【プアマンズポルシェ】フォルクスワーゲン・カルマンギアは世界一ステキなスポーツカー

「プアマンズ・ポルシェ」という愛称もむしろ勲章に思われるくらいファンに愛される名車があります。「フォルクスワーゲン・カルマンギア」。数回のモデルチェンジをしながら20年以上も生産し続けられたクルマが、今もレプリカ車が作られるほどの人気を保っているのは、何故なのでしょうか? 今回は、そのカルマンギアの魅力に迫ってみます。

イタリアとドイツの合作ボディが魅力のカルマンギア

フォルクスワーゲン・カルマンギア。フォルクスワーゲンのオールドカーらしくない低い車高に、フォルクスワーゲンらしい可愛らしいデザインが特徴の名車です。その愛称は「プアマンズ・ポルシェ」。1953年にプロトタイプが作られていますが、このクルマのデザインはイタリアのカロッチェリア「ギア」が行い、そこにドイツのコーチビルダー「カルマン」がボディー生産にあたります。そう、このクルマの名前は、この2つのチームの合わせ技でできているのです。

その名前になったように、カルマンギアの大きな魅力は、このボディだと言っても過言ではないでしょう。

ベース車両はビートル。ベストセラーカーの利点が大きな効果を産んだ

1955年、カルマンギアが市場に向けて出発します。ベースに使われたのは、フォルクスワーゲン・ビートル。水平対向4気筒、空冷のOHVというエンジン、リア置きリア駆動、シャーシなど基本構造はビートルと全く同じです。しかし、2ドアクーペとして登場したカルマンギアは車重はビートルに比べ重くはなったものの、空力特性が向上したために最高速はビートルの110km/hに比べ、5km/h向上しています。このスタイルは、とても新鮮だったのでしょう、1957年にはカブリオレが登場、ますます当時の若者にとって魅力のある存在になっていきます。しかも、量産車であるフォルクスワーゲン・ビートルをベースとしているためスポーツカーとしては価格も安く、空冷式エンジンな上にベストセラーカーのビートルと主要パーツを共有していますから故障が起きても修理は楽です。ビートルと同じように様々なカスタマイズもしやすかったのか、アメリカでは大人気になっていきます。

【基本情報】
車種名:フォルクスワーゲン・カルマンギア
販売期間:1955年〜1975年
デザイン:カロッツェリア・ギア
乗車定員:2+2人
ボディタイプ:2ドアクーペ、2ドアカブリオレ
エンジン:空冷式1.2リットル水平対向4気筒OHV(タイプ1登場時)
最高出力:30hp
変速機:4速マニュアル、 3速セミオートマチック(スポルトマチック)
駆動方式:RR
サスペンション:フロント 横置きトーションバー・ダブルトレーリングアーム独立(ポルシェ式)、リア 横置きトーションバー・トレーリングアーム支持スイングアクスル独立
全長:4,140mm
全幅:1,634mm
全高:1,330mm
ホイールベース:2,400mm
車両重量:810kg

カルマンギア・タイプ3登場!

カルマンギアは、1963年に1,500ccエンジンを積んだ「タイプ3」を追加します。それまでは丸い印象だったフェイスにビートルから流用された丸いヘッドライトが特徴だったカルマンギアが、タイプではフェイスが四角くなり、ビートル譲りの丸いヘッドライトの上に吊りまゆのようなデザインがポイントとなりました。しかし、タイプ3はタイプ1を押しのけるほどの人気を得ることはできず、引き続き生産されていたタイプ1よりも早い1969年、生産を終了しています。

今でも多くのファン、オーナーのいる「名車」カルマンギア

今でも活発に中古車市場で取引されているカルマンギア。何故、そんなに人気がある上に、オーナーになる人が多いのでしょうか?

その一つの理由は、ベース車両のビートルの存在ではないかと考えています。ビートルもレストアを受けながら、未だに街なかを走っていますが、カルマンギアも主要パーツはビートルと同じなのですから、レストアパーツに困ることが少ないのです。オールドカー・オーナーの中にはパーツを自作する苦労を語る人も多い中で、このカルマンギア(ビートル)のメリットはとても大きいようです。

次にあるの、このメンテナンスの苦労からくる「実走行」の楽しさです。メンテナンスに苦労するクルマなら、走ること自体に躊躇するようですが、カルマンギアなら空冷エンジンの音を響かせながら、走る喜びを今でも味わえるのです。

そして、「外観」のオシャレさはカルマンギアにとって今でも最大の魅力でしょう。

レプリカ車もあるカルマンギア

ただ、どんなに「維持が楽」とは言っても、30年以上前に生産を終了したクルマです。どれだけ程度の良いものでも、手を掛けていく必要があるのはレトロカーの宿命のようなものですね。でも、きっと「エンジンのメンテナンスなんかしたくはないし(できないし)、可愛いけれども買えない」という方もいるのでしょうし、「素敵だから」というだけでは維持も走る楽しさも味わえないのがレトロカーのつらいところです。だから、カルマンギアの「レプリカ車」というものがあります。

一つは、福岡のHit USAという会社が国産車ベースで作っているカルマンギア。国産ベースなので、メンテナンスへの安心感が高いようです。

もう一つは、ドイツの「Rudolph Perfect Roadster」で Classic Roadsterという車名で販売されています。

HIT USA 公式サイト ドイツ製レプリカ 公式サイト

まとめ

ビートルをベースとしたことで、価格だけではなく、メンテナンスも簡単にできた事、そしてライトも流用したことで、単に「流麗なフォルムのスポーツカー」というだけでは無い魅力を持ったカルマンギア。今でも、多くのファンを抱えてオーナーズクラブも各地にあるようですね。

「名車の影には名車がある」という感じを強く受けるカルマンギアですが、本文でも書いたように実車は年季の入ったオールドカー、レトロカーです。くれぐれも「可愛いから」というだけで飼わないでくださいね。いや、買わないでくださいね。本当に手入れをするつもりでオーナーになれば、注目も集まりますし、空冷エンジンの軽快な「騒音」が心地よく包み込む走りを味わえますが、手入れを怠ればサビも出ますし、エンジンも掛からなくなってしまいます。本当に手のかかるペットと同様、愛をもって乗りこなしてください!