ホンダ エディックス!? ホンモノの評価は海外では?

ホンダのエディックスは使いやすくて、ユーティリティが突き詰められています。そしてとても個性的な使い方ができる車です。それでは、人気はどうだったかというと、あまり売れなかったのですが、人気はあったと思います。その人気にはミスマッチがあってそこがとても残念な車でした。やりようによっては名車になったはず。それがエディックスです。

ゆとりと使い勝手きらめくもちょっと変わったエディックス

クリエイティブムーバーが行きついたのは

1994年はホンダにとって大きなターニングポイントの年です。ホンダが変わったきっかけはいうまでもなくオデッセイによってですが、大ヒットによって当初の思惑にも増してユーティリティの高い車を企画するようになり車種は充実していきます。その末っ子として最後に行きついたバリエーションがエディックスです。

オデッセイから10年後の2004年に発売されたエディックスですが、この頃にはホンダも当初言っていた「クリエイティブムーバー(生活創造車)」という言葉は使わなくなり、エディックスは「3by2ミニバン」だとしています。ミニバンのトップメーカーとなり、この言葉にも抵抗がなくなったようで、独自性のあるミニバンだとアピールしてきました。
実はエディックスには明らかに元ネタになった車がありますが、それでも斬新な試みの車といえました。合理的なコンセプトがあり、一言でいえば使い手のいい車で、その点では開発の狙いは当たっていました。
国内では人気に火がつくこともなくマイナーチェンジを経て細々とした売上でしたが、海外ではそれなりの評価を受けてミニバンがまるで受けなかった頃なのにヨーロッパ市場、特にイギリスではシビック、アコードなどの主力に加えてメインの車種となっていたのです。

機能性高くとても優秀ながら埋もれた存在

実際とてもいいクルマだと思います。開発のいつの段階で子供に焦点を絞ったのか分かりませんがチャイルドシートを使う頃を含めた夫婦と子供への訴求としてはピッタリのもの。
失敗の原因は、ファミリー層をターゲットとして意識しすぎたためか、主張の乏しい外観にしたことだと思います。若い夫婦がターゲットだとしたら、もっともっと冒険をして、カッコよくすればエディックスの評価は全然違ったのではないかと思います。

その点では、どんどん保守的になっていったホンダの姿に重なる車でもあります。返す返すも思い切ったコンセプトに相応しい外観さえあったならと思わせますが、ホンダではそんなことは露にも思わず国内販売は一代で終了することになります。

もともと日本車にカッコよさは期待していないのか、イギリスを中心に欧州では売れ続けたのですが、モデル末期は日本にシビックタイプRユーロとして輸入された車のベースになったシビックが斬新なデザインで大好評だった頃です。
だから、車のよさを的確に見抜いてくれた海外でもカッコよければもっとウケたのではないかと思えます。

もっともドシンと構えて、ゆとりを感じさせる「大仏モード」は不思議に子供には人気があったのです。ヌボーっとした大きな体のかわいい奴でもあります。

エディットが命名の由来

エディックスの斬新な試みというのは前後とも3人乗りとしたことと、だからといってベンチシートではなくすべてを独立したシートにしたことです。
ホンダが「3by2」と呼んだ3席×2列の形は、さらに前後とも中央のシートは大きくずらして後ろに下げることが可能でした。
幅はかなり広くなったこともあり、3列目は設けず、リアシートもワンタッチダイブでフラットな荷室を作りだせます。
ちなみにリアの3座席それぞれ独立してダイブできますから中央のシートだけを床下に収めてしまえます。同様に前席の中央のシートを前に倒してアームレストやセンターコンソールの代わりに使うこともできます。
こうしたときには広いテーブルのようなコンソールが現れてとても便利です。

こんなふうに実にさまざまなシチュエーションに対応が可能でとても便利なところがいいのです。
ホンダでも1人から6人まで、それぞれに使い倒せることをアピールしていました。
車名の由来は「エディット(編集)」「シックス(6)」だそうです。
ホンダの宣伝に習って6つのパターンをそれぞれ見てみましょう。

