【シトロエンC4】競合を押しのけるためのシトロエンの本気

フランスの独創者的なイメージの強いシトロエン。プジョーとジョイントしてからはその色は弱まりつつありますが、決して飲み込まれることはありません。基本コンポーネントを共同開発しながらも、しっかりと個性を植え付けています。中でもC4は、競合ひしめくCセグメントを担います。個性を押し殺したファミリーサルーンにまとめられているかと思いきやさすがシトロエン。しっかりと個性が滲み出ています。2016年1月更新

シトロエンC4ってこんな車です。

なかなか精悍な顔つきですよね。低く平らに押さえたボンネットが力強さを強調しています。
実はこのC4、昨年夏にマイナーチェンジを受けたばかりなのです。外観は大きな変更はないものの、ヘッドライト・テールライトともにデザインが一新されて、はやりのLEDをふんだんに盛り込んでいます。

スペックなど

車名:シトロエン C4
グレード:セダクション 
タイプ:5ドアハッチバック
型式:ABA-B7HN02
ハンドル:右
トランスミッション:6速オートマチック
全長:4,330mm
全幅:1,790mm
全高:1,490mm
ホイールベース:2,610mm
トレッド前:1,530mm(1,525mm)
トレッド後:1,525mm(1,520mm)
最低地上高:145mm
最小回転半径:5.3m
車両重量:1,320kg(1,330kg)
乗車定員:5名
エンジン型式:HN02
種類:ターボチャージャー付直列3気筒DOHC
内径×行程:75.0mm×90.5mm
総排気量:1,199cc
燃料供給装置:電子制御コモンレール式筒内直接噴射
最高出力:130ps/rpm
最大トルク:23.5kgm/rpm
燃料:無鉛プレミアムガソリン
タンク容量:60L
燃料消費率:16.3km/L
主要燃費向上対策:可変バルブタイミングコントロール、筒内燃料直接噴射、アイドリングストップ
駆動方式:前輪駆動
ステアリング形式 :ラック&ピニオン
ブレーキ形式 前/後: ベンチレーテッドディスク/ディスク
ABS:有
サスペンション 前/後:マクファーソン・ストラット式/トーションビーム式
タイヤサイズ:205/55R16(225/45R17)
ホイール:7.0J×16アロイ(7.5J×17アロイ)
車両本体価格:2,590,000円(2,740,000円)共に消費税込

※()内はセダクションアップグレードパッケージの数値

シトロエンの本気、エンジンを社内で新設計

マイナーチェンジ前のモデルでは、BMWと共同開発した1.6リッターターボエンジンを採用していました。兄弟車であるプジョー308とも共有していて、とても良くできたエンジンでした。

欧州では、エンジンを他メーカーと共同開発することは少なくありません。BMWと共同とのジョイント以前にも、同胞であるルノーや欧州最王手であるフィアットとも共同開発しています。
そもそも欧州のマーケットでは、ディーゼル乗用車比率がとても高いのです。中でもフランスは、“自動車全体の7割以上をディーゼル車が占める”と言われるほどのディーゼル大国なのです。
さらに、PSAのみならずルノーも含めて、現在のフランスメーカーはガソリン車がメインの巨大マーケットであるアメリカで販売していません。
当然ながら手掛ける商品はディーゼルモデルが主流であり、ガソリンモデルが“脇役”になる傾向は避けられないのです。

ガソリンエンジンにかかる開発費を抑えるために、できるだけ多くの規模で共有することはお互いにメリットのあることでした。
ですから、今回この新型エンジンをPSAグループ内で新規に開発したというニュースに、少なからず驚かされたのは事実です。
今回開発された新型エンジン“HN02(画像のエンジン)”は、直列3気筒DOHC1.2リッターターボです。いわゆるダウンサイジング&レスシリンダー化がなされたわけですが、数値以上の効果が出ているようです。

ガソリンエンジンへの回帰

さらに書き加えるとすれば、すでに欧州ではディイーゼルエンジンのアドバンテージが薄れてきていると言えるのです。
これまでディーゼルエンジンがもてはやされてきた理由は“燃費がいいから”です。ガソリンエンジンよりも高額でも、乗れば乗るほどランニングコストが下がっていく。これがディーゼルエンジン車最大のメリットと言って良いでしょう。
ところが、この環境が少々変化してきました。度重なる排気ガス規制の強化に対応するために高度な浄化装置が必要になり、そのコストが新車価格を押し上げているのです。それは比較的安価な価格設定の車種にこそ大きな打撃になりますから、A~Cセグメントに属する車種こそガソリンエンジンへの回帰が求められているのかもしれません。

