【トヨタ アリスト】直線番長のデザインはあの大物デザイナーだった!

トヨタ・アリストはスタイリッシュなボディデザインと暴力的なまでの加速を生み出すターボエンジンの組み合わせでバブル時代に人気を博しました。あまりの加速ぶりから付いたあだ名が「直線番長」。ストレートでは絶対的に速いグランドツアラー的なキャラクターの自動車でした。今では「レクサスGS」となったトヨタ・アリストをご紹介します。

トヨタ・アリストとは?

出典:http://ucar.carview.yahoo.co.jp/model/toyota/aristo/3892933304UC/

初代アリスト 3.0V(前期型)

アリストは1991年から2004年にかけて製造された、トヨタのEセグメントに属する高級セダンです。日本国外では「レクサスGS」として販売され、日本国内では「アリスト」として販売されていました。2005年、国内でのレクサスブランド展開にともない、3代目からは全世界統一名称の「レクサスGS」を採用し、「アリスト」の名称は消滅しました。取扱店も「ネッツ店」から「レクサス店」に完全に移行されました。

初代 JZS14#型(1991年 - 1997年)

出典:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%88%E3%83%A8%E3%82%BF%E3%83%BB%E3%82%A2%E3%83%AA%E3%82%B9%E3%83%88

初代トヨタ・アリスト 3.0Q(前期型)
※写真は初代レクサスGS300です。

1991年10月に初代アリストは発売されました。同時期に発表された初代「クラウン・マジェスタ」とは姉妹車関係にあり、シャシーやメカニズムを共有しています。デザインは自動車デザインの大御所であるジョルジェット・ジウジアーロが設立した「イタルデザイン」社で行われました。
姉妹車の「クラウン・マジェスタ」が4ドアピラードハードトップであるのに対し、アリストはプレスドアを持つ4ドアセダンです。

初代トヨタ・アリスト 主要諸元

初代トヨタ・アリスト 主要諸元

ボディタイプ 4ドアセダン
全長 4,865mm
全幅 1,795mm
全高 1,405mm
ホイールベース 2,780mm
車両重量 1,580kg
乗車定員 5人
駆動方式 FR / 4WD
サスペンション 4輪ダブルウィッシュボーン
ブレーキ 4輪ベンチレーテッドディスク
変速機 4速AT

初代トヨタ・アリスト搭載エンジン 主要諸元

初代トヨタ・アリストには下記のエンジンが搭載されています。

【1991年発表時】
・2JZ-GTE型(直列6気筒DOHCターボ 3,000cc)
・2JZ-GE型(直列6気筒DOHC 3,000cc)

【1992年発表時】
・1UZ-FE型(V型8気筒フォーカム32バルブ 4,000cc)

端正なスタイルの4ドアセダンでありながら、初代アリストには3,000ccの直6DOHCターボが搭載されており、このギャップに多くの方が惹かれていきました。

形式名 2JZ-GTE型
・種類 直列6気筒DOHCターボ
・内径 86.0mm
・行程 86.0mm
・総排気量 2,997cc
・最高出力(ネット) 280PS/5,600rpm
・最大トルク(ネット) 44.0kgm/3,600rpm

初代アリストのグレード展開

出典:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%88%E3%83%A8%E3%82%BF%E3%83%BB%E3%82%A2%E3%83%AA%E3%82%B9%E3%83%88

初代トヨタ・アリスト 3.0Q(前期型)のフロントシート
※写真は初代レクサスGS300です。

発表時には3,000ccDOHCターボ搭載の「3.0V」、3,000cc自然吸排気エンジン搭載の「3.0Q」の2グレード構成でした。後にV型8気筒4,000cc搭載の「4.0Z i-Four」が追加され3グレード構成となります。
「3.0Q」ではメーカーオプションも含めて注文できなかった、「3.0V」の特別装備をご紹介します。

【タイヤ&ホイール】
標準装備
・225/55R16 93Vスチールラジアル + 16 X 7.5JJアルミホイール

オプション
・225/55R16 93Vスチールラジアル + 16 X 7.5JJアルミホイール(フロント)
 245/50R16 98Vスチールラジアル + 16 X 8.5JJアルミホイール(リヤ)

【足廻り】
標準装備
・ピエゾTEMS
・パフォーマンスロッド

オプション
・”トルセン”LSD(リミテッドスリップデフ)

【外装】
オプション
・ウインドウシールド熱線反射ガラス

【計器盤・操作性】
標準装備
・クルーズコントロール

【シート】
オプション
・本革シート


標準装備品やオプション品を比較すると、自然吸気エンジン搭載の「3.0Q」がベースグレードという事ではないようで、快適装備、安全装備はほぼ共通です。タイヤや足廻りはターボエンジン搭載の「3.0V」に性能の良い装備が奢られているように見えますが、エンジンのパフォーマンスに応じた装備とも言えます。

初代アリストをデザインしたジョルジェット・ジウジアーロ氏とは?

