【マセラティ・クアトロポルテ】4枚ドアのラグジュアリースポーツ

マセラティ・クアトロポルテという車があります。イタリア語でクアトロは“4”、ポルテは“扉(入り口)”ですから、クアトロポルテは“4ドア”という意味なんですね。生粋のスポーツカーメーカーであるマセラティがこだわり続ける4ドアスポーツとはどんなモデルなのでしょう。徹底的に解剖してみたいと思います。2015年12月更新

マセラティというメーカー

出典:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9E%E3%82%BB%E3%83%A9%E3%83%86%E3%82%A3

創業は1914年。アルフィエーリ・マセラティ(Alfieri Maserati) が創業した会社です。5年後には弟のエットレとエルネストの二人も参加します。
途中、関連会社Fabbrica Candele Accumulatori Maserati S.p.A."を設立し、スパークプラグやアキュムレーターなどの自動車部品を生産しましたが、大手メーカーの大量生産に押され倒産してしまいます。
1965年にはシトロエン傘下に入り、1974年にはシトロエンを買収したプジョーと業務提携を結びますが、翌年にはプジョーとの契約を撤回してデ・トマソ傘下になっています。
1993年にはフィアット傘下となり、その後フィアット傘下のフェラーリ傘下となりました。
現在は、モデナを本拠とする会社組織“Maserati S.p.A.”が設立されています。フィアットのスポーツカー部門において、同じくフィアット傘下にある自動車メーカー・アルファロメオと統括され、高級車を製造しています。

紋章

マセラティのロゴマークは、創業の地であるボローニャのシンボル“ネプチューンの噴水”に因んでいます。ネプチューンの持つ三叉の銛、“トライデント”がモチーフとなっています。同時にマセラティ三兄弟の結束を表しているそうです。

レース活動

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1955年マセラティ250F F-1参戦車

50年代にはF-1にも参戦していました。残念ながらコンストラクターとしてのタイトルはありませんが、ドライバータイトルは2度獲得しています。
全70回の出走のうち、優勝9回、表彰台37回、ポールポジション10回、ファステストラップ13回は、立派な数字でしょう。

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1960年ティーポ61“バードケージ”

Photo by hertylion

当時の写真はありませんが、これは日本で行われている“ミッレ・ミリア”での写真です。堺正章さんがオーナードライバーとして参加されているのは有名ですね。
この車はマセラティ200Sです。詳細はわかりませんが、おそらく1956年製ではないかと思います。

クアトロポルテという車

スポーツ性能とサルーンの快適性を両立させたセダンで、マセラティのフラッグシップモデルです。
初代モデルの登場は1963年のことで、現行モデルは6代目にあたります。

人気を博した初代モデル

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初代モデルは、カロッツェリア・ピエトロ・フルアがデザインを担当しています。実にエレガントなボディに4,100cc/256psエンジンを搭載していました。最高速度230km/hのスーパースポーツサルーンとして、トリノ・ショーでデビューしました。
1966年にマイナーチェンジを受け、エンジンが4,700cc/295psに強化されました。1969年の生産終了までに約500台が作られました。
日本にも当時のディーラーである“新東洋企業”によって、数台が輸入されました。

悲劇の2代目

出典:http://www.bimmerfest.com/forums/showthread.php?t=237586

2台目は、ちょっと変わったいきさつからの発売でした。1968年にシトロエンの傘下に入ったマセラティですが、初代クアトロポルテの生産終了から5年を迎えた1974年、トリノ・モーターショーで“クアトロポルテII”と命名しデビューさせました。
シトロエン・SM のシャシーにベルトーネがデザインした4ドアボディを載せたモデルです。マセラティ史上唯一、ハイドロニューマチックサスペンションを装備した車です。
1973年に勃発した第一次オイルショック後の不況と、メラクと同じV型6気筒エンジンが大柄な車重には力不足だったことから、4年間で僅か13台の受注生産にとどまりました。