BMWとの同盟を振り払ってでも自社開発に力を入れた背景には、そんな理由が見え隠れしているのです。

組み合わせるトランスミッションも変更

これも大きな変更と言えるでしょう。PSAではこれまでかたくなに“センソマチック”と呼ばれる2ペダルM/Tを採用してきました。本来クラッチ操作を伴うマニュアルトランスミッションの、クラッチ操作とシフトチェンジ操作を車が自動でやってくれるシステムです。
トルクコンバータではトルクロスが大きく、燃費性能を追い求める上では2ペダルM/Tの方が使い勝手がよかったのです。ただ、その構造ゆえのデメリットもあり、一長一短と言わざるを得ませんでした。
今回、トルクコンバータ式を採用したということは、この“EAT6”と呼ばれるトランスミッションはデメリットを克服しているのでしょう。
期待できそうですね。

乗り味やいかに?

実は私も気になっていて、昨年末に某ディーラーさんで試乗させてもらいました。乗る前から気になっていたことは、1,300kgを超える車なのに1.2Lエンジンで大丈夫なの? ということです。我が家のルーテシアも1.2L+ダウンサイジングターボエンジンですから、さらに100kg以上重いC4がちゃんと走るの? って思った次第です。

結論から言ってしまえば、なんの心配もいりませんでした。確実に言えるのは、3気筒にした恩恵が大きいということです。
一般的に、同じ排気量でしたら気筒数が増えるほどトルクが減る傾向にあります。1.2L化する際に、思い切って3気筒にしたのが正解でしたね。最大トルクは23.5kgmですから、2.0Lエンジンに匹敵する数値です。このゆとりのトルクのおかげで、実にきびきびと走るのです。

これは、街の中でも高速道路でも変わりませんでした。わりと引っ張り気味にシフトしながら、軽快に加速していきます。狙った巡航速度に達するまでが気持ちいいんです。
このフィーリングには例のEAT6も一役買っていますね。エンジントルクを最大限活かせるように、ギヤ比の設定からシフトタイミングまで計算してあるように思います。
やはり変速比を見て納得しました。
第1速 :4.043、第2速:2.370、第3速:1.555、第4速:1.159、第5速 :0.852、第6速:0.671となっています。
1速は超がつくほどハイギヤード設定です。これは重量のある車体を軽く動かすためでしょう。2速までが飛んでいますね。トルクにまかせて精一杯引っ張ってしまおうという魂胆ですね。3速、4速、5速の変速比が近いのは、こまめにシフトチェンジして非力ながらも燃費を稼ごうということでしょう。6速はこれまた極端なローギヤード設定ですから、高速巡航時の燃費対策ですね。

足回りはお手のもの

足回りのセッティングは、フランス車ですから文句なしです。少々硬めな縮み側のセッティングは、しっかりと路面の状況をドライバーに伝えてくれます。硬いからと言って、衝撃をはねのけるようなことはありません。あくまでもしっかりと吸収し、その状況をリアルに伝えてくれるのです。突然荒れた路面に出くわしても、戸惑うようなことがないのです。
対して伸び側のセッティングは硬すぎず、しかもストロークがたっぷりと余裕がありますので、しっかりと路面を掴まえていてくれます。どんなにロールしていっても、リアの内側のタイヤが路面を放すことはありません。

パノラミックガラスルーフは格別

屋根のほとんどがガラスになっている“パノラミックガラスルーフ”。素晴らしいですね。屋根は閉じているのに空が見えるって最高じゃないですか!
もちろん、オープンカーの方が開放感があることは認めますが、なかなかオープンで走る事って少なくないですか? 以前、カブリオレに乗っていたことがありますが、ほとんど開けたことがありませんでした。雨が多いこともありますが、わざわざ街中の空気を吸うこともないと思うのです。もちろん、週末に郊外へでかければ活用できるのですが、月に1度か2度程度じゃないですか。雨が重なればそのチャンスも無くなります。
普段の買い物でも通勤でも、空を眺めることができるって素晴らしいですよ。私ならオープンカーよりもガラスルーフを選びます。
ただ、アップグレードパッケージにしないと付いてないんですね。

アップグレードパッケージは何が違うの?