3人で使うとき

1番アピールされていたのは、このケースです。前列センターのシートは27センチも後退します。
こうすると車幅が広いとはいえ3人乗りで感じてしまう人の距離による圧迫感がなくなりますし、ここにチャイルドシートを装着すれば、エアバックが開いた時の衝撃から子供を守ることができます。
もう少し成長すれば、誰かが後席に行くことなく家族一体感のあるドライブができる想定です。中央の席が後ろにずらせることで3人並んでもゆとりがあるのがもともとの特徴でしたね。

また違うケースになりますが、後席を倒して荷室をフルに使っても3人乗車できるというメリットにもなります。ホンダのサイトでは自転車3台と大人3人の乗車のケースを紹介しています。プラスワンの余裕ということになりますね。リアを荷室として最大限使ったときの容量は1,049リットルだとされています。車幅が広いことがここにも効いてきます。

2人で使うとき

室内幅がありますから2人乗車の場合の余裕はありあまるほどです。中央座席を倒すと現れる座席背部を使ったセンターコンソールはテーブルのように使える大きなアームレストになります。

もちろん、中央のシートに寄り添って座ってもらっても、何も問題もありません。ベンチシートのように使えるということです。3人乗車の場合同様に後部はたっぷりの荷室スペースになります。

1人で使うとき

エディックスの特徴は車幅の広さと6名という多人数の乗車が可能なのに全長は短いということです。エディックスのプラットフォームはシビックなのですが、この7代目のスマートシビック(EU型)と同じ長さです。
このような4つの車輪が正方形に近くなっている車は回頭性がよくなり、ハンドリングが軽快に感じます。コーナーリング中も車体のロールに対して安定感を感じやすくなります。
実際に、見かけと違いスポーティに走れると感想を持つ人が多かった車です。ラインナップによってはホンダの名高いK20A型の直列4気筒DOHC16バルブのi-VTEC2リットルエンジンが搭載されています。タイプRに使われるK20Aですが素性は実用域で使いやすい性質のエンジンです。

実はひとりで活発に走らせる魅力もあるのがエディックスだといえます。

4人で使うとき

4人で使うときに広々しているのはもちろんです。ところが、あまり例をみないエディックスのシートレイアウトですからかなり意外な使い方ができます。例がないから想像できないものの、聞いてみるとなるほどです。

まず、リアの中央のシートはダイブさせて床下に沈めます。フロントの席も倒してコンソールにすれば車室の中央部分に大きな長尺のものを積むことができます。それでいて4人がなおゆったりと座れる訳です。
ホンダのサイトではサーフボードを積むことを例に挙げています。

もっとも2人のケースの場合と同じようにセンタシートを使って前後列の座席をカップルどおしで密着したドライブもできそうです。こんなケースがいい感じといえるのかどうかはよく分かりませんが。

5人で使うとき

5人目の席を前の列の中央にすれば、4人のとき同様にダイブした中央の席の部分に長くて大きなものを楽に積み込めます。
そのうえで5人が乗車できることになります。この場合に前の中央の席をずらすことで3人で使うときのケース同様に前に並ぶ3人はゆったりと着席していられます。

6人で使うとき

ミニバンがもてはやされたひとつの理由にはいざとなったら沢山の人が乗れるということがあります。
前の列に親子3人のケースのようにエディックスのよさには乗車時の距離感の近さがあります。
2列ですから3列に乗るよりも全員が全員と話しやすい一体感があります。それでいて中央の席をおのおのずらすことで、乗っている全員がゆったりとくつろげるところがエディックスならではです。
ここまで乗車してなお、横に幅広く使えるラゲッジ容量は439リットルとかなりの広さです。

本田技研工業の公式ページでのシートアレンジの紹介です。

元ネタはコレ

あまりないパターンの車だけに、使い勝手を改めてよく見てみると意外なよさがあるんだと分かります。
さすがホンダ!! 独創的だといいたいところですが、このアイディアどうも元ネタがあるように思います。

フィアット ムルティプラ

イタリアのフィアットが作ったムルティプラという車があります。登場は1998年ですからムルティプラを見てからエディックスを作り始めるまで充分な時間があります。時系列的には同時期にたまたま同じことを思いついた訳ではなさそうです。

