【マセラティギブリ】は世界戦略に向けた急先鋒のラグジュアリークーペ

2013年の上海モーターショーでデビューしたマセラティギブリ。“熱風”の復活に心躍らせましたが、私のイメージとはちょっと違った“ギブリ”でした。時代が違えばお家事情も違いますから、当然と言えば当然ですよね。創業100周年を迎えたマセラティ。これまでの道のりは“紆余曲折”なんて4文字で表現できるものではありませんでしたが、フェラーリ直轄になった2008年以降は素晴らしい躍進を見せています。

復活したギブリ

出典:http://www.maserati.co.jp/maserati/jp/ja/index/models/ghibli/ghibli.html

マセラティは2015年に“世界販売台数を5万台へ引き上げる計画”を立ち上げています。2012年の販売台数が6300台だったことを考えると、なんと3年で8倍にまで増大させようと言うのです。
“地道にマセラティファンを増やしていく”なんてまどろっこしい計画でないことは想像に難くないですよね。つまり、熱狂的なファンのためのハイブランドではなく、世界中にいる富裕層獲得を狙うプレミアムブランドへ変貌しようということでしょう。
当然ながらセールス面だけでなく、設計もマーケティングもブランディングも工場も...すべてを変えなければ無理な話です。でも、マセラティは本気なのでしょう。それはマセラティ初のSUV“レヴァンテ”の発表で確信しました。生産性も採算も度外視して、“ひたすら究極のスポーツカーをつくる”という以前のスタンスでは、SUV構想が生まれるはずがありません。
世界戦略の第一弾として新型ギブリが世に送り出されたのだと思います。その使命はもちろん、メルセデス・ベンツやBMW、アウディといったドイツのプレミアムサルーンから顧客を奪い取ることです。価格設定もEクラス、5シリーズ、A6の上級グレードを強く意識していると言えるでしょう。

秀逸なデザイン

出典:http://www.maserati.co.jp/maserati/jp/ja/index/models/ghibli/ghibli.html

そういう角度から見ると、エクステリアデザインも頷けます。正直に言えば、グラントゥーリズモに代表されるようなイタリア貴族的なイメージは薄れています。シャープな面構えと長いノーズ、絞り込まれたキャビン、短いリアオーバーハングなど、マセラティの持ち味である“スポーツ性”は巧みに表現されているものの、とくにバックショットなどはどことなくドイツ車っぽい雰囲気さえ感じます。
これはインテリアも同様で、お約束のナツメ型アナログ時計は付いていますが、全体的には機能性を優先させたモダンテイストに落ち着いています。

やはり狙いはドイツ車?

熱烈なマセラティファンからは“マセラティらしくない”と言われてしまうでしょう。でも、上述したとおり、“熱狂的なファンのためのハイブランドから誰からも愛されるプレミアムブランドへの変貌”が大命題なのですから、むしろ成功と言うべきです。
人は見慣れていないものは受け入れ辛いものです。ドイツ車オーナーの心をを奪うには、イタリア色、特にマセラティ色は強すぎない方がいいのです。
ただ真似るだけでは人の心は動きません。“ハンバーグって美味しいですよねぇ。でも、トマトソースで食べたらもっといいかも?”とでも言わんばかりに、ドイツ車寄りにつくりながらもマセラティ色をエッセンスに使うことが重要です。
新型ギブリは、“実にうまいところを突いているなぁ”と思いませんか? なによりも、ギブリの販売が世界的に絶好調だということが証明してくれています。

気になるスペックと価格設定

出典:http://www.maserati.co.jp/maserati/jp/ja/index/models/ghibli/ghibli.html

Maserati Ghibli:マセラティ ギブリ
ボディサイズ:全長4,790×全幅1,945×全高1,485mm
ホイールベース:3,000mm
トレッド前/後:1,635/1,655mm
重量:1,950kg
エンジン:2,979ccV型6気筒ツインターボ
圧縮比:9.7:1
最高出力:330ps/4,750rpm
最大トルク:500Nm/1,600rpm
オーバーブースト時:500Nm/1,600-4,500rpm
トランスミッション:8段オートマチック
駆動方式:後輪駆動
タイヤ 前/後:235/50R18 275/45R18
トランク容量:500リットル
燃料タンク容量:80リットル
0-100km/h加速:5.6秒
最高速度:263km/h
燃費(JC08モード):7.6km/L
価格:9,150,000円(税込)

