「シボレー・ノヴァ」アウトローに愛された名車

コンパクトカーといえば日本では可愛い、経済的などのイメージがありますが、かつてコンパクトカーとして販売当初から人気を博していた「ノヴァ」は、なぜアウトローに愛されたのか? そんなシボレー・ノヴァに迫ります。

アメ車にコンパクトカーが必要だった?

1960年代当初、アメリカで人気がり売れ行きが好調だったのは、フォルクスワーゲン・ビートルやルノーなどのヨーロッパのコンパクトカーでした。アメリカの自動車販売を復興させるためフォードがコンパクトカーのファルコンを発表しました。そのライバル車としてシボレーはコンパクトカー「ノヴァ」を開発に着手しました。

ノヴァは、リトルジャイアンツだった!

シボレーは「シェビーII」1961年を発表しました。そのトップグレードとして「ノヴァ」はデビューすることになりました。当初は、直列4気筒、直列6気筒のレシプロエンジンが搭載されていました。ミッションは、3速MT、4速MT、2速ATが用意されており、ボディーは2ドアクーペ、2ドアハードトップ、4ドアだけでなくワゴンやコンバーチブルまで設定され豊富なラインナップでした。その「ノヴァ」に1962年には、シボレーのフラッグシップモデルであるスポーツカー「コルベット」と同じ、V8エンジンが搭載されていたのです。1963年にはスポーツモデルの「ノヴァSS(スーパースポーツ)」が登場することになりました。こうして「ノヴァ」は、「リトル・ジャイアンツ」と呼ばれるコンパクトカーとなったのです。初代モデルは、ラインナップの豊富さとハイパワーエンジンが人気を博し1965年まで生産され、年を追うごとに販売台数を伸ばしていきました。

シェビーII(1962年)主要諸元

エンジン:直列4気筒/直列6気筒
最大出力:90PS/120PS
トランスミッション:3速MT、4速MT、3速AT
駆動方式:FR
サスペンション:F ウィッシュボーン、R リーフスプリング

シボレー・ノヴァSS(1963年)主要諸元

エンジン:327cu.in
最大出力:300PS
トランスミッション:4速MT/2速AT
駆動方式:FR
サスペンション:F ウィッシュボーン、R リーフスプリング

人気を定着させた2代目

人気を博した初代モデルも1966年にモデルチェンジします。先代ノヴァのデザインが好評だったため大きなデザイン変更はなくフロントフェイスがシャープなデザインになり、エンジンはパワーアップしたものが搭載されていました。スタンダードモデルに追加されていた「ノヴァSS」は大きく差別化され専用パーツが取り付けられたモデルになりました。エンジンは、先代モデルより50PSアップの350PSになりました。ボディーもアルミニウム製のデッキカバーが取り付けられ、エンブレムも「シェビーII」ではなく「NovaSS」のエンブレムが取り付けられてスポーツ性をアピールしたものになりました。このモデルは、単にパワーを上げるだけでなく安全性能も見直されました。1967年に衝撃吸収ステアリングが装備され、内装も軟性樹脂製のパーツが使用されるようになり速さと安全性のバランスが図られたモデルでした。

シボレー・ノヴァSS(1966年)主要諸元

エンジン:327cu.in.V8
最大出力:350PS
トランスミッション:4MT/3MT/2AT
駆動方式:FR
サスペンション:F ウィッシュボーン、R リーフスプリング

ネーミングを変更した3代目

1968にノヴァは、モデルチェンジを行ない大幅な変更を行いました。シェベルのプラットフォームを採用しホイールベースを110インチから111インチへ拡大し居住空間が見直されていました。1969年には、ネーミングが変更され「シボレー・シェビーII・ノヴァ」から「シボレー・ノヴァ」になりました。3代目は特にスポーツ性をアピールし1971年には、ラリー専用キットが組み込まれた「ラリー・スポーツ」が登場し、「SS」モデルのエンジンも見直されパワーアップが図られ先代モデル350PSから375PSに引き上げられました。さらにワイドタイヤ、専用ボンネット、専用グリルやディスクブレーキによってブレーキが強化され専用のミッションもオプションで選択できるようになっていました。

シボレー・ノヴァSS(1968年)主要諸元

エンジン:396cu.in.V8
最大出力:375PS
トランスミッション:4MT/3MT/3AT/2AT
駆動方式:FR
サスペンション:F ウィッシュボーン、R リーフスプリング

オイルショックに襲われた4代目

1975年に「ノヴァ」は4代目へとモデルチェンジすることになります。しかし、オイルショックの影響を受けボディデザインもエンジンもファンの期待に応えるものではありませんでした。これまでのスポーツモデルとしてのデザインではなく、高級志向のヨーロッパ調のモダンでクラシカルなボディデザインとなりました。シャシーやサスペンションも先代モデルを引き継いだ形になりマイルドな仕上がりでした。「SS」モデルもパワーが人気だったエンジンが350cu.inのV8でありながら先代モデルの375PSから165PSへと極端なパワーダウンを強いられています。こうしてオイルショックの影響を受けてしまった4代目「ノヴァ」は1979年に生産終了となりました。

シボレー・ノヴァSS(1975年)主要諸元

エンジン:350cu.in.V8
最大出力:165PS
トランスミッション:4MT/3MT/3AT
駆動方式:FR

突如現れた5代目

1979年に生産終了した「ノヴァ」は、1985年に突如5代目として姿を現しました。それは日本のトヨタ自動車と提携しトヨタ自動車の合併会社「NUMMI」によって復活したのでした。しかし、ボディーのベースは「トヨタ・スプリンター」であり、エンジンもV8ではありませんでした。そのため非常にコンパクトなボディサイズとなり、スポーツ性もないことから「ノヴァSS」の復活はありませんでした。ちなみに搭載されていたエンジンは、日本では根強い人気があるAE86に搭載されていたエンジンである名機「4AG」です。復活した5代目は、1988年まで生産されました。

シボレー・ノヴァ(1985年)主要諸元

エンジン:4AG
最大出力:130PS/6,600rpm
最大トルク:15,2kgm/5,200rpm
トランスミッション:5MT/4MT/4AT/3AT
駆動方式:FF
サスペンション:F ストラット、R 3リンク

なぜアウトローに愛されるのか?

アウトロー、ストリートで愛されたのは、ハイパフォーマンなエンジンとボディーデザインにあります。コンパクトなボディーに375PSのエンジンが搭載されているわけですからモータースポーツで活躍しました。現在でもヒストリックカーレースやドラッグレースでも元気に走っているノヴァの姿を見かけることができます。それに加えて映画で使用されていることも人気の理由です。「ノヴァ」のボディーデザインはローダウンしただけで「ワル」、「アウトロー」な雰囲気がでます。それで「悪役」が「ノヴァ」をよく使用している場面を見ることができます。「ノヴァ」はノーマルも良いですがカスタムのポテンシャルを秘めたクルマなのです。

まとめ

シボレー・ノヴァは、コンパクトカーでありながらハイパフォーマンスエンジンを搭載しデビュー当初から人気のあるクルマでした。ドラッグ仕様やホットロッド仕様、またローライダー仕様などカスタムの幅は広い車種で現在も世界中で愛されているクルマです。オイルショックの影響によって姿を消していくことになったわけですが、映画でよく使用されるほどデザインが良いわけですか「ノヴァ」の復活を楽しみにしたいものです。