【アルファロメオ145】FRからFFへ。アルファの変革期を支えたホットハッチ

フィアット傘下に入り、アルファロメオが長らく続けてきたFRレイアウトを捨てなければならなくなりました。145という車はアルファロメオにとってFF化を推し進めるイメージリーダーになりました。当時は“FFのアルファなんて”という声もありましたが、乗って見ればしっかりアルファロメオの車でした。先行デビューした155とあわせて“FFだってアルファロメオ”であることを世間に知らしめた車、それが145です。

アルファロメオの変革

出典:http://www.alfaromeo-jp.com/

1910年発祥のアルファロメオ。レース参戦を中心に活動しレースカーを少量生産する会社でしたが、さすがに経営難に陥り国有化され量産車メーカーとして歩き出します。
1954年の“ジュリエッタ”の成功から、後のジュリアシリーズなど商業的にも力を付けていきます。
工業中心のイタリア北部に比べて農業中心の南部が貧しかったため、南部での雇用促進を目的とした工業展開という国策に従い“アルファスッド”を設立しますが、商業的には失敗に終わります。
1986年、再度売りに出されたアルファロメオはフォードに競り勝ったフィアットに買い取られ、フィアットの技術と経済力に支えられながら今日まで発展を続けています。
FRスポーツを伝統的に貫いてきたアルファロメオにとって、145は、155とともにFWD化を推し進める役目を担ったモデルです。

アルファロメオ145という車

出典:http://www.cars-data.com/en/pictures-alfa-romeo-145-1994/5/

アルファロメオ145は、フィアット傘下になって間もなくの1994年にデビューしました。先にデビューした155の“ティーポ3”計画と並行して“ティーポ2”計画として開発が進められました。先代にあたる33の後継車種で、 開発段階では33と同じ5ドアハッチバックも計画されていましたが、こちらは“146”という独立したモデルとして開発されています。
33には3ドアモデルがないので、145は33の先代にあたるアルファスッド3ドアモデルの後継と言えます。
フィアット・ティーポがベースで、155など兄弟車種と多くの部品を共有しています。
デザインは、内外装ともにアルファロメオ・チェントロスティーレ(アルファロメオ社内デザインセンター)が担当しました。

スペック

ボディサイズ
全長:4,093mm
全幅:1,712mm
全高:1,427mm
ホイールベース:2,540mm

エンジン
水平対向4気筒OHC1.3L・1.6L
水平対向4気筒DOHC1.7L
直列4気筒DOHC1.4L・1.6L・1.8L・2.0L
※直列4気筒DOHCモデルは、ツインスパーク(Twin Spark )エンジン
 欧州の環境基準をクリアするために1気筒あたり2本の点火プラグが配置されています。
以上ガソリンエンジン
直列4気筒ターボ1.9Lのディーゼルエンジン

駆動方式:FWD

サスペンション:前輪 マクファーソン・ストラット 後輪 セミ・トレーリングアーム

日本への導入

アルファロメオの正規輸入元であるフィアット&アルファロメオ・モータース・ジャパンによって、1996年から輸入が開始されました。
スポーツモデルにあたる“クワドリフォリオ”のみの輸入でした。
“クワドリフォリオ”は伝統的にアルファロメオのスポーツモデルに与えられる名称で、ボディに四葉のクローバーを模したバッジが貼られています。
直列4気筒DOHC2.0Lツインスパークガソリンエンジン(最高出力155ps・最大トルク19.1kgf·m)のみのモノグレードで、右ハンドル、5速M/Tのみの設定でした。

マイナーチェンジ

出典:https://en.wikipedia.org/wiki/Alfa_Romeo_145_and_146

1999年にマイナーチェンジを受けました。各モールとドアミラーがボディ同色になり、フロントバンパーとグリルのデザインが変更されました。ホイールデザインも変更されています。

デザインと走りの両立

出典:http://www.netcarshow.com/alfa_romeo/1997-145/800x600/wallpaper_07.htm

この車の魅力はなんと言ってもこのデザインではないでしょうか。ボンネットの先端をV字に落とし込み、そこへ伝統の盾型グリルを配置してあります。このまとまり具合がなんとも言えず素敵なのです。
全体的には角張った印象のデザインですが、サイドのプレスラインはリヤに向かって跳ね上がり、強烈なウェッジシェイプを演出しています。

155psを引き出すツインスパークエンジンのおかげで、走りの質はとても高いレベルを達成しています。可変バルブタイミング機構の導入で、全域でパワフル&スムースなフィーリングなエンジンと、組み合わされる5速M/Tのギヤレシオ設定が秀逸で、グイグイ引っ張りながら加速していきます。
クイックな設定のステアリングと相まって、右足にもハンドルを握る腕にも自然と力が入ってしまうのです。
その反面、オーバードライブ設定の5速では、意外なほどに静かでコンフォートな走りに徹してくれます。このあたりが“さすがアルファロメオ”といいたくなるところですね。

最後に

トータルバランスのポイントはとても高い車だと思います。147にスイッチする2001年まで生産されましたが、最終モデルでも15年目を迎えますね。
たくさんの145を診てきましたが、たいした故障は覚えがありません。定期交換部品はありますが、それはどんな車種でも同じです。
兄弟車種で多くの部品を共有していますので、部品の入手は難しくありませんし、維持に困ることもないと思います。
強いて言えば、冷房の効きが今ひとつ、いや今ふたつということですね。グラスエリアが大きなデザインですのでよけいに熱負荷が多いのでしょう。その分容量をふやすべきだったと思いますね。
真夏の昼間に停車しておくと車内の温度が上昇するのはどんな車でも同じですが、エアコンを使ってもしばらく乗り込む事ができません。
ヒーターの効きは特に気になるレベルではありませんでしたので、やはりクーラー容量の問題なのだと思います。
アルファロメオ145は、最近少なくなった“乗って楽しい車”ですので、機会があればぜひ乗ってみてください。