出典:http://response.jp/article/img/2013/05/24/198616/563928.html

ジョルジェット・ジウジアーロ氏

ジョルジェット・ジウジアーロ氏は、イタリアの工業デザイナーで、デザイン会社「イタルデザイン」社の創設者です。

【来歴】
1938年 イタリア・ピエモンテ州、クーネオに生まれる
1955年 美術高校在学中、たまたま描いたフィアット・500のイラストが高く評価され、高校を中退してフィアットのデザイン部門に入社
1959年 イタリアのカロッツェリア、ベルトーネのチーフスタイリストに転身
1960年 ジュネーヴ・モーターショーでゴードンGTを発表、好評を博す
1965年 ベルトーネを退社し、カロッツェリア・ギアのチーフ・デザイナーに転身
1968年 日本人企業家宮川秀之、名人級の板金技術者アルド・マントヴァーニと共同で自らの会社「イタルデザイン」社を設立
1981年 自動車分野以外の製品をデザインする「ジウジアーロ・デザイン」社を設立

ジウジアーロ氏がデザインした日本車

出典:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B8%E3%83%A7%E3%83%AB%E3%82%B8%E3%82%A7%E3%83%83%E3%83%88%E3%83%BB%E3%82%B8%E3%82%A6%E3%82%B8%E3%82%A2%E3%83%BC%E3%83%AD

いすゞ 117クーペ

出典:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B8%E3%83%A7%E3%83%AB%E3%82%B8%E3%82%A7%E3%83%83%E3%83%88%E3%83%BB%E3%82%B8%E3%82%A6%E3%82%B8%E3%82%A2%E3%83%BC%E3%83%AD

いすゞ・ピアッツァ

出典:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B8%E3%83%A7%E3%83%AB%E3%82%B8%E3%82%A7%E3%83%83%E3%83%88%E3%83%BB%E3%82%B8%E3%82%A6%E3%82%B8%E3%82%A2%E3%83%BC%E3%83%AD

スバル・アルシオーネSVX

他にも、下記の自動車をデザインしました。

【マツダ】
・ルーチェ(初代)

【スズキ】
・フロンテクーペ
・キャリイ(4代目L40系)
・SX4

【ダイハツ工業】
・ムーヴ(2代目カジュアル系)
・コンソルテクーペ
・ハイゼット(9代目)

【トヨタ】
・パブリカ・スターレット(初代)
・カローラ (5代目E80系)

【日産】
・マーチ(初代)

【三菱自動車】
・ギャラン(初代)

【いすゞ】
・FFジェミニ
・ピアッツアネロ(ヤナセ店用ピアッツア)

自動車以外では、下記のニコン一眼レフカメラをデザインしています。

・ニコンF3
・ニコンEM
・ニコンF4
・ニコノスRS
・ニコンF5
・ニコンF6
・ニコンD3
・ニコンD4

2代目 JZS16#型(1997年 - 2004年)

出典:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%88%E3%83%A8%E3%82%BF%E3%83%BB%E3%82%A2%E3%83%AA%E3%82%B9%E3%83%88

2代目トヨタ・アリスト VERTEX EDITION(前期型)

2代目アリストは「クラウン・マジェスタ」との姉妹車関係を解消し、プログレから採用された新規プラットフォームを改良して使用しました。このプラットフォームは、その後のトヨタのFRセダンの基本仕様となりました。
デザインは一転、「イタルデザイン」社への外注から社内デザインになりましたが、モチーフの楕円は引き継がれました。
先代モデルに途中から追加された4WDとV型8気筒エンジンは、2代目アリストでは用意がされずFR専用モデルとなりました。そのおかげか前後輪の重量配分が53:47となり、FR車の理想敵な重量配分となっています。
3代目からはアリストを名乗らず「レクサスGS」としてレクサス店で販売しています。2代目がアリストの最終モデルとなりました。

2代目トヨタ・アリスト 主要諸元

2代目トヨタ・アリスト 主要諸元

ボディタイプ 4ドアセダン
全長 4,805mm
全幅 1,800mm
全高 1,435mm
ホイールベース 2,800mm
車両重量 1,600kg
乗車定員 5人
駆動方式 FR
サスペンション 4輪ダブルウィッシュボーン
ブレーキ前 ベンチレーテッドディスク
ブレーキ後 ディスク
変速機 4速AT/5速AT/5速MT

