【フェラーリ F355】今でも人気の理由を探る!

1994年にフェラーリからV8ミッドシップの2シータースポーツとして発売されたF355は、2015年になっても高い人気を誇ります。人気の理由は何処にあるのか? F355についてまとめました。

フェラーリF355の歴史と特徴

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フェラーリF355は1994年に、フェラーリのスポーツモデルのボトムエンドを担うモデルとして、フェラーリ348の後継として登場しました。

このボトムエンドのモデルは、古くは若くして亡くなったエンツォ・フェラーリの長男の名前を冠した「ディーノ」のブランドで販売された206GTに端を発するもので、1970年代半ばのディーノブランドの廃止でフェラーリのラインアップに組み込まれたという経緯があります。本流とも言うべきV12エンジンを搭載した大型のフェラーリに対して、この軽量で小型なレンジを担うモデル群は代々、ピッコロ・フェラーリと呼ばれて親しまれ、その魅力は、絶対的な動力性能ではなく、軽快な運動性能にありました。しかし先代の348では、その性格をスーパースポーツ志向に変化させました。

F355は基本設計では348から継承した部分も多く、348の方向性を更に先鋭化させています。一方で従来2+2のGTとして販売されてきたモンディアルが廃盤になったこともあり、ラグジュアリー志向も加わりました。

F355のネーミングは、3.5Lの5バルブエンジンを意味します。2シーターモデルとしては、これまでのピッコロ・フェラーリの排気量+気筒数という命名法から逸脱した、はじめてのモデルとなりました。

エレガントで洗練されたデザイン

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フェラーリF355のデザインは基本的な部分は348のそれを踏襲しつつも、エクステリア、インテリア共に、348よりも、より洗練された印象になりました。デザインは引き続きピニンファリーナが担当しています。

エクステリアは基本的なシルエットは348と同じ雰囲気ですが、フロントマスクはやや丸みを帯びました。これは1992年に登場したV12搭載の4座モデルである456GTに共通した雰囲気です。エンジンの吸気口も特徴的だったフィンが廃され、平面的なすっきりとしたデザインに改められました。そしてリアは、フェラーリ伝統の丸型テールランプが復活しました。またダックテールと呼ばれる形状が取り入れられ、空力特性が改善しました。

インテリアもダッシュボードの形状は348のものを踏襲していますが、標準で革張りとなるなど、ラグジュアリーな雰囲気が強まりました。またセンターコンソールとダッシュボードは再び切り離されました。結果、F355のインテリアはミッドシップスポーツカーらしい雰囲気が強まりました。

パワーステアリング標準装備と2ペダルMTの設定

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フェラーリF355は、以前の2シーターV8ミッドシップモデルと比べると、運転を快適にする装備も増えました。

まず全車でパワーステアリングが標準装備となりました。これまでV8ミッドシップのフェラーリでは、2+2でGT的な性格を持つのモンディアルにパワーステアリングが装備された例はありましたが、2シーターでのパワーステアリングの装備は、F355がはじめての例となりました。これまで通りノンパワーでのステアリング操作を楽しみたいユーザーに対しては、パワステレスのオプションが用意されました。

モデル途中、1997年からは2ペダルMTのF1マチックが追加され、AT限定免許で乗れるようになりました。このF1マチックはイタリアのマニエッティ・マレリ社とフィアットが共同開発したもので、シーケンシャル方式を採用しており、シフトチェンジはステアリングのパドルで行い、また変速を自動で行うオートモードも搭載されています。

2ペダルの設定も過去にモンディアルで、フランスのヴァレオ社製の自動クラッチのMT(ルノーが1995年からトゥインゴで採用したものに近いものです)が搭載されたことがありましたが、こちらはクラッチ操作以外は全て手動であり、変速スピードも含めて、大幅な進化となりました。

尚、3ペダルのMTに関しても従来の5MTから6MTへ変更され、左下が1速のレーシングパターンから、一般的なシフトパターンへと改められています。

強化されたセミモノコックボディ

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フェラーリF355の車体は、前身の348の構造を受け継いでいます。すなわち、モノコックを基本としつつ、一部に鋼管フレームを残した、セミモノコック構造です。

