トヨタの人気車だったイプサム。「イプー」でピンとくる方はその世代!

トヨタのファミリーミニバンの先駆けともいえるイプサム。今では中古車市場でも少なくなってきましたが、それでもまだまだ現役!そんなイプサムを徹底解剖します。

イプサムとはどんな車なのか?

Photo by 筆者

イプサムとはトヨタ自動車が生産していたミニバン型乗用車のことです。テレビCMでは「イプー」としゃべるかわいらしいキャラクターが印象に強いものでした。当時の初代ホンダ・オデッセイを始めとするミニバンブームの中で華々しくデビューした初代モデルは目標販売台数を大幅に上回る受注を獲得し、日本国内外のメーカーから類似車種が発売されました。2代目へのフルモデルチェンジで大型化や高級化を図るものの、初代ほどの人気は得られなかったものの長期にわたって販売されていました。さらにエコカー減税が登場し、その対象車種となる競合車の登場で大幅に販売台数を減らし、2009年12月の生産終了をもって13年の歴史に幕を下ろしました。それでもなお、現在でも中古車市場ではファミリー向け7人乗りミニバンとして人気を博しているところをみると、やはり名車であったことには間違いなさそうな一台です。

イプサムという車名の由来は?

ラテン語の「本来の」「自分自身の」という意味からきています。その名の通り、豪華な装備や付加機能などよりも、広さや車としての使いやすさなど、本来性が重視されている車でとなっていましたが、第二世代のマイナーチェンジでは高級感を押し出したデザインとなっています。

海外でも販売されていたイプサムは、別車名での販売だった。

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日本で初代イプサムが発売され、好調だったためまずヨーロッパで発売が開始されました。初代が「ピクニック」として輸出され、2代目が「アベンシス・ヴァーソ」という名前で発売されました。車好きな方なら気づいた方もいるかもしれませんが、「アベンシス」はこのイプサムがベースとなってできた車なのです。
香港、シンガポールでは2代目も「ピクニック」名で販売し、豪州では「アベンシス」(欧州製のセダン、ハッチバック、ワゴンはなし)として販売されていますが、リアハッチ右下のバッジやオーナーズマニュアルは、欧州仕様同様に「AVENSIS VERSO」となっているので幼少紛らわしくなっています。
国内では、トヨペット店(大阪府は2006年8月7日までトヨタ店。ただしガイアが登場するまでは大阪トヨペット(現・大阪トヨタ)でも取り扱っていた)、ネッツ店(2004年4月まではトヨタビスタ店)で取り扱っていました。

初代イプサム前期型には意外にもディーゼル設定があった

初期型は販売期間が1996年5月から2001年5月まで販売されており、基本スペックは、乗車定員が7人で5ドアミニバンとなっています。そして、初代イプサムにはガソリン設定の他にディーゼルエンジンの設定もあったのです。ちなみに、ガソリンエンジン車は、直4 2.0L135PS/6,000rpm・ディーゼルエンジン車は、直4 2.2L94PS/4,000rpmでターボを積んでいるというのだから、パワフルな走りが想像できますね。

【初代イプサムの歴史】テレビCMで一躍有名になったあのキャラクターの登場!