復活の3代目

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3代目のデビューは1976年で、デ・トマソ傘下時代のことでした。スタイリングを担当したのはイタルデザイン社のジョルジェット・ジウジアーロです。高級感と実用性を併せ持った素晴らしいボディは、全長:4,900mm、全幅:1,850mmと大柄ながら全高は1,380mmと低く、直線基調・台形キャビンの重厚なスタイリングでした。
マセラティをシトロエンから買い取ったデ・トマソによって“クアトロポルテIII”と命名されました。 発表はしたもののデ・トマソでは生産準備に手間取ってしまい、実際のデリバリーは1979年からでした。フロアパンは親会社となったデ・トマソの4ドアサルーン“ドーヴィル”のホイールベースを延長したものを流用しています。
サスペンションは前後ともダブルウィッシュボーンの独立型。エンジンは1950年代以来マセラティ伝統のV型8気筒・4カムで、4,200cc/255psが標準で、4,900cc/300psも用意されました(オプション)。4,900ccモデルの最高速度は230km/hと公表されていました。 内装にはウッドパネルや本革をふんだんに用いた豪華なものです。
イタリアのスーパースポーツカーの伝統に則って設計された3代目は、ビジネスマン向け高速サルーンとして市場からの評価も高く、1984年までに1,876台が生産されました。
当時人気だったメルセデス・ベンツ450SEL6.9とライバル関係にありました。

1984年には“マセラティ・ロイヤル”と改称して、大型バンパーやサイドシル、アロイホイール部分のステンレス製プレートなど豪華装備が与えられました。また、ダッシュボード中央に、楕円のラ・サール製金時計が装備された初めてのマセラティとしての記念碑的モデルです。
リアシートにはビルトインタイプのピクニックテーブルが装備されています。クアトロポルテIIIと比較してもより豪華な装備となっています。
完全受注生産だったにもかかわらず、1990年までに2,141台が生産されました。
全長を5,560mmまで引き延ばしたリムジンも製造されています。

小型化された4代目

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4台目のデビューは1994年で、フィアットの傘下に入ってからのモデルです。スタイリングを担当したのはマルチェロ・ガンディーニ。コンパクトでアグレッシブなデザインで、当時の主力モデルの“ビトゥルボ”のシャシを流用したやや小型のモデルに生まれ変わりました。
同社の“ギブリ”と共通のV型6気筒・DOHC24バルブエンジンは2,800ccで280ps、イタリア国内向け2,000ccでは306ps、最高速度は3代目を大きく上回る260km/h(2,800cc)にまで引き上げられました。
更に1997年には、“シャマル”と共通の3,200cc/336psV型8気筒ツインターボエンジンモデルが追加され、最高速度は6速マニュアルで275km/h、4速オートマチックでも265km/hに達しています。
1998年にフェラーリの傘下になると(フェラーリ自体もフィアットの傘下でしたが)、フェラーリの技術が導入されるようになり、“クアトロポルテ・エヴォルツイオーネ”へとマイナーチェンジします。
残念なことに、新たに経営者となったルカ・ディ・モンテゼーモロの意向で、ダッシュボード中央に配されたラ・サール製のアーモンド型の金時計はダッシュボードから外され、マセラティ・ロイヤル以来のトレードマークを失ってしまったのでした。
ゆったりとした本革シートや木目パネルを多用した内装で、その明るいカラーコーディネートとも相まって、“伊達男が似合う(乗る)車”としてのイメージが定着しました。

ピニンファリーナデザインの5代目

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4代目が生産中止されて以降、クアトロポルテはしばらくラインナップから外されていました。
5台目のデビューは、2003年9月に開催された第60回フランクフルトモーターショーでした。翌年春から欧州各国で順次デリバリーが開始されています。
スタイリングを担当したのはイタリアカロッツェリアの雄、ピニンファリーナです。 究極のイタリアンデザインを表現したとされる独特のエクステリアのデザインは、当時ピニンファリーナ社に所属していた日本人カーデザイナー・奥山清行によるものです。
開発に際しては、当時マセラティの親会社の立場にあったフェラーリの技術を積極的に採り入れていて、性能・信頼性の両面で従来モデルより大幅に進歩しています。
基本モデルに搭載されるエンジンは4.2L/400psのV型8気筒DOHC32バルブで、フェラーリ・F430の物と基本的に同じエンジンです。

ネオクラシックの現行モデル(6代目)

出典:http://www.maserati.co.jp/maserati/jp/ja/index/models/quattroporte/quattroporte-gts.html

現行モデルとなる6代目は2013年にデビューしました。
現代風にアレンジされたクラシック イタリアン デザインは、まさに“ネオクラシック”と呼ぶにふさわしいスタイリングです。
グランツゥーリズモなどのGTモデルと統一されたデザインになり、マセラティ然りとした顔つきと一切の贅肉を削いだ筋肉質な仕上がりは、見るモノを圧倒します。
“これが4ドアか?”と思うほど大胆なクーペボディで、まさに“スポーツ性能とサルーンの快適性を両立”の完成形と言えるのではないでしょうか。