2代目トヨタ・アリスト搭載エンジン 主要諸元

2代目トヨタ・アリストには下記のエンジンが搭載されています。

・2JZ-GTE型(直列6気筒DOHCターボ 3,000cc)
・2JZ-GE型(直列6気筒DOHC 3,000cc)

先代モデルより搭載している3,000ccの直6DOHCターボの「2JZ-GTE型エンジン」は吸排気系にVVT-iが採用され、さらに太いトルクを発生しました。

形式名 2JZ-GTE型
・種類 直列6気筒DOHCターボ
・内径 86.0mm
・行程 86.0mm
・総排気量 2,997cc
・最高出力(ネット) 280PS/5,600rpm
・最大トルク(ネット) 46.0kgm/3,600rpm

2代目アリストのグレード展開

出典:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%88%E3%83%A8%E3%82%BF%E3%83%BB%E3%82%A2%E3%83%AA%E3%82%B9%E3%83%88

2代目トヨタ・アリスト S300 VERTEX EDITION
※写真は2代目レクサスGS300です。

2代目アリストのグレードはDOHCターボ搭載の「V300」と自然吸気エンジン搭載の「S300」があり、それぞれに専用装備を追加した「VERTEX EDITION」が設定されていました。後にカタログモデルとして「S300」にラグジュアリーグレードの「WALNUT PACKAGE」が、「V300」には受注期間限定ながら「V300TOM'S VERSION」が追加されました。
ここでは「S300 VERTEX EDITION」にメーカーオプションでも注文できなかった、「V300 VERTEX EDITION」の特別装備品をご紹介します。

【タイヤ&ホイール】
標準装備
・225/55R16 94Vスチールラジアル + 16 X 7.5JJアルミホイール

オプション
・235/45ZR17スチールラジアル + 17 X 8KKアルミホイール(光沢)

【足廻り】
標準装備
・ARS(アクティブ・リヤ・ステア)

【計器盤・操作系】
標準装備
・ステアマチック

2代目アリストでも快適装備、安全装備に違いは見られません。先代同様、大きな違いはタイヤと足廻りです。これはエンジンのパフォーマンスの差に由来するものと考えられます。

アリストの中古車相場

GAZOO.comでT-Value対象であるアリストの中古車を調べてみました。20015年12月2日に調べたところ、初代アリストの在庫はありませんでした。2代目アリストは「S300」、「V300」とも流通しています。「S300」なら「VERTEX EDITION」の在庫が多く、逆に「V300」はノーマル車の方が多く目につきました。
しかも初度登録から10年以上経過し、現代のハイブリッド車と比較すると環境にもお財布にも優しくないためか、価格もこなれています。トヨタの直6搭載FRスポーツに乗ってみたい方には、お買い得なタイミングです。

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世間のアリストの評判

ドライブゲームでのお話のようですが、ゲームでもアリストはロケットスタートの「直線番長」のようです。

11代目クラウンのアスリートにはヤマハがチューニングした「アスリートVX」という限定モデルがありました。カタログでは300PSオーバーで、その状態でR33GT-Rと張り合えるがアリストには劣る、となると2JZ-GTE搭載のアリストはR33GT-Rよりは速い、ってことになりますね。R32GT-Rは大柄なボディが災いしてレースではR32やR34よりタイムが落ちたようですが、もしR32やR34が相手だと、アリストとどちらが速いのでしょうね? 興味が尽きません。

2JZ-GTEは本格的にチューニングすると1,000PSにも達するそうです。そのため、今でもチューニング業界では人気のあるエンジンです。恐るべきは1,000PSの衝撃にも耐えてしまう強靭なエンジンブロックですね。

速くてスタイリッシュなアリストに憧れていたのは、大人だけでなくお子さんもだったんですね。

まとめ

初代トヨタ・アリストはイタリア工業デザインの大御所・ジウジアーロ氏がデザインした「作品」であるにも関わらず、暴力的なパワーを発生する「2JZ-GTE型エンジン」を搭載するというギャップが世間に受け入れられ人気を博しました。まさに「羊の皮を被った狼」だったのです。
2代目は初代モデルを踏襲していながら、4つ目のヘッドライトが奇抜で個性を主張していました。チョイ悪親父が運転すると似合いそうな、トヨタ社内デザインでありながらイタリア車のような色気を感じさせる車でした。
これらのテイストは後継車である「レクサスGS」に受け継がれています。折しも先日、レクサスGSがモデルチェンジしたばかりです。今度の週末はレクサス店に見学に行ってみるのも良いですね。