【アルファロメオ・ミト】 “Mi.To”の名前に秘められたアルファロメオのプライド

アルファロメオと言えば、かつてはF-1の世界でも活躍したイタリアの老舗スポーツカーメーカーです。経営危機に陥り国有化されましたが、現在はフィアットグループの一員として魅力的なスポーツカーをリリースしていますよね。そんなアルファロメオの一番小さな車“ミト”にフォーカスしてみましょう。2015年12月更新

ミトってこんな車です。

出典:http://www.alfaromeo-jp.com/mito/gallery/

アルファロメオ・ミトは、2008年にデビューしたアルファロメオ初のBセグメント車輌です。
C~Dセグメントが得意なアルファロメオにとっては大きなチャレンジだったことでしょう。60年代には小型ハッチバックに手を付けて、痛い目にあった経験もありますし...。
でも、今のアルファロメオには大きな後ろ盾があるんです。そう、フィアットです。
ミトはフィアットの大ブレイクモデルであるグランデプントのプラットフォームをベースに、アルファロメオらしいエッセンスが加えられた車です。

名前の由来

75以来、車名には数字の組み合わせを使ってきたアルファロメオ。GTVやSPIDERといったイレギュラーはありますが、これはボディ形状を表す言葉です。
ミトは、アルファロメオが数字から脱却したモデルです。私のまわりでも違和感を感じる人が多かったように思います。私は別の“ミト”という乗り物を持っていましたので、違う意味で違和感を感じていました。
この“ミト(Mito)”は、イタリア語で“神話”という意味があります。
てっきりそのまま神話という意味なんだと思っていたら、実は全然違う理由でつけられた名前だったのです。
エンブレムをよく見ると“MiTo”となっていますよね。“M”だけでなく“T”も大文字になっていることが気になりませんか?
私は細かいことが気になる質ですので、我慢できずに調べました。
なぜMとTが大文字なのかというと、MilanoとTorinoが合体しているんですね。
Milano(ミラノ)はアルファロメオの本拠地で、創業した頃はエンブレムにも“Milano”のロゴが入っていたほど思い入れの強い地です。
対してTorino(トリノ)は、フィアットの本拠地です。
つまり、デザインはミラノで、生産はトリノという意味なんです。
フィアットが提案したのか、はたまたアルファロメオが考えたのか、実のところは定かではありませんが、私にはアルファロメオにとって最大級の皮肉なのではないかと思えてなりません。

ちなみにこの車名、デビュー当時は日本だけ“MiTo”だったんです。イタリア本国では“Mi.To”となっていました(現在はMiToに統一されています)。
4文字で1つの名前ながら、命名の素であるミラノとトリノを、より独立させたかったのではないかと勘ぐってしまいます。

スペック(現行モデル)

ボディタイプ:3ドアハッチバック
エンジン:直列4気筒1,368cc
最高出力:135ps/5,000rpm
最大トルク:ノーマル時 19.4kgf·m /4,500rpm ダイナミック時 23.5kgf·m/1,750rpm
変速機:6セミAT
駆動方式:FF
サスペンション:前 マクファーソンストラット 後 トーションビーム
全長:4,070mm
全幅:1,720mm
全高:1,465mm
ホイールベース:2,510mm
車両重量:1,260kg

フィアット自慢のエンジン

出典:http://www.alfaromeo-jp.com/mito/efficiency/

上述したとおり、ミトはフィアット・グランデプントのプラットフォームを流用しています。エンジンもフィアット製1.4L ターボ マルチエアエンジンを流用しています。
2010年エンジン・オブ・ザ・イヤーを獲得した自慢のエンジンです。
さらに、アイドリングストップシステムを採用し、パワフルとエコの両立を実現しています。
1番の特徴は吸気バルブの駆動方法です。なんと、カムシャフトを使わずに油圧でバルブを動かしています。排気バルブ用のカムシャフトで油圧ポンプを駆動して油圧を確保しています。
既存の呼び方をすれば“SOHC”になるが(カムが1本だけなので)、もはやDOHCやSOHCとは別の名称を与えたほうがよい気がします。
こんな構造を採用した理由は、バルブの開閉タイミング及びリフト量(開き具合)を自由に変えることができると言う点です。これにより吸気抵抗になっていたスロットルバルブをなくせますし、理想的な吸気を行うことで燃焼効率を高められるのです。
しかもこのマルチエアでは、“1度の吸気行程でバルブを2度開閉する”という離れ業までやってのけるのです。

