直噴エンジンとは?メリットもデメリットも教えます!

直噴エンジンは、シリンダー内に高圧のガソリンを直接噴射しているエンジンです。直接ガソリンを噴射することで、燃焼効率が良くなり低燃費に貢献しています。従来のエンジンより小排気量で高出力を実現させた直噴エンジンはターボなどの過給機を使うことで、大排気量の自然吸気エンジンと同等の動力性能を得ています。

直噴エンジンのメリット!

出力向上と低燃費の両立ができる!

ガソリン直噴エンジンは、高圧のガソリンをエンジンの吸気工程から圧縮工程でインジェクターからシリンダー内に直接噴射してプラグで点火する仕組みです。ポート噴射エンジン(シリンダーに吸気する前にガソリンと空気を混合させるエンジン)と比較して圧縮比を高くでき、ノッキングを起こしにくい構造になっています。ガソリン噴射後のガソリンが気化熱を吸収することで、シリンダー内の温度がポート噴射エンジンに比べて下がります。
シリンダー内の温度が下がることで、充鎮効率(酸素濃度)が向上し高出力を得られます。そのため、全回転域でのトルクを高められ高効率となり、出力向上と低燃費の両立を実現させることができます。また、ターボなどの過給機を使うことで、大排気量の自然吸気エンジンと同等の動力性能を確保することができます。
排気量が増えるとエンジンサイズは大きくなり重くなりますが、直噴エンジンと過給機の組み合わせは車の軽量化にも役に立っています。車の中で重いエンジンが軽くなることで、車重を減らすので低燃費を実現させることになります。

ダウンサイジングコンセプトと相性がピッタリ!

ダウンサイジングコンセプトとは、ターボなどの過給機を使うことで従来のエンジンと同等の動力性能を確保したまま、巡行時の燃費を向上させるエンジン設計コンセプトです。大前提に燃費向上の設計思想があり、エンジンの小型化や従来のエンジンと同等の動力性能を確保するためにいろいろな技術が使われています。
エンジンの小型化は、車の軽量化につながり燃費に大きく貢献します。車のパーツで一番重いエンジンが軽くなると、車の運動性能や燃費が良くなるなどのメリットが多いといえます。また、車重が軽くなることでタイヤなどの足回りの負担が軽減され、トラブルが起きにくくなります。
過給機を使っては燃費向上は難しいといわれますが、ガソリン直噴エンジンは可能にしています。ポート噴射エンジンでも可能ですが、効率の低下やエンジンの熱問題などがあり難しいとされています。

排気ガスも綺麗になる!

直噴エンジンでは、始動直後の冷間時に燃料の気化や霧化に優れているので排気ガスの低減につながります。また、ポート噴射エンジンよりも排気温度の制御がしやすいので、冷間時の触媒の温度上昇を早めるように制御できることで排気ガスの有害成分低減ができます。
燃焼効率が上がることで有害物質を低減させることになり、交通公害を減らすことにつながります。エンジンやマフラーの改良で排気ガス規制をクリアしていますが、まだまだ改良されるでしょう。しかし、違法改造などをすると、せっかくの性能を活かすことはできません。
排気ガスがより綺麗になることで、地球温暖化防止などにつながります。温暖化防止には車の排気ガスだけを規制しても難しいので、世界的な取り組みが必要です。

デメリットもある!

製造コストが高い!

直噴エンジンは専用パーツが多いために、製造コストが高くなってしまいます。材質も高温や高圧に耐えることのできる材質を使用することで、製造コストが上がってしまいます。その他にも、専用パーツを多く必要とすることも要因になっています。
従来の燃料噴射ポンプやピストンだと、直噴エンジンの性能を発揮できなく故障の原因になってしまいます。専用のパーツが多いために、専用設備が整った工場は限られてしまいます。メーカーによっては、生産工場が海外にあって輸入している場合もあります。
環境性能や動力性能を両立させる直噴エンジンですが、まだまだ課題が残されているといえます。エンジンのコストが上がるのであれば搭載される車種の販売価格が上がってしまい、車やエンジンの性能がどんなに良くても売り上げが期待できなくなります。

直噴エンジンにはハイオクガソリンを!

