【パガーニ・ゾンダ】ルイス・ハミルトンも愛したスーパーカー

1999年のジュネーブショーにて発表された「パガーニ・ゾンダ」。ワンオフモデルが多いゾンダですが、2015年に日本の正規ディーラーが発注した「ゾンダ希竜」が発表されたことでも話題となっています。今回は正規モデル、ワンオフモデルを含めて紹介していきます。

パガーニ・ゾンダとは?

ゾンダとは、イタリアのパガーニという自動車メーカーの車種となります。
ランボルギーニのデザインを担当したこともある創業者であり設計者でもあるオラチオ・パガーニによる美しいデザインは、生産終了した今でもワンオフモデルが作られるほど評価されています。
一番の特徴は独特なデザインの4本出しマフラーでしょう。さらにAMG製V12エンジンから繰り出される甲高いエキゾースト音は一度聞いたら忘れることのできない胸の高鳴りをいざなうことでしょう。
もしゾンダを見かけたことのある方は、自分がみたゾンダが正式モデルなのか、数少ないワンオフモデルなのかを見比べるのも楽しみになると思います。

ゾンダ正式モデルの歴史

記念すべき1号車 ゾンダC12

こちらが記念すべきゾンダの正式モデル第1号のゾンダC12です。まさに地上を走る戦闘機という表現がぴったりな車ですね。
ゾンダとはアンデス山脈からアルゼンチンへと吹く風という意味、そしてCとは設計者であるオラチオ・パガーニの妻であるクリスチーナの頭文字となります。最後の12はオラチオ・パガーニのミッドシッププロジェクトの12番目の車であることを意味しています。

そのミッドシップに搭載されている5,987cc、最高出力394ps/540Nmを誇るエンジンはAMG製V12エンジンとなります。イタリアの車でありながらもドイツのAMG製エンジンを搭載する理由となったのはアドバイザーであり、元F1チャンピオンであるファン・マニュエル・ファンジオの意見によるものとされています。

テールランプは丸灯縦2連となっており、代名詞である4本出しマフラーも初代からのデザインとなっています。また、ミラーをよく見てみると、Aピラーの位置に配置されており、一切の妥協をすることなくデザインをしたことが読み取れます。また、車体の前後重量バランスを重要視したため、運転席が車両の前方よりに配置されていることも印象的です。

【ゾンダC12 スペック】
全長×全幅×全高:4,395×2,055×1,151
重量:1,250kg
エンジン:M120 E60 Mercedes AMG V12DOHC
排気量:5,987cc
最高出力:394ps/5,200rpm
最大トルク:570Nm/3,800rpm

プロタイプ的位置づけからの進化 ゾンダC12S

C12はプロトタイプ的な位置づけでした。そのため生産台数はわずか5台でその歴史に幕をおろしました。
しかし2000年、圧倒的な進化を遂げたゾンダC12Sが発表されました。

外観の違いはフロントノーズがF1マシンのように盛り上がり、リアウィングも2点支持の1枚から2枚となっている点です。これは空力の面だけではなく、エンジンフードにあるダクトの放熱効果を高める目的もあります。テールランプのデザインも若干変更されており、先代ではウインカーがブレーキランプ中央に配置されていたのに対し、下部のバックランプに位置が変更されています。見た目だけでC12とC12Sを見分けることは至難の業ですね。

エンジンは更なる進化を遂げています。555hp/750Nmとなったエンジンは先代とほとんど変わらない1,280kgの車重と相まって0km-100km/hが3.7秒という驚異的な加速力を持っていました。

【ゾンダC12S スペック】
全長×全幅×全高:4,395×2,055×1,151
重量:1,280kg
エンジン:M120 E70 Mercedes AMG V12DOHC
排気量:7010cc
最高出力:555hp/5,500rpm
最大トルク:750Nm/4,100rpm

