かつて若者を爆発的なパワーで魅了したターボ車。今また世界的に注目されているのはなぜだろう?

1980年代、自動車メーカーはこぞってハイパワーを求めターボ搭載車を開発販売していた。 その後時代は流れ、ターボ搭載車は燃費が悪いと世の中の逆風をうけ次第に下火になってきた。ところが、現在ターボ搭載車の割合が年々上がっているという。そこで、今なぜターボチャージャーなのか考えてみよう。

ターボチャージャーとは?

ターボエンジンの仕組み

ターボチャージャーとは、エンジンの燃焼効率を高めるために排気ガスを利用しタービンをまわし、その同軸上にある吸入側のタービンにより空気を圧縮しより多くの酸素を含んだ空気を燃焼室に送り込み大きな爆発力を得る装置です。主な構成部品は、排気ガスを回転運動に変え圧縮空気を作るタービン部、高温になった圧縮空気をノッキング防止やさらなる燃焼効率アップさせるインタークーラー部、急なアクセルオフによる圧縮空気の逆流防止のためのウエストゲートバルブ、そのほか高温になるタービンの軸受け部やインタークーラーの冷却のための水冷や空冷の冷却装置やオイルラインなどがあります。

ターボチャージャーの歩み

ターボチャージャーの誕生から現在の流れまで振り返ってみましょう。

ターボ車の誕生

1905年蒸気タービン技術者・アルフレッド・ビュッヒにより考案され、その後ルドルフ・ディーゼルによりターボ過給器付きディーゼルエンジンが実用化されなした。しかし、頻繁に利用されたのは航空機でした。航空機は上空の空気の薄いところを飛ぶため圧縮した空気を強制的に送りこむターボチャージャーは航空機エンジンのニーズに適していたのです。

一方、自動車エンジンでは、1962年アメリカでシボレーコルベアに搭載されました。しかし当時のアメリカでは小排気量のエンジンはあまり受け入れられませんでした。逆に欧州では小さいエンジンでハイパワーを得られるターボエンジンはコンセプトに合っていました。1973年BMWが「2002Turbo」を発表し、コンパクトセダンでありながらポルシェを追いかけ回す高性能車として世界が注目しました。
 
 

国内のターボ搭載車

国内では1972年「日産セドリック430Turbo」に搭載された。当時日本はオイルショックの影響もあり小排気量でありながら高出力の燃費の良いターボエンジンということで宣伝していました。しかし現実にはターボエンジンの爆発的な加速感ばかり目立ち、ついついアクセルを踏み込みパワーを求めるユーザーが増えてきました。「ターボ車はパワーはあるが燃費は悪い」といわれるようになりました。しかし、バブル期とも重なり燃費の悪さよりターボパワーの魅力にとりつかれたユーザーのため国内メーカーはこぞってターボ車を開発しハイパワー戦争時代となりました。

ターボチャージャーとF1

当時F1のレギュレーションでNA3.0リッター過給機付き1.5リッターとなっていました。なかなかターボ車に踏み切れない中1977年ルノーが1.5リッターV6ターボを開発しました。ルノーの成功により各メーカーが刺激を受けターボ時代がやってきました。その後パワー競争は白熱するが、使用燃料の量の制限が加えられゴール間際でガス欠になる車両も続出しました。そんな中ホンダは得意の燃料噴射技術を駆使し燃費の良いターボエンジンで黄金期を迎えることになりました。しかも1.5リッターでありながら1,500ps以上というハイパワーでした。このF1のレギュレーションのおかげで燃費とパワーの両立という技術が発展したともいえるのです。。

ディーゼルエンジンとターボチャージャー

一般的にターボチャージャーはガソリンよりもディーゼルの方が相性がよいといわれてます。ディーゼルエンジンでは、空気のみを気筒内に送り込むのでガソリンエンジンのような圧縮による異常燃焼が起きない。低負荷時でも排気量が多い。などの理由から古くから採用されてきました。リーンバーンと高圧縮比が可能なディーゼルエンジンこそ相性がよいのです。その後高圧燃料噴射とターボチャージャーが組み合わされた先進的なエンジンが搭載され欧州を中心にディーゼルターボ車は普及し続けています。現在排気ガス基準をクリアするのにもターボチャージャーは不可欠とな存在となっています。。

2000年以降のターボエンジン

90年代欧州ではオイルショックに対応するためディーゼルエンジンのターボ化が進みました。小型乗用車でも人気のディーゼルターボに対抗できるガソリンエンジンが必要でした。2005年VW社は1.4リッター直噴ターボTSIを開発し、1.4リッターでありながら2.7リッター並みの実力でした。タービンの小径化により低回転から稼働し実用域での無駄な踏み込みを無くし燃費改善ができました。ダウンサイジングされたTSIエンジンはターボチャージャーの未来を変えるエンジンとなったのです。。ディーゼルにおいては排気ガスのクリーン化と高出力化へとターボチャージャーの技術は不可欠なものとなったのです。

まとめ

ターボ車が市場に登場してから約50年。燃焼効率を上げる目的で開発されたもののその爆発的な加速に魅了されパワーアップの代名詞でした。F1での華やかな活躍・国産車のハイパワー競争。そしてオイルショック・バブル崩壊・京都議定書など時代の変化で次第にターボ車は衰退していきました。その後エコが叫ばれ燃費重視のエンジン作り。欧州中心にディーゼルターボ搭載車が普及しはじめます。エンジンのダウンサイジングにターボチャージャーは不可欠になり再び注目されるようになりました。
現在、燃費や環境問題でハイブリッド車や燃料電池車が話題の中心ですが、クリーンディーゼル車やコンパクトカーに燃費向上やクリーンな排気ガスのためのターボチャージャー搭載車が普及し続けています。
時代を経て開発のコンセプトも技術も変化してきたターボチャージャー。今後はどのように変わっていくのかとても気になるのです。