Maserati Ghibli S:マセラティ ギブリ S
ボディサイズ:全長4,790×全幅1,945×全高1,485mm
ホイールベース:3,000mm
トレッド前/後:1,635/1,655mm
重量:1,950kg
エンジン:2,979ccV型6気筒ツインターボ
圧縮比:9.7:1
最高出力:410ps/5,500rpm
最大トルク:500Nm/1,650rpm
オーバーブースト時:500Nm/1,650-5,000rpm
トランスミッション:8段オートマチック
駆動方式:後輪駆動
タイヤ 前/後:235/50R18 275/45R18
トランク容量:500リットル
燃料タンク容量:80リットル
0-100km/h加速5.0秒
最高速度:285km/h
燃費(JC08モード):7.3km/L
価格:10,540,000円(税込)

Maserati Ghibli S Q4:マセラティ ギブリS Q4
ボディサイズ:全長4,790×全幅1,945×全高1,485mm
ホイールベース:3,000mm
トレッド前/後:1,635/1,655mm
重量:2,030kg
エンジン:2,979ccV型6気筒ツインターボ
圧縮比:9.7:1
最高出力:410ps/5,500rpm
最大トルク:550 Nm/1,650rpm
オーバーブースト時:550Nm/1,650-5,000rpm
トランスミッション:8段オートマチック
駆動方式:4WD
0-100km/h加速:4.8秒
最高速度:284km/h
燃費(JC08モード):6.8km/L
タイヤ 前/後:235/50R18 275/45R18
トランク容量:500リットル
燃料タンク容量:80リットル
価格:11,350,000円(税込)

中古車なら

さすがはマセラティですね。中古車も自社で仕切っています。
マセラティ流には“プレ・オウンド・カー”と呼ぶそうです。

以下のサイトを参考にしてみて下さい。
1月16日現在、ギブリ、ギブリS、ギブリSQ4で13台登録されています。

マセラティ プレ・オウンド・カー検索

ちなみにこちらを覗いてみると、19台ありました。

全国の中古車情報(1〜30件)はGoo-net(グーネット)。価格・年式・走行距離からご希望の車を検索できます。中古車物件情報が30万台!()の中古車検索なら日本最大級の中古車情報サイトGoo-net!

意外にも、価格設定はマセラティのサイトの方が良心的に見えます。とかく日本のディーラー中古車は市場よりも高いことが多いですが、ネットワーク力と技術力を上手く使えば、自社管理の方が良い条件になるはずです。
クラシックモデルのレストアにも力を入れているマセラティ、それだけ自社生産車への思いが強いということなのでしょう。

維持費はどれくらい?

新型ギブリを購入した場合の維持費をざっと計算してみましょう。

まず、2,979ccですから、自動車税は年額51,000円です。
自賠責保険料が16,350円で、重量税は1年で20,000円。
ガソリン代は、ハイオクを120円/Lとして、燃費5.11km/l(カタログ値の70%)で計算すると、10,000km走行に234,834円必要です。
自動車取得税を年平均に置き換えると1年あたりが16,350円。
任意保険は人によって条件がかわりますので、とりあえず年額を150,000円としましょう。
車検代は高級車ですから奮発して、諸費用込みで200,000円とすると、最初の3年は年額で63,650円です。以降は年額100,000円ですね。
オイル交換は35,000円、エレメント交換が10,000円との事です。
1年で2回のオイル交換と1回のエレメント交換として80,000円ですね。
そうすると...
年間で632,184円となりました。
月額にすると52,682円です。

現金で購入できる人は良いですが、オートローンを使うとなるとこれプラス月々の返済が必要ですね。
さらに、駐車場が必要な方もいらっしゃるでしょう。
ギブリとお付き合いするのはなかなか大変ですね。

やはり気になる故障

その経営手腕の無さ(失礼)から、経営権をたらい回しにされた過去を持つマセラティ。残念ながらクオリティアップに力を注ぐことがなかなかできず、瀕死の状態が続いていた時代がありました。それゆえに“高いだけのおもちゃ”とか“新車から完成していない”などといった壊れやすさナンバーワンに近い皮肉を言われていました。
ですが2008年、フェラーリの直轄となったのです。これを機にフェラーリの高度な生産技術が導入され、悪名高かった信頼性は大幅に改善されています。
もともと持っていた高いブランドイメージとフェラーリの技術の融合が、マセラティを別物に変えたのです。いや、新しいブランドが誕生したと言うべきかもしれません。

