ルリ子の試乗日記~黒のベンツゲレンデはおしゃれ上級者の証~【G-Class AMG G65】

東京の街を彩る高級車のように美しいルリ子。車をこよなく愛する彼女は最高の助手席を求めて試乗をかさねる。たどり着く車はいったいどんな高級車!? 前回の赤のフェラーリに窮屈さを感じてしまったルリ子だが、今回は…

「こんばんは、久しぶりだねっ。」
黒のベンツゲレンデから爽やかに出てきた男とその車が今回のターゲット。有名スタイリストであり自分のブランドも持つ彼は、『イケメンスタイリスト特集』の常連。学生時代からの付き合いで当時は駆け出しのスタイリストだった。駆け出しとは言っても、専門学校時代からその容姿や持ち前のセンスを生かしてカットモデルなどをしていたため、スタイリストになった時には原宿あたりでは既に有名だった。

出会いは、17歳の頃ティーン誌の撮影だった。アシスタントとしてついた彼のかっこよさよりも、私よりも背の低い小柄で色の白い彼が裏で怒られるのをみてキュンとした印象のほうが強い。当時の彼は年下ながらに守ってあげたくなる母性を持った人だった。
その後、彼は男性ファッション誌、ブランド展開とどんどん活躍を広げ仕事場で会う機会はなくなっていったけど。

そんな中、最近FBで短いメッセージとともに友達申請がきた。
こんなに有名になった彼が私の事を覚えていてくれた事は驚きと同時に私の虚栄心をちょっと満たしてくれた。そして、彼のウォールにサーフボードとともに登場するベンツのゲレンデは、私にこのチャンスを無駄にしないようメッセージを送る後押しをしてくれた。

ベンツゲレンデは、ベンツのG-Classの通称で、Gがドイツ語でオフロードの意味をあらわす「ゲレンデヴァーゲン」の頭文字というところからきているって昔の車好きな彼氏が教えてくれたっけ。みんなゲレンデって呼んでるから元々の名前がゲレンデかと思ってた。
昔から変わらないけど、北欧家具みたいに全然古臭さを感じさせない見た目と、男らしい無骨さが素敵だとずっと思ってた。

Facebookに載っている写真にはAMG G65のロゴが写っていた。一番安いG350が約1,000万円ならAMG G65は約3,500万円。これ、絶対わざとチラ見せしていると思う。でも、これがさらに後押しした事は間違いないけど。

エスコートされ乗り込む助手席。
少し高い位置からの車窓は高揚感がありとても新鮮。
相手が相手だけに今回の洋服選びは難しかった、選んだのは白のスキニーに白のタートルにADOREのロングコートを羽織ってJIMMY CHOOの黒のショートブーツとクラッチ、ペディキュアは車に合わせて黒にしてきた。

ペディキュアを彼に今日見せることはあるのかしら?

誌面で活躍は見ていたから久々感はないけれど、色白だった彼は浅黒くて男らしく変貌をとげていた。
神奈川方面に向かう車内では昔話に花が咲いた。特に、ティーン誌時代の読モ仲間で今はドラマでちょいちょい見かける女優となった清楚な奈津美があの誰でも知っている超ヤバイダンスユニットのメインと付き合っているっていうゴシップは、当時の奈津美を知っている私には衝撃的だった。

「着いたよ。」
そう言って案内してくれたのは、逗子マリーナのロンハーマンカフェ。
マリーナに船を泊めている彼はここが最近のお気に入りスポットらしい。

大きな窓際の席は、今日みたいな寒い日でも暖かく彼の日焼けした肌をさらにキラキラさせた。
少しまぶしい彼を見つめながら自家製のピンクレモネードを飲んだ。コブサラダを取り分けてくれる彼の手つきは繊細でこの瞬間までは、景色も含めすべてが完璧なデートだと満足していた。

そんな風に満足感に浸っている最中、綺麗で長身のまるでモデルのようなこのお店の雰囲気にぴったりな女性店員がハンバーグを運んできた。とびっきりの笑顔でハンバーグを受け取った彼は、「ルリちゃんって身長センチ?」と私に尋ねた。
168センチと答えるとやや満足気にうなずき
「じゃあもうちょっと高いヒールを履けば175センチにはなるね。」と言った。
175という数字がなんで出てきたのかついていけずにいる私を察知し、彼はすかさず「175cmが一番洋服を美しく着こなすことができるんだよ。」という持論を展開した。そこからは、よくもまあそのワードでそれだけ語れるわ・・・と思うほど語り尽くし、
「付き合う女性には175cmになるように相応の靴を履くようにしてもらうんだ。当然その靴はプレゼントするよ。美しくなるし、女性も嬉しいでしょ?」と誇らしげに言われた時には、病院探してあげた方がいいんじゃないかと思ったくらいだ。

確かに彼と週刊誌に載った朝ドラで有名な女優も、パリコレ出場の経験があるモデルも、人気アイドルグループのあの子も背の高い女性だった。

さっきまで明るかった空が曇ってきた途端に彼の日焼けした顔も彼の履いているブーツのヒールもなんだか不自然に見えてきた。あの頃の母性をくすぐられた彼はもういない。
揉まれて味付けされたジューシーなハンバーグは美味しいけれどもうステーキにはなれない。
私には黒のゲレンデは思い描いたとおりのオシャレな車だけど、私には助手席が不自然に高すぎるように感じたし、AMG 65という力強さも少し余分すぎるように感じた。

「もう少し自然体な人の車に次は乗ってみたいな。今度のペディキュアは何色にしようかな」って考えながらデザートを食べた。

次回は『緑のジャガーは育ちの良さの証』

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