トランスミッション

出典:http://www.alfaromeo-jp.com/mito/technology/

ミトのトランスミッションは、6速設定のセミオートマチックです。構造的にはマニュアルトランスミッションですが、クラッチを切る~ギヤをシフトする~クラッチを繋ぐという一連の動作を車輌側で自動的に行います。
156・147世代では、“セレスピード”と呼ばれる同様のシステムがありましたが、こちらはシフトチェンジの動作時にいまひとつスムーズさに欠けていました。
ミトに採用されているTCTと呼ばれる新システムは(これもフィアットの技術ですが)、シフトチェンジしていることを感じさせません。
内部で何が起きているのかと言うと、奇数段(1速、3速、5速)用と偶数段(2速、4速、6速)用にクラッチを2組備えています。これらを駆使して、走行中は次のギアが常にスタンバイされ、片方のクラッチを解放すると同時に、もう一方のクラッチをつなぐことで瞬時のシフトチェンジを実現しているのです。
駆動力の途切れを感じさせない、秀逸なシステムです。
トルクコンバーター式オートマチックトランスミッションでは得られない、ダイレクト&スポーティーなドライビングフィールが特徴です。
さらに、動力伝達効率も格段に向上し、燃料消費量も大幅に低減しています。

シチュエーションに合わせて性格が変わる

出典:http://www.alfaromeo-jp.com/mito/technology/

走行シーンに合わせて、車の性格を変更できるAlfa Romeo D.N.A.システムを搭載しています。
エンジン、ステアリング、 トランスミッション、アクセルレスポンスを変更・調整することで、ドライバーの運転スタイルと路面コンディションにあわせてパフォーマンスを適応させてくれるのです。

“Dynamic”モードでは、ESC(横方向の滑り防止機能)とASR(縦方向の滑り防止機能)が控えめに作動します。エンジンのレスポンスはより敏感に迅速に、ステアリングはよりダイレクトでスポーティーに変身します。
“Natural”モードを選択すると、燃料消費量の低減と扱いやすさを高度にバランスさせた標準的な設定になります。
“All weather”モードでは、ESCやDST(ステアリング補正機能)などの電子制御式デバイスが連携作動して、グリップが悪い過酷な路面状況でも、安定した駆動力と走行性能をアシストします。

生きているサスペンション

出典:http://www.alfaromeo-jp.com/mito/technology/

アルファロメオ自慢の俊敏性、精度の高いハンドリングと快適性。ベースとなるグランデプントのマクファーソンストラット式フロントサスペンションと、トーションビーム式リアサスペンションをアルファ流に味付けしてあります。
さらに、アクティブ要素も追加されています。油圧経路にバイパスバルブを追加した可変ダンピング(減衰力)機能付きダンパーを採用しているのです。路面の凹凸によるホイールストロークの速度と変動量に応じて、ダンピング特性を瞬時に変更してくれます。乗り心地とハンドリングの ベストバランスを実現し、ミト独自の卓越したダイナミックパフォーマンスを堪能できます。

乗ってみましょう

出典:http://www.alfaromeo-jp.com/mito/style/

2年ほど前になりますが、ディーラーで試乗したことがありますので、記憶をたどって書いてみます。
最初に驚くのは内装の豪華さでしょう。小さくてもしっかりとアルファロメオであることを主張しています。同じグループながら、マセラティのそれとはまたひと味違う質感です。
エンジンを始動すると、拍子抜けするほど静かです。気密性・遮音性が今時レベルまで上がっているからでしょうけれど、一昔前のアルファのようなメカメカしい感じはありません。
アクセルを踏み込むと、実に軽々しく滑り出します。ターボ感はほとんどありません。アクセルを踏んだ分だけトルクを立ち上げるキャラクターのおかげで街中がとても乗りやすいのです。
吹け上がりもスムーズで、エンジン音も荒っぽさは一切ありません。
もりもりと出てくるトルク感に、ついつい回したくなってしまうアルファらしさはそのままに、格上のクルマのように洗練されたイメージです。
バルブを油圧で制御するという斬新なシステムながら、それをまったく感じさせないところが素晴らしい。
セミオートマと呼ぶにふさわしいトランスミッションの性格もいいですね。発進時のクラッチミートからその後のギアチェンジまで全域でシームレスな感覚です。ただ、それはD.N.A.システムがN(ノーマル)のときの話です。
D(ダイナミック)モードに切り替えればスロットルレスポンスは鋭く、しっかりと上まで引っ張ってから小気味よくギアチェンジします。
そうかと思えば、信号待ちではアイドリングストップして燃費や環境性能にも配慮してくれています。