クアトロポルテとの関係

新型ギブリは、エンジンやシャシーといった多くの部分をクワトロポルテと共有していますが、ボディはひとまわり小さいのです。
全長が5m、全幅も2mを超えるクアトロポルテは最大級のラグジュアリーセダンなのに対し、一回りちいさなギブリは4ドアながらもスポーティー色を強めたモデルです。

好敵手たち

その成り立ちや素性、中身をみてくると、なかなかお値打ちな価格設定(それでも手は出ませんが)のギブリですから、ライバルがたくさん存在しそうですね。
3リッタークラスで4ドアのラグジュアリースポーツクーペ、という観点で比べてみましょう。

フェラーリ?

出典:http://car.watch.impress.co.jp/img/car/docs/458/430/html/49.jpg.html

まず、4ドアという時点で選択肢がなくなりますね。
4人乗りというくくりにすると、最新モデルならFFが浮かびます。価格は3000万円オーバーですから、直接対決の様相にはなりませんね。
次に出てくるのは612スカリエッティでしょうか。こちらは中古市場で1,000万円前後ですから、ライバルになりえる存在かもしれませんね。

そもそも、フェラーリとマセラティは親子関係にあります。すでに上手く棲み分ける状況ができあがっていますから、お互いがライバル関係になるような車種設定がありませんね。

ドイツ勢?

出典:http://www.mercedes-benz.co.jp/content/japan/mpc/mpc_japan_website/ja/home_mpc/passengercars/home/new_cars/models/s-class/w222/fascination/exterior.html

やはり一番ぶつかりたい相手はEクラスでしょうね。サイズ、スペック的にはほぼ同等なはずです。センスの良さや遊び心というエッセンスがどう評価されるのかがみどころですね。

出典:http://www.bmw.co.jp/ja/all-models/5-series/gran-turismo/2013/at-a-glance.html

BMWなら5シリーズですね。しかも上級グレードとの戦いになるでしょう。走りの良さは一番をうたっていますから、同等以上の走りの良さに加えたプラスアルファが必要そうですが、ギブリならすべて持っています。

出典:http://www.audi.co.jp/jp/brand/ja/models/a6/a6/equipment_specs/equipment.html

アウディが相手なら、このA6でしょうか。もしくはS6がライバルになるかもしれませんね。デザインの良さは定評がありますが、センスの良さなら負けません。

以前の好敵手、アストンマーティン

出典:https://www.astonmartin.com/ja/cars/rapide-s/rapide-s-design

生涯のライバルと言えるアストンマーティンからも4枚ドアのクーペモデルがリリースされましたね。ですが、今も生粋のスポーツカーメーカーであり続けるアストンマーティンは、生産性の向上や効率化などができていないせいか、価格設定が大きくことなります。車格・内容は十分ライバルになり得るのですが、もはや土俵が違ってしまったのかもしれません。

マセラティについて少し

出典:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9E%E3%82%BB%E3%83%A9%E3%83%86%E3%82%A3

創業は1914年。アルフィエーリ・マセラティ(Alfieri Maserati) が創業した会社です。5年後には弟のエットレとエルネストの二人も参加します。
途中、関連会社Fabbrica Candele Accumulatori Maserati S.p.A."を設立し、スパークプラグやアキュムレーターなどの自動車部品を生産しましたが、大手メーカーの大量生産に押され倒産してしまいます。
1965年にはシトロエン傘下に入り、1974年にはシトロエンを買収したプジョーと業務提携を結びますが、翌年にはプジョーとの契約を撤回してデ・トマソ傘下になっています。
1993年にフィアット傘下となり、その後フィアット傘下を経て2008年にフェラーリ傘下となりました。
現在は、モデナを本拠とする会社組織“Maserati S.p.A.”が設立されています。フィアットのスポーツカー部門において、同じくフィアット傘下にある自動車メーカー・アルファロメオと統括され、高級車を製造しています。

マセラティのロゴマークは、創業の地であるボローニャのシンボル“ネプチューンの噴水”に因んでいます。ネプチューンの持つ三叉の銛、“トライデント”がモチーフとなっています。同時にマセラティ三兄弟の結束を表しているそうです。

レース活動

出典:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9E%E3%82%BB%E3%83%A9%E3%83%86%E3%82%A3

