マツダのAZ-1は名車?それとも迷車?気になる魅力や特徴&長年愛される理由

現在、マツダは「デミオ」「アテンザ」「アクセラ」「ロードスター」等々、幅広いユーザーのニーズを満たす車を世に送り出してきました。しかし! 約20年前、ある意味伝説の車となった車が「オートザム」によって発売されました。それが「AZ-1」です。本日はAZ-1について詳しく紹介していきます。

オートザムとは?

まず初めに、AZ-1を販売していた「オートザム」について紹介していきます。

オートザムとは1989年に設立されたマツダの販売系列の1つになります。トヨタで言う「ネッツ」「トヨペット」と同様に販売を拡大させるために設立されました。設立当初は「軽自動車」を中心に取り扱っており他に「ユーノス」「アンフィニ」と言ったものまで販売していました。ちなみに高級車メーカーの「ランチア」の商標権を取得しているのも当時では話題になりました。例えば「ランチア・デルタ」「ランチア・テーマ」と言った、当時では誰もが憧れる高級車です。

このように当時は、軽自動車~高級車まで幅広いラインナップを揃えていましたが1989年以降、バブル景気が終了と同時にオートザムは再編を迫られるようになったのです。

オートザムから「マツダ オートザム」へ

再編を迫られたのが1998年頃になります。マツダは「店舗規模」に合わせて売上目標を定め、その基準を満たす店舗はオートザムから「マツダ オートザム」へ移行できるようにしたのです。もしマツダオートザムへ移行できれば新たにマツダ本社から「ファミリア」「プレマシー」と言った新車種を販売することができました。しかしオートザムのままですと新車種が入って来ず、今まで販売してきた車で勝負しなければいけません。つまり販売店として生き残るためには、売上目標を達成する以外方法が無かったのです。

そのため2000年前半になると、全国に約900店舗あったオートザムが全て「マツダオートザム」に移行できず、約350店舗に縮小されることになったのです。ちなみにこの時から軽自動車の開発を終了し、スズキの「OEM」で対応しています。またランチアの商標権も1998年には返上しています。以上のようにオートザムはマツダオートザムとして再編を果たし、昔から販売している軽自動車やファミリーカーと言った大衆車を中心に扱っています。残念ながら「アテンザ」「ロードスター」と言った車種は取り扱っていませんので注意しましょう。

AZ-1はどんな車?

AZ-1は先ほど紹介した「オートザム」時代の1992年9月24日に発売された「軽スポーツカー」になります。車情報は下記のようになります。

・全長:3,295mm
・全幅:1,395mm
・全高:1,150mm
・ホイールベース:2,235mm
・車両重量:720kg

・エンジン:F6A型 657cc 直3 DOHCターボ
・最高出力:64PS/6,500rpm
・最大トルク:8.7kgf·m/4,000rpm
・変速機:5速MT
・駆動方式:MR

車メーカーの「スズキ」が開発した「直3 DOHC F6Aターボエンジン」そして車重は720kgと言う軽量コンパクトボディーのため一般車両と同等、またはそれ以上の速度を出すことができます。そして鋭いハンドリングを楽しめるとあって、当時としては軽自動車の皮を被ったスポーツカーとして峠やレース場で猛威を振るっていました。

それではもっとAZ-1のことを知っていただきたいので、続いては「魅力」「特徴」をそれぞれの項目に分けて紹介していきます。

AZ-1の魅力

鋭いハンドリング性能

1つ目の魅力は鋭いハンドリング性能にあります。

一般車の場合「ロックトゥロック(片側~反対までハンドルをいっぱいに切ること)」は「3回転以上」に設定されています。つまり3回転以上ハンドルを切らないと車は現在の状態から反対向きにならないのです。ちなみにホンダのスポーツカー「S2000」は「2,4回転」と言う機敏なハンドリング性能を誇っていました。ではAZ-1はどうでしょうか?