伝統のオーバルデザイングリル

出典:http://www.maserati.co.jp/maserati/jp/ja/index/models/quattroporte/quattroporte-gts.html

ボディが大幅に大きくなっていますが、クアトロポルテは極めてダイナミックな流線型のスタイルで歴代モデルの伝統を継承するのにふさわしい車となりました。まず目を奪われるのは、そのフロント スタイルでしょう。マセラティ伝統のオーバル グリルと造形的なボンネット、そしてLEDを採用した新型フロントライトがクアトロポルテだと一瞬でわかるフロントスタイルを特徴づけています。

高級家具に囲まれるインテリア

出典:http://www.maserati.co.jp/maserati/jp/ja/index/models/quattroporte/quattroporte-gts.html

クアトロポルテに乗り込んだ瞬間、高級ラウンジに入ったような感覚に陥ります。すべてがハンドクラフトからなる内装は、ポルトローナフラウ®社製のレザーが張りめぐらされ、それを取り巻く上質なウッドとステッチには伝統的な手作りの技が生かされています。そして、シームレスでしなやかなラインでつながっているダッシュボード、センターコンソール、さらにはドアまでもが乗る人を類まれなる高級感で包み込みます。
直感的に操作できるスイッチ類はあくまでも控え目で、あくまでも表面と素材がもつ質感こそが主役であることを物語っています。

最新技術の投入

出典:http://www.maserati.co.jp/maserati/jp/ja/index/models/quattroporte/quattroporte-gts.html

クアトロポルテに搭載された3.8リッターツインターボV8エンジンは、ブランドの伝統をさらなるステージへと昇華させるためすべてが新設計されました。
最高出力は530ps、最高速度は優に300 km/hを超えます。
組み合わされる新型8速ZFオートマチックトランスミッションはさらに軽量化され、効率も一段と向上し、変速時間も短縮されています。

スペック

全長:5,270mm
全幅:1,950mm
全高:1,470mm
ホイール ベース:3,170mm
フロントトレッド:1,635mm
リアトレッド:1,645mm
フロントオーバーハング:975mm
リアオーバーハング:1,125mm
最少回転半径:5.9m
トランク容量:530L
燃料タンク容量:80L
車両重量:2,030kg
タイヤサイズ:フロント 245/40 ZR20 リア 285/35 ZR20
エンジン:90°V型8気筒
排気量:3,799cc
ボア:86.5mm
ストローク:80.8mm
トランスミッション:8速A/T
圧縮比:9.5
最高出力:530ps/6,700rpm
最大トルク:72.4 kgm/2.000rpm
最高速度:307km/h
0-100km加速:4.7s
燃料消費(複合サイクル):8.47km/L
燃料消費(アーバンサイクル):5.74km/L
燃料消費(エクストラアーバンサイクル):11.76km/L
CO2排出量(複合サイクル):274g/kg
CO2排出量(アーバンサイクル):405g/kg
CO2排出量(エクストラアーバンサイクル):197g/kg

価格:標準モデル 11,750,000円~GTS 18,340,000円(消費税込)

最後に

さすがはイタリアを代表するスポーツカーメーカー、マセラティがつくるラグジュアリーセダンですね。
どのモデルも魅力的です(2代目モデルはちょっと微妙ですが)。
個人的には先代のピニンファリーナwith奥山氏のデザインが好きですが、現行モデルはよりGT寄りのデザインになっていてこれまた格好良いのですね。ただ、残念ながらとても手が届きません。
私がメカニックだった当時(3代目の後期くらいです)は、マセラティと言えば故障するイタリア車の代表格でした。
実際、新車の納車帰りに寄ってくださったお客様の車をリフトアップしてみたら、すでにオイルにじみがありました。またご多分に漏れず、電装品(系統含)が日本の道路事情や気候に合わないためのマイナートラブルは多かったと記憶しています。ですが、5代目からは格段にレベルが上がった印象ですので、機会があれば所有してみたいと思っています。

ちなみに、先代(5代目)モデルでしたら、年式とグレードによりますが200万円程度から探せますので、がんばってみてはいかがでしょうか。

クアトロポルテの中古車