マセラティがレースで活躍していたことをご存じでしょうか。50年代にはF-1にも参戦していました。残念ながらコンストラクターとしてのタイトルはありませんが、ドライバータイトルは2度獲得しています。
全70回の出走のうち、優勝9回、表彰台37回、ポールポジション10回、ファステストラップ13回は、立派な数字でしょう。
この戦績から、フェラーリよりも格上と見なしている向きも少なくありません。

photo by hertylion

当時の写真ではありませんが、これは現在日本で行われている“ミッレ・ミリア”での写真です。堺正章さんがオーナードライバーとして参加されているのは有名ですね。
この車はマセラティ200Sです。詳細はわかりませんが、おそらく1956年製ではないかと思います。

歴代のギブリ

私はスーパーカー世代ですから、“マセラティ・ギブリ”と聞くとあの頃の記憶がよみがえってきます。実はギブリ、現行モデルが3代目なのです。
順に振り返ってみましょう。

ラグジュアリークーペの初代

出典:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9E%E3%82%BB%E3%83%A9%E3%83%86%E3%82%A3%E3%83%BB%E3%82%AE%E3%83%96%E3%83%AA

初めてのギブリは1966年にデビューしました。
デザインは、カロッツェリア・ギアに移籍したばかりのジョルジェット・ジウジアーロです。鋼管フレームにスチールボディを被せた、当時としてはオーソドックスな構成で、スタイリングも当時の高級スポーツカーに共通して見られる地を這うような背の低いプロポーション、ロングノーズ、ショートデッキ、ファストバックスタイルです。
マセラティとしては初のリトラクタブル・ヘッドライトの採用でした。
当時のライバル車はフェラーリ・デイトナ(GT4BB)、ランボルギーニ・ミウラです。
彼らと比べると、直線的・平面的に見えますが、実はエッジと曲面とが功名に使い分けられているのがわかります。当時のジウジアーロデザインのウェッジシェイプ志向がよく現れた出来映えで、ジウジアーロの代表作と言えます。
乗車定員は2名で、インテリアにはレザーが多用されていました。
トランスミッションは5速M/Tが標準でしたが、オプションで3速A/Tが選択できました。
出力330PSの4.7L V型8気筒エンジンを前方に積み、FRレイアウトで0-100km/h加速は6.8秒、最高速度は265km/hを誇りました。
世界最速、人気ともに、フェラーリ・デイトナやランボルギーニ・ミウラP400と争ったマセラティのヒット作なのです。

ギブリ・スパイダー

出典:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9E%E3%82%BB%E3%83%A9%E3%83%86%E3%82%A3%E3%83%BB%E3%82%AE%E3%83%96%E3%83%AA

1969年にオープンモデルの“ギブリ・スパイダー”が追加されました。ファストバックを切り取るとトランク周りの処理が難しいのですが、とても綺麗にまとめられているあたりもジウジアーロのすご技ですね。

パワーアップしたSS

出典:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9E%E3%82%BB%E3%83%A9%E3%83%86%E3%82%A3%E3%83%BB%E3%82%AE%E3%83%96%E3%83%AA

1970年には、排気量を4.9Lに拡大して最高出力335PS/5,500rpm、最大トルク49.0kgm/4,000rpmにパワーアップされた“ギブリSS”と、“ギブリ・スパイダーSS”がデビューしています。
1973年に生産中止されるまで、総計1,274台が生産されました。
後継モデルは、翌年に発表されたカムシンです。

スポーツ色を強めた2代目ギブリ

出典:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9E%E3%82%BB%E3%83%A9%E3%83%86%E3%82%A3%E3%83%BB%E3%82%AE%E3%83%96%E3%83%AA

先代の生産終了から待つこと20年、1992年に“ギブリ”の名前が復活しましたが、初代と同じラグジュアリークーペではあるもののパッケージングが異なり、2ドア4シーターでノッチバックスタイルを採用しています。
型式が“E-MG”であることから、“MGギブリ”と呼ばれます。
イタリア本国仕様に2.0L V型6気筒エンジン、輸出仕様には2.8L V型6気筒エンジンが用意されました。トランスミッションは6速M/T(初期の2.8L搭載モデルは5速M/T仕様)、オプションで4速A/Tも用意されていました。
快適性と運動性能の両立を追求した車内は、コノリーレザーとウッドトリムが使われていて、一見して豪華さを売りにしていることがわかります。
最高速度は260km/h、0-100kmh加速は5.7秒という高性能ぶりでした。
ボディデザインは、同時期に発表された上位車種“シャマル”を踏襲しています。
1994年にインテリアとホイールのデザインが刷新されて、電子制御サスペンションやABSも加えられました。
1996年には、17インチアロイホイールの採用、サスペンションとトランスミッションに改良が加えられたギブリGTが発表されました。