では、セダクションとセダクションアップグレードパッケージでは何が違うのでしょうか。
セダクションに比べてアップグレードパッケージは15万円(税込)高い設定ですね。
装備の違いは
ブラインドスポットモニターシステム:ミラーでは確認しきれないボディ斜め後方のブラインドスポット(死角)に存在する後続車両を超音波センサーが感知して、ドアミラー内にオレンジ色の警告灯を点灯させて知らせてくれます。

フロントソナー:フロントバンパーに装備した超音波センサーが、車両と障害物との距離を検出し、クルマが障害物に接近すると音とディスプレイで知らせてくれます(リアは標準装備)。

リバースギア連動ドアミラーチルト機能:シフトをリバースにすると、ドアミラーが下向きに作動してリアタイヤ付近が見やすくなるようにサポートしてくれます。

クロームデコレーションキット:ドアハンドルとフロントグリル&フォグランプにクロームメッキモールがつきます。

パノラミックガラスルーフ:屋根一面がガラスになります。もちろん、サンシェード(電動)も付いてます。

スマートキースシステム:これも便利ですね。キーはバッグの中のままで、ドアロックオープンからエンジンスタートまで出来ちゃいます。

LEDルーム&マップランプ:室内灯がLEDバルブで明るくなります。

17インチアロイホイール:標準の16インチに対し、17インチサイズのタイヤ&ホイールになります。

これだけ付いて15万円はかなりのボーナスプライスでしょう。

WTCCでもがんばっています!

この車は、C4のセダン(日本には未導入)の“C-Elysee(Cエリゼ)”と呼ばれる車をベースにした“CエリゼWTCC”です。
車両規定により全幅は大きく広げられています(最大1,950mm)。大きなオーバーフェンダーが格好いいですね。それに伴ってバンパーの造形も空力性能を追求したものになっています。
セダン好きにはたまりませんね。
最高出力は380馬力以上を発揮します。車輌重量は1,100kg(規定最低重量)とのことですので、とんでもないモンスターマシンです。

初代C4

出典:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B7%E3%83%88%E3%83%AD%E3%82%A8%E3%83%B3%E3%83%BBC4

現行のC4は2代目です。先代のC4は2004年にデビューしました。
シトロエンらしいギミックとして、“センターフィックスステアリング”を採用しています。一般的なステアリングとは構造が違い、ステアリングの中心にあるセンターパッドは別体構造で回転しないよいうになっています。センターパッドにはクルーズコントロールやオーディオスイッチが配置されていて、回転しないので操作しやすく、衝突時のエアバッグの展開でも理想的な展開をさせることができます。ただハンドル操作時の違和感が強く、視覚的な慣れが必要です。
スピードメーターはデジタル表示で、透過式のセンターメーターを採用しました。タコメーターもデジタル表示で、センターメーターではなくステアリングコラム上(ハンドルの向こう側)に設置されています。
上級グレードには“ディレクショナルヘッドライト”が装備されていています。ヘッドライトの光軸をステアリングと連動させて旋回方向の視界を確保するシステムで、かつてのシトロエン車(DSやSM)を想起させる素敵な装備です。

ラリーでも活躍しました!

photo by Tetsurrow

2007年に“クサラ WRC”の後継マシンとして、“C4 WRC”がシトロエン・トタル・ワールドラリーチームからデビューしました。
ベースになったのはC4クーペVTSです。
ドライバーはセバスティアン・ローブとダニエル・ソルド。
2007年の開幕戦モンテカルロ・ラリーではデビューウィンを飾り、ローブはこのC4で2007年~2010年と4年連続のドライバーズチャンピオンを獲得しているのです。
1973年に始まったWRC 世界ラリー選手権の歴史の中で、最も優勝数を勝ち取ったのがシトロエンC4WRCなんです。

残念ながら、2011年より新型の“DS3 WRC ”へバトンタッチされました。

最後にまとめ

正直に言えば、試乗して以来とても気になっている車です。作り込みも素晴らしいですし、装備面でも文句なしの出来映えです。
そろそろ輸入車をお考えでしたら、おしゃれなフレンチサルーンをオススメします。
まずは試乗してみて下さいね。