社会に貢献出来る新たな技術開発を目指してPUが導入されました。ホンダがF1に復活した一番の理由もここにあります。ちなみにF1は約300kmを2時間以内で走る事がルールで定められているレースです。そして現在のルールでは約120Lのガソリンで完走しなければなりません。昨年の鈴鹿サーキットのレースではルイス・ハミルトンが約1時間28分で1番にゴールを駆け抜けました。東京から愛知県豊田市(トヨタ自動車の地元)辺りまで、乗用車だと2回くらい満タンのガソリン量で1時間半で着いちゃうのがF1です。ちなみに所要時間で見ると新幹線のぞみが東京⇄名古屋間が1時間39分だから同じくらいかな。あの多くのコーナーがあるサーキットで燃費・タイヤの磨耗など考慮しドライバー同士で競争を繰り広げながらゴールを目指すのですから、かなりのハードワークだと思います。

2015年ホンダPUの問題点

F1 も「継続は力なり」

2013年にF1に参戦表明をしてからの2年間では結果論で見れば準備不足が露呈したと言わざるを得ません。既存の3つのPUメーカー(メルセデス・ベンツ、フェラーリ、ルノー)は4〜5年の開発期間を経て実践投入に至っています。そして見落としがちなのが、現在F1PU時代を支配しているメルセデスPU、それを追い上げているフェラーリPUがワークス体制のチームであることです。ホンダと同じくPUサプライヤーとして参戦していたルノーが2年間に渡り問題を抱えていたこと、そして車体(シャシー)の性能ではF1界屈指のコンストラクターであり4年連続(2010年〜2013年)コンストラクターズチャンピオンのパートナーだったレッドブルと袂を別ち、撤退ではなくワークス体制で今年から参戦を決意したことが示唆しているのはシャシーとPUのマッチッグの難しさではないでしょうか。

経験不足

2013年までのF1マシンの基本性能はシャシー(空力)とエンジン(馬力)という2つの相関関係でした。ところが2014年からは空力と馬力と電力という3つの要素が基本性能を規定します。昨年のマクラーレン・ホンダの主な不調原因がホンダPUにある事は間違いありません。しかし、その故障原因を誘発する要素は必ずしもPU本体の部品だけではありません。設置場所の外的環境によって引き起こされる事が往々にしてあるからです。例えばPU本体とその周辺部品の冷却はシャシー側の性能によるもので、ホンダだけでは解決は望めません。また各レース期間中は天候・気温・風向きを考慮しての空力の調整、エンジンに上乗せする電力の加減、タイヤの磨耗状況など多くの要素を最適化して行かなければなりません。そんなサーキットの現場では豊富なレース経験を持つドライバーやメカニックの意見が重要な判断基準となりチームの総合力が問われます。昨年の2月に行われた合同テストではPU単体のトラブルで走行することが出来ずにシーズン中盤まではレース自体がテスト状態となってしまいました。PUシーズン2年目で参加10チーム中9位のマクラーレン・ホンダはホンダの準備不足とマクラーレンの新PUに対する経験不足が総合力の低下を招いた結果であり、10チームの相対的な蓄積が反映されている様にも見えます。

合同テストのチェックポイント

合同テスト

さて今年のF1シーズンを楽しむ上で、新車が見られる最初の機会が2月22日から始まる合同テストになります。毎年の事ですがこのテスト初日からいきなり全速力で走れるチームはありません。まず新車に不具合なく走れるかのチェックからスタートするからです。乗用車の場合は新しい部品を組み立てて何度も走行テストを繰り返してから販売されるので、購入時に車が動かない事は0%に近いのですが、F1は新しい部品を工場から持ってきて、サーキットで組み立てて、ぶっつけ本番で走らせます。昨年のマクラーレン・ホンダの様に走らせる事すらままならない事態に見舞われる事もあります。今年は例年に比べて予定されているテスト日程が少ないのですがテストでしっかりと走り込んで準備を整えて開幕戦に臨んでもらいたいですね。

出典:http://tamile.jp/f1/f1tour/2013barcelonatest/post_3.html

チェックポイント


そこで合同テストでのチェックポイントを幾つかご紹介します。

(1)走行距離…ちゃんと設計通りに各部品が作動しているのかの目安。ちゃんと走れる車は空力・馬力・電力の3つの要素の調整に時間が掛けられるのでシーズン序盤での好成績に期待が持てる。
(2)ラップタイム…同一チームのドライバーが交代で1台の車でテストをします。これも新車テストならではの状況なので二人のラップタイム比較は興味深いですね。ギャップが大きければ部品やセッティイングを試している可能性が高いく、テストが進めば徐々に縮まって行く。チームメイトの実力差や開幕後のチーム間競争の予想材料になります。
(3)各チームに於ける去年の同じサーキットでの同じ時期のテストタイムとの比較によって旧車と新車の性能比較ができます。
(4)走行後の関係者のコメント…肯定的でも否定的でもドライバーとチームスタッフのコメント内容にギャップが大きい場合は問題を抱えている可能性が大きい。ギャップが小さい時は例え問題が生じていても開幕戦前には解決できる自信や可能性を有している。
この4つは機械的な事に詳しくないファンの方でも簡単にチェック出来る要素なので、開幕戦を待つ間に2016年シーズンのチャンピオンシップや初戦オーストラリアGPの順位予想をする材料に加えても楽しいかも。

2016年シーズンのみどころ

今年は2月22〜25日・3月1〜4日にスペインのカタルーニャというサーキットから合同テストで2回のテストが予定されています。そして3月20日にオーストラリアのメルボルンで2016年シーズンがスタートです。この約1ヶ月間で初期トラブルを克服して開幕戦を制するのはどのチームでしょう。下馬評ではメルセデス・ベンツが優勢だと言われていますが、昨年のフェラーリの活躍をみると今年は互角の戦いも期待できます。またルノーのワークス体制は1年目と言えども侮れません。そして今年は唯一のPUサプライヤーとして復調を目指すマクラーレン・ホンダがテスト段階から順調な滑り出しが出来るか。また空力分野で競争力向上を目指すレッドブル、ウィリアムズを筆頭としたPUシーズン3年目をむかえて総合力を高めてきているプライベーターの各チームがどこまで上位チームとの差を縮めてくるかも見ものです。今年のF1は見所満載で楽しみですね。

出典:http://www.automobilsport.com/renault-sport-f1-australian-gp-preview-2015---133480.html