1995年 第31回東京モーターショーに参考出品。
1996年5月 初代前期型が登場しました。コロナプレミオの車台をベースとした排気量2.0Lガソリンエンジン(3S-FE型)および2.2Lディーゼルターボエンジン(3C-TE)を搭載し、5ナンバーサイズのため車体が小さいという特徴を持っています。初代の乗車人数は7人乗りのみとなっており、基本的にはツートンカラーで、原色を避けた明るい色が多く設定されていました(パープリッシュブルーマイカメタリック等)。
1996年12月 特別仕様車ホワイトパールイプサム、ホワイトパールイプサム L-セレクションの販売を開始し、イプサムグレード・イプサムL-セレクショングレードの2.0L FF車と4WD車をベースとした車両としてプチマイナーチェンジを行いました。ボディカラーはホワイトパールマイカを新たに採用し、ファミリー層をターッゲトに絞った戦略をより色濃いものとしていました。内装は専用シート表皮、ラジオレス4スピーカーなどを特別装備しているところ、このころからラジオ離れが始まっていたのかもしれません。
1997年8月には、2WDのディーゼル車が追加され、さらにエアロツーリングが追加されたことで、ファミリー層だけにウケる「ミニバン」ではなく、走りも重視しているということをアピールする狙いもあったようです。
1998年2月、長野オリンピックの公式カーとして、スノーレッツデザインのホワイト・イプサムが登場。このときに、テレビCMにお目見えしたのは、オリジナルキャラクターの「イプー」です。このイプーは、初代型のCMやカタログ、更にディーラーオプションのステッカーにても登場した程、当車との関係が深いキャラクターで、後に特別仕様車として「ホワイト・イプサム」を発売し、1998年2月の取り扱いはトヨペット店・ビスタ店(大阪では前期型に限り大阪トヨタでも取扱いしていた)と幅広い店舗いやチェーンでの展開となっていました。

初代イプサム後期型とはどんな車なのか?

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1998年4月に登場した初期型イプサムの後期モデルは、長野冬季オリンピックのオフィシャルカーとして認められるほどの車となっていました。これを見込んでなのか、4WDに相当力を入れたようで、販売数も初期型の2倍近くと飛躍的に進歩したことが見受けられます。

初代イプサム後期型は、ある意味「テストマーケティング」だった?

1998年4月【マイナーチェンジ】を行い、ヘッドランプの新形式採用やボディカラーの色合いなどを改変。主な変更点としては、マルチリフレクターヘッドランプの採用およびバンパー部等のカラー変更、原色系への移行、落ち着いた色合いへの変更というのが大きな点として挙げられます。ミラーやフロントグリル、テールランプ、インパネ周り、シートアレンジも変更し、さらに、トヨタで初のアクティブトルクコントロール4WDを採用するといういわば「テストマーケティング」に値する車であったことは間違いありません。

1998年12月には、後期型初の特別仕様車「イプサム スペシャルバージョン」を追加。イプサムグレードの2.0L FF車と4WD車をベースに、ボディカラーにダークターコイズマイカに加えホワイトパールマイカ、内装色にアイボリーを採用。内装はプライバシーガラス、木目調のパネル&スイッチベース、4スピーカーなどを特別装備したことより、ユーザーからの声が多かったのか、ラジオ搭載となっているようです。

2000年4月、初期型としては最後のプチマイナーチェンジとして、モノトーン仕様が追加設定され、今後2代目へと移行していきます。

スペック

◆販売期間/1996年5月 - 2001年5月
◆乗車定員/7人
◆ボディタイプ/5ドア ミニバン
◆エンジン/ガソリンエンジン:3S-FE型 直4 1,998cc ディーゼルエンジン:3C-TE型 直4 2,184cc ターボ
◆最高出力/3S-FE型:135PS/6,000rpm 3C-TE型:94PS/4,000rpm
◆最大トルク/3S-FE型:18.5kgm/4,000rpm 3C-TE型:21.0kgm/2,200rpm
◆変速機/4速コラムAT
◆駆動方式/FF/4WD(4WDはガソリンのみ)
◆サスペンション/前:ストラット 後:トーションビーム
◆全長/4,530mm
◆全幅/1,695mm
◆全高/1,620mm(2WD) 1,645mm(4WD) ルーフレール装着車は+40mm
◆ホイールベース /2,735mm
◆車両重量/1,390~1,490kg
◆最小回転半径/5.5m
◆最低地上高/155mm

2代目イプサムは「大型化」を図ったギャンブルだった⁉

2代目イプサムは2001年5月にフルモデルチェンジし登場しました。排気量を2,200ccから2,400ccへと引き上げ、5ナンバーサイズだった車体を3ナンバーサイズに上げるなど、大型化を図りました。そんな2代目は初代よりは話題に上らなかったものの、8年にもわたる販売がなされました。

