【トヨタ カルディナ GT-FOUR】ニュルブルクリンクをスープラよりも速く走ったワゴン

かつてトヨタのラインナップにカルディナというスポーツワゴンが存在しました。当時ヒットとなっていたスポーツワゴンレガシィへの対抗馬として開発されたカルディナ。進化の末にスープラ以上の速度でニュルブルクリンクを周回した恐るべき、しかしあまり日の目を見ないこの車に、今日はスポットを当ててみましょう。

カルディナの軌跡

カルディナが意識し続けたと言われるレガシィについて

カルディナの成り立ちを語る上ではずせない存在が富士重工業「レガシィ」です。1989年当時経営危機に直面していた富士重工業がその危機を打破するため、様々な経営改善策を行いました。そんな経営改革中のスバルにあって開発された車が「レガシィ」です。
水平対向4気筒エンジン「EJ20」を搭載し、富士重工業の得意のフルタイムもしくはセレクタブル4駆機構と組み合わされたその車は、日本や北米を中心に爆発的なヒットを飛ばし、経営危機にあった富士重工業を救う一助となります。
欧州でのイメージ向上のため出場したWRC(世界ラリー選手権)では優勝も果たし、世界でも通用する走りのワゴンというイメージを世界中に広めたレガシィは実際の走行性能の高さもあいまってスポーツワゴンブームの火付け役となります。
「EJ20」といえば現在も「WRX STI」を始めスバルのスポーツモデルに搭載され続け活躍している名機でです。出力こそ220psと現在の基準からすると少々物足りなく感じてしまいますが、当時の実用エンジンとしては非常にパワフルなユニットでした。
そんなレガシィを意識してトヨタから送りだされたスポーツワゴンが初代カルディナです。

道具として質の高い初代カルディナ

高い走行性能とワゴンという使い勝手の良いパッケージングからヒットとなったレガシィを後追いする形で誕生したカルディナですが、イメージとしてはスポーツワゴンというよりも現在のサクシードやプロボックス・カローラフィールダーといった商用のステーションワゴンもしくはバンという立ち位置で評価される車だったように思います。
トヨタの車はスポーツモデルのような一部を尖らせた製品よりも、商用で長い期間を使われ続ける道具としての車作りに長けており、トヨタ初のステーションワゴンであるカルディナも商用車としての道具的なイメージが強くあります。維持費に優れるディーゼルモデルが通常のカルディナに加えて商用モデルであるカルディナバンにも設定され、その商用車的な色合いはより強くなっていくこととなります。

ボディタイプ: ワゴン
ドア数: 5ドア
乗員定員: 5名
型式: E-ST195G
全長×全幅×全高: 4,545×1,695×1,470mm
ホイールベース: 2,580mm
トレッド前/後: 1,465/1,435mm
室内長×室内幅×室内高: 1,925×1,445×1,180mm
車両重量: 1,320kg

エンジン・燃料系
エンジン型式: 3S-FE
最高出力: 135ps(99kW)/6,000rpm
最大トルク: 18.5kg・m(181.4N・m)/4,400rpm
種類: 直列4気筒DOHC16バルブ
総排気量: 1,998cc
内径×行程: 86.0mm×86.0mm
圧縮比: 9.5
過給機: なし
燃料供給装置: EFI(電子制御式燃料噴射装置)
燃料タンク容量: 60リットル
使用燃料: 無鉛レギュラーガソリン

環境仕様
10モード/10・15モード燃費: 12.0km/リットル

足回り系
ステアリング形式: パワーアシスト付きラック&ピニオン
サスペンション形式(前): ストラット式コイルスプリング(スタビライザー付)
サスペンション形式(後): ストラット式コイルスプリング(スタビライザー付)
ブレーキ形式(前): ベンチレーテッドディスク
ブレーキ形式(後): ディスク
タイヤサイズ(前): 185/65R14 85S
タイヤサイズ(後): 185/65R14 85S
最小回転半径: 5.3m