直噴エンジンは例外を除くと、ハイオクガソリンが指定燃料にされています。構造上高圧縮比にしていることが多いため、オクタン価(ガソリンのアンチノック性を示す指標)の低いレギュラーガソリンではエンジンの故障の原因になってしまいます。また、燃焼室内に堆積しやすいカーボンを、添加されている洗浄成分で落とす目的もあります。
メーカー指定燃料がある場合は、指定されている燃料を使わなくてはいけません。エンジンのノッキング防止などで指定されていることが多いので、ガソリンは指定されているものを使用しましょう。ハイオク仕様のエンジンにレギュラーガソリンを使うと、エンジンの故障やトラブルの原因になります。
直噴エンジンにレギュラーガソリンを入れると性能を充分に発揮できないだけではなく、排気ガスの悪化を招いてしまいます。空気中に有害物質を多く排出してしまい交通公害の要因になりますので、せっかくの環境性能や動力性能を活かすことができません。

エンジンオイル交換は早めに!

直噴エンジンではエンジンオイルが汚れやすいので、短いサイクルでの交換が必要になります。ススの一部が燃焼室内に残留してエンジンオイルによって回収されるために、汚れが激しくなります。ポート噴射エンジンより汚れが激しいので、週に一度はオイルの点検をした方がよいでしょう。汚れが激しい場合は、交換することが良いでしょう。
直噴エンジン専用オイルは、ディーラーでオイル交換を依頼することで適切なオイルを選んでもらうことができます。市販されている規格のオイル(SJ以上)ではどのオイルを使ってもほとんど問題ないのですが、交換サイクルは短くするのが良いでしょう。
愛車のエンジンが直噴エンジンか分からないときは、ディーラーや整備士に聞くことで分かります。カタログなどには、例えば水冷直列4気筒DOHC16バルブ直噴ターボと記載れています。インターネットで簡単に調べることができますので、時間のない方には便利な方法です。

直噴エンジンはトラブル増加中?

燃焼室内にスス(煤・カーボン)が堆積する!

シリンダー内にガソリンの燃えカスであるススが留まることが多い直噴エンジンは、ススによってエンジントラブルが発生しやすいといえます。筒内で混合気を作り出す関係で霧化が難しく、高圧多孔インジェクターで強制的に霧化させています。そのために、ポート噴射エンジンに比べてススが溜まり易くなってしまいます。
ススがインジェクターノズルに付着すると、適正な燃料噴射ができなくなりトラブルへとつながります。燃料噴射が適切にできないと、アイドリングの不安定やエンストや黒煙などを発生させてしまいます。洗浄系ガソリン添加剤などを使うことで症状は改善しますが、根本的な解決策はまだ確立されていません。
ディーラーや整備工場でも整備経験がないと、エンジンのオーバーホールやリビルトエンジンに乗せ換えるなどの高額な修理費用が発生してしまいます。エンジンの不調を感じたのなら、洗浄係添加剤などを使ってみるのが良いでしょう。

吸気系にもスス(煤・カーボン)が堆積する!

吸気側へ燃焼ガスの吹き返し(主にオーバーラップ時に発生)により、マニホールド~吸気側にススが堆積してしまいます。ポート噴射エンジンでもオーバーラップにより堆積しますが、噴射された燃料により洗い流されて混合気と一緒に吸い込まれて燃焼します。
しかし直噴エンジンではマニホールドからバルブまでの間には噴射された燃料はなく、添加剤や洗浄成分でも付着した汚れを落とすことはできません。このために吸気系にススが堆積しやすく、バルブが故障して必要な空気を送ることができなくなります。空気と燃料が適正に混合されないので、異常燃焼や点火プラグが燻るなどが発生するとエンジンの不調につながります。
また、バルブとバブルシートの当たりが悪くなことで、密閉されていない状態での燃焼が起きます。燃焼するときは密閉されていないと、極端なパワーダウンなどのトラブルにつながります。改良が加えられてこれらの症状は少なくなりましたが、完全にクリアした問題ではないといえます。

燃焼安定性が悪くなる!

