ホンダ インテグラに熱狂!?たどり着いたのはタイプR

2006年に既に販売が終わっているホンダのインテグラですが、いっときは頻発する盗難情報にオーナーがかなりな警戒をしたほど。中古車市場が熱い車でもありました。対象になるのはタイプR、メーカーチューン版ともいわれ下手にいじくればかえって性能低下を招くともいわれました。FFスポーツ車の最高峰とも目されるのがインテグラです。

最後に行きついたのはタイプR

ほとんど狙いはタイプRなDC5型インテグラ

2001年に最後のインテグラとなるDC5型が発売になりました。事実上タイプRのためにあったような車で、標準とされるタイプS(2001年の販売開始時にはis)もボディは基本は全く同じです。
実はこの標準モデルはとてもお得なのです。先代の3代目インテグラのタイプRは当初から考えられていたというよりもジリ貧となっていったインテグラのてこ入れのためという性格も強かったのです。
独立した四灯のヘッドライトの異形な個性を変更して受け入れやすくするとともにボディにはかなりな補強を加えています。

DC5型のインテグラのisやタイプSはそんな作り分けをできるほど市場を見込めていません。そのため標準モデルをそのままタイプRとして使えるように考えられています。ですから場合によってはとても良い車を安く手に入れられることになります。見つけられればお得ですが、購入者のほとんどは63万円ほど高かったタイプRを選んでいますから、なかなかタマは見当たらないのが現状かとは思います。

タイプRは豪華な専用装備

確かにボディはほぼ同じとはいえ、タイプRに装備されるのは豪華なブランド品ばかり。
タイプR専用品として用意されるフロントシートはレカロ製バケットシート、ステアリングはモモの本革巻3本スポーク、シフトパターンが彫り込まれたチタン調のアルミシフトノブと同じ素材のペダルパッド、フットレストが装着され、外観の印象を決定づける大きくそびえるウイングタイプリアスポイラーを標準で選択できます。
性能面でもっとも魅力なのはブレンボのフロントブレーキで300ミリピラータイプベンチレーテッド・ディスクをアルミ対向4ポットキャリパーで制御します。
これで63万円しか違わないのですからサーキットを走らないとしても、思わずこちらを選択したくなるのも分かります。ただタイプRはサスペンションセッティングなどもサーキット向けです。本当はそこも考えた方がよかったりするのですが、どうせ新車を買うなら値段の違いがこれであればやっぱり選んでしまいますね。

エンジンは傑作のK20A

一番新しいタイプRとなるシビックタイプR(FK2型)が750台限定で輸入されて発売になりましたが、いよいよダウンサイジングターボで310馬力となります。こうなるとDC5型インテグラタイプRに搭載されていたK20A型エンジンの価値はますますあがってきます。
ノーマルアスピレーションの傑作といわれるK20A型エンジンに関していえば、最高出力は220馬力に過ぎず、比較すれば劣っているように見えますが、何しろ2リットルの自然吸気なのです。
インテグラタイプRが新車で登場したときにも、馬力だけを問題にするならば2リットルのターボエンジン車にはまるでかなっていませんでしたし、そのような車は4輪駆動でしたので直線での加速などは相手になりません。
当時からインテグラはランサーエボリューションやインプレッサのWRXと比較する車ではありませんし、ライバルでもないでしょう。

同じ高性能チューン車だからとか同じ2リットルエンジンだからなどと記事ネタに困ったカー雑誌などがあおりたてたとしてもインテグラを買う人ならば相手にした人は誰もいません。インテグラの魅力は、そのような観点ではないのです。
それほどK20Aが生み出すフィーリングは官能的で、絶対的なパワーを問題にする分かりやすいアプローチのターボ+4WDとは一線を画するものです。
そもそもパワーだけにこだわってスペック的な競争をしたら2リットルエンジンがスーパーカーにかなう訳がありません。パワーが魅力なのは間違いないですが、実際問題どこで使うのでしょうか。

普段づかいできるのに高性能なインテグラのK20A

普段のドライブで充分感じられる気持ちよさがあるのがK20A、そしてK20Aがとても生かされるのがインテグラという車だともいえます。結局新しいFK2シビックタイプRが後追いするのは皮肉なこととはいえ、欧州勢がダウンサイジングターボに向かったのはホンダの自然吸気エンジンにはまるで歯が立たなかったからでもあります。