特に348前期型で、このセミモノコック構造は強度や剛性が不足していることが弱点として挙げられていましたが、この弱点はF355では大幅に改善しています。

日常から高速域まで使いやすいフェラーリ

348の欠点を解消して、良い部分を引き伸ばし、更にパワステやF1マチックにより運転のハードルも下がったF355は、ライバルのポルシェ911が持っているようなオールラウンダー的な性格を新たに身につけ、ヒット作となりました。F355の生産台数は11,273台に達し、フェラーリの単一車種としては、はじめて1万台を突破しました。

様々な面でバランスが取れているF355は、登場から20年が経った現在でも、特に日本国内では強い人気があるモデルとして知られています。

フェラーリF355の詳細

フェラーリF355は1994年の登場から1999年の生産終了まで、大きなマイナーチェンジは受けることなくモデルライフを終えました。最初から完成度が高かったことが伺えます。

シャシー番号は3度変化しており1994年5月から10月までのPA、同年11月からの1996年3月までのPR、1996年4月以降のXRで区分されています。特にXR以降はエンジンの制御系が348以来のモトロニックM2.7から、新しい8気筒統括制御のモトロニックM5.2へと変化しています。

フェラーリF355の変遷を紹介します。4年半製造されたF355はそのシャーシ型式より前期と中期と後期に分類されます、これが結構違ってる箇所が多いんですよね。

フェラーリF355のボディタイプとグレード

フェラーリF355には、348後期型同様に2ドアクーペ、タルガトップ、フルオープンの3種類が設定されました。このうち登場時は2ドアクーペとタルガトップのみで、フルオープンボディに関しては1995年の登場まで、旧モデルである348の製造販売が継続されました。

グレード名は、2ドアクーペは「ベルリネッタ」に改められましたが、タルガトップは「GTS」、フルオープンモデルは「スパイダー」が348から継続されています。1997年に追加されたF1マチックは、全てのボディタイプに設定されました。

そのほか、ワンメイクレース仕様のF355チャレンジが設定されています。

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奥からベルリネッタ、GTS、スパイダー。

フェラーリF355ベルリネッタのスペック

フェラーリF355のF129B型エンジンは、348のF119H型エンジンに対して、多くの部分で設計の変更が行われています。

エンジンブロックはディーノ308GT4以来の軽合金製のものを継承していますが、排気量は90cc拡大されました。これまでボアとストロークの両方を拡大してきたフェラーリのV8エンジンでしたが、ボアアップは限界に達し、ストロークの延長のみでの排気量拡大となっています。

一方エンジンのヘッドは新規に設計され、車名でも言及されている5バルブのもので、吸気3バルブ、排気2バルブとされています。またこの"3つ目"の吸気バルブのカムのプロファイルは左右バンクで若干異なっており、パワーの出方を均一にしないことで、トラクションの向上に配慮されています。

このようなパワフルなエンジンの搭載に伴い、F355では348に対してタイヤサイズが大きくなりました。そのため全幅やトレッドが348に対して大きくなりましたが、全高やホイールベースは348と共通です。

午前零時の自動車評論

¥1,620

フェラーリF355のカムシャフトについて解説されています。

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全長 4,250mm
全幅 1,900mm
全高 1,170mm
ホイールベース 2,450mm
トレッド 前/後 1,515mm/1,615mm
車両重量 1,440kg
乗車定員 2人

最小回転半径 5.8m(資料によっては6m)

エンジン V型8気筒DOHC40バルブ
排気量 3,495cc
ボアxストローク 85.0x77.0mm
圧縮比 11.0
最高出力 279kW [380ps] / 8,200rpm
最大トルク 359.9Nm [36.7kg-m] / 5,800rpm
燃料タンク容量 82L

変速機 6MT / F1マチック(2ペダル6MT)
サスペンション前/後 ダブル・ウィッシュボーン / ダブル・ウィッシュボーン
ブレーキ前/後 ベンチレーテッド・ディスク / ベンチレーテッド・ディスク
タイヤ前/後 225/40ZR18 / 265/45ZR18