ススが燃焼室内に付着してしまうと、燃料の気化速度がくるってしまいさまざまなトラブルを引き起こしてしまいます。主な症状としてはエンスト、アイドリングの不安定、異常な黒煙、不安定なエンジン音、出力の低下、燃費の悪化などが発生してしまいます。
新型の直噴エンジンでは、ピストンと燃焼室形状の最適化やインジェクターの改良などが加えられています。これらの改良によってススが付着して起こる症状を改善できていますが、耐久性や信頼性、整備性には疑問が残ります。
また、直噴エンジン搭載の車種でも海外向けや特殊車両(警察車両)などでは、ポート噴射エンジンに変更されている場合があります。整備性や輸出地域の排ガス規制に合わせて変更している場合がほとんどですが、特有の問題が多いからかもしれません。

直噴エンジンは航空機用技術の応用?

最初に作られた直噴エンジンは?

世界初の実用ガソリン直噴エンジンは、第二次世界大戦中においてドイツで航空機用エンジンとして開発されています。高いGがかかっても燃料安定供給と、過給機による高ブースト圧状態でも高出力を実現させるために自動車より先に開発されています。
航空機用が先に実用化できたのは、自動車と比較してアクセル操作の頻度が少ないためです。アクセルの操作が少ないとエンジンにかかる負担も軽減されるので、自動車よりも先に実用化されました。航空機用エンジンの技術を自動車用に応用することは、とても難しいといえます。
自動車用ガソリン直噴エンジンは、戦後にメルセデスベンツの300SLに搭載されているのが最初だといわれています。しかし現代の技術と大きな差があるために特有の問題点が浮き彫りになってしまい、改善が多く必要になってしまいました。

電子制御技術の確立?

スロットルの電子制御の技術が確立することで、1990年代から2000年代にかけて三菱自動車工業のGDIが先駆けとして開発が進みました。各メーカーが次々と開発を進めることで、直噴エンジンの技術が確立されて信頼できるエンジンへと進化するのです。
最近では排ガス規制などの兼ね合いやメンテナンスの難しさ(ススの堆積による問題)などから、ポート噴射エンジンに変更される場合があります。また、ポート噴射と直噴を併用することで、ノッキング防止策などススの発生を抑えて不具合の減少を図っています。
電子制御が確立してもススが堆積してしまうなどの問題は、解決することが難しいといえるでしょう。厳しくなる排ガス規制にも対応するためには、有害物質を減らす効果がある直噴エンジンの技術をさらに進化させる必要があるといえます。

直噴エンジンの未来は?

年々厳しくなる排ガス規制をクリアするのには、エンジンだけではなくマフラーなどのパーツも改良が必要です。有害物質をさらに低減できるマフラーや触媒の開発も必要で、吸気工程から排出工程まで考えないといけません。
直噴エンジンの特有の問題が解決されることで、信頼性や耐久性、整備性が良くなっていくのではないでしょうか。専用パーツの価格が下がったりすれば、高品質のエンジンを搭載した車種を購入の選択肢に入れることができます。車を選ぶ楽しみが増えることでカーライフを充実させて、ドライブやデートを今まで以上に楽しくしてくれるといえます。
低公害車の価格が下がることで、多くの人に愛用される車になるでしょう。技術の進歩で快適な生活を送ることは可能ですが、温暖化による異常気象などを減らしていかないといけません。車の未来は、地球の未来といっても過言ではないのです。

まとめ

ガソリン直噴エンジンは、オイル交換などのメンテナンスをしっかりとしなくてはいけません。エンジンオイルが汚れてしまっては、性能を充分に発揮できなくなり故障の原因になります。汚れている雑巾ではどんなに綺麗にしても、綺麗にすることはできないことと同じになります。
メンテナンスをきちんとしていても、ススの堆積による問題があります。この問題を解決するためには、エンジンの技術発展が重要となり各メーカーの開発に期待することになります。技術が確立して問題が解決することで、性能と整備性を両立したエンジンになるといえます。
環境問題で厳しい排ガス規制がありますが、温暖化防止のためにも必要です。エンジン性能の向上は交通公害の低減や温暖化防止につながり、環境問題の改善に役に立ちます。環境性能を維持するためにも、しっかりメンテナンスをしてください。

ホンダでも直噴エンジンを採用している!