CMで良く聞くダウンサイジングエンジン。そのメリット・デメリットとは?

最近テレビCMで良く聞くダウンサイジングエンジン。「燃費が良くて走りもいい」こんなキャッチコピーが板についた感のあるこの言葉。そんなうまい話があるのでしょうか?そもそも、ダウンサイジングエンジンとはどんなものなのでしょうか?このエンジンをよく理解して付き合っていくために、わかりやすく考察してみましょう。

わかりやすく解説!ダウンサイジング、それってどんなエンジンだ?!

そもそも、「ダウンサイジングエンジン」って?

最近、日本の車業界に旋風を起こしている「ダウンサイジングエンジン」。CMなどでよく耳にしますが、何のエンジンを意味するのかご存じでしょうか?まず、「ダウンサイジング」について詳しく説明しましょう。

簡単に言うならば、「ダウンサイジング」=「サイズをダウンする」。つまり、エンジンの排気量を下げて今までより小さなエンジンを使っている、という意味です。車の大きさはそのままに、ボンネットの下に隠れたエンジンが小さくなったのが「ダウンサイジングエンジン」なのです。

しかし、エンジンは車の動力ですから、車の大きさや重さに比例してエンジンも大きくしないといけないことになります。「カワイイ軽自動車には小さなエンジン。大きなワンボックスカーには大きなエンジン。」と言うのが今までの常識でした。
でも、最新の車には今までより一回り小さなエンジンを使う車が増えています。なぜならズバリ、燃費がいいからです。当たり前のことかもしれませんが、ガソリンを2リットル使ってしまうエンジンより、1.5リットルしか使わないエンジンの方が燃費はいい。

でも、エンジンを小さくしたのに、今まで通りの車体を走らせるのはいささか不安。本当に、大きな車体に小さなエンジンで大丈夫なのでしょうか!?それが、大丈夫なのです!なぜならこのダウンサイジングエンジン、「ターボチャージャー」なる物が付いています。これが、小さなエンジンでも大きな車体を今までのように動かすことのできる秘密です。

低燃費でエコの秘密、「ターボチャージャー」とは?

ターボチャージャーとは簡単に言えば強制的に空気をエンジンに送り込んで、エンジンに普通以上の力を与える機械のこと。この機械があれば、1リットルしかガソリンを使わない、小さなエンジンも、時に2リットル、3リットルのガソリンを消費する大きなエンジンに事実上、変えてしまうことができるのです。
従来ならターボチャージャーは高い運動能力を求められるスポーツカーのエンジンなどに使われることが多かったのですが、昨今はこれをエコのために使うのがトレンドのようです。

もともとのエンジンが消費するガソリンの量を下げて、必要な時にはターボチャージャーの働きでパワーを上げる、これがザックリとしたダウンサイジングエンジンの働きです。
たとえるなら、「見た目はか弱くても実は体育会系女子」といったところでしょうか。

世界はダウンサイジング志向!?

世界中のカーメーカーはこのダウンサイジングエンジンをどう見てる?

最近、日本で各社がこぞって新車に投入しているこのダウンサイジングエンジン。こう聞くとなんだか最新の技術と思うかもしれませんが、実はそうでもないんです。
なぜなら元々ヨーロッパで使われ始め、今では外国において主流になりつつあるからです。世界で高い評価を受けているフォルクスワーゲンがTSIというダウンサイジングエンジンを取り入れて早10年ほどが経ちます。
そしてフォルクスワーゲン、ベンツ、BMW、ボルボ、プジョーなどの外車勢が積極的にこのダウンサイジングエンジンを取り入れました。おかげで今では外国のダウンサイジングエンジンは熟成され非常に良いエンジンになっています。
こうした車がカーオブザイヤーを受賞しているのもうなずけるのではないでしょうか。

もちろん、この外国のダウンサイジングな車たちは日本国内でも売れ行きは好調です。この波に日本もやはり乗らざるを得なかったのか、ここへ来て軒並みダウンサイジング志向な日本、というわけです。
では、日本は今まで何してたのでしょうか?

そう、ご存知ハイブリットに首ったけだったのです。燃費のいい車といえばハイブリット!そして電気自動車!これが日本の新車を賑わしています。しかし遅まきながら日本もこのダウンサイジングの波を無視できなくなったのでしょう。だって世界的に車業界はダウンサイジング志向なのですから!

ダウンサイジングエンジンのメリットってなんだ?

注目されるだけの理由がダウンサイジングにはあるっ!

このダウンサイジングエンジンには、先に述べたように車の燃費と走りを両立できることに最大のメリットがあります。これが注目を集める理由です。
燃費と走りをなぜ両立できるのかというと、まずはやはり低排気量なエンジンであることでしょう。ガソリンを使う量が少ないエンジンを使っているから燃費がいい。至極当然のことですが、これがいい副産物を生みます。
まず、排気量の少ないエンジンは、エンジンを小さく軽くできるのです。だから車重は軽くなって車は走りが良くなりますし、人が乗る空間も広く取ることができます。しかも重い車より軽い車の方が少ないエネルギーで動かすことができるので、これも燃費には好都合です。
それに、ドライバーが坂道や追い抜きなどの時にアクセルを踏み込めば、ターボーチャージャーがしっかり効いて低排気量ゆえのパワー不足は感じません。

ダウンサイジングは無駄がない!