AZ-1のロックトゥロックは、なんと「2,2回転」に設定されているのです。先ほど紹介したコンパクトボディも相まって、軽快なハンドリングでスポーツ走行を楽しめると言うことです! そのため下りの峠道やコーナーの多いレース場では軽さと軽快なハンドリングで他車を圧倒することができるのです。

軽量ボディーを活かした走行を楽しめる

2つ目の魅力は軽量ボディを活かした走行を楽しめることです。当時、AZ-1の他にもホンダからは「ビート」スズキでは「カプチーノ」と言った車種が登場しています。3車種の車重をまずは見てみましょう。

●ビート 車両重量:760kg
●カプチーノ 車両重量:700kg
●AZ-1 車両重量:720kg

カプチーノと比較すると20kg程重たいですが、それでも当時としては軽量ボディに入る分類でした。皆さんもご存知かと思いますが、車にとって重さは敵になります。公式のレースでもどれだけ重さを減らせるかによって勝敗を分かつ時があります。つまり軽ければ軽いほど、加速性能、トップスピードに至るまでの時間を向上させることができるのです(他にも改造によって更なる向上を期待できます)そのため、スズキ製のエンジン+軽量ボディによって一般車両に引けをとらない走りを楽しむことができたのです。

マツダでは珍しい「MR」

現在、マツダで販売されている車の多くは「FF」「4WD」ロードスターのような「FR」が主流になっています。そんな中、AZ-1はマツダでは珍しい「MR」を採用していたのです。MRはエンジンを真ん中へ配置することによって、前後の車重バランスを均等に保つことができます。そうすることによって、前後に車重が傾かないため車本来の走りを楽しむことができるのです。

つまり、腕次第でAZ-1を速く走らせることができますし遅くすることもできたのです。特にカーブが多いコースや下りの峠道では腕さえあれば、他の車を凌駕する走りを相手に見せつけることができるのです。残念ながら、マツダはAZ-1以降に「軽スポーツカー」自体生産を終了しているためMRも当然のように作られることはありませんでした。

AZ-1しか味わえない特徴

特徴的なガルウィング

ガルウィングと言えば、映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」で使用された「デロリアン」が有名です。最近では映画用に改造されたデロリアンが東京に出てきたことでも話題になりましたね! そんな中、ガルウィングを持った「AZ-1」を忘れてはいけません! AZ-1のドアを開けますと写真のように横方向ではなく上方向へあ開くようになります。このガルウィングを支えているのが2本のエアダンパーになります。このエアダンパー、非常に強力ですが残念ながら消耗が激しく2~3年以内に交換しなければいけませんでした。しかし、珍しいガルウィングを楽しむのであれば交換程度、どうでも良くなるほどの特徴性、そして魅力を持っています。

パワートレインの多くをアルトワークスと共用

1988年型 スズキ アルトワークス

続いて紹介する特徴はパワートレインについてです。AZ-1はスズキのエンジンを使用していると先ほど紹介しましたが、実はパワートレインについてもスズキから提供を受けているのです。それは「アルトワークス」になります。アルトワークスのパワートレインを共用化することで、例えAZ-1のパワートレインが駄目になったとしても一部を流用することで修理やカスタムを楽しむことができるのです。とは言え、AZ-1のパワートレインは非常に複雑な作りをしているため時間を大量に消費しますので注意が必要です。

AZ-1が長年愛される理由?AZ-1が抱える多数の欠点

AZ-1は上記のように多数の魅力と特徴を持った軽スポーツカーです。しかし、AZ-1にはオーナーを時には悩ませ、時には「AZ-1だから仕方ない」と言うようにより愛着が湧くような欠点を数多く揃えていました。ではどのような欠点があるのか? 皆さんも一緒に見ていきましょう!