ついに限定モデルも発売 ゾンダS7.3

C12Sが発表されてから2年後の2002年、ジュネーブショーで新たなゾンダが発表されました。それがゾンダS7.3です。

S7.3はC12Sのモディファイモデルとなります。S7.3にはカーデザイナーのトム・シャーダが加わり、リア周りの空力が見直されています。とはいっても、まったくといっていいほど外観の変化はないため、先代との区別は難しいでしょう。しかし、現行モデルとほとんど変わらないデザインは当時の人々に未来の車を感じさせたに違いありません。

そして2003年、S7.3をベースにしたロードスターが発売されました。ロードスターは限定40台の生産でした。ルーフを取り外し可能としたロードスターでしたが、ボディ剛性の低下を懸念されました。ですが衝突試験において優秀な成績を収め、ゾンダのCFRP製ボディの剛性の高さを証明した1台でもありました。

【ゾンダS7.3 スペック】
全長×全幅×全高:4,395×2,055×1,151
重量:1,280kg
エンジン:M120 E73 Mercedes AMG V12DOHC
排気量:7,291cc
最高出力:555hp/5,900rpm
最大トルク:750Nm/4,050rpm

【ゾンダロードスター スペック】
全長×全幅×全高:4,395×2,055×1,151
重量:1,280kg
エンジン:M120 E73 Mercedes AMG V12DOHC
排気量:7291cc
最高出力:555hp/5,900rpm
最大トルク:750Nm/4,050rpm

ゾンダの完成形 ゾンダF

25台の限定生産であるゾンダFはアドバイザーであるファンジオの頭文字「F」を冠しており、ゾンダの完成形とも言われています。このモデルを基本として多くのワンオフモデルや特別モデルが発売されていることが、完成形と呼ばれる所以でもあります。
このモデルでは外観のマイナーチェンジが行われたため、以前のモデルに比べると格段に先代との区別がつきやすくなりました。まず今までのモデルではAピラーに取り付けられていたミラーがフェンダーに取り付けられています。他にもテールランプが丸灯縦2連から3連に。リアウイングも初代C12と同じ1枚に変更されています。

ルイス・ハミルトンが注文したゾンダは、こちらのゾンダFの特別モデルになります。

最高出力も602hp/760Nmとその性能に磨きをかけています。さらに軽量高性能モデルであるFクラブスポーツに関しては最高出力650hp/780Nmとなり、ニュルブルクリンクにおいて7分27秒82という当時の市販車最高記録を打ち立てました。

さらに、このFクラブスポーツをベースとしたFロードスターも発売されました。

【ゾンダF スペック】
全長×全幅×全高:4,435×2,055×1,141
重量:1,230kg
エンジン:M120 E73 Mercedes AMG V12DOHC
排気量:7,291cc
最高出力:602hp/5,900rpm
最大トルク:760Nm/4,000rpm

【ゾンダFクラブスポーツ スペック】
全長×全幅×全高:4,435×2,055×1,141
重量:1,230kg
エンジン:M120 E73 Mercedes AMG V12DOHC
排気量:7,291cc
最高出力:650hp/6,200rpm
最大トルク:780Nm/4,000rpm

【ゾンダFロードスター スペック】
全長×全幅×全高:4,435×2,055×1,141
重量:1,230kg
エンジン:M120 E73 Mercedes AMG V12DOHC
排気量:7,291cc
最高出力:650hp/6,200rpm
最大トルク:780Nm/4,000rpm

サーキット仕様 ゾンダR

2007年に発表されたゾンダRは、ゾンダ初のサーキットで走ることを念頭においたモデルとなります。見た目はゾンダFとを改良しただけのように見えますが、ゾンダRには3270もの新パーツが採用されており、車体サイズだけではなくシャシーも含めた大規模な変更が加えられています。細かくみてみるとダクトがフロントの下部に左右1つずつ、ボンネットにも大きなダクトが配置されています。ルーフにはエアダクトが追加されており、冷却性能の向上も見て取れます。またフロントライトに関しても細く縦長になっており、シャープになった印象を与えます。

エンジンの最高出力は750hp/710Nmとなり、ニュルブルクリンクでは6分47秒50という記録を残しています。
生産台数は15台となり稀少車となりますが1番評価の高いモデルとなります。

