生産わずか50台「三菱ピスタチオ」って

三菱自動車にピスタチオという車種がありました。皆さんはご存知でしょうか? 実車を観たことのある方はいらっしゃいますか? というくらい貴重な「三菱ピスタチオ」。わずか50台しか作られなかった「名車?」をズームアップしてみたいと思います。

「三菱ピスタチオ」とはどんなクルマなのか?

三菱ピスタチオと聞いてピン! と来る方は、公益法人や地方自治体、あるいは三菱自動車にお勤めの方か…というくらい貴重な車種です。

このピスタチオが生産されていたのは1999年12月〜2015年3月、5年と少々の中で、生産台数実績は50台。「万が抜けてない?」と聞かれそうですが、抜けていません。50台だけが作られました。この台数は三菱自動車としては最少記録だそうです。ただ、販売対象も自治体・公益企業に限定されていたので、ある意味納得してしまうのですが。

ピスタチオには「アイドリングストップ」が搭載されていた!

ボディは3ドアのみで、当時のミニカ(8代目)をベースにしています。でもエンジンは4A31型1,094ccDOHC16バルブ直列4気筒GDIエンジンが搭載されており、シフトは5速マニュアルのみでAT車はありません。販売開始時の新車価格はお手頃価格(?)な95万9千円です。そして、このピスタチオ、エコカーとして三菱自動車が世に問うた最初の自動車かもしれません。このクルマには、「アイドリングストップシステム」が装備されていたのです。

このアイドリングストップシステムは「ASG」と名付けられ、このピスタチオがGDIとの「先進コンポーネント」としてピスタチオに初搭載されたそうです。ちなみに「ASG」は「オートストップ&ゴー」の略です。三菱自動車らしく「ひねり」は効いていません。

今では当たり前に思えるアイドリングストップですが、当時は「停止したエンジンの再起動が遅い」「一旦停止させたエンジンを再スタートさせるための操作が複雑になる」「運転に違和感を覚える」などの懸念がありました。これに対して、制御、再起動システム、エンジン特性による違和感などのカバーを目指したようです。そして再起動操作もシンプルに、クラッチペダルを踏み込むだけにしています。確かに、アイドリングストップが登場した頃のバスやトラックを見ていると、始動時には、ちょっとですが「ブルブルブル」と震えてちょっとしてから発車したような記憶がありますね。三菱自動車がプロではないドライバー向けに出す自動車ですから、エンジンの再始動に手間や時間をかけてしまっては、ドライバーにはストレスになりますし、渋滞を作り出す原因にもなりかねません。ここは開発陣の苦労がしのばれるところですね。

三菱自動車ピスタチオ。市場に登場!

そして、ピスタチオが世に送り出されます。その時に出された燃費性能は、1,100ccクラスでトップ「10・15モード燃費30km/L」とされています。ただ、そのための軽量化もかなり図られていたようで、装備はエアコンなど必要最低限(カーオディオもAMラジオのみだった様子)、ボンネットはオールアルミ、足まわりは135/80R13のラジアルタイヤに13インチアルミホイールが装備されました。このため、エンジンを積み替えているにも関わらず、重量はミニカとほぼ同等の700kgで抑えられています。

当時、既にホンダは低燃費型V-TEC、日産はNeo-DiにCVTを組み合わせ、マツダはリーンバーン化、トヨタはハイブリッド化で「エコ」の方向性を打ち出していました。コレに対して、三菱はGDIのみでした。そのため、何らかのエコ対策が求められていたのだと思います。

当時のカー雑誌の記事などでのインプレッションでも「エコ対応のアドバルーン」と書かれていましたが、走りそのものは、外観がそっくりなミニカを想像しているせいか、かなり好評だった印象です。

一般市場に出せなかった(?)「ピスタチオ」

そんな好評な一面がありつつ、三菱自動車が一般的な量産体制をとらず、公益法人や自治体専用のモデルとしたのは、やはり「アドバルーン」と言われても仕方のない側面があったのではないでしょうか。

軽量化のため、自家用車に求められる「運転中の楽しさ」を犠牲にしたかのようなカーオディオ…いや、AMラジオのみ、しかもドアスピーカーも無く、ハーネスも電源のみのため後付オーディオで拡張することもほとんどできません。価格を抑えるためか、シートも高級感は犠牲になっています。そしてマニュアル車のみ、今ではブレーキからアクセルに踏み替えれば再スタートする機構なのに、当時はクラッチを再スタート用のスイッチにしていたためでしょうか。肝心のアイドリングストップもライトをつけるなど、エンジン負荷が掛かっていると効いてこないなど。どうしても一般受けはできない段階だったように思えます。

まとめ

そんなピスタチオですが、後にはRVRなどのASGに展開されるなど、一種のプロトタイプとしての役割は充分に果たしたのではないでしょうか? 生産台数50台ですし、書いても限られているので中古車市場にもほぼ出回りませんが、もし「8代目ミニカ」を見つけて、「少しバンパーが長いかも」と思ったら、ピスタチオかもしれません。希少車中の希少車ですから、それがもし「ピスタチオ」なら、なにかラッキーなことが起きる兆しかもしれませんね。