便利な機能・安全機能が殆ど無い

現在、販売されている車の多くは多数の便利な機能・安全機能を持っています。ところがAZ-1には、そんな機能は殆どありませんでした。例えばカーナビ・CDプレーヤー・キーレスと言った機能は付属していません。そして一般的となった「ABS」「エアバック」と言った安全機能もないため、事故を起こしたらどうなるか…と言う不安がよぎります。とは言え冷暖房が使用できる「エアコン」は標準で搭載されています。ただし! AZ-1の構造が丸みではなく非常に角ばっているためエアコンの効きは今までの車と同様と考えてはいけません。「付いているだけでありがたい」そう思って乗るようにしましょう。

車高の低さが搭乗者を選ぶ

「全高:1,150mm」と言う驚異的な車高を持つAZ-1。この車高によって空気抵抗をそこまで受けることなく爽快な走りを楽しめる一方、搭乗者を選ぶ車になっていました。身長が160cmであれば快適、170cmであれば少し窮屈に感じるもののまだ問題ありません。しかし175cm以上になると窮屈、もしくは頭が天井に当たってしまい、とても乗れる車とは言えませんでした。そのため身長が高い人はシートを交換する、またはシート全体を改造するしかありませんでした。

運転席よりも助手席に快適性が無い

一般的に2人でドライブしていると、写真のようにどなたも快適なドライブを楽しまれると思います。しかしAZ-1は、運転席よりも助手席の方が少々不満を抱く設計になっているため、写真のようにはいかないのです。もともとAZ-1は「バケットシート」のため、運転席・助手席はリクライニングができません。それどころか助手席だけは運転席スペースの確保やエンジンルームの確保のため足元が非常に狭まっています。それになぜか助手席だけはシートのスライドができません。そのため、助手席に人を乗せる場合、同乗者は覚悟を持って乗らなければいけないのです。

車高は低いが重心が高い

AZ-1は特徴的な外見をしていますが、一応当時の「軽自動車規格」に則って製造されています。確かに規格を守ることは大切なことですが、そのおかげで「車高は低いが重心が高い」と言うとんでもない車になりました。一般的な速度、例えば50~60kmであれば上記のような感覚を味わうことはありません。問題は70km以上になった時です。

軽量ボディ、尚且つ重心が高いため徐々に道路との接地面が無くなっていき100kmを超える頃にはまるで浮いているのでは? と錯覚するほどになります。そんな時に急なハンドリングをすれば車は簡単に横転するのは目に見えています。もちろん横転しようものならガルウィングのため、思うように開けられませんので過度な速度での走行は控えましょう。

けたたましいエンジン音が車内に響き渡る

現在、カスタムしている車でもない限り車内へエンジン音が大いに響き渡る事はありません。特にエコカーは静穏性に長けていると言っても過言ではありません。しかし、そんな常識が通用しないのがAZ-1です。確かにMRと言う駆動方式を採用し、前後の車重をバランスよくしましたが、そのおかげで車内へけたたましいエンジン音が響き渡るようになったのです。

そのため50~60kmであれば車内の会話程度であればなんとか聞き取れますが、それ以上の速度域に入りますと話は聞き取れず、ラジオの音も聞こえないほどになります。エンジン音を思いっきり楽しみたいのであれば良いですが、それを知らずに後悔しないようにしましょうね!

前後左右フルガラス

現在の車は「UVカット」と言ったように、太陽光を遮断する特殊なガラスを採用している車が多くなりました。一方AZ-1は前後左右一般的な車のガラスが使用されています。AZ-1の写真をもう一度見ていただけると分かりますが、車内の殆どがガラスで埋め尽くされています。冬場は暖かいですが夏場になると続々と太陽光が侵入しますので、車内は蒸し風呂のように暑い空間に早変わりです。かと言って窓を開けようと思っても「チケットウィンドゥ」と呼ばれる小窓しか開きません。ですので、AZ-1は走行だけでなく日光にも注意しなければならないのです。

最後に

1992型 AZ-1 マツダスピード

最後になりますが、AZ-1は多数の欠点を持ち合わせながらも「独特なデザイン」「スポーツ走行を大いに楽しめる」とあって、現在でもAZ-1愛好家達を魅了する車です。そしてAZ-1を所有することによって「欠点を欠点と思わないようになる」ほど楽しめる一台になります。現在は発売が終了しているため新車ではなく中古車になりますが、興味を持ちましたら1度はAZ-1を実際に見に行ってみましょう。