駆動系
駆動方式: フルタイム4WD
トランスミッション: 5MT

スポーツを意識し始めた2代目カルディナ

出典:http://www.goo-net.com/market/TOYOTA/CALDINA.html

1997年2代目へとフルモデルチェンジしたカルディナは、この代からGT-Tというスポーツを意識したモデルが追加されます。レガシィツーリングワゴンGT-Bが当時人気を博しており、それに対向するために追加されたGT-TはセリカGT-FOURに搭載されていた3S-GTE型(2,000cc・260ps)ターボエンジンを搭載し、MTの他現在のパドルシフトといえるスポーツステアマティックを搭載し駆動方式はFFと4WDの二つが設定されます。
スペックや装備だけで比較するならレガシィに全く引けをとらないカルディナなのですが、スポーツモデルとしての評価はレガシィに大きく溝を開けられることとなってしまいます。これは道具としての機能を優先するトヨタの車作りと走る楽しみを追求する富士重工業との思想の違いがそのまま車に現れてしまうためといえるでしょう。簡単に言えば、レガシィは運転していて楽しいが、カルディナは運転していて楽なのです。
この違いが、スポーツワゴンとしての両者の決定的な違いであり、両者の今後に大きな影響を与えることになります。

ボディタイプ: ワゴン
ドア数: 5ドア
乗員定員: 5名
型式: GF-ST215W
全長×全幅×全高: 4,575×1,720×1,495mm
ホイールベース: 2,580mm
トレッド前/後: 1,480/1,450mm
室内長×室内幅×室内高: 1,860×1,475×1,185mm
車両重量: 1,440kg

エンジン・燃料系
エンジン型式: 3S-GTE
最高出力: 260ps(191kW)/6,000rpm
最大トルク: 33.0kg・m(324N・m)/4,400rpm
種類: 直列4気筒DOHC16バルブターボ
総排気量: 1,998cc
内径×行程: 86.0mm×86.0mm
圧縮比: 9.0
過給機: ターボ
燃料供給装置: EFI(電子制御式燃料噴射装置)
燃料タンク容量: 60リットル
使用燃料: 無鉛プレミアムガソリン

環境仕様
10モード/10・15モード燃費: 11.0km/リットル

足回り系
ステアリング形式: パワーアシスト付きラック&ピニオン
サスペンション形式(前): ストラット式コイルスプリング(スタビライザー付)
サスペンション形式(後): ストラット式コイルスプリング(スタビライザー付)
ブレーキ形式(前): ベンチレーテッドディスク
ブレーキ形式(後): ディスク
タイヤサイズ(前): 205/60R15 91H
タイヤサイズ(後): 205/60R15 91H
最小回転半径: 5.6m

駆動系
駆動方式: フルタイム4WD
トランスミッション: 5MT
LSD: 標準

ニュルブルクリンクでスープラよりも速く走った3代目カルディナ

「ザ・ツーリングマシン」をコンセプトに砲弾型の丸いエクステリアを手に入れたのが3代目カルディナです。1,740mmのワイドボディに2,700mmのホイールベースは高速コーナーの安定性に貢献し、砲弾型の丸いフォルムはダウンフォースを発生し速度を増すごとに車体を地面へと押し付け安定させます。
2代目同様3S-GTEを搭載した4WDモデルにはついにGT-FOURというグレード名が搭載され、ニュルブルクリンクでのテスト走行ではあのスープラを上回るラップタイムを記録します。
この内容を見れば最大のライバルであるレガシィとも十二分に渡り合えそうなものなのですが、車好きは相変わらずレガシィを評価し、カルディナがスポーツ面でレガシィの上を行くことはありませんでした。
この代でカルディナはスポーツを最大限押し出したGT-FOURを含め、全てのモデルからMTの設定をなくしてしまっています。
このことはトヨタと富士重工の決定的な設計思想の違いを物語っています。ライバルであると考えられ比較されるカルディナとレガシィではありますが、その向いている方向は全く異なっていたのです。
日本専売となった3代目カルディナですが、欧州ではアベンシスとして販売され欧州でツーリングカーとして評価されることとなります。

ボディタイプ: ワゴン
ドア数: 5ドア
乗員定員: 5名
型式: ABA-ST246W
全長×全幅×全高: 4,510×1,740×1,445mm
ホイールベース: 2,700mm
トレッド前/後: 1,505/1,505mm
室内長×室内幅×室内高: 1,905×1,455×1,165mm
車両重量: 1,490kg

エンジン・燃料系
エンジン型式: 3S-GTE
最高出力: 260ps(191kW)/6,200rpm
最大トルク: 33.0kg・m(324N・m)/4,400rpm
種類: 直列4気筒DOHC16バルブターボ
総排気量: 1,998cc
内径×行程: 86.0mm×86.0mm
圧縮比: 9.0
過給機: ターボ
燃料供給装置: 電子制御式燃料噴射装置(EFI)
燃料タンク容量: 60リットル
使用燃料: 無鉛プレミアムガソリン

