「ナローポルシェ」のスペシャルとプレミアム

人気のある外国車は時が経つほどに希少価値が増し、中古車市場でも破格の価格設定となります。特にその代表と言えるのが「ナローポルシェ」でしょう。癖の強い車でありながら、そのコンパクトな独特のデザインと、レーシング感覚を味わえるエンジンで今も高い人気を誇っています。興味を持った人が簡単に手を出していいのか、分析します。

ナローポルシェとは?

ナローポルシェは1963年にポルシェ356の後継として発表されたポルシェ911のことです。ポルシェ356の流れを汲んでリアに2リットルの空冷式6気筒エンジンを搭載。フロントはトランクスペースになっています。

剛性が高くて軽いボディと、ポルシェならではの緻密に設計されたエンジン、コンパクトな作りは世界中のスポーツカーフリークから熱狂的な支持を受け、1973年の2.4リットル190psモデルまで発売されました。それ以降に発売された911はアメリカの環境政策に合わせて、徐々にボディが拡大しているため、ポルシェ側でも1973年までのモデルを「911F」、それ以降を「911G」として区別しています。

ポルシェは常に最新モデルが最高、と言われていますが、ナローポルシェはその独自性から今も変わらず愛されているのです。

ナローポルシェの市場価格

中古車市場では安くても300万円、高いものになると1,800万円ほどで取引されています。

メンテナンスとカスタマイズ好きなら安くてもOK?

当然、価格差なりのコンディションであり、あまり安値で売られていたり、契約を急がすようだと、車体の下が穴だらけだったり、まともに動かないなど、とんでもないハズレを引かされる可能性があります。

アメリカの車改造番組のように、カスタマイズが大好きでメンテナンスの腕に自身があれば、素材として購入するのもありかもしれません。最初から業者にレストアを依頼しようと考えているなら、500万円を超える工賃と、作業に1年以上かかることを覚悟しましょう。それなら、最初からレストア済みのものを購入した方が無難です。

普通に走れるなら高くてもOK?

一方、高値圏で取引されているのは、状態が良いのはもちろん、新車並みにレストアされているものが多いのです。そのため厳密に言えば、パーツなどオリジナルと異なる部分も多々ありますが、所有欲を満たすだけでなく、積極的に走らせたいのであれば、初めからある程度の出費を見込んだ方が、希望に近い状態で購入できるでしょう。

メンテナンスの手間と費用

ナローポルシェのように年季の入った車、しかもスポーツカーはメンテナンスにも手間とお金がかかります。特にナローポルシェは防錆加工が施されていないので、レストアされていない限り、保管には気を使わなければいけません。日本は湿気が多く梅雨もあるため、オーナーの中には車庫に空調装置を備えて、常時稼働させている人もいるほどです。

また、故障も多く、パーツ交換も海外からの取り寄せになるため、どうしても他の車種以上に維持費がかかります。特にエンジンは空冷式なので、夏場の暑さや長時間の回転に耐えられず、水冷式よりも壊れやすいのです。しばらくエンジンをかけないでいると、再度エンジンをかけた時点でダメになる脆さもあります。

もっとも、ポルシェでは長年愛用してくれるオーナーに向けて「ポルシエクラシックパートナー」というサービスを提供しており、パーツの調達をしてくれたり専門家のサポートを受けられます。その中にはレストアも含まれていますが、直接ドイツのシュトゥットガルトまで持ち込まなければいけません。

あなたのポルシェが、真のポルシェであり続けること。それが私達の目標です。技術的な観点で言うと、バランスが重要です。私達はオリジナルの特殊ツールやボディフレームゲージ、およびデータシートを使い、さらにハイテク機器が揃ったワークショップで作業を行います。例えば、可能な限り最適な防錆を実現するため、陰極浸漬槽を使用。また、独自の内装材ショップも備えています。

出典:www.porsche.com

ドライビングテクも必要

今のポルシェは軽自動車しか運転したことがなくても、問題無く操作できますが、ナローポルシェはドライビングテクニックを要求されます。RRなので、コーナーリングでのちょっとしたハンドリング間違いで激しく後部が振られることは頻繁にあります。また、空調設備が整っていない点も季節によっては不便です。

このように金銭的な余裕があり、メカニックとドライビングの腕が確かであってこそ、初めておすすめできる車と言えます。根っからの車好きなら、デザインはもちろん、軽い走りがやみつきになるでしょう。

投機目的の購入は慎重に

既に初代の登場から50年以上経過しているので、将来的には価格が高騰する可能性が考えられます。けれども、買取価格は販売価格よりも大幅に安くなりがちで、維持している間に多額の費用が発生することを考えると、投機目的の購入は慎重にならざるを得ないかもしれません。

まとめ

ナローポルシェに限らず、クラシックカーを保有するにはさまざまなハードルを越えていかなければいけません。けれども手間をかけた分だけ必ず車は応えてくれます。特にボディが長持ちすることで定評があるナローポルシェは、いつまでもオーナーのベストパートナーとなってくれるでしょう。