面白いのはホンダS2000に搭載されていたFC20Cエンジンとの比較です。S2000のためだけに作られたこのエンジンは結局マイナーチェンジで排気量アップと出力低下を余儀なくされるほどの尖ったエンジンでした。高回転を実現するためにあらゆる手段をほどこして、市販車としては異例となるような手法がふんだんに施されています。
結果として実現したのは最高出力250馬力という驚異的なもの。排気量当たりの出力としては世界でもフェラーリの一部の車にしか見当たらないようなものだったのです。
要するにまるでレーシングエンジンそのもので、VTECがあったからできたような仕様、S2000のエンジンが本領を発揮するのはVTECのハイカム側の7,000回転を過ぎた頃、ここから許容される9,000回転まで使いきってはじめてほんとうの価値が分かるエンジンです。普通のエンジンなら回せないような領域で最高の性能を発揮するエンジンですから普段使いにはピッタリとはいえないのもホントウだと思います。
これに対して2リットルのK20Aに関してはピストンストロークも2ミリほど短く、最高許容回転数も抑えられて実用域でのトルクが確保された使いやすいエンジンなものですから、特にファインチューンがされてレスポンスがよいタイプRのK20Aはいつものドライブの走りがとても気持ちイイのです。

狙い目のタイプSのポイントは

実はK20AエンジンはタイプRでないDC5型のインテグラにも搭載されています。同じK20Aエンジンで排気量も2リットルで水冷4気筒横置きのDOHC i-VTECでホンダの電子燃料噴射PGM-FIで制御されるのも同じです。
何が違っているのかといえば、最高許容回転数が毎分6,500回転と一般的なタイプSなどに対して、タイプRでは8,000回転と高回転型にチューンアップされているということです。これによって最高出力がタイプRの220馬力に対してタイプSでは160馬力となります。160馬力あれば充分力強いです。
装備としての違いはすでに書いたようにレカロのシートだったりモモのステアリングだったりブレンボのアルミキャリパーだったりしますが、基本的な違いはこのエンジンの仕様とサスペンションだけなのです。
エンジンは大きな馬力が欲しい場合にはできるだけ高回転の時に最大トルクを得られるような仕様にしなければなりません。逆に大きな馬力を絞りだそうとしなければ最大トルクをもっと低回転の時に発生するようにできるということです。このほうがオートマチックトランスミッションにも合っていますからタイプSにはオートマチックの設定もあります。とにかく使いやすくて高性能なタイプRでも通用するボディを持っている訳ですからまさしく狙い目といえるでしょう。

確かに流通するタマ数は多くないですが、まるで見つからない訳ではありません。タイプSを買ったようなオーナーはこのようなことを、とてもよく分かっている人です……というか敢えて買ったとしたらそのハズです。取り扱いもよかった可能性も期待大なのではないでしょうか。

魅力とともに、いろいろ難しい面があるのがタイプR

S2000のFC20Cほどではないですが、高回転仕様になったK20Aを使いこなすのはそれなりに腕も必要ですし、本格的に使いこなすためにはサーキットなどの特別な環境が必要なレベルです。
ヨーロッパで開発されたタイプR(アコードとシビック、日本ではアコードユーロRとシビックタイプRユーロ、そして最新のシビック)を除いてタイプRというのはサーキット仕様車です。サーキットを走ることもないのにそんなタイプRを買っても、犠牲になっているものが多すぎて何の意味もありません。
また、タイプRのオーナーなのですから、その気充分な可能性が大です。どんな運転をしていたのかちょっと心配です。
無茶をせずに高性能なものとして愛してくれたオーナーなのか、無鉄砲なオーナーなのかでタイプRの中古車のコンディションは違うのではないかと、少し考えてしまいます。
そういう点でも、タイプS(もしくはis)は狙い目になるといえるのではないでしょうか。

逆にいえば、最新のFK2シビックタイプRがヨーロッパ型のタイプRとなって走りは魅力ですが、もう完全なサーキット仕様のタイプRは出てこないかもしれません。新しくなってもサーキットも走れるという点では変わりないとはいえ、普段の快適性は犠牲にしてでもサーキット仕様を貫くという考えで希少価値はアピールできるのがDC5型のタイプRインテグラといえるのでしょう。

インテグラってどんな車?