【ゾンダR スペック】
全長×全幅×全高:4,886×2,014×1,141
重量:1,070kg
エンジン:M120 Mercedes AMG V12DOHC RACING
排気量:5,987cc
最高出力:750hp/7,500rpm
最大トルク:710Nm/5,700rpm

特別モデル

2010年に生産終了を発表しているゾンダですが、個人や世界各国の正規ディーラーから発注を受けて特別モデルを生産しています。
その一部になりますがご紹介します。

ゾンダチンクエ

香港の正規ディーラーの注文を受けて5台生産されたものがこちらのチンクエとなります。
ベース車両はゾンダFとなりますが、ゾンダRのデザインや技術を搭載しているためスペックもゾンダFとは段違いです。またカナードやゾンダRで印象的であったエアダクトも装備されているので、見た目もゾンダFというよりもゾンダRに近いものとなっています。
こちらのモデルのスペックで一番注目していただきたいものは車両重量です。ゾンダFに比べカーボンパーツを増やすことによって軽量化を実現しています。

カラーはホワイトをベースにセンターがブラック、さらにセンターにはレッドのラインがデザインされています。
また車名のチンクエとはイタリア語で数字の「5」を意味しています。
チンクエにもロードスターモデルが発売されています。こちらの生産台数も5台となっています。

チンクエにはワンオフモデルもあり「ゾンダアブソリュート」、「ゾンダウノ」がこれにあたります。どちらも個人が発注したモデルになるので超がつくほどの稀少車です。もしどこかで走っているのを見たらかなりラッキーですので、何かいいことがあるかもしれませんね。

【ゾンダチンクエ スペック】
重量:1,210kg
エンジン:M120 E73 Mercedes AMG V12DOHC
排気量:7,291cc
最高出力:678hp
最大トルク:780Nm

ゾンダトリコローレ

ゾンダトリコローレはイタリア空軍のオフィシャルアクロバットチームの「フレッチェ・トリコローリ」の創立50周年の記念モデルとして発表されました。こちらのベース車両は先ほどご紹介したゾンダチンクエとなります。

写真はありませんが、リアディフューザーが搭載されており、リアウイングも大型化しているために迫力が増しています。カラーはブルーを基調としてセンターがブラックとなります。またトリコローレストライプがボディにあしらわれています。

当初の生産台数は1台でしたが、後に2台が生産されたため世界に3台となりました。

【ゾンダトリコローレ スペック】
重量:1,210kg
エンジン:M120 E73 Mercedes AMG V12DOHC
排気量:7,291cc
最高出力:670hp
最大トルク:780Nm

ゾンダ最上位モデル ゾンダレボリューション

ゾンダRを超えるために生み出されたモデルがこちらのゾンダレボリューションです。ニュルブルクリンクでの最速記録を更新するためにパガーニの持つ全ての技術が採用されるこのマシンはサーキット専用のモデルとなります。
ゾンダRに比べ出力が30hpアップしています。これはAMGによる新設計のエアインテーク、コンピューターマッピングによります。またDRS機構付き可変式リアウィングの搭載も大きな進化といえるでしょう。この他にも最新の研究データによる技術成果を惜しみなく反映されるこのモデルは、名実共に最強のゾンダと評されます。

【ゾンダレボリューション スペック】
重量:1,230kg
エンジン:M120 Mercedes AMG V12 48バルブ
排気量:5,987cc
最高出力:780hp
最大トルク:750Nm/5,780rpm

まとめ

いかがでしたか?
生産が終了してもワンオフモデルが生産され、さらに進化を続けているパガーニ・ゾンダ。それだけ世界中の人々がこの車を評価し、憧れを抱いている証といえます。また、ワンオフモデルはオーナーの要望により作成されだけでなく、事故などで車両が大破した場合にも他のモデルのパーツを流用するなどして作成されることもあります。
日本にも正規ディーラーがあるため、もしかしたらゾンダを見かけることもあるかもしれません。また、2015年には世界に先駆けて日本にて「ゾンダ希竜」が発表されました。世界中が望む限り進化、ワンオフモデルの生産を続けていくパガーニ・ゾンダにこれからも目が離せませんね。