環境仕様
10モード/10・15モード燃費: 10.6km/リットル

足回り系
ステアリング形式: パワーアシスト付きラック&ピニオン
サスペンション形式(前): ストラット式コイルスプリング(スタビライザー付)
サスペンション形式(後): ダブルウィッシュボーン式コイルスプリング(スタビライザー付)
ブレーキ形式(前): ディスク
ブレーキ形式(後): ディスク
タイヤサイズ(前): 215/45ZR17
タイヤサイズ(後): 215/45ZR17
最小回転半径: 5.5m

駆動系
駆動方式: フルタイム4WD
トランスミッション: 4AT
LSD: なし(GT-FOUR NエディションのみトルセンLSD装備)

カルディナ=アベンシス、ヨーロッパで高い評価を受ける

ヨーロッパで初代アベンシスとして発売された車が実は2代目カルディナです。イギリスにある現地向上で生産されるこの車はレガシィというよりむしろBMWを意識していたのかデザインが一部変更されています。
特にセダンモデルのデザインは当時の3シリーズを思わせるデザインへと変更されており、日本のカルディナとは一風違った趣を感じることができます。
2代目アベンシスも3代目カルディナの欧州版という立ち位置でリリースされ、この代のアベンシスは日本でも導入されていたことからなじみのある方も折られるのではないでしょうか。
3代目カルディナと2代目アベンシスという趣の全く異なる両車が兄弟車種というのはトヨタのような世界を相手にするグローバル企業では珍しいことではありません、世界を相手に戦う戦略車としてカルディナがいかに作りこまれた車かがわかる事例です。あくまでトヨタ流ですが…

お値打ちな3代目カルディナGT-FOUR

販売面では決して奮ったとはいえないカルディナですが、その分現在の中古車相場ではかなりのお値打ち物件へと変貌しています。
特に3代目カルディナGT-FOURはその装備や走行性能を考えれば余りにもバーゲンプライスです。
下には2015年12月現在販売されている中古車を一例として載せています。
GT-FOUR以外の下位グレードなら中古車相場はさらに下がりますが、車としての基本性能はアベンシスと同等ですので、GT-FOURはちょっと高いという方にも十分おすすめできます。
全モデルを通じて非常に丈夫な車ですので、初代や2代目であっても状態の良い個体なら安心して購入できる車ですので、それこそ10万円台からとりあえず車を購入したいという方になら、初代や2代目カルディナも悪くありません。
ミニバンでは物足りない、もっと走りも楽しみたいというお父さんいかがでしょうか?

トヨタ カルディナ GT-FOUR Nエディション
年式 平成16年 走行 6.6万Km 排気 2,000cc 車検付き
本体価格 63万円
※2015年12月末時点

アベンシスもお値打ち中古車

アベンシスもカルディナ同様非常にリーズナブルな中古車です。トヨタが欧州向けに本気で作ったエクステリア・インテリアは非常に上質なものですし、欧州の安全基準であるユーロNCAPで5つ星をつけられたアベンシスは安全装備や基本とナル走行性能も優れたものを持っています。
カルディナとはイメージが随分違いますが、兄弟車種と思ってみてみるとなんだか見る目も違ってきて楽しいです。

トヨタ アベンシスワゴン Liスポーツパッケージ クルーズコントロール HID
年式 平成17年 走行 1.5万Km 排気 2,000cc 車検 なし
本体価格 41.9万円
※2015年12月末時点

カルディナはスポーツカーではなくGTカー

カルディナはGT-FOURグレードが車好きの目に付きやすいということもあり、レガシィを始めとするスポーツグレードの車との比較対象として上げられる車です。ですが、カルディナはスポーツカーというより長距離ドライブを安楽にこなせる贅沢なGTカーとしての側面が非常に強い車です。
エクステリアやインテリアを見ても、余りにも若者向けのデザインであるため、ライバルとしたレガシィB4のような大人の上質なおもちゃ感が足りていないのです。
とはいえ中身はトヨタ謹製の高性能ツーリングワゴンです、トヨタ流の味付けを理解している人であれば長距離旅行も全く疲れることのない、素晴らしい相棒となってくれることでしょう。