「アストンマーティン DB7」ブランド復活のカギとなった名車

アストンマーティンといえば高級スポーツカーの名門ブランドです。しかし、1990年代初頭アストンマーティン社は経済的な困難を極めて存続のの危機に見舞われていました。そのアストンマーティン社を救った「アストンマーティン DB7」とは、どのようなクルマなのか注目してみたいと思います。

長き暗黒時代からの脱却

「アストンマーティン社」は、イギリスで1913年に創業した自動車メーカーで正式名称は「アストンマーティン・ラゴンダ」といいます。採算を重視せず、クオリティを追求したクルマを製作することに拘り第二次世界大戦後に経営不振に陥り1970年代には、ついに経営破たんし実業家の間で経営権が転々とします。そして1987年に「フォード・モーター」の傘下になりました。その頃に「アストンマーティン DB7」が登場します。2007年には投資家グループに売却され現在の「アストンマーティン社」として存続しています。

シリーズ名の「DB」とは?

アストンマーティンのスポーツカーに付けられている名称に「DB」があります。この言葉には、どのような意味があるのでしょうか。「DB」シリーズは1948年から始まりましたが、その時期に経営していた実業家デイヴィッド・ブラウンのイニシャルをモデル名につけていたのです。1970年代半ばに経営破たんし経営権が売却されると「DB」シリーズの名称も消えましたが、「DB7」の登場と共に「DB」の名称は復活したのです。

復活のカギを握っていた「DB7」の登場

1987年にフォードの傘下になったものの立て直しには、アストンマーティンのこれまでのイメージを一蹴するインパクトが必要でした。開発費の制限、開発スピードが求められスポーツカーとしての走行性能、イギリス高級車としての高級感やデザイン性などを踏まえたプレッシャーがある中、開発が進められていきました。そのためシャシー、エンジンは、フォード傘下になっていたジャガーのものをベースとして使用しています。そして遂に1993年のジュネーブショーに「アストンマーティン DB7」は登場したのです。日本での販売は、1995年からで「DB7」をクーペ、「DB7 ヴォランテ」をコンバーチブルとして販売を開始しました。

アストンマーティンDB7(1995)主要諸元

エンジン:3.2L スーパーチャージャー DOHC 直列6気筒 エンジン
最大出力:330PS/6,000rpm
最大トルク:48,8kgm/3,000rpm
トランスミッション:5速MT/4速AT
全長:4,640mm
全幅:1,830mm
全高:1,240mm
駆動方式:FR
サスペンション:F ダブルウィッシュボーン、R ダブルウィッシュボーン
ブレーキ:F ベンチレーテッドディスク、R ディスク
車両重量:1,710kg

アストンマーティンDB7 ヴォランテ(1995)主要諸元

エンジン:3.2L スーパーチャージャー DOHC 直列6気筒 エンジン
最大出力:330PS/6,000rpm
最大トルク:48,8kgm/3,000rpm
トランスミッション:5速MT/4速AT
全長:4,640mm
全幅:1,830mm
全高:1,270mm
駆動方式:FR
サスペンション:F ダブルウィッシュボーン、R ダブルウィッシュボーン
ブレーキ:F ベンチレーテッドディスク、R ディスク
車両重量:1,910kg

マイナーチェンジで大排気量のビッグパワーを得る

DB7のモデルは、1995年から継続して2004まで生産されていくことになりますが、1999年にマイナーチェンジが行われています。「DB7」、「DB7 ヴォランテ」から高性能なモデルとして「DB7 ヴァンテージ」、「DB7 ヴァンテージ ヴォランテ」が追加されます。ネーミングの変更に伴って、パワーユニットも変更となりました。エンジンは、5.9L V12 DOHC NA エンジンで、最大出力420PS、最大トルク54,5kgmとなり、トランスミッションも5速AT/6速MTとなりました。外観上の変更は、大きなものとしてフロントバンパー、フォグランプといったところですが、迫力を増したフロントマスクのデザインです。

DB7 ヴァンテージ(1999年)主要諸元

エンジン:5.9L V12 48バルブ DOHC NA エンジン
最大出力:420PS/6,000rpm
最大トルク:54,5kgm/5,000rpm
トランスミッション:6速MT/5速AT
駆動方式:FR
全長:4,700mm
全幅:1,520mm
全高:1,240mm
サスペンション:F ダブルウィッシュボーン、R ダブルウィッシュボーン
ブレーキ:F ベンチレーテッドディスク、R ベンチレーテッドディスク
車両重量:1,820kg
最高速:265km/h以上
0-100km/h加速:5.2秒

限定モデル「DB7 ザガート」

「DB7 ザガート」は世界限定99台のスペシャルモデルです。「DB7 ヴォランテ」のフレームにイタリアのカロッツェリア「ザガート」のアルミ製ボディを載せたモデルです。ベース車よりも211mm短く、全幅は31mm広くなっています。フロントグリルは、拡大されリヤフェンダーも曲線を描くオーバーフェンダー化されています。ルーフは伝統の「ダブルバブルルーフ」デザインが採用されています。車両重量1,740kgと軽量化され、トランスミッションがショートストローク化されており、ベース車と同エンジンながらオリジナルを上回る動力性能を可能としています。

DB7 ザガート(2003年)主要諸元

エンジン:5.9L V12 48バルブ DOHC NA エンジン
最大出力:420PS/6,000rpm
最大トルク:54,5kgm/5,000rpm
トランスミッション:6速MT
駆動方式:FR
全長:4,481mm
全幅:1,861mm
全高:1,244mm
サスペンション:F ダブルウィッシュボーン、R ダブルウィッシュボーン
ブレーキ:F ベンチレーテッドディスク、R ベンチレーテッドディスク
車両重量:1,740kg

まとめ

アストンマーティンDB7は、経済不振や度重なる経営者の変更によって開発費制限、短い開発期間であるにも関わらず、往年のアストンマーティンを彷彿とさせるデザイン、大幅な向上を遂げたスポーツ性、20年以上の時を経て復活した「DBシリーズ」など、「アストンマーティン社」の威信をかけた名車といえるクルマなのです。これからも記憶に残るクルマとして語り継がれていくことでしょう。