エンジンブレーキの仕組みを知れば、安全で効率よく走れる!

ビギナードライバーから「エンジンブレーキってどこにあるの…」 と聞かれたという冗談? は相変わらず見聞きします。もちろんエンジンブレーキという装置があるわけではありません。でも、「じゃあエンジンブレーキって何?」 と聞かれると困る場合があるのではないでしょうか? ここではそんなときに役立つ知識を紹介します。

アクセルオフで減速することがエンジンブレーキを使うということ

エンジンブレーキは特別なことではない

エンジンブレーキは簡単に言うとアクセルオフでスピードを落とす操作のことです。それはエンジン内部抵抗を利用しています。AT車の場合はセレクターレバーをD(ドライブ)以下のギヤに入れたままアクセルオフをすれば、エンジンの内部抵抗が使えますのでスピードが落ちます。MT車の場合もどこかのギヤに入れたままで、クラッチを切らないでアクセルオフすればエンジンブレーキが効くことになります。

「エンジン内部抵抗」というのも漠然としていますので、ちょっと解説してみます。ひとつはポンピングロスと呼ばれる現象です。回転数、車速、水温などの細かい条件がありますが、現在のクルマは基本的には走行時にアクセルオフをするとECUからの指令で、燃料噴射がカットされます。そうするとエンジンからパワーは生まれていません。逆にタイヤの回転によってエンジンが空回りしていることになります。

ポンピングロスや摩擦抵抗がエンジンブレーキが効く理由

空回りだけならそれほどスピードは落ちませんが、アクセルをオフにしているとスロットルバルブはアイドリング時と同じ程度にわずかに開いている状況となり、空気がエンジン内を出入りすることになります。これはいわゆるポンピングロスがおきている状態で、狭い通路を空気が行き来することになり、エンジン内部には大きな抵抗となるのです。

もうひとつはエンジン内部の機械的な摩擦抵抗です。エンジン内部はオイルで潤滑されていますが、それでも部品同士の摩擦がありますから、それも回転が落ちる原因となります。タイヤの回転スピードはこうした内部抵抗によって落ちることになります。

AT車はエンジンブレーキが効きづらい?

AT車はエンジンブレーキが効かないからブレーキばかり踏む?

かつてAT車はエンジンブレーキがあまり効かないと言われました。それはトルクコンバーターという流体クラッチを介してタイヤとエンジンがつながっているからという面もあります。トルクコンバーターによって間接的にエンジンと駆動系がつながっていると、タイヤまでの伝達ロスがあるためにスピードが落ちにくくなるのです。必然的にフットブレーキに頼る度合いが高くなります。

MT車はニュートラルやクラッチを切った状態でなければ、クラッチディスクによってダイレクトにエンジンとタイヤの回転がつながっていますから、エンジンの内部抵抗がタイヤに伝わりやすいわけですが、トルクコンバーターでは内部抵抗がそこで逃げてしまい、エンジンの回転と同期するのに時間がかかるのです。

ロックアップ機構によりAT車でもエンジンブレーキが効きやすくなった。

ただ、現在の電子制御されたATではロックアップ機構が備えられていることが多くなってきました。これはトルクコンバーター内部に電子制御の湿式クラッチを設けることで、事実上エンジンとトランスミッションを直結にすることができるシステムです。これによってエンジンブレーキも有効に使えるようになりました。

シフトダウンすることによりエンジンブレーキが強く効く

5速より4速、4速より3速と低いギヤにした方がエンジンブレーキが効きます。シフトダウンすることがエンジンブレーキととらえている人もいるようですが、それはよく効くというだけで、本来のエンジンブレーキとは違います。低いギヤを使ってエンジンブレーキを使うと、止まるまでの時間が短くなり燃料カットの時間も短くなります。エンジンブレーキを有効に使いたいならそのままのギヤでアクセルオフを長くした方が効率的です。

フットブレーキを踏んでいてもエンジンブレーキは効いている

トランスミッションがNでなければエンジンブレーキは効く

勘違いしているのはフットブレーキを使うことはエンジンブレーキを使ってないと思うことです。トランスミッションがニュートラルの状態でなければブレーキを踏んでいるときも、エンジンブレーキは効いています。ただし、ブレーキを踏めばブレーキパッドが加熱してフェード現象やベーパーロック現象を起こす可能性があります。

山道などで見る「下り坂エンジンブレーキ併用」の標識の意味は、アクセルオフで十分に減速して、足りない分はブレーキを踏みましょうという意味ととらえていいでしょう。

燃費の向上のためにも積極的に使うことは重要

エンジンブレーキは省燃費走行に役に立つ!

エンジンブレーキを多用することは燃費向上にも役立ちます。アクセルオフで燃料カットをするということは、ガソリンを使わないで走るということだからです。例えば前方の信号が赤だったり黄から赤に変わりそうなときには、ブレーキをもちいることなくエンジンブレーキで減速して、最後にブレーキを踏んで止まれば、かなり効率的に燃費をアップすることができるでしょう。

逆に急ブレーキを踏んでストップすると燃費的には悪化します。それは、まだアクセルオフで走れるエネルギーを捨てることになるからです。たとえばアクセルを踏んで走っていて赤信号を確認したときに、エンジンブレーキを効かせずに、信号近くでフットブレーキで制動をすると、せっかくの燃料カットする機会を捨ててしまうことになり、非常にもったいないことになります。

ちなみにですが、アクセルオフをしていても信号待ちや渋滞時にストップしているとアイドリング状態となるので、燃料は噴射しています。このときクルマは非常に燃費が悪化します。そこで現在は、燃費向上のために停車時に一定の条件になるとエンジンが停止するアイドリングストップも一般化しました。

まとめ

エンジンブレーキを使いスムーズに減速していけば、それだけ燃費も向上します。運転もスムーズになりますから、同乗者にも好評となるでしょう。ブレーキパッドの持ちも長くなりますし、ガソリン代も節約できますからお財布にも優しくなります。ただし、アクセルオフがいいといっても、あまりに低速走行では交通の妨げになるので程度問題ではありますが……。