兄弟車シャマル

出典:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9E%E3%82%BB%E3%83%A9%E3%83%86%E3%82%A3%E3%83%BB%E3%82%B7%E3%83%A3%E3%83%9E%E3%83%AB

こちらはギブリによく似ていますが、兄貴的存在の“シャマル”です。
“ビトゥルボ(ツインターボの意味)”をベースにチューニングを施した“カリフ”にさらに手を加え、スポーツカーに仕上げられています。
発表は1989年、1990年7月に発売されました。生産台数はわずか369台です。
V型8気筒DOHCツインターボ3.2Lエンジンを搭載しています。最高出力は326馬力で、これに6M/Tが組み合わされて、最高速度は260km/h以上を誇りました。
デザインはランボルギーニ・カウンタックを手がけたベルトーネ時代のマルチェロ・ガンディーニが担当しました。
このシャマルの弟的存在が2代目ギブリです。

ワンメークレース用のカップ

出典:http://www.maseraticlub.co.uk/trident81.htm

1997年、モータースポーツ熱の再燃にあわせてワンメイクレースが各地で開催されました。マセラティもこれに習い、エンジンと足回りがチューニングされ、内装のウッドパネルをすべてカーボンパネルに置き換えた“ギブリカップ”を発売しました。

中古車を探してみよう

さすがに初代を探すのは難しいでしょうね。
少し前に3,000万円くらいの売り話が聞こえてきましたが、私の耳では聞き取れない周波数の会話でしたので詳しくは聞いていません。

ということで、2代目ギブリを探してみましょう!

中古車をお探しの方はこちら

もう一度このサイトです。
1995年式、走行距離8.4万キロで148万円から、1997年式、走行3.7万キロで288万円まで計7台がヒットしました。
車検の有無にもよりますが、乗り出しで200万円以下から始められそうですね。
この頃はまだフィアット傘下時代ですので、今ほどのクオリティには達していませんが、そうはいってもシトロエン傘下時代や、デ・トマソ傘下時代に比べれば、ちゃんと自動車づくりをしている頃ですから、そんなに酷い状況ではないと思います。

メカニック時代にいくつかマセラティを見たことがあります。
スーパーカー時代からのボーラやメラク、カムシン、80年代に大ヒットしたビトゥルボや222。ギブリや3200GTなどです。
スーパーカー時代の車たちは、構造がシンプルですのであまりトラブルがありません。言い換えれば、壊れるときは大きなトラブルであることが多いです。
でも、70年代の終わり頃から、電気仕掛けの部品が増えてきましたので、マイナートラブルと呼ばれる小さな故障が多くなりました。
例えば、パワーウィンドが動かないとか、左のウィンカーがいつもの倍くらいのスピードで点滅するなどです。
いわゆる電装系トラブルというヤツですが、これはイタリア車にとっては切っても切れない関係なのです。

イタリア車との付き合い方

“すぐに壊れる”というのがイタリア車のイメージではないでしょうか。
間違っているとは言いませんが、たくさんの誤解があることも事実です。
イタリア車に限らず、欧州車のトラブルの主な原因は、環境と道路事情の違いです。
日本で言えば北海道くらいの緯度に位置するヨーロッパから見たら、日本の夏の暑さは想像できないでしょう。
イギリスではほとんどの車にエアコンが付いていません。エアコンを付けると税金が上がると言うのが理由なのですが、言い換えれば我慢できる暑さなのです。
最近の日本で、“安く乗るためにエアコンは付けない”という選択ができるでしょうか。
それから、多湿なことも車をいじめる大きな要因になっています。
日本のように湿度が高く雨も多い国では、当然のように防湿・防水技術が進歩します。電気を運ぶ配線の継ぎ目にはカプラーと呼ばれるオス/メス一対になってジョイントする部品があります。
日本車では、古くから当たり前のように防水されていました。
ところが、湿度がほとんど無く雨も降らない地域では、そんな気遣いは必要ありません。
街中を渋滞を覚悟の上で車で移動する日本と、そうではない地域では車に掛かる負荷は全く違うはずです。
つまり、おかれた環境や交通事情によって車づくりの常識が違うのですから、異国の地に運ばれてきて全く別の環境で働かされる車たちに文句をいうのはお門違いということです。

ドイツ車は壊れない!