足回りもよくできていますね。可変ダンピング機構のおかげで荒れた路面でも跳ねることなく、しっとりショックを吸収してくれます。足の動きを制限するのではなく、自然なロールを発生しながらしっかりと路面を捕まえて放さない感覚。アルファらしい粘り腰は健在ですね。
D.N.A.をDに切り替えればステアリングがグッと重くなり、VDC(車両姿勢制御システム)は無理に挙動変化を抑えない設定に変わります。これがまた“その気”にさせられるのです。

気になる維持費は

マルチエアシステムの効果は伊達ではありませんね。公称燃費は、JC08モード[国土交通省審査値]14.6km/Lとのことです。
そして、みなさんが1番気になる故障ですが、ほとんど皆無のようです。実際にかかりつけ医に聞いてみても、ミトがトラブルで入庫したことがないそうです。
強いて言えば、カムの駆動がタイミングベルトであること。10万キロをめどに交換が必要になります。店によってコストは多少違うでしょうが、テンショナーやウォーターポンプまで込みで7~8万円くらいだと予想します。
あとはオイル交換や点検・車検のみとのことで、かなりお財布にも優しそうですね。
そうそう、1.4Lエンジンですから、自動車税は34,500円ですね。これだけ“ファン”が詰まった車なら“超”が付くお値打ち感ではないでしょうか。

オーナーになる

そんなアルファロメオミト。新車で手に入るのは“コンペティツォーネ”というグレードのみで、新車価格は3,240,000円(消費税込)です。
メタリックカラーはオプションで、64,800円(税込)の追加です。

大胆不敵なフロントデザイン、力強さをすべてに備えた類いまれなるコンセプトを持つアルファ ロメオ ミト。個性的なデザインと最先端のテクノロジーが融合した世界で最もスポーティーなコンパクトカー。- Alfa Romeo Japan オフィシャルサイト

中古車の場合

現行のコンペティツォーネは年式によりますね。160~275万円程度です。同じマルチエアエンジンでも、スプリントは200万円を切っています。
マルチエア以前のモデルでは、高性能版のクアドリフォリオヴェルデが人気のようで、200~250万円で推移しています。
初期のターボスポーツなら100万円~見つけられます。
維持費が高額になる不安がないですから、挑戦しやすい初期モデルでも良いかもしれませんね。ただし、マニュアルトランスミッションのみの設定です。

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最後に

出典:http://www.chuosharyo.co.jp/fiatalfaromeokofu/special/contents/8c1.html

アルファロメオ8Cという車をご存知でしょうか。上の画像がそうなのですが、これは2007年に500台限定で生産された車です。
歴史をさかのぼると、1931年に“8C”の名でレース界を席巻冠した車があります。
現代によみがえった8Cをギュッっとデフォルメしたのがミトなのではないでしょうか。
経営組織上の理由から、ベースこそフィアット・グランデプントを流用していますが、内外デザインからエンジンフィールや足回りの味付けまで、完全にアルファロメオです。
サイズも価格もお手頃な、1番小さなアルファロメオは、エコもファンも手に入れたなんとも贅沢なスモールハッチです。
新車価格でも十分お値打ちに思えますが、アルファロメオとしては販売台数が多いので、中古市場にも球数はたくさんありました。
人気車種ですので、アフターパーツがたくさんリリースされていますし、車両価格を抑えて自分好みにカスタムして楽しむのも面白い車だと思います。
2ドア(3ドアハッチバック)のみですので、4~5人乗り込むのは少々難儀ではあります。普段は1人がメインで、時々恋人か友だちと2人、3人以上はめったにない方でしたらとても使い勝手の良いサイズだと思います。

気になったらまずは試乗してみてください。きっと欲しくなる1台になるはずです。