デザインは奇抜ともいえる独特な感じ、もしかしたら変わったデザインにすると真似したことがもろばれになると思って、エディックスは平凡なデザインにしたのかもしれません。
面白いことにエディックスの登場した2004年にマイナーチェンジでフロントマスクがエディックスのようなデザインになってしまいました。

このマイナーチェンジ版含めてムルティプラのほうは2代目です。1956年にデビューしたフィアット600ムルチプラはフィアット600の3列6人乗り版で、なんとボンネットを無くして車全体を長円形にして多人数乗れるようにした奇抜な車です。リアエンジンだからできた技で時代を感じます。

この初代の多人数乗車のアイディアを車幅を広くして6人乗りを2列で受け継ぎ、奇抜な見かけというアイデンティティもまた継承して、名前を復活させたものがフィアット ムルティプラ。そして恐らく影響を受けただろうエディックスが登場ということになります。

ホンダの海外展開車

エディックスは輸出されたものは「HONDA FR-V」という名前になっています。マニュアルミッションも用意されましたし、i-CTDiのディーゼルエンジンも搭載されています。i-CTDiはコモンレールインジェクションとアルミブロックのホンダの独自開発のもの。それまではディーゼルはいすゞから供給されていました。

ホンダはいちはやく世界の主要拠点ごとに車の仕様を変えて現地生産するなど、日本では売っていない車が沢山あります。車に先駆けてオートバイで世界中に市場を持っているホンダですから、お手のものではあります。なにしろ、すでに日本では売っていないシビック(タイプRはまた限定販売されますが)だって世界中でみれば、いまだにホンダの主力車種です。

北米の大きな車やクーペ、アジアマーケットを狙った廉価版、ヨーロッパでのハッチバックやステーションワゴン、ディーゼルエンジンなど事情はそれぞれですが、現地の人にウケているのですから、日本にだって欲しがる人はいます。ある程度の需要を見込めば逆輸入ということもしていますが、あまり成功した例はないので当初の売らないという決断も間違ってはいないのでしょう。

エディックスの場合は日本で売っていなくて、評判を聞きつけた一部の人が日本でも売って欲しいというので売ってみたらあまり売れなかったという性格の車に近いものがあるのかもしれません。そういう車は手に入れた人にとっては心から満足するケースも多いものです。

確かにエディックスの魅力を考えると、とても気に入ってしまう可能性も高いように思います。

エディックスの諸元

2004年7月発売
エンジンタイプ:水冷直列4気筒
2リットルDOHC i-VTEC 最高出力96kW[130馬力]/6,300rpm
1.7リットルVTEC 最高出力115kW[156馬力]/6,500rpm
トランスミッション:電子制御式オートマチック
駆動方式:FFまたは4WD
寸法:全長4,285ミリ,全幅1,795ミリ,全高1,610~1,635ミリ

2006年11月
1.7リットルエンジンの廃止
2.4リットルDOHC i-VTECが追加となりました。最高出力は119kW[162馬力]/5,700rpm。
2.4リットル車の駆動方式はFFのみ。また、全長が4,300ミリ、全高が1,600ミリとなりました。

エディックスの中古車情報

エディックスは使い勝手もいいので中古車としては魅力的な一台です。下記にリンクを貼っておきますので是非チェックしてください。

中古車をお探しの方はこちら

とても面白いコンセプトのエディックスをどうですか

生産終了が2009年です。まだまだ中古車も見つかりますから、かなり独特の魅力を持つエディックスを手に入れることは不可能ではありません。2006年からのマイナーチェンジ版はK20A型エンジンが駆動方式はFF(フロントエンジン・フロントドライブ)と4WD。エンジンにさらに余裕を持たせたK24A型の2.4リットルDOHC i-VTECのほうはFF(フロントエンジン・フロントドライブ)で2種類のエンジンを搭載しています。

実用性も高く、快適な多人数でのドライブも大丈夫なエディックスに乗れるのも、もうしばらくのうちかもしれません。