インテグラの先祖は5ドアハッチバック?

インテグラはそもそもはクイントといっていた車が源流です。ラテン語で5番目(英語のfifth)を表すこの言葉は5ドアハッチバックからきた命名だと思われます。
3ドアハッチバックのシビック、アコードにセダンが加わると、次にラインナップするべきものは確かに5ドアハッチバックでしょう。ワゴンにも似たスタイルを持つクイントには確かな役割がありましたが、当時の日本の自動車文化はそこまで進んでいません。商用車に見えかねないこのボディタイプは全然受け入れられなかったのです。

リトラクタブルヘッドライトのクイントインテグラ

1985年にクイントをモデルチェンジする際にはプレリュード、アコードで好評だったリトラクタブルヘッドライトを持つ美しい姿をしたクイントインテグラとなります。5ドアに先行して3ドアハッチバックを発売、4ドアセダンも用意されて、シビックのプレミアムバージョンでユーティリティも高いという位置づけがなされます。北米のアキュラとしても販売することになっていたことからもこのような形になりました。エンジンは当初はすべてDOHCです。
プレミアムな感じは評判がよく、インテグラはこれ以降このクイントインテグラの遺産を食い潰すようにして展開されることになります。

インテグラが誕生、3ドアクーペと4ドアハードトップに

1989年にはインテグラとしてフルモデルチェンジとなりました。この時にはハッチバックは廃止されて、3ドアクーペと4ドアハードトップとなります。インテグラの名前は引き継ぎましたが、事実上最初のコンセプトは破棄されて新しいシリーズになったようなものです。インテグラとしては初代のモデルで北米のアキュラとしてクーペの需要が高かったことが影響しているようです。
この車の開発段階では3代目のプレリュードの人気が高かった頃です。北米の事情はあるとはいえわざわざ同じタイプの車をぶつけてきたのですが、発売して少しするとスタイリッシュなクーペの需要には陰りがみえてきたのです。
思い起こせば、4ドアのサッシュレスの屋根の低い車を普通のセダンのプレミアムバージョンのようにもてはやす傾向がありました。4ドアハードトップのほうはこの傾向に便乗したものでしょう。かっこよさげですが、剛性面でも安全面でも製造上も難しい問題があるため国産車ではもう見られなくなったタイプです。

度胆を抜かれた4灯プロジェクターでモデルチェンジの2代目インテグラ

1993年のフルモデルチェンジでは、先行した2ドアクーペのプレリュード同様、スポーティ感を増して、個性的なフロントマスクを与えてきました。4灯の丸いプロジェクターライトはかなりな個性でしたが、北米のアキュラでは受ける一方で日本ではまるで受け入れられることがなく、テコ入れを迫られます。
その策として普通のフェイスに変更するとともにシビックで人気を呼んでいたタイプRの導入がなされたのです。1995年のことでこの代のモデルは8年間販売されることになります。

この後、4ドアハードトップを廃止して2001年に3ドアクーペのみの最終型に至ります。

天皇陛下もご愛用

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ニュース映像です

ところでインテグラといえば外せない話題としては天皇陛下がステアリングを握る時にはインテグラという話題です。陛下の心中をお察しすることはできないのですが、お若い頃はプリンス自動車を運転されていたというお話です。運転がお好きだとしても今では周囲が許してくれないのかもしれません。やはり皇居の外を車で移動されるならば運転手に任せてということになるのかと思いますが、皇居内を自ら運転して移動する時のためにインテグラを所有されていることが知られています。インテグラとなった初代のDA型と思われます。ハードトップのスタイリッシュな車でした。

好きな人はとことん好きだったインテグラ

紆余曲折が多々ありながらタイプRにたどり着いたインテグラは今でも好きな人はとことん好きで大切に乗り続けている人がたくさんいる車です。
最終形は特にタイプRに限らず運転が楽しいクーペです。見つけることができたならば手に入れる価値アリと思えるインテグラです。