では、なぜこのダウンサイジングエンジンがそこまでもてはやされるのでしょうか?燃費でいえば断然ハイブリットや電気自動車ですし、走りだってこの2つもそこまで悪いわけではありません。
ダウンサイジングがもてはやされる理由、それはこのダウンサイジングエンジンにはハイブリットや電気自動車に比べてコストがかからないからでしょう。

車の動力としてモーターを使うとコストがかかり、車の値段が高くなってしまいます。それにハイブリットは、一台の車にエンジンとモーターの二つの動力を使い、車重が重くなる傾向があります。また、電気自動車は航続距離がガソリン車に比べて少なく、まだまだインフラの整備が必要で、ガソリンスタンドで給油してすぐに走り出すようなことができません。
しかし、ダウンサイジングエンジンにはそうした問題点がないのです。今までと同じような値段で買えて同じように使えるのに、今までより燃費が良くて走りもいい!素晴らしい事です。

もちろん電子制御技術が発達しエンジンを細かく制御し、効率良くエンジンを使えるようになった今だからこそできることのなのですが、基本的には昔からしてきたことを別の目的で使用しているだけとも言えます。つまり、このダウンサイジングエンジンはシンプルに無駄のないエンジンとも言えるでしょう。

ダウンサイジングエンジンのデメリットは?

そんないいことばっかじゃないだろう?ダウンサイジング!?

ダウンサイジングエンジンには欠点があまりないように思えます。少し前ならターボの負荷に耐えうるエンジンにするために、エンジンの各部の強度が疑問視されたかもしれませんが、この技術がすでに広く使われ、目新しいものではない事が、こうした心配が杞憂に終わるであろう事を物語るはずです。

デメリットをあげるとすれば、細密で繊細なエンジンとも言えるかもしれません。そう考えるとメンテナンスには気を使いそうです。エンジンオイルはやはり性能のいいものをこまめに入れたほうがいいですし、壊れたら高くつく可能性もあります。
燃費が良くなった分メンテナンスにお金が回るかも、なんて考えたらどっちがいいかわかりません。しかも、このダウンサイジングエンジンは日本ではまだまだ出始めなので、少し割高感があります。もう少し欧州のようにダウンサイジングが主流になってくれれば、新車価格も落ち着くのかもしれません。

ダウンサイジングエンジンのこれから

もうダウンサイジングなしにはいられない!

ターボチャージャーは今まで「ターボラグ」というパワーの立ち上がりの遅さが欠点でした。なぜならターボチャージャーはエンジンが出す排気ガスによってタービンを回し、その力で吸入空気を取り入れるからです。
つまりエンジンが低回転時には、排気ガスが少量であるためタービンを回す力が弱く逆にエンジンが排気ガスを排出する邪魔をしてしまうのです。低回転時はターボの恩恵が弱くターボチャージャー付きのエンジンはそうゆう弱点を抱えていました。
だから、ターボーチャージャー付きのエンジン=高回転向きエンジン、という印象があるかもしれません。これではエンジンをたくさん回す必要のない車には無用の長物です。

しかし、「可変ジオメトリー機構」というものが、このターボチャージャーの弱点を無くしてくれました。これによってエンジンが低回転時にもしっかりとターボチャージャーの恩恵が受けられるようになったのです。ここが非常にダウンサイジングエンジンには重要なのです。
つまりこのターボチャージャーをエコ活用できる時代になったといえます。もちろんそれだけではこのダウンサイジングは成立しません。ピストンの形状を工夫したり、バルブタイミングを緻密にコントロールしたり、そういう努力がこのダウンサイジングを可能にしています。
でもエンジンが低回転域でターボチャージャーをしっかり使えるようになったのはとてもおおきなことです。

さて、こうしたことを考えるとこう結論できるかもしれません。ユーザーはこのダウンサイジングエンジンにターボチャージャーが装着されているからといって、昔のような短命と引き換えにモワパワーを得るというエンジンではないということを理解しなければいけないでしょう。事実、小径タービンに低回転域でピークパワーを出すという設定というのはリスキーなものではないはずです。

さあ、ダウンサイジングな未来へ

先にダウンサイジングエンジンを「見た目はか弱くても実は体育会系女子」とたとえましたが、少し訂正します。ダウンサイジングエンジンは低排気量だからといって、女子が重たい荷物を運ぶ姿を危なげに見るようなものではありません。「ダイエットしてシャープになった細マッチョなお兄さん」のようなものかもしれません。

日本はこれまでもこのターボチャージャーを駆使して、レースシーンに名車と呼ばれる車をたくさん生み出してきました。これからは、このダウンサイジングな分野でもターボチャージャーを駆使して世界に誇れる車をたくさん作って欲しいものです。