“ドイツ車は壊れない”これもよく耳にしますよね。本当にドイツ車は壊れないのでしょうか。上述したとおり、ドイツ車であってもそのまま日本で走り出せば故障していました。
では、何が違ったのでしょうね。
それは、輸入・販売していた人たちの意識と、メーカー側の対応だと思います。
“ドイツ車は壊れない”というある種神話のような話ができあがったのは、当時のドイツ車を輸入・販売していたインポーターと、フォルクスワーゲン、メルセデスベンツなどのメーカーの意識です。
ヤナセを立ち上げた頃に働いていた人から聞かせて貰ったことがあるのですが、当時大人気だったフォルクスワーゲンタイプ1(ビートル)は、雨降りの日に走るとエンジンが止まってしまったのだそうです。
調べてみると、エンジンルームに直接雨が入る構造ではなかったものの、エンジンルーム内の湿気のせいで漏電してしまうのが原因だったそうです。
日本車では当然のようにできている防湿が、なされていなかったのです。
本国ワーゲン社へコンタクトをとって、“日本で走るとこんなトラブルがおきるから、日本仕様車はこんな対策をしておいて欲しい”と伝えて、メーカー側が対策を施したそうです。
もちろんこれはほんの氷山の一角で、日々のトライ&エラーやしらみつぶしに故障と向き合うことの連続だったことでしょう。こんな小さなことの積み重ねが、今日の“壊れない神話”を築いているのです。

できる対策をやってみる

イタリア車、フランス車を輸入・販売していたすべてのインポーターがそうとは言いませんが、国産車を販売している会社が、看板料を支払えば販売権利を手に入れられる環境にあったことは事実です。
その結果、事業がうまくいかなければ販売権はたらい回しになり、精通した知識や技術の蓄積がなされないまま、時が過ぎてしまいました。
小さな事の積み重ねが、いつしかとんでもなく大きな隔たりになっていたのです。
20世紀の終わり頃から、自動車メーカーたちはこぞって日本(アジア)対応を加速させました。このある意味車にとって厳しい環境をクリアできれば、世界戦略につながるからです。
こうして、現代の車はほぼ同等の品質を保っているといえるでしょう。現代では品質以上に技術力での戦いになっているように思います。

では、対策が足りなかったころの輸入車と付き合うにはどうすればよいのでしょうか。
それは今からでもできる対策をしてあげることです。
上述したとおり、電気配線のつなぎ目は防湿・防水されるべきです。接点がむき出しになっていると、汚れや錆びが発生してしまいます。
錆は電気の流れを阻害する抵抗になります。
抵抗が増えると配線は熱を持ち、その熱が酸化(錆び)を促進してしまいます。
つまり、一度始まるとどんどん悪いスパイラルに陥ってしまうのです。
電装品が正常に機能しないケースのほとんどが、この接触不良によって電気の流れが阻害されているケースなんです。
それから、バッテリー周りの整備をしっかりとしてあげましょう。オルタネーターで発電した電気をできるだけロス無くバッテリーへ運ぶこと。そして、必要なところへロス無く送り出すことで、トラブルを未然に防ぐことができます。
余談ですが、接触不良に端を発する発熱で車が燃えてしまうことだってありますから、電気系統の整備はしっかりと行って下さい。

最後にまとめ

一部、トラブル回避のためのメカニック指南みたいになってしまいましたが、古いイタリア車との付き合い方も含めて、ご理解頂けたでしょうか。
マセラティは歴史も実績もある“名門”スポーツカーメーカーです。中でもギブリは、並み居る強豪と肩を並べるために開発した、マセラティを代表する車です。
2代目はすでに20年以上経過していますから、乗る側の覚悟を問われるかもしれませんが、しっかりと手をいれてあげれば十分普段使いでも乗れる車です。
現行モデルは言うまでもありませんね。“ギブリ”の名前が復活するというニュースだけで、酒が美味くなるほどですから、愛車にできた暁にはなにが起きるのでしょうね。