2代目イプサムの歴史。スペアタイヤをどかしてでも、収納スペースを作りたかった。

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2001年5月、フルモデルチェンジし、2代目イプサムとして登場。2代目は排気量を2.4L(2AZ-FE型)に引き上げ車体を少し大きくして3ナンバーサイズとなり、車格もホンダ・オデッセイや三菱・シャリオグランディスと並んでいたたため、かなりの大型化を図ったといえるものでした。当初「240シリーズ」としていましたが、なぜかV6エンジンなどは追加されることはありませんでした。また先代にはあったディーゼルターボも、時期の悪さや規制もあり2代目には最後まで設定されることはありませんでした。リヤ床下に大きい収納スペース(アンダーボックス)を搭載したためスペアタイヤは車体中央の床下に搭載されているため、このためにイプサム専用のプラットフォームを開発しているというのだから驚きです
。これに伴い大幅にデザインとロゴマークを変更(英字筆記体の「Ipsum」から英字活字体の「IPSUM」)に変更されました。過去には6人乗りの上級グレードが追加されていたが、7人乗りの販売台数が圧倒的な背景があり6人乗りは廃止されたようです。
2001年10月には、DVDボイスナビゲーションとブラインドコーナーモニターがセットでメーカーオプション化され、スーパーホワイトII(040)の設定が拡大され販売されました。

2代目イプサムマイナーチェンジ後の歴史。2代目のマイナーチェンジはこの一回のみ。

2003年10月、2代目イプサムとしては初のマイナーチェンジを行います。内外装デザインの変更、240eの廃止など、多岐にわたる変更が行われました。その後はエンジンの環境・燃費対策、ボディカラー変更、特別仕様車の追加など極細かい変更のみ受けながら、2009年末の生産終了まで6年以上このデザインのまま生産されることとなります。

2004年2月、平成17年基準排出ガス50%低減 『新☆☆☆』を全車で達成(U-LEV)。

2005年8月平成17年基準排出ガス75%低減 『新☆☆☆☆』を全車で達成(SU-LEV)。全車のヘッドランプにオートレベリング機能が標準装備されることとなりました。

そして、2009年12月25日に生産が終了されました。2003年より販売台数が下降したが、2007年に同じトヨペット店にマークXジオが登場後も販売が続行され、8年を超える長寿モデルとなった伝統の一台です。

スペック

◆販売期間/2001年5月~2009年12月生産終了
◆乗車定員/7人
◆ボディタイプ/5ドアミニバン
◆エンジン2AZ-FE型 直4 2.362L
◆最高出力/118KW(160PS)/5,700rpm
◆最大トルク/221Nm(22.5kgm)/4,000rpm
◆変速機/4速コラムAT(Super ECT)
◆駆動方式/FF/4WD
◆サスペンション 前:ストラット 後:トーションビーム
◆全長/4,690mm(前期型:4,650mm)
◆全幅/1,760mm
◆全高/1,645mm(240S/FF)1,660mm(240U,240I/FF)1,665mm(240S/4WD)1,680mm(240U,240I/4WD)
◆ホイールベース/2,825mm
◆車両重量/1,480~1,570kg
◆製造工場/トヨタ自動車田原工場・トヨタ車体
◆本体価格/2,257,000~3,024,000円
◆別名(欧州)/アベンシス・ヴァーソ
◆プラットフォーム/トヨタ・MCプラットフォーム

まとめ

イプサムは13年もの長い期間にわたりトヨタのミニバンの礎を築いたといっても過言ではないクルマです。このイプサムが爆発的人気を博した要因の一つが、オリジナルキャラクターの存在でした。テレビCMで「イプー」と言いながら画面上を動き回るキャラクターが視聴者の印象に強く残り、問い合わせ数が増えたそうです。このあたりのトヨタのマーケティング力はさすがとしか言いようがありません。もう一つが、長野冬季オリンピック・パラリンピックの公式者として選定をされたことです。画面上にはいつも映り込み、初代イプサムはミニバンの世界で大ブームを巻き越しました。
2代目は初代より大型・高級化をうたい登場しましたが、あまりヒットせず。それでも8年ものあいだ販売され続けていました。こういったクルマがしばらく登場していないのはさみしいところではありますが、きっとまた出てきてくれるでしょう。