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エンジンヘッドを刷新したF129B型V8エンジン。

フェラーリF355にまつわるエピソード

レーサー太田哲也の悲劇の事故と再起

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太田哲也のドキュメント

世界中のレースシーンでも活躍していたフェラーリF355ですが、日本ではチーム・フェラーリ・クラブ・オブ・ジャパンがF355GTを製作、全日本GT選手権のGT300クラスに参戦しました。チーム代表はフェラーリと縁の深いレーサーの太田哲也で、自身もまたステアリングを握り、レースに出走、1997年シーズン最終戦では優勝も果たしました。

ところが1998年5月3日、富士スピードウェイでのシーズン第2戦、雨の中ペースカーがイレギュラーな先導を行ったことから、加速する各車が巻き上げる水飛沫で急激に視界不良となり、多重衝突事故が発生します。この事故で太田哲也が駆るF355GTは爆発炎上、更に救出が遅れにより燃えさかる車内に90秒取り残された太田哲也は、一命こそ取り留めたものの後遺症に苦しみ、プロのレーサーとしての生命を絶たれることになりました。

しかし懸命なリハビリにより社会復帰を果たした太田氏は、以降、自動車の評論から小学校への出張授業まで、多方面で精力的に活躍しています。

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ワンメイクレースがSEGAのゲームに

フェラーリF355のワンメイクレース、F355チャレンジは1999年にセガによってゲーム化されました。当初はアーケードゲームとして登場し、2000年にはドリームキャスト、2002年にはプレイステーション2に移植されました。

このゲームは極めて本格的なドライビングシミュレーターとして成立していて、当時はハードルが高かったフェラーリの正式なライセンスを受けたほか、前述の太田哲也も、このゲームの完成度の高さを絶賛したといいます。その実現の背景には、実際にF355を所有していたプロデューサーの鈴木裕が、ビジネス抜きに再現度にこだわったからだとも言われています。

2010年にはアーケード用筐体がクラブセガ秋葉原新館に設置され、久しぶりに話題となりました。

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ジャミロクワイのミュージック・ビデオにも登場

1990年代にアシッド・ジャズで一世を風靡したジャミロクワイ。ボーカルのジェイソン・ケイは熱烈なフェラーリファンとしても知られています。

3rdアルバムの「Traveling Without Moving」からシングルカットされた「Cosmic Girl」のミュージック・ビデオでは、F355を、F40とランボルギーニ・ディアブロの2台のスーパースポーツが追い回すという内容で、F355の魅力を存分に堪能できます。

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Jamiroquai - Cosmic Girl

フェラーリF355の中古車事情

特に日本では長らく人気車種として定着しているフェラーリF355は、2000年代後半からは800万円から1,100万円くらいまでの間で中古車市場で流通してきました。これは例えば348や328に比べてかなり高く、プレミアが付いていると言える状況だったのですが、海外流出等の影響か348や328の値段がやや上昇気味なのに対して、F355の相場は2015年現在も、それほど変化がありません。

中古車情報に掲載されている個体数も常に多い状況で、日本国内での現存数も恐らく多く、これらは今後の維持の上では比較的好条件です。「フェラーリの中では」という但し書きがつきますが、1990年代のフェラーリとしては最も手を出しやすいモデルと言えるかもしれません。

実際に選ぶ場合は、強いこだわりがない場合、走行性能を考えればベルリネッタ、故障のリスクの少なさを考えればコンサバティブな6MTを選ぶのが無難でしょう。またF355に限りませんが、大半のフェラーリはボディカラーが赤ないし黄色がリセールで好条件だと言われています。

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まとめ

フェラーリF355について駆け足でまとめてきましたが、如何だったでしょうか?

F355は間口が広く、一方で2015年現在でも必要十分な動力性能を持つモデルで、これからも人気は続くでしょう。フェラーリなんて夢物語だと思われていた方は、この機会に是非チェックされてみては如何でしょうか?

またセガのゲーム、F355チャレンジもかなり硬派で、その硬派さはグランツーリスモシリーズに慣れている方でも舌を巻くほどです。プレイステーション2版も販売されていますが、ドリームキャスト版の方が完成度は高かったと言われています。本物に比べれば大幅に安いので、懐かしの名作を楽しんでみるのも一興かもしれませんね。